キーワードから探す

文字サイズ
背景色

海外医療支援活動(口唇口蓋裂診療)(ベトナム)医学部医学科3年 瀧澤理生

海外医療支援活動(口唇口蓋裂診療)(ベトナム)医学部医学科3年 瀧澤理生

海外医療支援活動(口唇口蓋裂診療)(ベトナム)医学部医学科3年 瀧澤理生

海外医療支援活動(口唇口蓋裂診療)(ベトナム)

医学部医学科3年 瀧澤理生

〇はじめに
2025年3月22日から2025年3月30日にかけて、日本口唇口蓋裂協会がベトナム社会主義共和国ベンチェ省のグエン・ディン・チュー病院にて行う口唇口蓋裂の無償手術に診療隊の一員として同行しました。日本口唇口蓋裂協会は経済的理由で手術を受けられない子ども達への無償手術を約30年にわたり行っています。この活動には日本全国の大学から参加があり、旭川医科大学からは歯科口腔外科医2名、麻酔科医1名、看護師1名、学生1名の5名が参加しました。

〇日程
3月22日 移動
3月23日 初診    
3月24日 
  ~    手術
3月27日
3月28日 手術、障害児施設の見学、ベトナムの方々からの謝恩会
3月29日 診察、ホーチミン観光
3月30日 移動

〇費用
参加費は35万円で、旭川医科大学基金から10万円の支援をいただきました。

〇活動内容
手術日は、7:00~18:00まで1日9件の手術を3部屋で行い、20:00から夜の回診を行いました。学生として、小児科、麻酔科、歯科口腔外科の先生による指導の下、診察、術前・術後管理、麻酔導入、手術の助手などを行いました。子どもから大人まで約40人の口唇口蓋裂手術を行い、小児科、麻酔科、歯科口腔外科の先生や看護師さんから一対一で丁寧に教えていただきました。これまでは座学でしか学んでこなかった医学を、3年生という早い時期から実践的な医療現場で学ぶ貴重な機会になりました。また、言語の違いでコミュニケーションができない患者さんに対し医療を提供する難しさを感じるとともに、日本と比べて医療資源が不足した手術室で、診療隊が安全な医療を提供するために尽力する姿を間近で見て、海外で医療を届けることの大変さや、やりがいを知ることが出来ました。

ホーチミン観光では、ベトナム戦争証跡博物館に訪れました。ベトナム戦争で撒かれた枯葉剤は、奇形の子どもが生まれるなどの大きな影響を人体に与えました。口唇口蓋裂もそのうちの一つです。ベトナムの国民性を理解するためには、背景にある歴史的側面を知る必要があると感じました。

〇感想
私は、日本と異なる医療環境で医療を届けるということは、どのような弊害や困難があり、どのようなやりがいを感じることができるか知りたいと思い、海外医療支援活動に参加しました。ベトナム人は英語が話せない人が多く、通訳さんの力が必須でした。通訳さんがいないときはコミュニケーションができず、翻訳アプリを使っても文字が読める人と読めない人がいるため、意思疎通の大変さを実感しました。また、ベトナム人は肌が固い人が多くルート確保が難しい、麻酔が効きやすいなどの日本人との体質の違いがあることを知りました。日本には当り前にある医療資材もベトナムにはないことがあるので、限られた資材で慎重に医療を提供する必要がありました。このような困難を乗り越える医師の姿を近くで見て、多くを学ぶことができました。「たとえ、十分に整えられた環境で医療を届けることが出来ないとしても、医師が患者さんを救うということに変わりはない。」と話してくれた先生の言葉が印象に残っています。ご家族が子どもを心配に思い、気にかけている様子や、患者さん自身から手術後に「ありがとう」という言葉を何度もいただいた場面が非常に感動的でした。この活動を経験して、将来的に私は日本の医療をアジア地域に届けたいと思いました。

〇謝辞
今回、海外医療支援活動への参加にあたり、多くの方にサポートしていただきました。現地では旭川医科大学の先生方、リカバリールームの先生方がたくさんのことを教えていただき、支えてくださいました。皆様に心から感謝いたします。

▲診療隊と患者さん、ご家族
▲診療隊と患者さん、ご家族