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2026年07月15日
プレスリリース

腫瘍の遺伝子変異を画像データからAIで予測 ―専門医等との比較により、AIによるIDH変異予測精度を検証―(脳神経外科学講座・木下学教授)

 国立研究開発法人国立がん研究センター(所在地:東京都中央区、理事長:間野博行)は、理化学研究所(所在地:埼玉県和光市、理事長:五神真)、東海大学(所在地:神奈川県伊勢原市、学長:木村英樹)および全国の複数の医療機関と共同で、脳腫瘍の治療において重要な指標となる遺伝子変異(IDH注1変異)の有無を、生検などの侵襲的な検査で判定する従来法ではなく、より非侵襲的な方法で行えるかを検討するため、MRI画像での人工知能(AI)による診断予測の有用性を、脳腫瘍の診療を専門とする医師等による予測と比較し評価しました。神経膠腫注2は代表的な脳腫瘍の一つであり、その治療方針や予後は、腫瘍の遺伝子変異の特徴によって大きく異なります。なかでもIDH変異の有無は、神経膠腫の分類、予後予測、治療反応性の評価において重要な指標です。本研究では、MRI画像からIDH変異の有無を予測するAIによる画像診断支援モデルを、海外(日本人以外)患者と日本人患者の脳腫瘍画像を用いて、従来の画像認識技術と最新技術の2種類で開発し、脳腫瘍の診療を行う専門医等18名による診断と比較し、予測性能を評価しました。

 その結果、海外患者の脳腫瘍画像データセットを用いた検証において、AIモデルは高い予測精度を示しました。一方、日本人のデータを用いた検証ではAIの予測性能の低下が認められ、予測結果の信頼性には課題があることも明らかになりました。特に、一部の経験豊富な医師は、AIに匹敵する予測精度を示していました。これらの結果により、神経膠腫でのIDH変異の有無をAIを用いて予測し医師を支援できる可能性と、一方では医師の専門性や患者背景の違いによりAIの性能が低下することが確認され、AIの実臨床への導入にあたっては十分に検証する必要性が示されました。

 本研究は、国立がん研究センター研究所 医療AI研究開発分野の高橋慧外来研究員(理化学研究所革新知能統合研究センター上級研究員)、浜本隆二分野長(理化学研究所革新知能統合研究センターチームディレクター)、国立がん研究センター中央病院 脳脊髄腫瘍科の成田善孝科長、髙橋雅道医長(現・東海大学医学部脳神経外科 教授)、旭川医科大学 脳神経外科学 教授 木下学らを中心に、全国の医療機関との研究コンソーシアムを構築して実施されました。

 本研究成果は、国際学術誌「npj Digital Medicine」オンライン版に7月10日付で掲載されました。 

 詳細は、以下のプレスリリースをご覧ください。