耳鼻咽喉科豆知識

鼓室形成術

顔面神経麻痺とは?

 顔面神経は12ある脳神経の1つで、顔面の表情に関わる筋肉の運動に関わる神経です。この神経が麻痺した状態が顔面神経麻痺です。少々古い話になりますが、ある有名なタレントが、事故で顔面神経麻痺をおこしたことを憶えていますでしょうか?具体的には、そのタレントの顔のように、顔がまがる、よだれが口のわきから漏れたり、眼が閉じなかったり、頬が下がったり、額や、鼻唇溝(びしんこう)という鼻から口のわきにかけてのシワが無くなったりというような症状が出ます。この他にも、涙腺(るいせん)、唾液腺(だえきせん)に分布し、涙や唾液の分泌や、舌の前2/3の味覚や口の中の1部や、耳の後ろの感覚にも関わっています。

 顔面神経は7番目の脳神経で、脳の橋(きょう)というところに、大脳からの支配も受けているおおもとの顔面神経核があります。そこから内耳道(ないじどう)という骨の管を通って脳の外に出て、側頭骨(そくとうこつ)という耳の後ろの骨の中を通り(図1)、ちょうど耳の下の奥から出て、耳下腺(じかせん)という唾液をつくる臓器の間を枝分かれしながら、顔面を動かす筋肉に分布します(図2)。つまり顔面神経麻痺が生じた場合は、顔面神経の走行するどこかに異常が生じているか、顔面神経そのものに異常が生じていることが考えられます。

【図1】

【図2】