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「医学教育というキャリアパス」
           

終了報告

2016年10月25日

 
 平成28年10月25日に第25回二輪草セミナー開を催しました。今回は「医学教育というキャリアパス」のタイトルで本学の卒業生であります京都大学大学院医学研究科医学教育推進センター特定助教の及川沙耶佳先生をお招きしご講演頂きました。及川先生は2006年旭川医科大学を卒業後、札幌手稲渓仁会病院、沖縄県立北部病院で研修し2011年〜2013年ハワイ大学医学部でシミュレーションセンターSimTiki研究助手をされていました。その後東京慈恵会医科大学救急部を経て2015年から現職を務められています。昨年の医学教育学会でのパネルディスカッションでセンター長である山本先生が二輪草センターの取組みについてお話しする機会がありました。その学会でお会いした及川先生が出身大学以外で活躍されていることを知り、先生のお話を若手医師や学生に聞いてもらい、ロールモデルにしてもらえればという思いから今回お招きしました。及川先生は学生の頃から海外で働く事に興味があり、医学部5年生の時にハワイ大学でマウスのクローンの研究をされている柳町教授と出会い「海外で働きたいのであればその国の人の3倍努力しないといけない」とアドバイスされたのが印象的だったとのことです。ご自身のハワイ大学勤務の際にはシミュレーション教育を経験し、デブリーフィング(ふり返り・自分で気づくこと)の面白さにはまり、その有用性についての研究をされました。また海外で働く事によって日本の良さを再発見し、海外との教育の違いに興味がわき、帰国後は医学教育に携わりたいと考えるようになったそうです。医学教育者に必要な価値観にセルフリフレクション(何かの経験をどう解釈するかを自分でよく考えるという行為)があり、高いリフレクション能力がとても重要とのことです。リフレクションを高めるには日記を書くのも良いし、慈恵医大では初期研修医に研修中で経験した一番つらかったことを上級医ないし指導医1人と同僚や友達を交えた少人数でうちあけるという試みを導入したところ、その出来事をどうふり返るのか、どういうことを学んだのかを話し合い、仲間と経験を共有することが有用であり好評だったそうです。日本には医学教育修士課程はないため現在オランダマーストリヒト大学の修士課程の2年目在籍中とのことですが、日本における医学教育修士課程の前身ともいえる京都大学の医学教育プログラムについてもご紹介下さいました。参加資格は臨床をしながら教育に携わっている先生で、1年間120時間かけて授業をうけ課題を提出するというものです。及川先生の講演を通して医学教育の奥の深さと重要性を認識できたように思います。今回の講演には医学教育に携わっている先生方や、研修医や学生さんにお集まり頂きました。活発な質疑応答もあり有意義な時間を共有できたのではないかと思います。
これからも当センターではジャンルにこだわらず、興味深い講演を企画していきたいと考えておりますので多くの方にご参加頂けますと嬉しく思います。
  
                  (二輪草センター助教 菅野 恭子)

  
セミナーの様子