教育・指導者の学生への配慮 スキルアップセミナーは、2021年12月13日に「大学生におけるこころの危機と支援~学生相談室から見る学生像と対応~」と題し、北海道大学学生相談総合センター 学生相談室室長の藤岡大輔先生をお招きして開催いたしました。Zoomを併用したハイブリッド形式で行い、全体で59名(Zoom46名、会場13名)の参加がありました。なお、本セミナーは、看護職キャリア支援センター主催、教育センターFD共催で実施しました。
講演のねらいは、「青年期の特徴を概観し、昨今の学生がどのようなことに難しさを感じているのかを捉え、学生対応の視点について学ぶ」です。以下講演の概要をお知らせします。
• 昨今の大学生像は、人とのつながりや承認が心の安定につながっている一方、自分への満足感が低く、人との関わりに苦手意識をもっている。
• コロナ禍で学生相談の件数は増加している。友人関係の構築が難しく不安が高まっており、生活リズムの問題を抱えた学生も多い。
• 悩みや問題が深刻化する前段階の一次予防が重要である。
• 一次予防のポイントは、こころの不調のきっかけを知り、ソーシャルサポートを提供し、ポジティブなコミュニケーションを図ることとともに、関係性が確認できるような日常のコミュニケーションの冗長性、加えて心身の不調につながりやすい環境的な要因の負荷の調整等である。
• 発達障害を持った学生は、社会性、創造力、コミュニケーション、感覚特性などの困難があるため、得意な特性を生かせるような工夫や配慮が不可欠となる。
• 二次予防は、悩みや問題を抱える学生の早期発見と支援である。心身の不調のサインを把握し、必要時には専門家への相談など適切なサポートにつなぐ。さらに、メンタルヘルスや相談に関わる偏見や誤解、懸念などの心理的障壁をとり、相談体制を整えることが必要である。
心理学や発達課題等に関わる学究的な内容をはじめとして、相談からみえる学生像、あるいは学生に対応する際の具体的な例など多岐に渡る事柄を分かりやすくお話しいただきました。講演後の質疑応答では、学生に関わる様々な立場や状況での対応上の悩みや質問等があり、丁寧に回答いただきました。アンケートでは、「肯定で聞く、言うことを心掛けたい」「具体的な対応を伺うことができ参考になった」「ホワイトボードの活用など行っていきたい」等、学生への対応に直結する感想がありました。
今後ますます多様化する学生を迎えるにあたり、こころの支援を含め大学全体の学生支援力を強化する必要性を考える機会になりました。先生には、吹雪の折、旭川までいらしてくださり、対面でご講演をいただきました。心よりお礼申し上げます。