耳鼻咽喉科豆知識

人工内耳

滲出性中耳炎は痛くないのでしょうか?

中耳腔に膿(うみ)がたまる急性中耳炎とちがい、基本的には強い痛みはありません。ただし、軽い痛みを訴えることもありますので、正しい診断のためには耳鼻咽喉科医の診察が必要となります。

【図2】
図6 人工内耳治療の手順

滲出性中耳炎:中耳腔に水(滲出液)がたまり、聞えが悪くなります

滲出性中耳炎はどのくらいの期間で治るのでしょうか?

大部分のは小学校中〜高学年以後になるとよくなります。免疫の働きや、体の構造が成長することが滲出性中耳炎の治癒には必要なのです。いずれよくなるなら、その年齢になるまで何も治療を受けずに放っておいてもよいのでしょうか?

答えはもちろん「ノー」です。幼児から小学校低学年にかけては、言葉を覚えるのはもちろん、覚えた言葉をつかってものごとの基本的な考え方を身につけたり、言葉を用いて友だちとの関係を形作っていくとても大切な時期です。できるだけよい聞こえの状態を維持してあげることが、子どもたちの成長にはとても重要であると私たちは考えています。

また、まれではありますが、滲出性中耳炎からもっと複雑な中耳炎に移行し、難聴が進行したり手術が必要になることもあります。このような事態を未然に防ぐためにも、耳鼻科医による定期的な診察を受けることが大切です。

ただ、治療は長丁場になることもまれではありません。2年から3年はあたりまえ、場合によっては数年に及ぶこともありますから、治療の重要性をよく理解し、必ず良くなるのだと信じて、じっくり焦らず医師とよく相談しながら治療に参加していくことが必要です。