「令和4年度 第2回 地域を紡ぐ看看連携セミナー」を開催しました

 2022年9月22日(木)に今年度2回目となる「地域を紡ぐ看看連携セミナー」を当大学病院会場とZOOMによるハイブリッド形式で開催いたしました。
 第2回目は、当部門が令和2年に実施した「訪問看護事業所における看護職の連携に関するニーズ調査」で、困難事例の専門的知識を有する看護師との人事交流ニーズが認知症で最も高かったことから、認知症ケアチームと共催し、「認知症を抱える患者の在宅移行に向けて」をテーマとして学びを深めることとしました。当大学病院外の参加者は、十勝やオホーツク地区、上川・留萌地区の訪問看護事業所、保健所、本学看護学科、計16名で初参加の方が8名でした。当大学病院内では、多数の参加申し込みがありましたが、感染対策として人数制限を行い15名でほとんどが初参加でした。
 ミニレクチャーは、当大学病院、金絵理老人看護専門看護師より「認知症の人がよりよい生活を継続するために~認知症ケアにおけるACP~」と題して講義していただきました。内容としては、認知症があっても自己決定ができるよう、認知症の種類に応じた軌跡を踏まえ、その時期を見逃さず先を見通した早期介入の必要性があげられました。また、認知症があってもさまざまな工夫により意思の表明ができるため、パーソンセンタードケアに則り本人の意思をくみ取り、家族の協力を得ながら丁寧なケアで本人の望みを叶えることが重要であることを教えていただきました。さらに、本人の気持ちを十分に受け止めることで、人生の再認識が図られ意思決定につながること、それを多職種で共有するために記録をツールとして活用することも大事であると助言をいただきました。
 今回は認知症ケアチームが関わった事例であったため、引き続き金専門看護師より説明いただきました。そして、「高度な認知機能障害のため、家族が疲弊し本人の家に帰りたい思いが叶わなかったことについて、いつからどのような調整や連携をするべきだったのか」について、各グループで検討しました。
 検討内容は、介入の時期について、脳梗塞で入院した時期や転院の時期など早期にかつ寄り添い、家族や本人の意向を確認しこれで良かったと思えるサポートが必要だったのではないかという意見が出されました。在宅生活を可能にする方法としては、家族の介護負担の軽減が最も重要でショートステイが合わなければ他の社会資源の導入(訪問看護や小規模多機能など)の検討が必要であり、夜間頻尿の介入も人員の増員や夜間のみの間歇的なカテーテルの留置などトライしても良かったのではないかといった支援の方向性について意見がありました。
 最後に、金専門看護師から、地域からの貴重な意見が聞けたことは有意義であったことと、人生会議を早期介入に位置付け、経験豊富な地域の専門職であるケアマネや看護職等と協力し、本人・家族の思いをあきらめないで叶えていくことが必要であると話がありました。
 初回参加者が多い緊張の中、限られた時間で課題を掘り下げるに至らない面もあったかもしれませんが、さまざまな意見交換は多様な考えを知る機会になり得ることから、これからも看護と看護の交流・実践力向上の場としてセミナーを開催してまいります。
次回は「在宅における高齢者の化学療法について」を予定しております。是非参加をお待ちしております。

受講後アンケートの結果

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