研究実績・成果
研究実績・成果
研究成果の公表 内科学講座血液内科学分野 高橋 秀一郎 講師
XCR1陽性およびCD11b陽性樹状細胞を標的とした治療は、Th1/Th17細胞による腸管移植片対宿主病を抑制する
研究の概要
同種造血幹細胞移植は難治性の血液がんに対する根治的治療として広く行われていますが、移植合併症である移植片対宿主病 (Graft-versus-Host disease; GVHD) はときに致死的となり、移植成績に大きな影響をもたらす合併症です。その中でも、腸管におけるGVHDは移植関連死亡の主な要因となるため、その病態解明と治療法の開発が求められています。GVHDは健常ドナーから移植した細胞が血液がん患 (レシピエント) の細胞を異物とみなし、腸管、皮膚、肝臓などの臓器を攻撃することで生じる臓器障害です。樹状細胞 (DC) はGVHDにおける免疫反応の中心的役割を担っていますが、DCには様々なタイプが存在しています。これまでの研究によりレシピエント由来のDCが急性GVHDの発症に大きな役割を担っていることが分かってきましたが、ドナー細胞由来のDCの役割は不明な点が多く残されていました。
本研究ではGVHDのマウスモデルを用いて、ドナー由来の従来型DC (cDC) と形質細胞様樹状細胞 (pDC) の役割について検討しました。ドナー由来XCR1+DCは、腸管GVHDにおいて1型ヘルパーT細胞 (Th1) の分化とTh1細胞の腸管への遊走を司るα4β7インテグリンの発現を誘導する役割があることがわかりました。また、ドナー由来CD11b+DCは17型ヘルパーT細胞 (Th17) の分化を誘導することが明らかになりました。一方で、ドナー由来pDC の急性GVHDにおける役割は限定的でした。 以上の結果から、ドナー由来cDCを標的とした治療は新たな腸管GVHD予防の治療戦略として有望なものと考えられ、本研究は、今後の新規治療薬開発の根拠となる重要な基礎データになるものと考えられます。
論文発表の概要
本研究の成果は、アメリカ血液学会2024にて口頭発表として発表され、2026年4月にBlood誌に論文が掲載されました(Takahashi S, et al. Blood, 2026.)。
髙橋講師は、共同筆頭著者として、本研究に関する実験の実施、データの解析および論文執筆に携わっています。
【研究に関するお問合せ】
旭川医科大学 内科学講座(血液内科学分野) 講師 高橋 秀一郎
電話番号 0166-68-2418 / E-mail stakahashi★asahikawa-med.ac.jp(★を@に変えてください)