眼科
診療科について
眼科学講座は、旭川医科大学開学後に就任された初代保坂明郎教授によって講座の基礎が築かれ、平成30年〜令和2年には3代目柳靖雄教授が就任。
当教室は網膜硝子体疾患である糖尿病網膜症、黄斑疾患をはじめとして、角膜、緑内障、斜視・弱視、ぶどう膜炎、未熟児、ロービジョン、画像診断と様々な専門外来を有しており、幅広い分野にて各疾患の診断・治療・臨床的研究に力を注いでいる。近年眼科領域で発達の著しい画像診断部門では、最新の機器を複数台有し質の高い診断が可能となっている。
このような体制のもと、初期研修および後期研修において、幅広い臨床経験と各分野での高度で専門的な知識と技術の習得を目標とし、幅広い分野で優れた力量を有する総合力のある眼科医育成を目指している。
当教室で経験を積んだ医師を、道内各地の様々な関連施設へ常勤医として派遣し、高度な知識に基づいた医療を行い、地域の住民より高い評価を受けている。また、関連施設同士あるいは大学病院との密な連携をとりつつ診療を推し進めている。
スタッフ紹介
准教授
宋 勇錫ソン ヨンソ
学内講師・医局長
宇都宮 嗣了ウツノミヤ ツギアキ
講師・外来医長
西川 典子ニシカワ ノリコ
助教・病棟医長
高橋 賢伍タカハシ ケンゴ
外来診療担当医表
当診療科の「外来診療担当医表 」は下記リンクよりご確認ください。
主な診察内容の紹介
診療内容紹介
眼科では1週間を通して初診を受け付けていますが、基本的には月・水・金を中心に初診患者を診察し、火・木には緑内障および緑内障初診を診察しております。また、各専門外来以外の疾患については、再来で一般再来診察を行っています。各専門外来は予約制となっており、当院初診後に振り分けられます。
糖尿病外来(眼科)
旭川医大眼科では、糖尿病に対する定期的な眼底検査と治療を行うために糖尿病外来を開設しています。糖尿病網膜症は中途失明(成人の失明)の主因となっていることは、よく知られていることでありますが、かなり重症になるまで視力低下などの自覚症状はありません。全世界の糖尿病患者さんのうち、何らかの糖尿病網膜症をもつ患者さんは約3人に1人とされており、初診時に糖尿病網膜症をもたない患者さんでも年間に4%は糖尿病網膜症を発症するとされています。糖尿病による失明予防のためには血糖コントロールが基本であることは言うまでもありませんが、定期的な眼底検査も必要不可欠です。
治療に関しては、従来から行われている進行した糖尿病網膜症に対する光凝固治療や硝子体手術のみならず、ステロイドや抗VEGF抗体などの薬物を硝子体注射(眼内に注射)するなどの治療法を外来で当日に行うことが可能です。個々の症例に合わせて、最良の治療法を提案させて頂きますので、不明な点がございましたら、ご遠慮なくお申し付けください。
当院の外来は、予約の具合によっては大変込み合うこともあり、予約外で緊急な治療を要する患者さんも多数来院されます。このため予約時間通りにならないこともあり、来院された皆さんに大変ご迷惑をおかけすることもあります。よりよい外来を構築するために精進する所存でありますので、皆様方のご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
黄斑外来
黄斑とは、網膜の中心に位置し、眼の中に入った光が焦点を結ぶ場所を黄斑といい、文字や色を識別するために重要な細胞が集まっている場所です。良好な視機能を保つ上で最も大切な場所と言えます。
黄斑部の病名として、
- 加齢黄斑変性
- 強度近視、網膜色素線条症や中心性滲出性網脈絡症に伴う血管新生黄斑症
- 黄斑円孔
- 黄斑前膜
- 中心性漿液性脈絡網膜症
などの黄斑部に異常をきたす疾患があります。
黄斑疾患の症状として、
- 物がかすんで見える
- 物がゆがんで見える
- 視力が低下した
- 中心部が見づらい
- 物が小さく見える又は大きく見える
このような症状を自覚した場合は眼科で検査を受けることをお薦めします。
当院検査には、
黄斑部疾患に対し診察、治療する上で大変有用となる多くの最新眼科機器を取り揃えています。
視力検査や眼底検査などの一般検査を行った後、必要に応じて以下の検査を行います。
蛍光眼底造影検査(HRA):2種類の造影剤(フルオレセイン及びインドシアニングリーン)の同時撮影が可能
光干渉断層計(OCT):網膜の断層像を詳細に得ることが可能。現在4種類のOCTが稼働中。
光干渉断層血管撮影(OCT-A):網膜・脈絡膜の血管を詳細に得ることが加納。現在3種類のOCT-Aが稼働中。
走査レーザー検眼鏡(F10):通常の眼底検査では捉える事が出来ない小さな病変部位も観察可能
マイクロペリメータ(MP-1):眼底を観察しながら視野検査が可能
多局所網膜電図:網膜の局所的な機能の評価が可能
治療として、
それぞれの検査結果から総合的に診断をした後、硝子体手術、レーザー治療、薬物療法による適切な治療を行います。特に、近年増加傾向にある加齢黄斑変性に対しては、以前から行われているレーザー治療に加えて、平成16年からは光線力学的療法(PDT)、平成20年からは薬物(抗VEGF抗体)の硝子体内注入も行えるようになり、最新の治療を行っています。血管新生黄斑変性に対しても十分なインフォームドコンセントを行った後、抗VEGF抗体の硝子体内注入を行っています。
未熟児網膜症外来
当科では、月曜の午前中に、旭川医大の新生児集中治療室(NICU)の病棟に出張し、未熟児網膜症の疑いのある新生児に細隙灯検査、眼底検査を実施しております。さらに慎重な経過観察が必要な症例には、週2~3回の診察を行っております。未熟児網膜症は、在胎週数34週未満、出生体重が1800g未満の低出生体重児が、生後3~6週ごろに発症しやすい網膜の血管の未熟性に基づく疾患です。網膜血管は、胎生9ヶ月頃にほぼ完成するとされていますが、それ以前に出生した場合、眼球内での酸素濃度を含めた環境の変化で、網膜血管の異常成長をきたし発症します。悪化すると網膜剥離に進行し失明の危険にさらされます。近年、未熟児管理が進歩して低出生体重児の生存率が高くなるにつれ、重症の未熟児網膜症症例は増加しております。進行例に対しては、抗血管内皮増殖因子の硝子体注射や双眼倒像を用いて、新生児の負担を最小限にした、レーザー治療を実施しております。さらに、網膜剥離まで進行した症例には、冷凍凝固、バックリング術、硝子体手術などで対応します。
治療時期の見極めが大変重要ですが、自然治癒の可能性を十分考慮しながら、治療効果の適正時期を逃さぬよう細心の注意を払って診療を行っています。午後からは、レーザー治療を受けた未熟児網膜症患者を中心に、NICU退院後の眼底検査を予約にて適宜行っております。
斜視・弱視外来
斜視と弱視との診断と治療を主に行っています。
斜視とは、両目の視線が同じ方向を向いていない状態で、どちらかの目が内側に寄る内斜視、外側を向く外斜視、もしくは上側や下側に寄ったりする上下斜視があります。眼の動きに異常はない共同性斜視と、神経の麻痺等により眼の動きに制限が出る麻痺性斜視があります。斜視は、弱視や、斜頸(顔が傾くこと)の原因となる場合があります。症状は、眩しがる、複視(2重に見える)や眼性疲労があります。当外来では、視能訓練士と連携して斜視の検査、治療を行っています。斜視のタイプによっては眼鏡が必要な場合があります。斜視は乳児から成人まで幅広い年齢に発症します。手術治療が必要な患者様には適切な時期に手術を行っています。
弱視は、主に強い屈折異常(遠視、近視、乱視)や斜視などが原因で正常な視力の発達が妨げられた状態です。弱視治療は小学校入学前までが特に重要です。眼鏡装用、アイパッチ、点眼薬による治療を行っています。正しい度数の眼鏡をかけるため、調節を麻痺させる目薬を使用し、屈折度数を測定します。成長に合わせて眼鏡の変更が必要ですが、9歳未満は治療用眼鏡代金の一部が補助される制度がありますので、対象のお子様にご案内しています。アイパッチとは、視力の良い方の目を隠して弱視の目を積極的に使わせ、視力の発達を促す治療です。 視力の発達しやすい幼少児期を逃さないよう、早期に適切な治療を行うことを目指しています。
緑内障外来
旭川医科大学眼科では毎週火曜日午前、木曜日午前に緑内障外来を開設しており、他の医療機関からご紹介いただいた患者様の診療にあたっております。
緑内障は日本での失明原因として最も多い病気です。40歳以上の人のおよそ20人に1人が緑内障と言われていますが、病気が進行するまでは症状がなかなか出ないことも多いです。緑内障でダメージを受けた神経を元に戻すことは残念ながら現在の医学ではできませんが、目の圧を下げることで進行を緩やかにできるとされています。
当院緑内障外来では最新の画像診断装置を併用することにより、より精度の高い緑内障診療を提供しております。最も割合の多い開放隅角緑内障では、点眼による薬物治療、レーザー治療を行い、それでも不十分と判断される場合は手術を検討します。当院では線維柱帯切除術、線維柱帯切開術(眼内法、眼外法)、チューブシャント手術、白内障手術併用眼内ドレーン挿入術などを年間約200例実施しており、経験豊富な医師による施術と術後管理を受けることが可能です。緑内障には多くの病型があり、治療法も病型によって異なります。我々は、個々の患者様の緑内障病型、年齢、重症度、眼圧の経過などに応じて、患者様に応じた治療を提案しています。
ぶどう膜炎外来
ぶどう膜炎とその他の眼炎症性疾患の診療を行います。
ぶどう膜炎とは、眼の中の血管の豊富な膜である脈絡膜・毛様体・虹彩を中心に炎症を起こす病気です。原因としてはウイルス感染や自己免疫などいろいろあり、弱い炎症ですぐに治るものから、強い炎症で長引いたり繰り返したりするものまであります。
当院では他の眼科クリニックからご紹介いただき、原因検索や治療が必要な方の診療を行っております。診療の流れとしては、まず原因の特定をできる限り進めることとなります。また、同時に炎症の状態にそった治療を行います。その後、原因が明らかになったところで、それに即した治療を加えていきます。重症のぶどう膜炎に対しては、ステロイド剤の全身投与や免疫抑制薬、抗TNF-α抗体等の治療を検討し、視機能の維持改善をはかります。
ぶどう膜炎の他に、強膜炎や血管炎(側頭動脈炎・ANCA関連血管炎・SLEなど)により眼に障害を起こした際の治療も内科と連携し行っています。
それぞれの疾患、それぞれの患者様に、最善の治療のできるよう心がけております。
角膜・涙道外来
「目の表面とドライアイについて」
角膜は目の表面のいわゆる「くろめ」のことをいいます。角膜は、目の中に光を通すためにいつも透明で正しい形を保っている、とても精巧に出来たレンズです。
角膜を透明に保つためには涙液がかかせません。涙液はつねに目の表面をうすくおおい、角膜にきずが付いたり、ごみや雑菌が入ったりしないようにしています。涙液のようすが壊れると、角膜の透明性や形がくずれ、正しくものがみえなくなります。
「ドライアイ」という状態が広く知られるようになりました。涙液が不足したり、性質が整わなくなったりすると、角膜がうまく働きません。涙液のようすを健康に保つことはとても大切なことです。
角膜涙道外来では、皆さんの目の表面が健康であるかについて診察をしています。目が乾く、ゴロゴロする、痛みがある、涙がでなかったり、出過ぎたりするといった症状はドライアイかもしれません。
ドライアイのみなさんには人工涙液や角膜保護剤といった点眼薬を処方します。症状に合わせてその分量や種類を調節して用います。また、涙点プラグや涙道留置チューブといった、涙のたまっている量を調節する処置をすることもあります。ドライアイの症状は生活習慣でも大きく変わりますので、生活指導も組み合わせています。
「角膜移植について」
眼科医は患者さんの目を守るべく日頃の診察を心がけていますが、病気の種類や程度によっては重い後遺症が残ってしまうこともあります。角膜が病気やけがで濁ってしまい、視力が低下してしまった場合、角膜の透明性を取り戻す方法に角膜移植があります。
眼に病気をしたことのない方が亡くなったとき、角膜を提供するご意志が有る場合、献眼が行われます。献眼とは、その方の死後、病気の人のために角膜を提供することです。こうして提供された角膜は、精密検査によって手術にふさわしいかを調べた上で、角膜移植を待っている患者さんに公平に分配されます。ひとりの提供者から2つの角膜が得られますので、2人の患者さんの光を取り戻すことが出来ます。
角膜涙道外来では、角膜の病気で移植を待っている患者さんの診察と手術を行っています。また旭川医大アイバンクを組織し、角膜提供者の登録、献眼の増加のための啓発活動を行っています。
ロービジョン外来
視覚障害を有する患者さんに対し、残された視機能を有効に使うために適切な補助具を選定しケアを行う専門外来です。ロービジョンという名称ですが、視覚障害の程度に関わらず視覚に障害があるため生活に何らかの支障を来している方すべてを対象としています。
拡大によって物を見やすくするロービジョンエイドの選定や、まぶしさを取り除く遮光眼鏡の処方、日常生活用具や便利グッズの紹介などを行っています。さらに、スマートフォンや携帯端末のアプリに関する指導、白杖の選定に関する相談から白杖を使う歩行訓練、自分で化粧が出来るブラインドメイクの指導なども行っています。
ケアのため十分な時間を設定しており、通院中の眼科主治医からの完全予約制となっています。
外来のご案内
眼科:1階11番

入院のご案内
眼科:8階東病棟
