耳鼻咽喉科豆知識

人工内耳

原因物質(アレルゲン)にはどのようなものがありますか?

1. 花粉症

 北海道には杉が植生していないので本州のようなスギ花粉症はありません。しかしシラカバ、カモガヤ、ヨモギなどの花粉症があります。

(1) シラカバ

 白樺(シラカバ)は白い樹皮が美しく誰にでもわかる樹木です。北海道では街路樹としても植えられていて、公園でも多く見かけます。春のゴールデンウイーク頃のちょうど芽の吹くころに花を咲かせ、大量の花粉を飛ばします。患者さんは毎年4月の下旬から6月上旬まで花粉症の症状に悩まされます。また果物アレルギー(リンゴ、モモ)を伴うこともあります。

【図2】シラカバの花粉
図2 シラカバの花粉

【図3】シラカバの花
図3 シラカバの花

(2)イネ科花粉(カモガヤ、オオアワガエリ)

 道端でよく見られる雑草です。もともとは牧草で明治時代にアメリカから北海道の酪農のために持ち込まれたものです。またオーチャードグラスと呼ばれています。この牧草はイネ科に属していて、カモガヤ花粉症の患者さんはカモガヤだけでなく、他のイネ科の植物の花粉でも花粉症をおこします。チモシー(おおあわがえり)、ナガハグサ、ハルガヤ、スズメノテッポウなどはみなイネ科の植物でこのすべての花粉が患者さんを苦しめます。花粉は5月下旬から8月下旬くらいまで飛びます。むかし夏風邪と呼ばれていた病気はほとんどがこのカモガヤ花粉症です。

【図4】カモガヤ
図4 シラカバの花粉

【図5】オアワガエリ
図5 シラカバの花

(3)ヨモギ

 「よもぎもち」のヨモギです。北海道のヨモギは正式にはオオヨモギ、あるいはエゾヨモギと呼ばれている種類です。8月中旬から9月中旬まで花粉を飛ばします。旭川ではそれほど多くありませんが、函館地方ではこの花粉症患者が多いそうです。

【図6】ヨモギ
図6 ヨモギ

2. 通年性アレルギー性鼻炎

【図7】コナヒョウダニ
図7 コナヒョウダニ

(1) ダニ、ハウスダスト

ダニやダニの分泌物やほこりなどが合わさったハウスダストがアレルギー性鼻炎の原因物質(アレルゲン)として最も多くみられます。ダニは主としてじゅうたんや畳に寄生しており、高温多湿の状態で繁殖します。繁殖を防ぐためには、室内の温度を25℃以下に湿度を60%以下に保つことがよいとされていますが、基本は駆除と頻回な掃除です。

【図8】カビ(アスペルギルス)
図8 カビ(アスペルギルス)

(2) カビ

 カビ(真菌)はダニや花粉に続く主要なアレルゲンです。家の中ではアスペルギルス、家の外ではアルテルナリアなどがアレルゲンとなります。カンジダもアレルゲンのひとつですが、もともと咽頭(のど)にすんでいるので血液検査で陽性に出てもアレルギー性鼻炎の原因とはならないことがあります。

(3) ペット

 ネコやイヌの毛やふけが原因になることもあります。最近ハムスターのアレルギー性鼻炎が増えています。