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救命救急センター長を務めています、岡田基です。
当院は、「患者中心の医療を実践し、地域医療に寄与するとともに、国際的に活躍できる医療人を育成する」という理念に基づき、特定機能病院として、また災害拠点病院としての役割を担っております。また、私たちは「持続可能な地域救急医療体制の確立」を目標に掲げ、日々診療に取り組んでおります。
旭川医科大学病院救命救急センターは、令和22年10月に北海道では9番目の救命救急センターとして開設され、今年で15年が経ちました。年間5,000名以上の救急患者を診療しており、救急車の受け入れは年間2,200~2,400台前後で推移しています。入院率は開設当初の20%台から現在は40%台へ増加しており、より重症な患者さんの診療にあたる機会が増えていることがわかります。
令和5年度の応需率は93.0%で、多発外傷や重症感染症、意識状態や呼吸・循環動態に問題がある患者さんを優先的に受け入れています。また、旭川市内だけでなく、道北・道東地区等からの転院搬送も多く受け入れています。
平成27年からはドクターカー事業の試験運行が始まり、病院前診療にも力を入れてきました。この事業では、現場に医療スタッフを送ることで、重症患者に対する初期治療の開始が早まり、救命率の向上や後遺症の軽減が期待されています。昨年度までは年間30件程度の運行でしたが、今年度からは救急救命士が加わり、消防との連携がより強化されたことにより、ドクターカー要請・出動件数が約2倍のペースで増加しています。
北海道、特に道北地域の医療体制は今後ますます集約化されていくことでしょう。超高齢化社会を迎える北海道において、医療機関へのアクセスがさらに不便になり、病状が進行してから受診するケースが生じる可能性があります。また、事故や外傷の中には一刻を争う状況が少なくありません。遠方からの搬送中に病態が悪化することもしばしば経験します。そのような場面では病院に到着してから開始する医療だけでは対応が間に合わないことがあります。こうした課題に対し、私達はドクターカー事業を通して、地域の救急医療を守って行きたいと考えています。
このたび、当院ではドクターカー更新のためのクラウドファンディングプロジェクトを立ち上げました。キャッチフレーズは「地域医療を守るため、ともに走ろう!」です。地域の皆様、医療の未来に共感してくださる皆様、どうか私達の想いにご賛同いただき、ご寄附を賜れましたら幸いです。
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