初年次セミナー「看護の世界」実施報告
看護職キャリア支援 職場適応担当 平塚 志保
「看護の世界」は、看護学科1年生の必修科目である初年次セミナーの中で、現場の看護職が学生に向けて実際の仕事ややりがいなどを伝える講義です。及川賢輔教授のコーディネートのもと、看護職キャリア支援センターと二輪草センターの共催事業として4月22日に実施しました。
当院HCU岩間千草さんからは、看護師の業務、役割のほか、学生時代に垣間見た患者さんを複数の看護師が押さえつけていた場面を看護師として振り返り、患者さんの尊厳と治療を両立することの難しさについてお話いただきました。また、業務中に時間を捻出し患者さんの足をさすったところ、「昨日は良く眠れた」と言ってもらえたエピソードから、看護の力で安楽の提供ができることを伝えていただきました。さらに、コロナ禍で患者さんとご家族の懸け橋になるために、リハビリテーションの様子を写真に撮ってご家族にお渡し、それを患者さんのリハビリテーションへの意欲にも繋げている日々の看護実践を紹介いただきました。
当院周産母子センター助産師出村唯さんからは、小さなころから助産師になるのが夢だったこと、旭川医科大学看護学科での助産師専攻、助産師の仕事、および目指す助産師像についてお話いただきました。助産師は、産婦さん、赤ちゃん、産後のお母さん、あるいは妊婦さんにケアします。陣痛の痛みを緩和するために傍でマッサージをしたり、お産が進むように足湯やツボ押しをしたり、リラックスできる環境を整えます。加えて、予定日よりも早く生まれた小さな赤ちゃんや病気をもった赤ちゃんにも関わります。助産師としての実践のほか、今取り組んでいるペリネイタル・ロスに関する研究についても紹介いただきました。
旭川市保健所池田真由美さんからは、主に行政の場で働く保健師についてお話いただきました。保健師の仕事では、地域を丸ごと看護するという視点で、病気の有無に関わらず、地域住民の暮らしといのちを守り、地域全体の健康を向上させることを目指します。病気にならないための予防的な視点が重要になります。保健指導の場面では、同じ健康状態でも置かれている生活環境を知ることで関わりが違ってくること、対象者の力を引き出す関わりが重要となることなど、具体的に説明いただきました。
講義後の学生のレポートでは、「現場で働いている方のお話を聞くことができ、良かった」「自分も患者さんの不安を軽減できる看護師になりたい」「やりがいだけではなく大変な部分も知ることができた」「将来を思い浮かべることができた」「保健師という職業について詳しく知ることができて良かった」「助産師は生命の誕生を支えるだけではなく、流産や死産をしてしまった方へのケアをすることを知った」などの記述がありました。
今年度は対面講義が実現し、教室に活気が戻りました。学生の方には、これからの進路やキャリアを考えていく一助になったと思います。講師の皆様には初年次学生に分かりやすい言葉を用いて、看護職の魅力を伝えて頂きました。お忙しい中本当にありがとうございました。