等を研究・計画しています。
等の研究を計画しています。
肝胆膵・移植チームでは、道北圏内における各医療施設と協力し、肝胆膵疾患の患者さんたちを対象に、インターネットを利用した情報共有システムの導入を検討しています。この実現により、肝炎、肝癌等の治療における地域連携パスの導入、各医療機関間での治療のスタンダード化が可能となります。そして将来的には「一患者一カルテ」を目指します。この地域連携システムを構築し、疾患単位ではなく患者さん単位として、道北圏内の肝胆膵疾患の患者さんに対する集学的治療体系を確立して参りたいと思います。
C型肝炎症例の移植後C型肝炎再発(ほぼ100%)は、肝移植において解決されていない最重要課題の一つです。移植後のC型肝炎治療としてはインターフェロン+リバビリン療法が一般的ですが、その効果(SVR: sustained virological response)も30%前後と低いのが現状です。これまでの研究にて、SVRにはウイルス側因子(genotype、HCV-RNA量、遺伝子変異等)、あるいは宿主側因子が関与することが明らかとなってきました。これらを移植前に検査することにより、移植後のC型肝炎再発を予想し、移植後の抗HCV療法におけるテーラーメード治療を確立する研究を計画しています。
胆道癌は一般的に予後不良であり全国胆道癌登録(1998~2004年)によると1)切除症例であっても5年生存率は26%である。胆道癌の生存期間の延長のためには、食道癌の術前化学療法、胃癌・大腸癌の進行症例に対する術後化学療法による予後の延長に準じて、胆道癌においても手術療法単独だけではなく化学療法や放射線治療などを用いた集学的治療法の発展が必須であると考えられる。
化学療法に関しては現在の胆道癌診療ガイドライン上GemcitabineもしくはTS-1の単剤使用が進められており、近年Gemcitabine単剤と比較してGemcitabine+Cisplatineの有用性も示されている。切除不能進行胆道癌症例に対し化学療法実施前に使用可能な薬剤の治療効果予測を知ることができれば、治療効果の高いと考えられる化学療法を実施し、治療効果を認めることで手術・放射線療法などの治療の選択肢が増加し、その結果予後の延長につながると予想される。(2000年1月~2012年3月に当院で行われた手術症例もしくは内視鏡下に採取した検体を用いて実施予定)
HMGB1(High Mobility Group Box protein 1)は感染や臓器損傷などによりTNFαやIL-1βなどの炎症性サイトカインを介して単球やマクロファージから放出されると、局所における自然免疫、止血、修復などを誘導する働きをすると言われている。近年の研究では、過剰に分泌されたHMGB1がMAPキナーゼを介して単球やマクロファージから再びTNFαやIL-1βなどの遊離を惹起し増幅・拡散を繰り返すことでSIRSを引き起こしDIC、MOFへ進行する原因になると考えられている。
手術の侵襲によって血清HMGB1値が上昇することはこれまでにも報告されているが、周術期における動態や上昇の機序はまだ明らかとされていない。また、DIC治療においては抗HMGB1作用を有するトロンボモジュリンの投与が予後を改善すると言われており、臨床でも良好な成績を得ているが、手術侵襲に対する抗HMGB1療法の効果に関しては明らかとされていない。そこで、我々は血清HMGB1の周術期の動態について明らかとすることを目的とした研究を行っている。抗HMGB1療法により術後の合併症を軽減することが可能となれば、入院期間の短縮が可能となり医療費の削減にもつながると考えられる。
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