平成29年度
  「訪問看護ステーション看護師のための
                生涯学習支援研修」

終了報告

平成29年8月25日(金)・28日(月)2日間




研修会の様子

 この研修は、訪問看護に必要な知識・技術の再習得を支援すること、研修を通して大学病院と訪問看護ステーションの交流を図ることを目的に行っています。今年度は、8月25日(金)・28日(月)の2日間の日程で開催し、旭川市内や近郊の18施設から延べ55名の参加があり、また、院内からも16名の聴講がありました。
1日目は、『家族とともに行うユマニチュード』について、認知症看護認定看護師 内山寛美さんに講義をしていただきました。
ユマニチュードとは、フランスのイブ・ジネストさんらが発案した認知症ケアの全人的な技法といわれています。認知症高齢者を一人の人として尊重し、「見る、話す、触れる、立つ」という4本柱を基本に150を超える技術から成ります。講義の中でも、平成26年にイブ・ジネストさんが来日した際にNHKで放送されたユマニチュードを紹介する動画が紹介されました。イブ・ジネストさんが、認知症患者と短時間触れ合う事で、患者の表情が柔らかくなり、自ら歩こうという意欲を見せるといった劇的な変化を目の当たりにしました。「魔法の技術」といわれるゆえんかと思いますが、決して特別なことではなく、誰もが学ぶことができ、誰もが行える行動でした。それを、きちんと技術として意識し、使えるようにすることで、「大切に思う気持ち」をわかる形で表現し、「伝えたつもり」だけど、実際には「うまく伝わっていない」ことをなくしていくことで、ケアを受ける人が穏やかになり、介護をする側も満足感を得られる可能性があるということでした。
短時間の演習を通し、参加者は自分の日常を振り返る機会にもなっていました。アンケートでは、「少しのケアでも接し方で信頼感を得られることがわかり、ユマニチュードを深く学んでいきたいと思った」「尊厳ということを常に念頭に看護してきたが反省する面が多くあり、今後気をつけていかなければと強く感じた」といった感想が聞かれました。
2日目は、『自宅でできる呼吸リハビリテーション』について、理学療法士の勝海孝臣さんに講義をしていただきました。
呼吸リハビリテーションをすすめるために、患者が何に困っているのか、原因は何か、原因に対してどのようなアプローチがあるかについてお話いただきました。呼吸困難感解消のために腹式呼吸、口すぼめ呼吸やシルベスター法、呼吸苦を軽減するADLトレーニングや全身持久力や筋力トレーニングの方法・根拠や注意点をわかりやすく示していただきました。呼吸リハビリで何を目指すのかを明確にし、無理をせず長く続けられることが大事ということでした。
アンケートでは、「日常生活上の注意点など具体的に知ることができたため患者さんに還元していきたい」「呼吸機能評価尺度を教えて頂けて良かった。目的を利用者さんとともに明確にして指導していきたい」といった感想が聞かれました。終了後は、現場での困難例など質問も積極的に行われました。また、「肺理学療法など排痰を促す技術の演習」の希望もあり、「呼吸リハビリの研修がなかなかなく、とても参考になった」など、今後もニーズの高いテーマでした。
今年5回目を迎えた研修で、多くの方にご参加いただきました。今後も地域医療の発展に寄与できるよう、共に看護を継続し、実践力を高める研修となるように検討したいと考えています。


            看護職キャリア支援 職場適応支援担当 
                       菊地 美登里・尾形 千悦