トップページ 耳鼻咽喉科豆知識 / 頭頸部癌
はじめに
頭頸部とは、脳を除く鎖骨から上の顔面と頸部(くび)全体を指します。当科では耳科手術とともに、この頭頸部領域の外科手術も精力的に行っています。頭頸部腫瘍に対する手術件数は年間130例に及び、鼻副鼻腔悪性手術、上顎骨悪性腫瘍手術等の施設基準の認定を受けています。また甲状腺外科手術例も他院からの紹介が多く、年間50例以上施行しています。
頭頸部領域には味覚、嗅覚、嚥下(えんげ)、呼吸、発声など生命の維持および人間が文化的生活を営むために必要な器官が集中しています。頭頸部に発生した癌の手術を行う際には十分な切除はもちろんのこと、失った機能を取り戻すための再建手術も重要な意味を持っています。当科では顕微鏡下で微小血管吻合を行う遊離皮弁再建術が可能であり、これにより患者さんのQOL(生活の質)の低下を最小限にすることができます。また進行癌に対する超選択的動注化学療法と放射線の同時併用療法は機能を温存できる可能性からも注目されている治療方法ですが、我々の施設も積極的に取り入れており、高い治癒率を示しています。