旭川医科大学病院

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時間

平日 午前8:30~12:00

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電話
番号

0166-65-2111(代表)

時間外受付・救急受付は0166-66-9901

リハビリテーション部

施設について

1976年11月病院開設時に設置された理学療法室は、2011年6月のリハビリテーション科開設に伴い、2012年4月にPT、OT、STがそろったリハビリテーション部となりました。

リハビリテーション医療はすべての疾患を対象とする医療であり、運動器の障害、呼吸循環器の障害、高次脳機能障害、摂食・嚥下機能障害などを有する患者さんのQOLを高めることを目標としています。したがって、様々な診療科・病棟・部署と協力し合い、カンファレンスなどで日々情報交換を行いながら、チームとして入院患者の急性期リハビリテーションから外来患者の生活期リハビリテーションにいたるまでの診療を行っています。また、緩和ケアにおけるリハビリテーション、がんのリハビリテーション、発達障害のリハビリテーションにも取り組んでいます。

大学病院の役割として、教育にも力を注いでおり北海道内・外から積極的にPT、OT、STの実習生を受け入れ、人材育成にも取り組んでいます。また、旭川がんのリハビリテーション研修会実行委員会の事務局として、北海道におけるがんのリハビリテーションの普及にも努めています。

研究活動も積極的に行っており、研究チームを組み、主にがん・フレイル・心臓疾患関連、高次脳機能障害、嚥下障害、スポーツ関連のリハビリテーションやボツリヌス療法について研究を進めています。リサーチミーティング、文献抄読を定期的に行い、研究成果の検討を行うことで、国内外への成果の発信を目標に研鑽を積んでいます。

スタッフ紹介

部長

大田 哲生オオタ テツオ

副部長

呂 隆徳ロ タカノリ

主な業務内容の紹介

はじめに

当院のリハビリテーションは、病気や外傷の発症や受傷の直後から、それらの治療と並行して行われます。その目的は廃用症候群(筋力低下や持久力低下など)を予防するためだけではなく、全身状態の改善により歩行能力や生活動作能力を高め、活動性を向上させることで、結果として生命予後や生活の質(QOL)を改善させることにあります。早期にリハビリテーションを開始することで、安静臥床により生じやすい様々な合併症を防ぐことは非常に重要です。

当院は大学病院である特性上、脳血管疾患、神経・筋疾患、骨関節疾患、呼吸器・循環器疾患など様々な疾患を呈した患者さんに対してリハビリテーションを提供させていただいています。リハビリテーション部には理学療法士26名、作業療法士9名、言語聴覚士5名の総勢40名のセラピストが所属しており、臨床・教育・研究の観点からそれぞれ神経疾患チーム、運動器疾患チーム、内部障害チーム(心大血管、がん、小児)に分かれています。

リハビリテーション部.png

理学療法

【神経疾患チーム】

神経疾患チームは主に脳卒中や脳腫瘍の患者さんを担当しています。発症後もしくは手術後早期からリハビリテーションを行い、身体機能の維持や改善、日常生活や仕事などへの社会復帰を目指します。抗がん剤治療や放射線治療中の脳腫瘍の患者さんには身体機能の維持だけではなく倦怠感や精神心理面にも気を配りながら関わります。また、質の高い医療を提供できるよう定期的に部内や病棟でのカンファレンスを行い医師、看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、義肢装具士、作業療法士、言語聴覚士との情報交換に努めています。

患者さんの希望に寄り添い、より良い生活が送れるようリハビリテーションを提供しています。

歩行器を用いた歩行練習
歩行器を用いた歩行練習
長下肢装具を用いた歩行練習
長下肢装具を用いた歩行練習

【運動器疾患チーム】

運動器とは、身体を支えることや動かすことに関わる骨、筋肉、関節、神経などの組織の総称です。

運動器の機能を低下させるものとして、転倒による骨折、加齢に伴う筋肉の減少(サルコペニア)、軟骨がすり減った結果生じる変形性関節症、スポーツによる大きな負荷で起こるスポーツ障害などがあります。さらに、外科的治療(手術)による組織へのダメージや痛み、腫れ、炎症なども運動器の機能低下の要因となります。

運動器リハビリテーションは、運動療法や物理療法、装具療法などを用いて弱くなった筋力や制限された関節の動きを改善させ、日常生活動作や障害された能力を回復させることを目的としています。運動器疾患チームでは、主に整形外科疾患で入院された方を中心にリハビリテーションを行っています。

手術を受ける方には、手術前に身体機能評価や治療内容・治療目標の説明を行い、それらの共有を図ります。術後は医師と連携し可能な限り早期から離床・機能練習を行い、術後合併症の予防と日常生活動作の再獲得を目指します。

さらに、身体機能や治療経過に合わせて個別に治療プログラムを作成し、自主トレーニングの指導も行います。職場復帰やスポーツ競技復帰など高度な能力の獲得を目指す場合には、リハビリテーション科医師と連携して退院後も外来で治療を継続します。

運動器疾患チームでは、病院内での勉強会・症例検討や学術集会への参加を通して知識・技術を向上させ、最適な治療を行うように心がけています。また、パラスポーツ活動への参加を通して、障害のある人の社会参加の推進やパラスポーツの普及に努めています。

3次元解析装置を用いた動作分析
3次元解析装置を用いた動作分析
ゴムバンドを用いた筋力トレーニング
ゴムバンドを用いた筋力トレーニング

【内部障害チーム(がん,小児,心大血管)】

がんリハビリテーション

がん患者さんでは、がん自体による体力低下や機能障害のみならず、手術・化学療法・放射線療法などのがんに対する治療による合併症も生じます。それに伴い、疼痛、疲労、筋力低下、持久力低下や移動・セルフケアなどの「日常生活動作(Activities of Daily Living: ADL)」障害などのがんの種類によらない一般的な問題が生じます。また、軟部組織や骨切除術後など組織の欠損による特別な問題も生じます。このような問題に対して、二次的な障害を予防し、運動機能の低下やADL障害の予防・改善、QOL向上を目的としてリハビリテーションを行います。

当院では、がんのリハビリテーション研修会、がん関連のスキルアップ研修、市民公開講座を行い、がんリハビリテーションの普及に努めています。

小児リハビリテーション

NICU(新生児集中治療室)の新生児、先天性疾患から術後の児まで多種多様な疾患に幅広く対応しています。理学療法で発育、発達を促し、他職種と連携を図りながら対応しています。退院後の生活に関して、家族指導や保育・教育機関への連携・指導を積極的に行っています。

心大血管リハビリテーション

心臓外科、循環器内科と連携し、適切な心臓リハビリテーションを継続することで、体力増進だけでなく病態改善から生活の質向上までを目指します。当院では入院中のみならず、退院後も外来で一貫して心臓リハビリテーションを提供し、他職種と連携することで患者教育を充実させ、QOLの向上に努めています。

また,血管外科とも連携し,高度な血管治療後に創の状態に応じたリハビリテーションを実施しています.ADLを維持するためにリハビリテーション科や義肢装具士と協力し歩行時の足圧測定の結果を参考にしながら,ADLを維持するために適切な装具も製作しています.

作業療法

「作業療法」とは、日常生活に支障をきたしている人を対象として、人と社会のつながりをつくるリハビリテーションです。人の日常生活に関わるすべての活動を「作業」と呼びます。同じ病気でも症状や障害の程度は人によって異なります。当院は日本最北の大学病院かつ三次救急がゆえに、その対象は広範囲です。一人一人の生活背景や要望をくみ取り、各人に寄り添いながら豊富な知識と経験によって、さまざまな「作業」の改善を図ります。また、「こころ」のリハビリテーションも提供しています。高次脳機能障害など目に見えない障害によって日常生活に支障をきたしている方も対象となります。一人一人の役割や趣味などの再獲得に向けた作業療法を実践します。

地域リハビリテーション

理学療法士、言語聴覚士とともに、旭川市の地域リハビリテーション活動支援事業(住民主体の通いの場への支援や個人宅への個別訪問支援など)にも参加しています。

日常生活動作練習(患者さんの特徴に合わせた動作練習をおこなっています)
日常生活動作練習(患者さんの特徴に合わせた動作練習をおこなっています)

言語聴覚療法

言語聴覚療法とは、言語・音声機能などのコミュニケーションに障害のある方に対して、それらの機能の獲得・維持・向上を図るために行う、リハビリテーション手法の一つです。また、飲み込めない・食べづらい・むせるといった摂食・嚥下機能の障害に対するリハビリテーションも含まれます。

言語聴覚療法は、言語聴覚士が訓練を行います。言語聴覚士は言葉によるコミュニケ―ションに問題のある方に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築できるように支援する専門職です。また、摂食・嚥下の問題にも専門的に対応します。

主な対象は以下のものになります。

1)失語症:脳の言語中枢の損傷により、言葉を聞いて理解することや文字を読んで理解することが困難になり、さらに話したり文字を書いたりして意思を伝達することも難しくなります。
2)運動障害性構音障害:話すのに必要な舌や唇などが麻痺して、呂律が回らなくなり発音が不明瞭になります。
3)嚥下障害:食べ物や水分が口からこぼれる、水分でむせる、食べ物が気管に入ってしまう(誤嚥)など食べる・飲むことが困難になります。

言語聴覚療法ではこれらの症状に対し詳細な検査や評価を行い、改善に向けた練習を実施します。また、嚥下障害に対し、レントゲン室でX線を用いた飲み込みの検査(嚥下造影検査)を行っています。

嚥下造影検査
嚥下造影検査
失語症の検査をしている場面
失語症の検査をしている場面

令和3年度の統計データ

業績紹介

大学・専門学校学生の評価実習・臨床実習受け入れについて