看護学科教員と看護部看護職の看護研究をすすめるための交流会「よりよい看護研究をすすめるための可能性を探る」を開催しました

 今回、看護研究の連携の可能性について焦点を当て、看護学科教員と看護部看護職による交流会をもちました。「よりよい看護研究をすすめるための可能性を探る」を初開催のテーマに、令和5年3月6日に実施されました。交流会の内容は、看護職キャリア支援センター長である服部ユカリ教授のレクチャーと参加者による意見交換が行われました。参加者は看護学科教員5名、看護部看護職7名でした。
 最初に服部教授から「研究どうでしょう?」をテーマに15分間のお話がありました。ご自身が看護研究にかかわってきた修士課程在学時・看護師時代・保健師時代、さらに研究者として大学教員になった時代の経験から看護研究の大変さについて説明されました。大変な状況のなかでも継続的に研究ができた要因として「仲間」や「指導者」というような人間関係の重要性に触れられました。研究のきっかけとして、看護への強い関心や探求心等の内発的動機に加え、外発的動機の必要性を指摘されました。また、病院と大学の連携においては、「看護職は依頼や相談をしてみる」「大学教員は断らない」関係性を意識すること、看護職キャリア支援センターは看護研究に関する相談対応をしているとの紹介がありました。
 次に看護学科教員と看護部看護職による交流会が30分程度行われました。1グループ4名で3グループ構成されました。各グループにファシリテーター1名がつき、司会・書記を決め、研究に関する自由なテーマで意見交換をしました。最後に各グループから出された意見を3分程度で発表し、参加者全員で看護研究に関する考えを共有しました。各グループの要点を以下に示します。
【1G】臨床で看護をしていると研究に通ずる材料はたくさん得られる。だが、材料をどう研究に結びつけていくのかが難しい。そこで、大学教員などの活用が有効と考えた。また、研究仲間を通して役割を明確にして期限までに研究を進めていくような外発的動機づけが有効と考えた。【2G】研究に取りかかる上でのハードルについて話し合った。倫理委員会への申請と研究者教育講習会の受講が大きい。テーマ抽出の困難感もある。また、勤務時間の中で研究にかかわる時間を確保する問題もある。今回、看護職キャリア支援センターに研究相談窓口があることを知ることができて良かった。【3G】「看護研究は大事・楽しい」という仲間を見つけたり、働きかけたりすることが大切である。一方で「研究はしたくない」人もいるので、少しずつ浸透させていくことが必要である。研究のハードルや壁をとるには、日々「患者が良くなる」と思える動機づけや看護のなかに「なぜ?どうして?」をもつことが研究につながると考えた。
 全体発表を受けて、服部教授からは、看護研究は日々の看護の探求が大切なこと、テーマを絞るには時間を費やすため、シニア研究者の活用について提案されました。さらに看護のプロジェクトを利用して研究のきっかけをつくることも有効であると示されました。井戸川副看護部長からは、研究のモチベーションにつなげる環境整備と研究をやっていこうと思える仕組みづくりの必要性について示されました。
 参加者のアンケートでは、「みんなの研究に対しての悩みを聞き、自分だけではないと思った」「研究についての困りごとを他者と共有できた」「共同研究をする上でどんなことを提案できればよいか考えるきっかけになった」「今の計画書を頑張ろうと思った」「どのように今後、臨床から学科へ発信していけば良いか考えることができた」「仲間作りのためのコツを考えることができた」などの記載がありました。
 今回初めての企画でしたが、看護学科教員・看護部看護職共に満足度が高く、看護研究の継続的な交流の必要性が示唆されました。近い将来、様々な研究プロジェクトが連携を通して立ち上がり、研究が看護の発展に貢献できることを願うと同時に、そのような人のエネルギーを感じられるような交流会でした。

司会進行 山根部門長
グループワークの様子①
服部センター長によるミニセミナー
グループワークの様子②
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