「令和5年度 教育人事交流報告会」を開催しました

 2024年3月6日に教育人事交流報告会を開催しました。今回の報告会は、今年度から開始した「訪問看護ステーションとの人事交流」と開始3年目となる「看護学科教員と看護部看護職員の教育人事交流」の2つの交流の報告を行いました。報告会は会場とZoomのハイブリッド形式で行いました。参加者は、会場17名、Zoom22名の計39名でした。
 訪問看護ステーションとの教育人事交流は、訪問看護ステーションにて訪問看護の実際を学び、看護基礎教育における実践的な在宅療養支援を教授できる能力を育成すること、地域での暮らしを見据えた看護を提供できる能力を育成することを目的としています。
 今年度の交流者は、看護学科から森 浩美准教授、看護部から本村あゆみ看護師、平野智江助産師の3名で、いずれも「北海道療育園 訪問看護ステーションけあぷらす」で人事交流を行いました。
 森先生は、①小児を対象とする訪問看護を体験し、その実際を学ぶ、②研修で得た学びを学生に還元することを目的に同行訪問を行いました。対象は5歳から18歳で、入浴やリハビリテーション、遊びなど、訪問看護師や理学療法士の関わりを見学しました。報告では、訪問看護ステーションが担っている地域の広さと対象の身体面、生活環境など様々な状況を受け止め、あくまでも個別性を重視した訪問看護の姿勢を話されていました。
 本村看護師は、医療的ケア児の在宅での療育の実際について理解し、医療的ケア児とその家族を支援するための訪問看護の実際について理解をすることを目的に、同行訪問を行いました。訪問看護では、医療的ケアや療養上の世話だけでなく、家族の一員として大切な時間を過ごす支援がされていること、そのためには、地域の様々なリソースの活用や多職種との連携が重要であるという学びを報告していました。
 平野助産師は、①医療的ケア児を取り巻く現状と、NICU.GCUから在宅に移行する児と家族の現状を知る、②在宅での医療ケアの実際を見学、体験する、③在宅での医療的ケアの現状として、在宅における多職種連携の実際について知ることを目的に同行訪問を行いました。同行訪問の体験から、児と共に家族も支援の対象であり、児の視点と家族の視点から、在宅生活を考えていくこと、それを支援する多職種とのチーム作りの重要性を話されていました。
 報告終了後、交流先の北海道療育園 訪問看護ステーションけあぷらすの茂田明美所長からは、「在宅では、児のケアだけでなく子育てもしている視点を持ってほしいことや小さなことでもいいので日ごろからねぎらいの言葉をかけることが、児や家族の力になる」とアドバイスをいただきました。短期間の交流ではありましたが、在宅療養の実際を体験できたことは、学生への教育の場面や臨床での母子への関わり、退院に向けた地域連携への活動へ多くの示唆を得られたと感じました。
 お忙しい中、人事交流を受け入れ、ご指導いただきました療育園 訪問看護ステーションけあぷらすの茂田所長さまはじめ、職員の皆さまに感謝いたします。
 続いて、看護学科教員と看護部職員との教育人事交流の報告を行いました。
 看護学科教員と看護部職員との教育人事交流は、教員と看護職が相互に看護教育と看護実践の場に立場を置き換えて研修することで、それぞれが教育的に補完しあい、人材の育成を強化することを目的としています。
 今年度の交流者は、看護学科の山田咲恵助教、看護部の藤本美有看護師の2名でした。
 山田先生は、①旭川医科大学の入院患者がどのような連携を経て地域に戻るのか、病棟看護師・継続ケア看護師・外来看護師の看護実践を理解する、②地域医療連携室で行われる看護支援の実際を学び、自らの看護能力や研究、看護教育の質の向上につなげることを目的に、当院地域医療連携室で交流を行いました。実際に、入院から治療・退院支援と退院後の在宅療養について、患者さんの状態や揺れ動く思い、支援する医療者の関わりを見て、患者さんの背景や希望を細やかに確認することが、退院後の生活を安定させること、そのためには、入院中から退院後に関わる医療者との連携をし、患者自身も支援の方向性を認識できることが重要と話されていました。
 藤本看護師は、成人期での看護実習指導の実際を学び、今後の自身の実習指導や部署での指導・関わりに活かすことを目的に、成人看護学実習Ⅰ(第3学年)における企画、運営を包括的に体験するために成人看護学領域で人事交流を行いました。実習3週目からは1名の学生を受け持ち、いつもと違う立場から学生指導を経験しました。臨床実習は、学生にとって患者さんと関わる貴重な場であること、学生の思いや考えを尊重し、学生自身が振り返り、自己の課題を明らかにし取り組めるよう支援することの重要性を報告していました。
 山田先生も藤本看護師も看護教育、臨床での実習指導や人材育成で実践できる学びを得られていました。看護学科教員と看護部職員の教育人事交流は、2022年度に受審した日本看護学教育評価機構からも高い評価を受けています。今後も継続して実施していきますので、ご協力をお願いいたします。
 報告いただいた皆様には、年度末のお忙しい中で報告会への準備と発表をしていただき、感謝申し上げます。合わせて、お忙しい中Zoomでご参加いただきました交流先の療育園 訪問看護ステーションけあぷらすの茂田所長さまはじめスタッフの皆さま、学内参加者の皆さまありがとうございました。次年度は、訪問看護ステーションとの人事交流先の拡大を現在、検討しています。看護学科と看護部との教育人事交流も含め、ご興味を持たれた方は、是非、人事交流へ申請して頂きたいと思います。今後さらに充実し発展できますよう皆さまのご協力をお願い申し上げます。

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