旭川市医師会(担当:女性医師部会)・北海道医師会主催
「医学生・研修医の集い」
終了報告
2024年11月18日(月)午後6時

旭川市医師会
女性医師部会長
長谷部 千登美先生

小野 颯太先生

林 杏香先生

横浜 祐子先生

旭川市医師会
副会長
中條 拓先生
令和6年11月18日、医学生・研修生の集いが開催されました。 今年度のテーマは “研修医生活ってどんなもの?”で、3名の先生方に貴重なお話をいただきました。
1. 初期研修医 小野 颯太先生(旭川医科大学病院)
小野先生は、初期研修医のイメージについてお話しくださいました。以下の内容を共有いただきました。
• 忙しさと休暇の実態
o 忙しさは診療科によって異なる。
o 旭川医科大学病院では研修医が有給の8割
を消化している。
• 研修プログラムと職場環境
o 給与、勤務時間、当直について具体的な説明
o 忙しい時期とそうでない時期の1日の勤務
例を紹介。
• 大学病院研修のメリット
o 入局前に職場の雰囲気が分かる。
o 専門性が高く診療科数が多い。
o 指導医からのフィードバックを受けられる。
o 研修医が多く相談しやすい。
小野先生は、研修当初入局先を決めていなかったが、研修中の経験を経て麻酔科に進むことを決められたとのことです。最後に、福沢諭吉の言葉を引用し、学ぶ意欲があれば研修環境の差は問題にならないと語られました。
2. 林 杏香先生(旭川赤十字病院)
林先生は“我武者羅”をタイトルにお話しくださいました。研修医生活についての率直な意見を共有いただきました。
• 働くことについての考察
o 研修医は“研修中”“仕事をさせてもらってい
る”“医療従事者”の3つの側面を持つ。
o 研修は1か月単位で科が変わるため、進歩
と振り出しに戻る感覚の繰り返し。
• 失敗への対処法
o 患者への謝罪が必要な場合は、上級医と相
談し対応する。
o 失敗の原因を分析し、紙に書き出して指導医
と共有。
o フィードバックを受けることの重要性。
• 日々の心掛け
o 臨床の疑問を調べ、知識として蓄える。
o 将来の専門でない科で学ぶことの価値。
o 指摘を受けるのは研修医の間だけかもしれない。
o 自身の振る舞いで受けられる教育の質を変えることができる。
林先生は、感情を知覚しコントロールするEQ(感情知能)の活用が失敗や困難を乗り越えるヒントになると提案されました。
3. 横浜 祐子先生(旭川医科大学 二輪草センター 副センター長)
横浜先生は、仕事と子育ての両立についてお話しくださいました。
• キャリアと専門性
o 遺伝カウンセリングを通じて専門分野を持つことの重要性を実感
o 産婦人科は“おめでとう”と言える唯一の科だが、つらい思いを
したご夫婦にも寄り添い原因を共に考える。
• 仕事と家庭の両立
o 子育てしながら働く経験が、周囲の理解を促す力になる。
o 小さなお子さんを持つ医師への配慮として、急な仕事の変更に
も柔軟に対応。
• 女性医師としての視点
o 家庭との両立に不安を抱く学生には、自分を応援してくれる人
を大切にすることの重要性を強調。
o 専門科の選択では、その科の家庭との両立への取り組みが重要。
また、同僚男性医師からの育休取得についての意見も紹介され、育児に関わることの意義と課題について考察されました。
最後に、旭川市医師会副会長の中條拓先生より、医師会の構造や役割、会員のメリットについてお話をいただきました。
今回の集いでは、早い時期にロールモデルの体験談を聞くことで、自身の働き方や生き方を見直す機会となりました。ご参加いただいた皆さまに心より感謝申し上げます。また、この場を借りて主催いただいた旭川市医師会および北海道医師会、そしてお忙しい中ご講演くださった先生方にも深謝いたします。
二輪草センター助教 菅野 恭子


谷野センター長 講演会の様子