耳鼻咽喉科豆知識

唾液腺唾石症

唾液腺唾石症に対する内視鏡下摘出

唾液腺唾石症は唾液腺管に結石ができ、唾液の流出が妨げられるため摂食時の唾液腺腫脹、疼痛、それに続発する感染をきたす疾患である。唾液腺の中では顎下腺に多く、開口部近くの唾石は口腔底を切開して摘出可能であるが、顎下腺近くの唾石は外切開による顎下腺摘出が行われていた。この方法は根治性が高いものの、手術創が頸部に残ること、まれに顔面神経下顎縁枝の麻痺を生じることから、特に若い女性においては問題となる場合がある。
唾液腺内視鏡手術は唾液腺管開口部から細い内視鏡を挿入し、唾石を確認、内視鏡のチャネルからバスケットカテーテルやレーザープローベを挿入し唾石を摘出、または破砕する術式である。本術式は欧米において広く普及しているが、本邦では2009年に唾液腺内視鏡が薬事許可され、使用が可能となったばかりである。従って本手術は本邦では極めて新しく、施行可能な耳鼻咽喉科施設は日本でも非常に限られている。当科では2010年10月より現在まで20例を超える症例に本術法を施行し、『手術創が見えない』『入院期間が短い』等非常に喜ばれている。

唾石