キーワードから探す

文字サイズ
背景色

研究実績・成果

研究実績・成果

2021年03月31日
研究成果

研究成果の公表 医工連携総研講座 木ノ内特任准教授

このたび、本学医工連携総研講座の木ノ内玲子特任准教授の論文がNature Research社の科学雑誌 Scientific Reports に掲載されました。(https://rdcu.be/cg0HI) つきましては、本件について広く周知いたしたく報道方よろしくお願いいたします。

留萌の疫学研究から網膜血管イベントのリスクファクターを同定

背景

網膜血管は眼底写真で見ることができ、身体の血管の中で観察が容易な部位です。また、網膜血管イベントは脳卒中や心血管イベントの予測因子となると報告されています。網膜血管イベントの危険因子を知りそれを避ける事で、身体の血管イベントの発症を抑えられる可能性があります。 
留萌で実施した疫学研究(集団ベース横断研究)で、網膜血管イベントの危険因子を検討しました。

研究手法と成果

北海道留萌市の40歳以上の約1,700人の方(40歳以上の市民の11%)に眼底写真検診を受けてもらいました。運動や喫煙、飲酒、魚や肉を食べる頻度などを伺い、身長・体重、血圧などを測定しました。網膜血管イベントを網膜出血、血管閉塞、網膜白斑(血管からの滲み出しや血管閉塞からの変化)と定義し、これらが見られた方(男性で3.7%、女性で3.2%)と見られなかった方で、年齢、生活習慣、健康測定値などを統計学的に比べました。その結果、糖尿病は男性でも女性でも網膜血管イベントの危険因子でした。男性ではより高い収縮期血圧と肉摂取頻度の少なさ、女性では高血圧症と関連が見られました。つまり、男性では高血圧症罹患の有無よりその時の血圧、女性ではその時の血圧より高血圧症罹患の有無が網膜血管イベントのリスクとして示されました。 
この研究は留萌市、同市民、NPO法人るもいコホートピアの協力のもと実施し得られた貴重な成果と考えております。

研究成果の意義

今回の研究から、まずは糖尿病や高血圧症にならないこと、そして、なったとしても血圧を良い状態に保つことが網膜の血管を健康に保つのに重要とわかりました。また、女性ではより早期に高血圧症を発見するのが大事かもしれません。男性の食生活に関しては、週に肉を食べる日数が、血管イベントありの方は平均1.9日、血管イベント無しの方は2.5日でした。栄養不足が血管に悪影響を及ぼす可能性もあり、バランスの良い食生活を心がけるのは大事と考えられます。眼底の血管を健康に保つことは、身体の血管を健康に保つことにつながりますので、今回の成果は身体の健康にも貢献するものと考えています。

お問合せ

本研究に関するお問合せ

旭川医科大学医工連携総研講座
特任准教授 木ノ内 玲子(きのうち れいこ)

  • TEL:0166-68-2543(眼科学講座)

本プレスリリースに関するお問合せ

旭川医科大学総務部総務課広報基金係

  • TEL:0166-68-2118