耳鼻咽喉科豆知識

睡眠時無呼吸症候群 睡眠中の呼吸の以上について

治療方法

1.化学療法

 腫瘍の性質によって、効果的な抗癌剤を選択して投与します。化学療法のみでは治療効果が不十分なことが多く、一般的には放射線療法や手術療法などと組み合わせて行われます。以前は全身投与(静脈からの点滴)が一般的でしたが、最近は超選択的化学動注療法という新しい治療法も行われています。

2.放射線療法

 頭頸部腫瘍では、扁平上皮癌という放射線の効きやすい性質のものが多いため、たいてい化学療法と組み合わせて行われます。早期癌であれば手術をしなくても治る見込みがあるという良い点もありますが、治療期間が月単位と長期になることや放射線性口内炎や皮膚炎などの合併症もあります。

3.手術療法

 癌の治療の基本は手術による完全切除が基本です。頭頸部領域は重要な血管や神経が複雑に入り組んでおり、手術による機能障害を最小限にする工夫と技術が不可欠です。当科では頭頸部腫瘍の手術件数が年間130例以上あり、最新の手技と豊富な経験で手術を行っています。一方で癌の手術によってできた顔面・口腔咽頭(のど)・頸部の大きな欠損や、そしゃく(噛むこと)、嚥下(飲み込むこと)、発声など失った機能を取り戻すための再建手術も盛んに行っています。当科では顕微鏡下で微小血管吻合を行う遊離皮弁再建術が可能であり、これにより患者さんのQOL(生活の質)の低下を最小限にすることができます。

4.その他の治療法

超選択的動注化学療法
 腫瘍は多くの場合、いくつかの血管によって栄養されています。この栄養血管に抗癌剤を直接大量に注入することで治療効果をより高く、副作用をより少なくすることができます。具体的には、大腿動脈という太ももの付け根の血管から腫瘍を栄養している血管まで細く長いカテーテル(管)を入れて、抗癌剤を注入します。たいていの場合、治療効果を高めるために放射線治療が併用されます。

遊離皮弁再建
 頭頸部癌の治療のために切除され失われた形態と機能を、できるだけ元通りにするのを目的として行われる手術です。自分の腕や肩、お腹などの皮膚や筋肉、腸などを切除した部分に移植します。移植した組織は栄養血管をつながないと簡単に壊死(腐ってしまうこと)してしまいます。移植した組織の血管と頸部の血管を顕微鏡下につなぐ微小血管吻合というテクニックを駆使して移植組織を生着させることが可能です。当科では、日本の頭頸部手術のメッカである東京の癌研究会附属病院にて訓練を積んだ医師がこの手術を行うことにより、良好な術後経過を得ています。

甲状腺外科手術
 甲状腺は、前頸部に位置し甲状腺ホルモンを作っている臓器です。甲状腺に発生する腫瘍(甲状腺腫瘍)に対する治療は、外科的手術が第一選択です。以前は甲状腺手術を多く行っているのは外科でしたが、最近では耳鼻咽喉科で行うことが多くなってきています。その理由として、耳鼻咽喉科医が甲状腺を含む頸部の手術に精通していること、甲状腺手術の主な合併症である反回神経麻痺による発声障害に対して適切な診断と治療ができることがあげられます。当科では甲状腺手術症例が非常に多く、経験豊富なスタッフによる確実な診断と治療が可能です。

【図5】
図5

鼻副鼻腔悪性腫瘍手術
 鼻腔および副鼻腔の構造は非常に複雑であり、そこに発生する悪性腫瘍に対する手術治療には豊富な知識と経験が必要になります。当科では鼻副鼻腔悪性腫瘍手術の施設基準の認定を受けており、道北・道東地区の基幹病院として精力的に手術を行っております。