令和5年9月28日(木)に今年度第2回地域を紡ぐ看看連携セミナーが「ちょっと待って、その決定は誰の意思?-患者さんと家族の意向を尊重した療養生活の場所を選択するために必要な情報とは-」をテーマとして開催されました。会場参加、オンライン参加のハイブリッド形式で実施し、21名(病院11名、大学2名、学外8名)の参加がありました。退院支援においては、患者さんと家族の意向を尊重した意思決定支援が重要とされています。「出来れば家に帰りたい」という意向がある患者さん、家族は少なくありません。このセミナーでは、次の生活の場所に在宅療養を選択肢の1つにするためには病院と地域でどのような情報共有が必要かを考えました。
☆ミニレクチャー「退院支援におけるMSWの視点」
旭川医科大学病院医療支援課社会福祉係医療ソーシャルワーカー(MSW)の木下千尋さんより上記テーマでレクチャーいただきました。MSWの役割は、病院等の医療現場において社会福祉の立場から患者さん、家族の抱える経済的・心理的・社会的問題の解決、調整を援助し、社会復帰の促進を図ることとされます。在院日数が短縮されるなか、患者さんや家族の意思を汲み取り、医師、看護師、他の医療職と情報を共有し、患者さんや家族の意思決定に関わる、MSWはまさにチーム医療の重要な一員です。事例を通じMSWとしての視点や活動について紹介いただき、今セミナーの事例検討を深めるよい学びとなりました。
☆事例検討
事例検討では、入院前から日常生活レベルが低下した患者さんの転院調整を通じ、意思決定の場面で患者さんや家族の選択肢が広がる可能性を示唆するために病院と地域でどのような情報共有が必要なのか検討しました。コロナ禍において面会が制限された数年間、病院ではオンライン面会などを工夫し患者さんの状況を家族に伝えるための努力をしてきました。それでも家族は自宅での生活をイメージすることに困難を感じていました。いま制限が緩和されつつありますが、あらためて患者さんや家族の思いは変わりうること、支援する側もお互いに固定概念を捨てることの大切さなどが話し合われました。
最後に木下MSWから、患者さんや家族の思いを叶えるために病状や疾患管理が得意な看護師とサービスの知識を持つMSWがタッグを組んで考えていきたいとエールをいただきました。
☆アンケート直後のアンケートによる企画評価
セミナー直後に参加者にアンケートを実施しました。初参加者が約6割、複数回参加者が約4割でした。活動の場が異なる看護職と意見交換することにより、直接相手の立場や思いを知る機会となり、今後の看護、連携に活かせそうだと感じている参加者が多くいました。アンケートの詳細は、アンケート結果報告をご参照ください。
次回セミナーは12月開催予定です。続けて参加される方、初めて参加される方いずれも大歓迎です。患者さん、家族が望む、その人らしい生活を選択していけるよう病院と地域の看護職がともに看護を考えていきましょう。