第13回イブニングセミナー

終了報告

                                 日時:2024年5月20日
                                 対象:全職員・学生


大坂 巌先生


セミナー様子

 令和6年5月20日第13回イブニングセミナーを開催しました。今回は社会医療法人石川記念会HITO病院緩和ケア内科、岡山大学病院緩和支持医療科、臨床対話コーチの大坂巌先生をお招きし、「医療現場の対話力 緩和ケアとコーチングのアプローチ」のタイトルでご講演を頂きました。まずは緩和ケアについて、車で旅をする例になぞらえて快適な装備や安全対策があれば大変なことがおきても安心・快適に旅ができるように、緩和ケアを行うことによって苦悩が少なく、QOLの向上、がん治療を受けやすくなる、終末期における患者と家族の苦痛が少なくなるとのことでした。患者と家族が必要なのは対話です。そこで医療現場の対話力についてお話いただきました。対話とは勝ち負けはなく、新たな「創造」につながる話し合いです。医師のコミュニケーション能力として、臨機応変に言葉遣いを変更でき、自分が用いる言葉の影響をよく考える必要があること、患者の話を聞くことは医師が身につける必要のある多くの医療技術の中で一番簡単だと思われがちだが、特に上手に聞きたいと思うなら、実は困難極まりない技術の1つであるとのことでした。次にコーチングについてのお話がありました。コーチングとは問いを立てて問題を解決していくコミュニケーション法です。コーチングでは積極的傾聴が推奨されますが、相手が自分自身を聴けるようになることを目的としています。コーチングでは問いをたてますが、相手を追い詰めないような謙虚な問いかけが必要です。また共感的な対話が良いとされ、心理的安全性も大切です。コミュニケーションの本質は「伝える」ではなく「伝わる」ことであるとお話しされました。相手が見たいものを理解し、自然と相手の感情を意識し、言われたいひとになると自分の思いが伝わりやすいとのことです。また多くの気づきが得られるフィードバックの大切さについてもお話しされました。大坂先生は言葉の力、大切さを重要視され、言葉が薬になるとのお考えから「言薬」を提唱されました。言薬は誰でも処方でき、医療現場において効果的であるとお話しされました。今回学生9名、職員41名と多くの方にご参加頂きました。最後になりましたが、お忙しい中お集まり頂きありがとうございました。今後も皆様のために、実りあるセミナーを開催していきたいと考えておりますので是非ご参加下さい。

              二輪草センター副センター長 菅野 恭子