「令和4年度第1回 教育人事交流報告会」を開催しました

 2022年12月19日に看護学科教員と及び看護部看護職の教育人事交流の報告会を開催しました。教育人事交流は、教員と看護職が相互に看護教育と看護実践の場に立場を置き換え研修することにより、それぞれが教育的を補完しあい、人材の育成を強化していくことを目的としています。
 報告会は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のためにZoomと会場とのハイブリット形式で開催しました。参加者は25名(Zoom11名、会場14名)でした。
報告者は看護学科からは成人看護学助教の松田奈緒美さんと看護部からは8階東ナースステーションの看護師鉄川洋平さんの2名でした。
 松田さんは2022年6月から9月にかけてがん化学療法(特に血液疾患)の看護実践について最新の知見を得ることにより、学生の講義・演習・実習の活用を目的に5階西ナースステーションと外来化学療法センターで人事交流を行いました。病棟では日勤業務の1日の流れを体験、無菌室の見学、医師の朝回診の見学、病棟内で行われるカンファレンス(多職種カンファレンスを含む)、病棟及び外来化学療法センターでは、血液疾患患者とのコミュニケーションなどを体験しました。松田さんからは、交流先の5階西ナースステーションの看護師に向けて最近の学生の動向をテーマに2019年度からの開講である地域包括ケア論とコロナ禍での演習・実習の現状についてミニレクチャーを実施しました。以上の体験を通して血液疾患における最新の治療や在院日数短縮の中で多職種が連携して患者の看護を提供する実際と外来治療のニーズの高まりに触れ、これらの体験を学生の教育に活かしていきたいと報告していました。
 質疑応答では、『今回の教育人事交流での課題』について問われ、清潔ケアなどの看護実践の準備、交流日の間隔を空けないことの必要性を回答していました。交流先の師長からは、看護ケアの意義について確認されることで、言語化することが必要になり、それによって日常の看護ケアを振り返るきっかけができた。また、臨地看護学実習を受け入れる直前であり、準備を行っていたこともあり、ミニレクチャーはタイムリーであった。との感想をいただきました。
 鉄川さんは2022年9月から11月にかけて病院実習における学内と臨床の教育の違いや中立的な立場で学生と交流し実習前後の学生の反応を理解することや病院実習に対する教員や臨床指導者のサポート体制について学び臨床指導の場面に役立てること目的に基礎看護学実習Ⅱ(第2学年)における企画、運営を包括的に体験するために基礎看護学領域で人事交流を行いました。基礎看護学実習Ⅱに関する看護部との打ち合わせ、実習ガイダンス、実習全体説明会に参加し、その後2週間の病棟実習・学内実習に専任教員とともにシャドウイングを行いました。以上の体験を通して、実習開始前の準備や調整を知り、ハイブリッド実習の形態によるメリット・デメリットを理解した上で、学生に対しては指摘するのではなく、如何に気づかせ、行動に移させるかの思考過程へのアプローチや環境調整・整備が大切であり、教員と指導者が協働することの重要性を学んでいました。今後はそれらを学生の教育活動に取り入れることと新人教育においては、学生実習から新人教育は開始されていることを認識し、新人看護師としてのレディネスを把握し、経験学習サイクルが円滑になるように指導体制の整備をしていきたいことを報告していました。
 質疑応答では、交流先の教授からは、領域としては手探りで始めた人事交流ではあったが効果的であったと感想をいただきました。続いて『受け入れ側への要望』について問われ、交流者自身の課題が沢山あり、具体的には示すことができないため、できれば再び教育人事交流に参加したいと返答していました。
 松田さんと鉄川さんには、お忙しい中で報告会の準備と発表をして頂き心より感謝申し上げます。
 この教育人事交流にご興味を持たれた方は、所属の上司にご相談を頂き、是非、人事交流へ申請して頂きたいと思います。次年度からは早くも三年目を迎えます。今後さらに充実し発展できますよう皆さまのご協力をお願い申し上げます。

報告者 看護学科成人看護学領域 松田奈緒美 先生
報告者 8階東ナースステーション 鉄川洋平 さん
開催挨拶 服部ユカリ センター長
司会進行 荒ひとみ 部門長
交流部署 看護学科基礎看護学領域 升田由美子 先生
交流部署 5階西ナースステーション 植山さゆり 看護師長
閉会挨拶 原口眞紀子 副センター長
会場の様子

「令和4年度第2回 教育人事交流報告会(3/14)」開催のお知らせ ※学内限定

今年度3月までに人事交流を終えた方に、成果を報告していただきます。
是非、ご参加ください.

日 時:令和5年3月14日(火)  17:45~18:15
会 場:講義実習棟2階 第6講義室 + Zoom ※
対 象:看護学科教員、看護部看護職
***詳細はポスターをご覧ください***

※会場とZoom によるハイブリッド形式で開催します。
※会場で参加される方は、直接会場へお越しください。
※Zoomの接続情報は、学内掲示のポスターに記載しております。
 ご不明の場合はポスターの「お問合せ先」までお尋ねください。

★参加者は、学内の看護学科教員及び看護部看護職に限定させていただいております★
★会場が第6講義室に変更になりました★

「学生と看護職セミナー(二輪草セミナー)『花ひらく可能性』」を開催しました

看護職キャリア支援 職場適応担当 平塚 志保

 学生と看護職セミナー(二輪草セミナー)では、キャリアや生きがい、自分らしく活き活き働くためのキャリアデザインを考えることを目的とし、旭川で活躍されている方をお招きしての講演を企画しています。今年度は、ガーデニングの聖地として有名な上野ファームの上野砂由紀(さゆき)先生を講師としてお迎えし、12月6日「花ひらく可能性」というテーマでお話をいただきました。
 上野ファームは、360度を水田に囲まれた射的山の麓にある4千坪の大きなガーデンです。かつては代々続く米農家でした。お米の個人販売を始めたことが転機となり、お米を買ってくださる方へのおもてなしの気持ちから、上野先生のお母さまが田んぼのあぜ道に色鮮やかなルピナスを植え、これがガーデンづくりの一歩となりました。
 上野先生は、海外で何かをしたいというお気持ちからアパレル会社を辞めて、ガーデニングの本場であるイギリスに留学されます。宿根草を使ってデザインするイギリスの庭の美しさに魅せられ、帰国後、ご家族とともに庭造りを始められました。大きな円を4つのブロックに分けたサークルボーダー、左右対称に同じ花が植えられるミラーボーダーなどイングリッシュガーデンの知識を活かした庭を作っていきました。他方、道外からいらしたお客様から北国の花の美しさについて教えてもらったことが契機となり、北海道の風土や気候で育つ山野草を取り入れ、北国の植物を季節によって楽しめる現在の「北海道ガーデン」となっていきます。また、花の美しさは、人との縁を結びます。上野先生は、倉本総さん脚本のテレビドラマ「風のガーデン」(2008年)の舞台となったガーデンのデザインと制作に携わることとなります。ドラマの中で人生や人の生と死は、咲いては枯れるを繰り返す花や庭と結び付けて描かれました。
 講演では、美しい花が奏でる四季の写真を紹介いただきました。厳しい冬を超え雪の中から芽吹いてくるスノードロップ、春には水仙、エゾエンゴサク、カタクリ、クリスマスローズ、チューリップが咲き、白樺との共演も見られます。初夏になるとバーバスカムなど一気に色とりどりの花が芽吹くとともにバラの花が華やかさを添えます。秋になると紅葉を背景にアスターなどシックな雰囲気を楽しむことができます。さらに、上野ファームには様々なスポットがあります。射的山の頂上には、ポスターにも使用されている虹色の椅子があり、田園風景を眺められるようになっています。また納屋をリノベーションしたNAYA caféでくつろぐこともできます。
 上野先生は、花や庭は人をつなぎ、人を笑顔にし、人を元気にする力があること、加えて、種が落ちて咲くまで8年かかるオオウバユリから、人生にはすぐに咲かないものと咲くものがあるので、たくさんの種をまくことが可能性を広げることを伝えてくださいました。
 講演後のアンケートでは、「お花も上野先生の生き方もとても素敵と感じた」「とてもリラックスできて贅沢な時間を過ごせた」「花が人との繋がりになること、癒しになることが分かった」「種をまいてすぐ芽が出るもの、長い年月をかけて芽を出すものがあるというお話を人生に照らし合わせて考え、諦めそうになる自分の経験や仕事に希望を持てる気がした」などの記載がありました。
 雪解けから芽吹く山野草の静かな佇まい、可憐さとともにあるいのちの強さ、短い開花の潔さとそれゆえに感じられる季節の移ろい、同じ時季に同じ場所で出会える期待と喜びなど、山野草や宿根草の魅力を十分に感じることができました。同時に、人生、生き方などを考える機会になりました。どうしても閉塞感を感じてしまう今、心温まる時間でした。上野先生、素敵なお話をありがとうございました。

上野ファーム 上野砂由紀 先生
講演スライドから①
講演スライドから②
開催挨拶 服部ユカリ センター長
司会進行 山根由起子 部門長
講演スライドから③
閉会挨拶 二輪草センター 山本明美 センター長
会場の様子

受講後アンケートの結果

「第1回 外国人患者対応能力向上に向けた講演会」を開催しました

 12月1日に、第1回 外国人患者対応能力向上に向けた講演会を開催しました。
看護職キャリア支援センター 教育プログラム開発部門では、多様な文化や価値観を理解し外国人患者に対応できる看護職の育成を目標に講演会を企画しています。今回は、東川町文化交流課、東川町立東川日本語学校・学校推進室マネージャー(JICA派遣)である髙野悠己氏から「外国人留学生の医療支援を通して」をテーマにご講演頂きました。髙野氏は日本語学校の運営や留学生の医療相談を担当されています。
 講演では、写真や動画を通した東川町立東川日本語学校の学校紹介をはじめ、留学生からの医療相談の実際と課題をお話し頂きました。医療相談の実際のお話しでは、留学生からの相談の生の声をお届け頂きました。日本の病院を受診する際に抱える外国人患者さんの困りごとを知る機会となり、改めて日々の医療提供体制を振り返る機会となりました。これには、自国の文化的背景が多分に影響していることに気がつきました。留学生からの生の声には、日本の医療についての正のフィードバックもあり、日本の医療スタッフの親切さや、言語的障壁はあっても図や絵を通して詳しく説明してくれたことへの感謝の言葉もありました。また、髙野氏の留学生とのかかわりのご経験をふまえて、外国人患者さんとのコミュニケーション時に心がけていることを伺うこともできました。やさしい日本語で話すことや症状を伝えるオノマトペは自国の文化的背景に基づくものであるため、外国人患者さんには伝わりにくいなど、具体的なかかわり方のポイントを知ることができ、今後の外国人患者さんとのかかわりに活かしたいと感じました。
 ご講演頂いた髙野悠己先生、日々の医療相談や留学生とのかかわりのご経験から、実際の医療現場に反映できるような具体的なかかわり方の工夫などをわかりやすくお話して頂き、ありがとうございました。心より感謝申し上げます。

【講師】
JICA北海道/東川町文化交流課
東川日本語学校・学校推進室マネージャー
 髙野 悠己 氏

学術集会参加のご報告(第7回 国際臨床医学会学術集会)

植山さゆり

 2022年11月3日、札幌の北海道大学学術交流会館にて第7回国際臨床医学会学術集会が開催されました。「国際医療の再興」を学術集会のテーマに口演発表36演題の発表が行われ、看護師、医師、医療通訳者をはじめ200名を超える参加があり、活発な意見交換が行われました。
 私は今回NiNA*シンポジウムにて「A市内の基幹病院における外国人患者と家族への看護実践上の困難」について口演発表し、その後シンポジストとして意見交換を行う機会をいただきました。国際化に関する学術集会での発表、意見交換は初めての経験でしたが、多くの参加者の方が熱心に聞いてくださっていることを肌で感じ、とてもよい刺激を受けました。
 口演発表では、A市内5基幹病院の看護部長、看護職員の方からの調査結果をもとに、外国人患者受け入れ人数、外国人患者や家族対応した時の患者と家族の国籍、コミュニケーションを図った手段、看護職が困難と感じていた内容、などをまとめ、報告しました。
 その後の意見交換では、「多職種連携による外国人診療の課題解決」というテーマをもとに、医師、日本国際看護師・アメリカの医療通訳士、MSW、看護師という異なる職種の立場から、外国人患者の対応に関する現在の取り組み、課題解決に向けた様々な意見交換を行いました。この経験を活かし、道北、道東地域という特性を踏まえた外国人患者対応の向上に向けた取り組みを継続していきたいと思っております。

*NiNA(NIPPON international Nursing Administrator: 日本国際看護師)