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アメリカ研究留学レポート

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菊地 信介

University of Washington, Department of Surgery

2012年12月中旬に出国し、早6ヶ月が経過しました。米国ワシントン州のシアトル市にあるUniversity of Washington (UW) medicine researchで研究しております。

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Clowes Lab.のメンバー

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シアトルの景色

1. シアトル

ご存知の通り、シアトルは西海岸、カナダの境目ともなるワシントン州にあります。湖や緑が多々あり、北海道を思わせるような場所です(というか、市街から離れると北海道です。)

2. 研究室

この施設はUWとは独立して医学部でもっている建物になります。施設内では特にアジア出身のスタッフが多く、皆熱心に研究しています。しかし、留学生含め日本人スタッフは少なく、施設内ではほとんど見かけません。中国、韓国出身の方が多く所属しているのが実際です。また、アメリカの大学生(Undergraduate school)やメディカルスクール(医科大学院)の学生は夏休みになると、積極的にボランティアをするそうです。研究所でも学生の姿を多々見かけます。このラボにも二人、短期ボランティアをしている学生がいます。Medical school生はundergraduate schoolを出ていることもあり、本当に知識が豊富です。当然ですが、研究面での自分の知識の無さを痛感しました。

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研究所の外観(ダウンタウンにあります)

3.1週間の生活

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1週間のスケジュールが定着してきました。火曜日を除き、毎朝7時30分には実験を開始します。私のラボではグラントに従った実験、つまりDutyが存在し、それを行いつつ、自分自身の研究テーマを進めます。私の場合のDutyというのは臨床の現場から送られてきた静脈(下肢バイパスに使用する前の大伏在静脈、透析のための動静脈瘻に使用する上肢静脈、時に閉塞したバイパスグラフト、狭窄した動静脈瘻)をさばき、組織から細胞採取します。一つの組織から細胞を採取するのに平均で約1ヶ月かかります。また他のスタッフから仕事を頼まれることも少なくありません。

火曜日は特別で、一日が臨床現場のカンファレンスから始まります。ここではInteresting case report、Death conferenceや最新論文の抄読会などが行われ、臨床の知識、医学英語リスニングのよい環境となります。その後研究所に移動し、全米から招待された先生が研究のレクチャーをするBreakfast meetingが開かれます。ここではCardiovascularを中心とした最新の研究が講演され、自分の研究テーマである静脈バイパスグラフト内膜肥厚の発生と照らし合わせながらアイデアを考えることが出来る上、研究英語リスニングの場ともなります。

午前午後ともにふんだんに実験を行いますが、午後は次の実験のプロトコールを作るため上司とdiscussionの時間や、自分の研究に必要な論文検索などに時間を使うようにしていますが、実際には実験が長引いてしまうことがほとんどです。

木曜の午後は1週間の実験報告を行います。自分の研究結果をスタッフにプレゼンし、改善点や今後の実験などについて議論します。私の場合、結果をどのように相手に伝えるかという問題が大きく、6ヶ月経過した今もスムーズにプレゼンすることはできません。言葉の壁を最も感じる瞬間です。

実験は平日にももちろん行いますが、大抵は土日を使用して実験の仕込みをして、週明けに結果を出すというサイクルで動いています。これは新しい実験のプロトコールに対する議論など、必要以上に時間がかかってしまうためです。土日を利用して1週間をまわしています。

4. 私の実験

私の実験は下記の報告をもとに行われています。

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常にアイデア勝負。自分自身の研究課題は練習を除いては一切与えられませんでした。自分自身、仮説を一つ立てるのに数ヶ月要してしまいました。しかしながら、この仮説も良い方向に向かうかどうかはわかりません。全てはアイデア次第なので、私の仮説が結果を結ばないときは次のアイデアを用意しておかなければなりません。2年間でどのくらいアイデアを消化できるかわかりませんが、日々仮説と向き合い、限られた時間を全力疾走のみです。

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実際の研究室
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5. 英語

ラボ内では皆、親切にしてくれます。いまだ辿々しい英語ですが、半年前に比べれば英会話が成立しているのではと感じます。また18時からメインキャンパスで英語クラスを受けています。実験にかぶらないようにするため、この時間帯しかありません。英語改善、友人作りにいい環境です。

kikuchi10クラスの写真です