第2回「地域を紡ぐかんかんセミナー」を開催しました

2021年11月19日(金)17:45~19:00開催

 2021年11月19日(金)本院遠隔医療センター研修室にて第2回「地域を紡ぐかんかんセミナー」を開催しました。新型コロナウィルス感染症の影響により非対面が推奨される中、広大な地理的特性を持つ北海道にはICTをツールとした看護が新しいスタイルとして定着することも期待し、オンライン開催としております。
 本セミナーは、その人らしい地域での療養生活を支援できるよう、訪問看護師と大学病院看護師がつながり、学び・語り合うことで互いの看護実践能力の向上に寄与することを目的として企画いたしました。
 2回目となる今回は、第1回の参加者から事例提供を募り、その結果と2019年2月に行った「看護職の連携に関するニーズ調査」を参考に、看取りや終末期の意思決定支援をテーマとしました。参加者は、院外から留萌・空知・オホーツク・上川・根室管内の訪問看護ステーションと保健所、大学の19名、大学病院から12名の合計31名でした。
 まずは、本院腫瘍センター・外来化学療法・緩和ケアナースステーション看護師長、尾崎靖子がん看護専門看護師より「アドバンスケアプランニング 人生の大切な話し合いを始める」をテーマにミニレクチャーをしていただきました。
 一部紹介いたします。
 アドバンスケアプランニング(以下ACP)は、人生の最終段階において、繰り返し話し、共有することが重要で、結論を出すのではなく、迷いながら進み、わかってくれたその人に自分の気持ちを託していく過程です。ACPを行うタイミングは①患者側の身体的な症状が強くなる前②再発や治療選択が無くなった時③医療者としてサプライズクエスチョンを課し予後予測がついた時が考えられます。
 話し合いで大切なことは、本人のしてほしくないことも含めた意向や希望を見出し、それを医療やケアに反映させること、ACPは自発的に行われるものであることから、それを望まないもしくは準備状態にある人には行わないことです。
 最後に「私たち医療者は、誰かの人生の最終段階の意思決定を支える立場であることから自分自身の価値観と向き合っておくことが望ましいですね」と締めくくられていました。
 次に、本院國本紅美子がん専門看護師より事例を説明していただきました。終末期の患者さんとその家族が悩みながらも在宅で最期を迎えたことに対して「患者さん・ご家族が安心して在宅で過ごすために出来ることは何か」の問いを話し合いました。30分という短い時間でしたが、オンラインと思えないほど、どのグループも活発に意見交換が行われていました。
 意見交換後の各グループ発表を以下にまとめました。
「本人や家族医療者が全員で話し合って、退院することができたのはとても良かった」、一方「意思決定に関する介入は、年齢が若く、治療に期待していることもあり難しいが、もう少し早い介入が良かったかもしれない」と介入のタイミングについて多くの意見があり、「訪問看護が早期に介入し、家族に対する在宅療養の情報提供など行っていくと在宅支援の選択が具体的になるのではないかと考えられる。そのためには外来含めた看護師同士の情報共有をオンライン含めて出来ると良い」と解決の糸口になるような意見が出されました。
 受講者の感想として「訪問看護だけでなく、病院看護師も、在宅看取りについて考え、悩んでいることがわかり、入院中から訪問看護が介入し、家で生活をイメージできるよう関わる事もできるのではないか」「訪看さんから『患者さんを家に帰せないと思わないでほしい。訪看は何でもできると思っている』という言葉を聞いて、地域で待っていてくれる看護師がいることを心強く感じた」といった声がありました。
 全体を通して、違う立場の同じ看護職が地域を超えて看護を語り合うことは貴重な機会であり、互いを知る一歩になったのではないかと思います。この看と看のつながりが強くなり、看護実践の中でも活かせるようなセミナーを企画していきたいと思いますので、次回の参加と事例提供を是非お願いいたします。

受講後アンケートの結果

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