外国人患者対応能力向上に向けた講演会「当院の医療通訳としての実践」を開催しました

 2021年9月6日、「外国人患者対応能力向上に向けた講演会」を開催しました。本学看護職キャリア支援センター教育プログラム開発部門では、多様な文化や価値観を理解し外国人患者に対応できる看護職の育成を目標の1つに挙げています。そこで今回「当院の医療通訳としての実践」と題し、2019年度より当院で医療通訳として活躍されている台湾出身の医療支援課 林羿汎さんにご講演いただきました。

 本講演会は、会場とZoomによるハイブリット形式で行い、会場16名、Zoom76名、総勢92名の多くの職種の方、医学生、看護学生の方にご参加いただきました。

 ご講演では、医療通訳の業務内容、通訳実績、異文化対応、患者対応で意識していること、看護師経験を踏まえ医療通訳として感じること、部署との連携についてお話しいただきました。

 林さんは2019年度以降計250回以上の通訳実績があり、中国、香港、アメリカ国籍などの方への通訳、文書類の翻訳、医療保険制度の仕組みの説明、大使館への連絡をはじめとした調整と多岐にわたる業務を実践されています。

 異文化対応では、自分にとっての当たり前が、すべての人の当たり前ではないこと、柔軟性と適応力が必要であること、その後4つの内容を具体的に伝えていただきました。1)健康意識では、中医学(中国伝統医学)における健康を一例に挙げ、中国では体の陰陽のバランスがとれることを重視していること、2)日本語をある程度理解できる外国人とのコミュニケーションでは、尊敬語、謙譲語ではなく丁寧語を使うこと、「です」「ます」が伝わりやすいこと、主語を省略する表現は避けること、また日本人の空気を読む風習や曖昧な表現を交えた会話や言葉の省略、擬態語の多様は外国人には理解が難しいことを具体的に説明いただきました。3)宗教では、主な宗教タブーの基本的知識を理解しておくと一人一人に寄り添う対応ができること、4)制度、風習では、日本と他国の病院での付き添いルールの違い、カルテ開示の認識の違いなど、事例を交えてお話しいただきました。

 患者対応で意識していることでは、自分の文化を基準に相手を捉えず先入観を捨てること、また文化が良い悪いかの価値判断をせず、違いとして受け入れ尊重する姿勢が重要であることをお話しいただき、自分たちの文化を知ることがまず必要であることを多くの方が感じていました。

 また、看護師経験を踏まえ現在医療通訳として活動している中で感じていることをお話しいただきました。医療通訳と看護師の共通点は、国籍は関係なく一人の患者として対応することに変わりはないこと、患者のニーズに対応するかゆい所に手が届く、安心感を与える存在であることを伝えていただきました。

 最後に、部署との連携では、お互いが率直に意見交換を交わし情報を共有することが非常に重要であり、そのうえで各専門性を発揮し、安心安全な医療環境を整えることが、患者満足度の向上につながることを説明いただきました。

 ご講演後、参加者から「自分の当たり前は人の当たり前ではないことは日本人同士にも通じると思いました」「画一的な接し方ではなく、文化的背景を考慮して一人一人に歩み寄って対応する姿勢が素晴らしい」「これまで国際的な視点からの医療について触れる機会がなかったためとても興味深かった」「普段の講義では焦点を当てられない分野の講演であり、とてもおもしろく聞くことができた」「語学が好きで、将来は外国人対応ができる医療者を目指しており、とても勉強になりました」「今後外国人対応の機会があれば、主語と述語を意識したい」などの多くのご感想が寄せられました。また続編を期待するご意見も多くいただいております。異文化対応、国際化発展への関心が高いことをうかがい知ることができ、大変有意義な時間となりました。

 林さんには、医療通訳を通した異文化対応の自身の考えを丁寧にご講演いただき、心より感謝いたします。

林さんによる「当院の医療通訳としての実践」のご講演の様子
司会進行 看護職キャリア支援センター教育プログラム開発部門 升田由美子部門長
開催挨拶 看護職キャリア支援センター 服部ユカリセンター長
質疑応答の様子
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