耳鼻咽喉科豆知識

人工内耳

アレルギー性鼻炎のクスリはどのようなものがあるのですか?

 内服薬としては抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、ステロイド剤、漢方薬などがあります。外用薬として抗アレルギー剤、ステロイド剤、血管収縮剤、抗コリン剤などの点鼻薬があります。また抗アレルギー剤の点眼薬も使用されます。多く用いられているのは、抗アレルギー剤の内服薬と抗アレルギー剤またはステロイド剤の点鼻薬です。医師は患者さんの症状(くしゃみ・鼻みずがひどい、鼻づまりがある、朝ひどいなど)に合わせてクスリを処方しますが、有効なクスリを見つけるのに少し時間がかかる場合があります。

1. 抗ヒスタミン剤

 このクスリは即効性があり、くしゃみ、鼻水を押さえる薬といえます。その症状を押さえる効果は、抗アレルギー剤より高い場合があります。ただし抗ヒスタミン剤は、眠気とのどの乾燥が起こりやすく、長期間継続的に内服する場合は抗アレルギー薬の方がいいようです。抗ヒスタミン剤は医師の処方で使われるだけでなく、ほとんどの市販薬に少量含まれています。

2. 抗アレルギー剤

 このクスリは眠気が少なく(ただし抗ヒスタミン作用が強いものは眠気はあります。)、くしゃみ、鼻水、鼻づまりに効きます。しかし効きが少し遅く、1〜2週間後に最高の効果が発揮されます。現在多くの種類があり、最も多く使用されています。有効性には個人差があるので現在もらっているクスリが効かない、または合わない場合は医師に相談して下さい。

3. 抗アレルギー剤点鼻薬

 くしゃみ、鼻水の症状が強い人に有効です。鼻の中にスプレーするので早く効きます。使用回数は大人は1日4〜6回、子供は1日2〜3回のことが多くなっています。眠気はほとんど出ません。

4. ステロイド点鼻薬

 鼻粘膜の腫れを抑え、くしゃみ、鼻水、鼻づまりに優れた効果を示します。効果も比較的早く現れますので、抗アレルギー剤の経口薬と併用することで症状はかなり抑えられます。ステロイドの内服とは違い、鼻内噴霧で体内にほとんど吸収されないので、副作用もほとんど問題ありません。

5. 血管収縮性点鼻薬

 鼻粘膜の毛細血管を収縮させ鼻づまりをなくすクスリです。市販の多くの点鼻液にこのクスリが入っています。しかし長期間にわたって頻回に使用するとかえって慢性的な鼻づまりを引き起こすことがあり、連用してはいけません(薬剤性鼻炎)。1日に1、2回で短期間使用することは差し支えありません。

内服薬はいつからいつまで飲んだら良いのでしょうか?

 花粉症の場合は本格飛散が始まる2週前から内服を始めるのが効果的です。抗アレルギー剤は予防効果が期待でき、花粉飛散シーズンの間、症状が軽くすむと言われています。また途中で中断せずに花粉飛散が少なくなる時期まで継続して下さい。よってシラカバ花粉症の患者さんは4月下旬から6月上旬まで花粉が飛散するので、雪がとける頃の4月中旬から6月までクスリを服用するのが効果的です。

 ダニやハウスダストなどの通年性アレルギー性鼻炎の患者さんは1年中クスリを飲み続けることになりますが、医師と相談の上、症状に合わせてクスリを飲む回数を減らしてもらうこともあります。

シラカバ花粉症の患者さんは4月中旬からクスリを飲み始めて下さい

【図10】花粉カレンダー
図10 花粉カレンダー