当科の診療・治療について

前立腺癌(ぜんりつせんがん)

50歳以上の男性患者さんに対しては、外来診察時に積極的に前立腺がんのがん検診として血液検査(PSA*検査)を行っています。血液検査で異常があれば当科で考案した前立腺の12カ所組織検査を短期入院(2~3日)で行っています。がんが見つかった場合には、患者さんの年齢や全身の状態、病気の広がりなどを考慮した上で、根治的な手術療法、放射線による治療、内分泌療法を実施しています。

*PSA : 前立腺特異抗原

※前立腺がんの手術について

平成26年2月よりロボット(Da Vinci)を使用した手術を道北・道東地域において初めておこなっています。

従来の開放手術と比較して

  • 1)創が小さい
  • 2)出血がかなり少ない
  • 3)手術後の合併症である尿失禁の程度が軽く、改善が早い
  • 4)3-D映像や手ブレ防止機能などにより、より安全に手術操作を行うことができる
  • 5)手術後の痛みが少ない

などの特長により、負担が少なく、安全性が高く、従来の開放手術と比較して患者様にとっての利益が大きい手術といえます。

保険診療で行っています。

腎癌(じんがん)

最近の検査技術の向上により、症状が全くない小さな腎がんが見つかることが多くなっています。以前は腎がんの手術治療は片方の腎臓をすべて摘出することが行われていましたが、最近では可能な限り腎臓を残すようにがんだけを摘出するような部分切除術を積極的に行っています。また小さな傷で術後の痛みも少ない腹腔鏡による腎臓摘出や腎部分切除を導入しています。

膀胱癌(ぼうこうがん)

最も多い自覚症状は見た目で尿に血が混じることで、痛みなどを伴わないことが多いです。また検診などで尿に血がまざっていることが指摘された場合にも注意が必要です。膀胱の中をカメラ(膀胱鏡)でみる検査が必要ですが、当科では痛みの少ない柔らかい膀胱カメラを使用しています。膀胱がんが疑われる場合には、入院し麻酔をかけた状態で、まず膀胱内にカメラを入れ、がんを電気メスで切除する手術を行います。この手術はおなかを切りません。カメラの手術で切除できない場合には、おなかを切って膀胱を摘出します。膀胱がなくなると尿をためることができなくなりますので、腸を利用して新しい膀胱を形成して尿道から排尿ができるようにしたり、あるいはストマと呼ばれる人工肛門のような尿の出口をおなかに作成したりします。

おしっこの様々な症状に対して

おしっこが出づらい、おしっこのために夜に何度も目が覚めてしまう、おしっこが残った感じがする、トイレまで我慢できない・もれてしまう、笑ったりおなかに力をいれたりすると尿がもれてしまうなど、おしっこの問題は様々あります。また男性であれば50歳以上の方は前立腺が大きくなる前立腺肥大症が発生してきます。当科では上記のようなおしっこの問題に対して、尿の勢いや排尿後の残り(残尿)を簡単に調べることができます。場合によっては膀胱や尿道のくわしい検査を行って、個々の患者さんの状態にあった治療をおこなっています。おなかに力を入れるともれてしまうようなタイプの尿失禁に対しては、骨盤の筋肉を強くするような体操の指導やお薬による治療を行い、効果がない場合や症状が重い場合には手術療法もおこなっています。前立腺肥大症に対してはお薬による治療をまず行い、効果がない場合にはおなかを切らない手術治療(経尿道的手術)をおこなっています。

尿路結石症(にょうろけっせきしょう)

自然に体外に排出されない尿路結石(腎結石、尿管結石)に対して、体外衝撃波による低侵襲治療(ESWL)を積極的に行っています。当科に導入されている体外衝撃波治療の機種は2001年に導入されたもので、2008年現在までにのべ600人に対する治療を行っています。治療中の痛みはほとんどの場合軽度ですので、近郊の患者さんでしたら入院せず外来での治療も可能です。尿管結石に対しては短期入院で最新のホルミウムレーザーと細径尿管鏡による手術治療(経尿道的手術 : TUL)を行っており、良好な成績をおさめています。また一般の施設では治療が難しい腎臓内の大きな結石(サンゴ状結石)に対しても積極的に手術治療(経皮的腎砕石術 : PNL)を行っています。一般の施設では軽視されがちですが、再発を繰り返す患者さんに対しては結石が形成される原因を積極的に検査しています。またその結果をもとに個々の患者さんに合った結石の再発予防を積極的におすすめしています。

小児泌尿器科(しょうにひにょうきか)

当科では日本小児泌尿器科学会の中心メンバーの一人である柿崎教授を中心に小児泌尿器科領域のあらゆる疾患に対して治療を行っています。尿路感染の原因となる膀胱尿管逆流や先天性水腎症に対する検査や手術療法、尿道下裂に対する尿道形成術、睾丸が陰嚢の中に降りていない停留精巣(睾丸)に対する腹腔鏡を用いた検査や手術などを行っています。

男性不妊症(だんせいふにんしょう)

不妊症は女性側が原因となる女性不妊症と男性側が原因となる男性不妊症があります。当科では不妊症の中でも男性に対する男性不妊症について積極的に原因の検査と治療を行っています。また当院の不妊症科(産科・婦人科)と協力し、精子の少ない無精子症や乏精子症のご夫婦に対して不妊治療を行っています。最近では従来の方法では精子を採取できなかった患者さんに対しても顕微鏡を用いた精子採取法を導入しており、良好な結果をおさめています。

副腎の腫瘍(ふくじんのしゅよう)

副腎腫瘍には良性腫瘍、悪性腫瘍がありますが多くの場合良性腫瘍です。良性腫瘍にはホルモンを分泌するもの(1.ホルモン産生腫瘍)としないもの(2.ホルモン非産生腫瘍)があります。ホルモン産生腫瘍は手術が必要ですが、ホルモン非産生腫瘍は手術を必要としないことが多いです。手術は通常腹腔鏡下で行い、手術時間は2~3時間程度で、4ヶ所ほどの小さな穴をお腹にあけ手術をします。通常翌日から歩行・食事が可能です。手術の合併症としては出血、周囲臓器(腸・すい臓・脾臓・血管)の損傷などが報告されていますが、開放手術への移行は4%と安全に行える手術です。

その他

勃起障害(ED)に対して原因の検査とお薬による治療を行っています。