旭川医科大学病院

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病院長室から

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 病院長再任にあたりご挨拶申し上げます
                                                      旭川医科大学病院 病院長 東 信良

 病院ホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。
この度、令和7年7月1日から病院長二期目を務めることとなりました。何卒よろしくお願い申し上げます。
 これまでの2年間は、医師の働き方改革と経営改善、そして医療者不足の問題に追われた日々でしたが、この間、病院理念を「患者中心の医療を実践し、地域医療に寄与するとともに、国際的に活躍できる医療人を育成する」と改め、その理念に向かい職員が同じ方向を向き一丸となって、道北道東の最後の砦としての旭川医科大学病院の役割を果たしてまいりました。
 今、全国の大学病院はこれまでにない危機に直面しております。世の中の多くの業界は賃上げで盛り上がりを見せているようですが、医療者の賃金は総じて10年以上にわたって僅かしか上がっておらず、当院でも人事院勧告分を賃上げすると、その上昇分を診療費に転嫁できないため、巨額の赤字が発生する構造になっております。国民を守る医療に十分な手当がなされておらず、医療機器の導入を先延ばしにしたり、必要な人材を確保できずに苦しんでおります。特に、将来の医療を支える医師や看護師のヒナを育てる大学病院が苦しんでいる今日の状態は日本の将来に大きな禍根を残しかねません。

 地方においては、人口減少が急速に進み医療の担い手人口が減少し、かつ、医療者を目指す若者が減少しており、いくつかの大学病院は看護師不足によって病床の大幅な削減を強いられておりまして、旭川医科大学病院も令和7年4月から44床を休床することとなりました。
 そうした大学病院の危機が明らかになる中、特定機能病院(高度医療の提供等を行う大病院)の在り方が検討されております。多くの大学病院が今後の特定機能病院への評価とそれに基づく行政の手当に注目しており、文部科学省と厚生労働省の両省は力を合わせて、未曽有の危機に瀕している全国の大学病院にどのような手当が可能か知恵を絞っていただいている状況です。旭川医科大学病院は、特定機能病院であり、まさに広域の医療を担う重要な役割をこれまで以上に発揮するとともに、例えば、移植やゲノム医療そして大動脈緊急症や多発外傷など、多くの専門家や優秀なスタッフを揃えている大学病院でなければ実践できない高度医療を請け負う使命があります。
 そのような最後の砦としての機能を持続してゆくためには、診療の効率化を進める一方で、旭川医科大学病院がこの広い北海道で果たす大きな役割を職員一人一人が自覚し実践してゆくこと、そうした特定機能病院の使命を共感できる医師や看護師・その他のメディカルスタッフを育成して地域医療を守ることが我々の存在意義であることを、この度の特定機能病院の在り方の検討内容を見て改めて確信しております。
 また、今般の検討の中で医師派遣も特定機能病院の重要な役割として評価されることが確実視されております。開学以来、旭川医科大学が、医師派遣による広域への医療貢献を実践してきたことは、皆様ご存知のとおりでございます。今日、マルチタスク型医師の育成を掲げ、行政を交え内科の各診療領域の代表者で医師派遣を話し合う「内科合同会議」を形づくりました。加えて特定看護師育成にも注力し、地域・地方病院から看護師を受け入れ、特定看護師として育成し、各地域の医療に貢献しております。しかしながら、足元に目を向けると卒業後に旭川医科大学病院に残る初期研修医や看護学科卒業生が徐々に減少傾向にあることは、憂慮すべき傾向であると危機感をもっております。働きやすい病院として、多職種交流会などの当院で働く魅力を再認識できるような機会を増やしています。また、当院職員が生き生きと働く姿を伝えるためにSNSを開始するとともに、今年も学生を対象とした仕事体験ができるオープンホスピタルを計画し、若者たちの興味を誘う取組を進めております。
 最後になりますが、当院を受診される患者さんやそのご家族、関係者の皆様には、地域の労働人口の著しい減少の中、スタッフ不足でご不便をお感じになられている方も少なくないと心苦しく思っております。当院を含め全国の大学病院が開学以来の苦境に置かれていることについては、既にご案内のとおりですが、この状況下でも、デジタルトランスフォーメーションを進め、当院への受診のハードルを下げる努力を継続し、病棟WI-FI完備や後払いシステムの導入など、皆様を快適に受け入れるためのサービスの向上を一歩ずつ進めております。一方で、当院への過度な集中を避けるべく、市内の病院との機能分担についても旭川市幹部や市内基幹病院の病院長先生とともに協議しております。旭川医科大学病院が最後の砦としての機能を維持し続けること、地域の皆様の心と健康の支えであり続けることを貫いてまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。