国立大学法人 旭川医科大学
生理学講座 自律機能分野Department of Physiology, Asahikawa Medical University

研究テーマ

単離心筋細胞を用いた心臓力学研究

 心臓は全身に血液を送り出すポンプとして力学的に機能しています。よって心臓生理学研究において力学は基本かつ重要であり、従来より摘出心標本などの全心臓標本を用いた心臓メカノエナジェティクス研究が盛んに行われてきました。
 全心臓標本は心臓の統合出力の観察に優れますが、その細胞内メカニズムの観察にはやはり細胞標本が必要となってきます。われわれは単離心筋細胞の長さ及び張力を自在にコントロールする技術を用いて、生体内心の圧容積関係と同じ機械的負荷環境を顕微鏡下に単離心筋細胞に再現することに成功しました。この技術を用いて、臓器レベルとしての心臓の力学的挙動とその細胞内メカニズムを統合する研究を進めています。

心筋における機械感受性現象研究

 心筋細胞の電気的な興奮は収縮という機械的活動を起動します(興奮収縮連関)。しかし近年、逆に機械的負荷が機械受容チャネルなどを介して直接または間接的に電気的活動を修飾することがわかってきており、両者は双方向に影響を及ぼし合っていることが明らかになってきました(mechano-electric coupling: MEC)。現在では機械受容チャネルだけでなく、細胞内小器官を含めた様々な細胞内モジュールに機械感受性現象が発見されています。
 心筋細胞は常に収縮・弛緩を繰り返すため常に機械的負荷環境下にあり、これが機械受容チャネルをはじめとする様々な細胞内機械感受性機能モジュールを介して細胞機能を修飾していると考えられます。私たちは心臓メカノエナジェティクス制御システムの入力要素としての機械的負荷に注目し、心筋細胞の機械感受性現象とその生理的・病態生理的意義を解明する研究を進めています。

伸展刺激下の電気生理実験

伸展誘発性のカルシウムスパーク増加

PAGE TOP