実習指導者研修・実践コースは、臨地看護学実習における看護学生の看護実践を指導する能力を高めることを目的に、臨地看護学実習場面での実習指導者のシャドーイングを通して、講義を中心とした基礎コースでの学びをより深めていく研修として企画されています。具体的な研修内容は、実際の基礎看護学実習や成人看護学実習における実習指導者の学生への指導場面を見学し、指導者と学生・教員との関わりや病棟スタッフとの調整などについて学んだ後、他の研修生とともに研修の学びについての意見交換を行うというものです。
令和6年度実習指導者研修・実践コースは、10月29日と30日に基礎看護学実習Ⅱが、12月17日、18日に成人看護学実習Ⅰ・Ⅲがそれぞれ実施されました。実践コースの新しい取り組みとして、旭川医科大学病院からのみとしていた研修生募集を今年度からは基礎コースと同様に旭川医科大学病院以外からも広く募集いたしました。学外研修生の受け入れ初年度となる今年度は、学外からの研修生2名を含む計12名の研修生(基礎看護学実習Ⅱで6名、成人看護学実習Ⅰ・Ⅲで6名)が実践コースでの研修を行いました。
看護学科第2学年を対象とする基礎看護学実習Ⅱでの研修後の意見交換では、研修生から「指導者が、学生一人一人に大変丁寧に対応しているという印象を受けた」や「基礎コースの講義で学んだように、学生が指導者に質問や相談がしやすい雰囲気作りを行っていると感じた」といった基礎コースでの学びを踏まえた意見や「実習中に泣いてしまった学生への対応について、教員と指導者の連携場面がみられた」といった実習指導者の学生への関わりや、担当教員との連携の重要性などについて共有されました。また、「学生は指導者からの助言を責められていると感じてしまうことがある」といった実習指導者の過去の経験談から、「実習指導で学生に助言をする場合の言葉選びの大切さなどについて大変参考になった」との意見が聞かれるなど、研修を担当した指導者の指導経験からも多くの学びを得ていました。
また、第3学年を対象とした成人看護学実習Ⅰ・Ⅲでは、「指導者が学生のモチベーションを維持できるようにポジティブフィードバックを行っていた」「指導者は答えを全部教えるのではなく、各学生の能力や性格などの個別性に合わせて学生が自分で考えながら答えを導き出せるように、適宜ヒントを与えながら指導を行っていると感じた」「学生が実習の中で多くの経験ができるように、指導者は部屋担当看護師や他のスタッフたちとも詳細な情報交換と調整を行っていた」といった実習が円滑に進行できるように指導者が実践している具体的な方法や学生や他のスタッフへの配慮、実習指導者の高い調整能力といった側面についての学びや気づきが多く語られました。また、「学生達がカンファレンスで活き活きと積極的に討論をしていた姿が印象的だった」「一般的にZ世代は打たれ弱いと云われるが、そのような印象は受けなかった」など実習中の学生の姿を見ての率直な感想なども聞かれました。その他「実習指導者が学生全員の実習指導を担当するのではなく、看護援助の時などは、適宜、部屋担当看護師などの協力を得ながら行っているという方法はとても良いと感じた。是非参考にしたい」といった勤務施設との実習指導方式の違いについての意見なども聞かれました。
今年度は学外からの研修生の参加などもあり、研修後の意見交換では研修病棟と自分の勤務している病棟や施設との実習指導の共通する部分や異なる部分についてなどの発言も多く聞かれました。以上から、研修後の意見交換を通して、研修生それぞれが臨地看護学実習での学生への理解と指導能力を高めるための気づきや学びを深める機会となりました。
閉講式では、升田由美子センター長より、実践コース研修生一人一人に修了証が授与され、最後には研修生全員での記念撮影が行われました。
今回の実践コースをもって、今年度の実習指導者研修はすべてのコースが終了となりました。ご参加いただきました研修生、講師のみなさま、実践コースでご指導いただいた旭川医科大学病院の実習指導者および受け入れ病棟の皆さまに深く感謝申し上げます。本研修の成果が今後の皆さまの学生指導に活かされることを期待しております。また、次年度も学外からの実践コースへのご参加を実習指導者研修スタッフ一同お持ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。
実習病棟での研修風景(実習指導者から説明を受ける研修生)
~研修後の意見交換~(研修での学びの共有)
閉講式(修了証授与)
閉講式(記念撮影)