学生と看護職セミナー(二輪草セミナー) 「形にとらわれないキャリアデザイン-医療とアート・自分で築く働き方-」実施報告

 学生と看護職セミナー(二輪草セミナー)では、キャリアや生きがい、自分らしく活き活き働くためのキャリアデザインを考えることを目的とし、さまざまな分野で活躍されている方をお招きしています。今年度は、11月14日、似顔絵セラピー・プロジェクト村岡ケンイチ先生を講師としてお迎えし、新しいアートの世界を作り上げた先生の人生とともに、キャリアデザインとその考え方についてご講演いただきました。
 まずキャリアデザインを考える上で先生が大切にしていることとして以下の3点を提示いただきました。

1. 自己分析:自分の性格や得意な人間関係、仕事
2. やりたい仕事の業界を調べる:どうして成功しているのか仕組みを調べる。他との差別化を考えオリジナリティを明確にする。
3. 時代の流れ:時代に求められているものに仕事は生まれる。

「似顔絵セラピー」は、患者さんの人生に寄り添い、その人生を患者さんとともに作品にする共同作業です。似顔絵とセラピー(心のケア)を掛け合わせることでオリジナリティを明確にし、それを社会で求められている「医療」の場で提供することで現在のスタイルが完成しました。
 先生ご自身のキャリアとしては、4歳で似顔絵を描くことの喜びを感じ、大学生の時、コミュニケーションを通して心のケアができる似顔絵の魅力を見つけました。20代では、似顔絵の新しい可能性を発信し続け限界に挑戦しながら、似顔絵セラピーとして独立しました。30代では、似顔絵セラピーと距離をおく時期がありながらも再開し、同時にホスピタルアートの活動を始め、40代の現在は、ここからが本当の勝負と考え、医療とアートの学校を設立し、今までの経験を形にし、みんなで取り組む活動にシフトしています。これからに関して、50代では、アートを処方できる教育の病院や自治体をつくり、60代では、中堅と若手が活躍できるようにパックアップしながら画家としての時間を大切にし、最後は地元に貢献する未来のキャリアデザインもお話しいただきました。
 また、たくさんの患者さんの似顔絵がつなぐ笑顔のエピソード、話をしてくれない患者さんのキラーワードを引き出すコミュニケーションのコツ、ホスピタルアートやまちづくりの実際、医療とアートの文化等も紹介いただきました。
 講義後のアンケートでは、「芸術と医療の融合は興味深い視点だった」「戦略的なキャリアデザインの講義はとても面白かった」「職員・患者ともにアートで楽しめる環境がつくれたらよいと思った」「患者の話を聞きながら鍵となるものを見つけて似顔絵に取り入れていくところは全人的視点で看護にも通じるものを感じた」などの記載がありました。
 形にとらわれないキャリアデザインとは、固定観念に縛られず自分の得意なことから新しいものを編み出す過程であり、自分のビジョンを実現するには、広い視野で物事を捉え、長期的な視点で先を読み、ぶれない信念とモチベーションを維持し、さらに様々な人々との関係を築くコミュニケーション力が重要であると感じました。
 先生には、日中に似顔絵セラピー、夕方にご講演というタイトなスケジュールにも関わらず、終始素敵な笑顔でお話しいただきました。心より感謝申し上げます。

似顔絵セラピー・プロジェクト 代表 村岡ケンイチ先生
開催挨拶 升田由美子 センター長
閉会挨拶 二輪草センター 山本明美 センター長①
村岡先生の作品
司会進行 山根由起子 部門長
閉会挨拶 二輪草センター 山本明美 センター長②

受講後アンケートの結果

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