耳鼻咽喉科豆知識

扁桃病巣感染症

アレルギー性鼻炎はどうして増えているのですか?

 アレルギー性鼻炎の患者さんは1970年頃から、急に増加して今も増え続けています。現在、日本国民の10〜15%がアレルギー性鼻炎に患っていると言われ、社会問題にもなっています。原因は暖かい気密性の高い住宅が多く造られ、また西欧式の家具や内装が施されることによって、ダニが増加したことがあげられます。またディーゼルなどによる大気汚染、現代社会のストレス、食生活の変化、その他多くの因子が患者さんの増加に関連していると考えられていますが、十分に解明されていないのが現状です。

妊娠中はクスリはどうしたらよいのでしょうか?

 妊娠中はうっ血性鼻炎の傾向になり、症状は悪化すること多く、さらに妊娠や出産後にアレルギー性鼻炎が発症することもあります。しかし妊婦のクスリの服用は胎児に与える影響を考えると慎重にした方がよいでしょう。特に妊娠初期から器官形成期の4か月半ばまでは原則として内服薬を飲まない方が安全です。鼻づまりには温熱療法、むしタオルなどがあります。どうしてもつらい場合は抗アレルギー剤などの点鼻薬を最小量用いる方法があります。またレーザー手術も有効です。

アレルギー性鼻炎は遺伝するのですか?

 両親のどちらかまたは双方がアレルギーの病気を持っている場合、両親がアレルギーの病気を持っていない場合と比較して、子供のアレルギー性鼻炎の発症が多いことが知られています。それはアレルギーに関連する抗体であるIgEを多く産生する能力は遺伝することがあるとされているからです。しかしアレルギーは必ずしも遺伝するわけではなく、体質が遺伝しても発症するとは限りません。ご両親がアレルギー性の病気を持っている場合、お子さんを注意深く見守っていく必要があります。

子供がアレルギー性鼻炎なのですが、注意点はありますか?

 アレルギー体質の子供は、乳幼児期から学童期にかけて、湿疹、じんましん、喘息、鼻炎などが時期を変え、入れかわり立ちかわりあらわれることがあります。またアレルギー性鼻炎がある子供は滲出性中耳炎、慢性副鼻腔炎などを合併することもあります。子供のアレルギー性鼻炎の症状は、ただのクセとして見落としがちですが、「鼻をこする」「いじる」「顔をしかめる」などのしぐさが特徴的です。多くの場合、ハウスダストが原因となりますが、予防法の所で述べたとおり環境を整えることが第1です。決して過保護に陥ることなくアレルギー体質にうち勝つために、心身を積極的に鍛えましょう。

最近話題になっている果物アレルギーについて教えて下さい

 特定のくだものを摂取した数分後に、唇や口の中、のどがかゆくなったり、はれたりする患者さんがいます。まれに胃腸症状や全身症状を起こすこともあります。これは口腔アレルギー症候群(OAS)と専門的には呼ばれていますが、シラカンバ花粉症の患者さんの20%〜35%に起こると言われています。果物ではリンゴやサクランボ、モモ、ナシ、キウイなどが原因になる場合が多いのですが、メロン、スイカ、ピーナッツなどで症状が出る場合もあります。治療は第1に原因となっているくだものを食べないようにすることですが、抗アレルギー剤を長期に服用することも有効とされています。

最後に

 旭川医大病院耳鼻咽喉科では毎週木曜日午後2時から4時までアレルギー外来を行っています。耳鼻科の受診が初めての方は一度火、木、金曜日の一般外来を受診して下さい。アレルギー性鼻炎について不明な点、分からないところがあればの医師に質問して下さい。