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人工内耳Q & A
人工内耳について今まで患者さんから受けたいくつかの質問と答えについてまとめてみました 。
- Q1.先天性の難聴児でも手術の適応になりますか?
難聴の原因が内耳にあり、聴神経から上位の中枢に異常がない場合は手術の適応となります。ただし、一般的に後天性の難聴者に比べ、言葉の聞き取りのリハビリテーションに時間を要しますので、ご両親や聾学校の協力が大変重要です。
- Q2.全身疾患がある場合、手術は可能ですか?
もちろん病気の程度によります。しかし、人工内耳の手術はそれほど大きな手術ではありませんので大抵の病気では手術可能です。我々は、心筋梗塞の人や、重症腎不全で透析中の人に対し、本人の希望で手術を行ったこともあります。
- Q3.入院期間はどれくらいですか?また手術の費用はどのくらいかかりますか?
入院期間は約1〜1.5か月です。費用については1994年、都道府県で認可された病院では人工内耳に対し保険が適用されることとなり、また人工内耳使用者は現時点では身体障害認定の2級以上の場合が多いので、厚生医療の適用となり、基本的には手術や入院にかかる費用は無料です。勿論、旭川医大は道で認可された病院で、これに当てはまります。
- Q4.手術による副作用は?
一般的には、耳の回りがしびれたり、皮膚が硬くなる、あるいは顔面神経が傷ついた場合、顔がひきつったりしびれたりピクつく等の可能性があると云われています。また、一時的なものですが、味の感覚が変わったり、めまい、耳鳴りが起こるようになることもあります。元々ふらつきのある方は、手術の後しばらくの間ふらつきがひどくなることがあります。しかし、今まで我々が行った患者さんでは、このような副作用をもった方はおりません。
- Q5.人工内耳の寿命は?
体内に埋め込まれるインプラントは、機器を作動させるための電源供給をスピーチプロセッサから行ないますので、故障がないかぎり埋め換えの必要はありません。インプラントは、半永久的に使用できるように設計されています。
- Q6.異物が体内に入っていることの悪影響は?
人工内耳の手術が始められて現在まで20年が経過していますが、異物の悪影響はほとんど報告されておりません。
- Q7.医療機器等による電極部への影響は?
電極部が電磁波や磁気などの影響を受けることがあります。モノポーラ電気メス、高、低周波数治療器、電気刺激(ハリ)治療器、MRI検査はなるべく避けるか、特別の注意を払う必要がありますので、診療を受ける際には必ず「人工内耳装用者カード」を提示して下さい。しかし、現在の人工内耳は簡単な手術で磁石を一時的に取り出すことが可能となり、上記の機器も使用できるようになりました。
- Q8.その他の電磁気による影響は?
基本的には強い高周波数の電磁波に近づくのは避けたほうが賢明です。普通のレントゲンやCT等は問題ありません。歯医者での虫歯の治療、健康診断などでの心電図やエコーなども大丈夫です。
「ピップ・エレキバン」はインプラントに影響を及ぼすことはありませんが、家庭用の低周波あんま器は電流が体内を流れるので、念のために使わないほうがよいでしょう。携帯電話は雑音が入る可能性がありますので、極力近づくのを避けた方がよいでしょう。また、空港の金属探知器を通る際はインプラント自体が反応しますので、必ず「人工内耳装用者カード」を提示して下さい。また、雑音が入る可能性がありますので、金属探知器を通る際はスイッチを切って下さい。
なお、電子レンジ、アイロン、掃除機、ヘアドライアーその他の日常の電化製品は、普通に使用していれば影響ありません。
- Q9.人工内耳について詳しく書いた本は?
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『よみがえった音の世界 -人工内耳を使用して-』
人工内耳友の会「ACITA」編 学苑社 1,600円『人工内耳のはなし』
ジューン・エプスタイン著 学苑社 1,500円『回復する聾 -人工内耳で聴覚は蘇る-』
舩坂宗太郎著 人間と歴史社 3,800円
