研究概要Outline

毛細血管は、内皮細胞から成るチューブ構造に周皮細胞（ペリサイト）が被覆する単純な構造ですが、脈管全長の９０％以上を占める生体最大の「臓器」です。毛細血管は、体内の隅々の細胞に血液を循環させる導管としてだけでなく、ペリサイトの一部が体性幹細胞として新たに細胞を生みだす「多細胞生物」にとって不可欠な基盤臓器ともいえます。

最近、毛細血管の異常が心血管系疾患、癌、糖尿病、認知症などの加齢に連関する慢性難治性疾患の病態に深く関与することが明らかになり、毛細血管に対する関心がますます増えています。しかし、これまでの血管研究は内皮細胞を中心に進み、ペリサイト研究は遅れていました。今後、ペリサイトの理解なくして、生体で最小単位の脈管＝毛細血管を理解することはできません。

我々は、独自に樹立したペリサイトの不死化クローン細胞株を用い、毛細血管形成に関わる分子や、毛細血管に秘める新規の幹細胞を発見してきました。現在、「脈管研究クラスター」活動の中で、難治性疾患の治療につながるペリサイト研究を多角的に進めています。高齢化社会の医療・医学の課題の打開策を見出す上で、本研究に可能性を感じて参画してくれる大学院生や医師・研究者を募集しています。

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