「令和5年度 第1回 地域を紡ぐ看看連携セミナー」を実施しました

 今回は、「入院関連機能障害の予防にむけて-病院と在宅の連携-」をテーマとし、令和5年7月11日(火)に会場参加、オンライン参加のハイブリッド形式で実施し、42名(学内21名、学外21名)の参加がありました。入院関連機能障害(Hospitalization Associated Disability:HAD)は、地域と病院の看護職がそれぞれの役割を果たし連携することで効果的に予防できます。実際の看護とリハビリテーションについて理解することで看護実践や連携に活用できると考え、このテーマでセミナーを開催しました。

☆調査報告「在宅の暮らしを支える訪問看護師が大切にしていること」
 旭川医科大学看護職キャリア支援センター地域看護職支援部門牧野志津助教より、本事業に先立ち行われた『北海道の訪問看護事業所の管理者とそこに在籍する看護職の連携に関するニーズ調査』の「訪問看護師の大切にしていること」に関する調査結果について説明がありました。
 訪問看護師が大切にしていることは、利用者とその家族が住み慣れた場所で笑顔のある穏やかなその人らしい生活を継続するために訪問看護の特性を踏まえたより良いケアを実践することでした。看護を提供する場が異なる訪問看護師の大切にしていることを理解することは、看看連携における基盤づくりとして重要であり、相互理解を進めるための示唆となると考えられました。

☆レクチャー「入院関連機能障害の予防にむけて」
 旭川医科大学病院脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の大宮剛看護師長より上記テーマでレクチャーいただきました。HADとは、原疾患によらない入院中の安静臥床が原因となるADLの低下を指します。HADの予防として、①入院前の生活からの活動量低下を最小限にとどめること、②多職種連携、③患者さんとのかかわりをポイントとして具体的な介入に関して説明いただきました。
 また、離床に対し積極的ではなかった患者さんに「人が『生きる』ことを成り立たせる5つの位相(生命、コミュニケーション、身体、家庭生活、社会生活)」からアプローチを考えることで、「生きる全体性」が活性化し心身の回復が促進された事例を紹介いただきました。

☆レクチャー「在宅でのリハビリテーションの実際
 旭川医科大学病院のリハビリテーション部塚田鉄平理学療法士より上記テーマでレクチャーをいただきました。
 在宅で看護師が有効にリハビリテーションを行うという視点から、入院リハビリと訪問リハビリの違い、初回評価、日常の体調のベースラインの評価、目標の共有、生活にリハビリを組み込む、フィードバックするなどの要点を説明いただきました。とくにリハビリを組み込むにあたっては、週に数回限られた時間のリハビリ以外の時間の過ごし方が重要であり、身体は動かさなくても心を動かすことが重要であることが示されました。
 また、運動量を調整することによって入院回数を減らすことができた慢性心不全患者の事例、引きこもりがちな生活から買い物を含め活動範囲を向上することができた認知症の事例の紹介をいただきました。

☆質疑と事後アンケート
 講演後のディスカッションでは、旭川は回復期病棟が多く脳卒中連携パスなどを用いて連携できていること、高次脳機能障害など顕在化するのに時間を要す病態もあるので、在宅を急ぐよりも十分なリハビリをするという考え方も重要であると話し合われました。
 事後アンケートでは、9割以上の参加者が満足し、病院や他の診療科、在宅でのケアの視点やリハビリの実際を知ることができ、ケアに活かせるなどの意見をいただきました。
 
次回は、レクチャーに加え事例検討を予定しています。多くの方の参加をお待ちしています。

旭川医科大学看護職キャリア支援センター センター長 升田由美子 教授 挨拶
旭川医科大学看護職キャリア支援センター 地域看護職支援部門 部門長 井戸川みどり 副看護部長 挨拶
調査報告「在宅の暮らしを支える訪問看護師が大切にしていること」 旭川医科大学看護職キャリア支援センター 地域看護職支援部門 牧野志津 助教
レクチャー「入院関連機能障害の予防にむけて」 旭川医科大学病院 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 大宮 剛 看護師長
レクチャー「在宅でのリハビリテーションの実際」 旭川医科大学病院リハビリテーション部 塚田鉄平 理学療法士
会場の様子1:質疑応答
会場の様子2
会場の様子3

受講後アンケートの結果

ページの先頭に戻る 新着情報