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「Targeted Therapy for Childhood Cancers
−Bedside to Bench to Bedside−」

終了報告

2015年9月18日


佐竹 典子先生

 
 9月18日に開催されたイブニングセミナーでは、アメリカから佐竹典子先生をお招きし、「Targeted Therapy for Childhood Cancers −Bedside to Bench to Bedside−」という演題でご講演をいただきました。佐竹先生は平成2年に旭川医大を卒業され、北大で小児科医としての研修後、アメリカへ研究留学されました。留学中にアメリカの方とご結婚され、日本人医師としては数少ないアメリカでの医師免許も取得され、アメリカでお仕事を続けられています。その後はレジデント、University of California LAで小児血液腫瘍科のフェローシップを経て、現在はUniversity of California Davisにて、小児科(血液・腫瘍科)で臨床医をされながら、がんセンターのStem Cell Program and Institute for Regenerative Curesで基礎研究をされている「Physician-Scientist」です。
 まず、アメリカと日本の医療事情や医師研修制度の違いを教えていただきました。アメリカは医療費が高く、日本のような国民皆保険がないため、短期間の入院で効率よく治療され、国土の広さゆえ、都市部の専門医療機関と地域の病院との連携で患者を診るシステムを整えていること。医療訴訟が多いお国柄、診療録はかなり詳しく記載し、何人もの医師のチェックを必要とし、相当の時間を割かなければいけないとのことでした。レジデントのうちは上級医の決断がないと治療を行えないので、毎日詳細な報告と確認が必要とされるようです。
 今年、Associate Professorに昇進された佐竹先生ですが、その過程ではたくさんのグラント(研究費)を獲得され、膨大な自己推薦書を作成し、自分とは直接関わりのない3名の研究者からの推薦状を必要とする制度など、日本とは異なる、厳しい競争社会の中で、現在のポジションを獲得されています。最近のご研究では、新たな小児白血病治療として抗体とナノ粒子を利用した薬剤のナノ複合体を開発されています。これまでに抗がん剤治療による副作用のつらさをたくさん見てきた先生だからこそ、心から「患者さんを救いたい」という熱い思いにあふれた研究であると感じました。最近ではHyundaiからの大きなグラントも獲得され、社会的ニーズと期待の高い研究分野であることがうかがわれます。グラント獲得の記念パーティで、治療に当たっている子供たちと一緒の笑顔の写真が印象的でした。
 世界の第一線で活躍中の本校出身の先生のお話を聞いて、聴講した皆が元気とパワーをいただくことができた、そんなセミナーでした。遠くからお越しいただいた佐竹先生、ご参加くださった皆さん、ありがとうございます。


                   (二輪草副センター長 安孫子 亜津子)



  
セミナーの様子