○旭川医科大学エックス線障害予防要項

令和2年12月10日

学長裁定

(目的)

第1 この要項は,労働安全衛生法(昭和47年法律第57号),同法施行令(昭和47年政令第318号。以下「施行令」という。),電離放射線予防規則(昭和47年労働省令第41号。以下「電離則」という。)及び国立大学法人旭川医科大学安全衛生管理規程(平成16年旭医大達169号。以下「安全衛生管理規程」という。)に基づき,旭川医科大学(病院を除く。以下「本学」という。)におけるエックス線装置の取扱いを規制し,及びエックス線による放射線障害の発生を防止し,もって本学内外の安全を確保することを目的とする。

(定義)

第2 この要項において,次に掲げる用語の意義は,当該各号の定めるところによる。

(1) エックス線 1メガ電子ボルト未満のエックス線

(2) エックス線装置 電離則第10条第1項に規定するエックス線装置(エックス線を発生させる装置で,施行令別表第2第2号の装置以外のものをいう。)のうち,本学において教育及び研究の用に供するものをいう。

(3) 管理区域 電離則第3条第1項第1号に規定する区域をいう。

(4) 密閉型装置 エックス線装置の外部に管理区域が存在しないよう遮へいされた装置で外壁が閉じられた状態でなければエックス線が照射されないようなインターロックを有し,当該インターロックを容易に解除することができないような構造のもの

(5) エックス線業務従事者 本学においてエックス線装置の取扱い若しくは管理又はこれに付随する業務に従事する者として第5の規定により登録された者

(6) 部局 エックス線装置を使用する講座(分野が置かれている講座においては分野)

(委員会等)

第3 本学におけるエックス線装置による放射線障害の予防に関する事項については,旭川医科大学放射線障害予防委員会(以下「委員会」という。)において審議する。

(エックス線作業主任者)

第4 部局長は,当該部局におけるエックス線装置ごとに安全を管理し,放射線障害の発生の防止に関する監督を行わせるため,当該部局におけるエックス線装置(密閉型装置を除く。)ごとにエックス線作業主任者を置かなければならない。

2 学長は,部局長から,別に定めるエックス線作業主任者指名・指名解除願により,申請のあった者に対し,エックス線作業主任者として指名又は指名の解除を行うものとする。

3 第1項のエックス線作業主任者は,本学職員であって,エックス線作業主任者免許を有するもののうちから選任しなければならない。

4 部局長は,エックス線作業主任者を選任したときは,エックス線装置を設置する管理区域内の見やい箇所に掲示する等の方法により,当該作業主任者の氏名及びその者に行わせる事項を関係者に周知しなければならない。

5 部局長はエックス線作業主任者について,別に定めるエックス線作業環境等報告書により,年1回学長に報告しなければならない。なお,当該部局以外に所属する者をエックス線作業主任者として選任する場合は,併せてその者が所属する部局等の長に報告しなければならない。

6 エックス線作業主任者は次に掲げる業務を行う。

(1) 第8に定める関係者への周知に関すること。

(2) 電離則第10条第1項に定める照射筒又はしぼり又は同規則第11条に定めるろ過板の適切な使用に関すること。

(3) 電離則第12条各号又は同規則第13条各号に掲げる措置を講ずること。

(4) 前2号に掲げるもののほか,エックス線業務従事者が受ける被ばく線量ができるだけ少なくなるように照射条件等を調整すること。

(5) 第16の措置がその規定に適合して講じられているかどうかについて点検すること。

(6) 照射開始前及び照射中,第8の場所にエックス線業務従事者が立ち入っていないことを確認すること。

(7) 第12の放射線測定器が同項の規定に適合して装着されているかどうかについて点検すること。

(エックス線業務従事者)

第5 本学においてエックス線装置の取扱い等業務に従事しようとする者は,別に定めるエックス線業務従事者登録申請書により,学長に登録の申請を行わなければならない。

2 学長は,前項により登録申請を行った者に対し,第13に定める教育及び訓練を受講させ,並びに第14に定める健康診断を受診させ,その結果を照査した上で,エックス線業務従事者として当該業務に従事することを許可する。

3 エックス線業務従事者以外の者は,当該業務に従事し,又は管理区域に立ち入ってはならない。ただし,エックス線作業主任者の許可を受けて一時的に当該業務に従事し,又は管理区域に立ち入る者は,この限りでない。

(健康管理医)

第6 安全衛生管理規程第19条に規定する健康管理医は,エックス線業務従事者の健康を管理するものとする。

(装置の設置等)

第7 部局長は,新たにエックス線装置を設置しようとするとき又はエックス線装置を移転若しくは変更しようとするときは,別に定めるエックス線機械設置・変更・移転・廃止届により,設置の45日前までに,学長に届け出なければならない。

2 部局長は,エックス線装置を廃止しようとするときは,別に定めるエックス線機械設置・変更・移転・廃止届により,学長に届け出なければならない。

3 学長は,第1項の届出があったときは,所轄の労働基準監督署長に届出を行わなければならない。

(管理区域の明示)

第8 部局長は,エックス線装置を設置する管理区域を標識により明示しなければならない。

2 部局長は,エックス線装置を設置する管理区域(密閉型装置にあっては装置を設置する室)の見やすい場所に,放射線測定器の装着に関する注意事項,事故が発生した場合の応急の措置等の放射線による健康障害の防止に必要な事項を掲示しなければならない。

(作業環境測定等)

第9 部局長は,エックス線装置を設置する管理区域について,1月以内(エックス線装置を固定して使用する場合において,使用の方法及び遮へい物の位置が一定しているときは6月以内)ごとに1回,定期に,外部放射線による線量当量率又は線量当量について放射線測定器を用いて測定し,その都度記録し,これを5年間保存しなければならない。

2 部局長は,設置する密閉型装置の内部等,エックス線業務従事者の立ち入らない管理区域について,1年以内ごとに1回,定期に,管理区域境界における漏えい線量の測定又はエックス線装置の点検をしなければならない。

3 部局長は,当該部局における前2項の作業環境測定等の結果を,別に定めるエックス線作業環境等報告書により,年1回,学長に報告しなければならない。なお,エックス線装置を当該部局以外に設置する場合は,併せてその設置場所を管理する部局等の長に報告しなければならない。

(エックス線装置の定期検査等)

第10 部局長は,エックス線装置の設置,設置場所の変更及び改造又は安全性にかかわる修理等を行った場合並びに当該装置を初めて使用するときは,その後1年を超えない期間ごとに,1回以上定期検査を行わなければならない。

2 部局長は,前項の結果を,別に定めるエックス線作業環境等報告書により,年1回,学長に報告しなければならない。なお,エックス線装置を当該部局以外に設置する場合は,併せてその設置場所を管理する部局等の長に報告しなければならない。

(エックス線装置の使用等)

第11 部局長は,エックス線装置の使用又は検査に従事した職員の作業内容等を記録しなければならない。

2 前項の記録は,部局長が5年間保存しなければならない。

(個人被ばく線量の測定)

第12 学長は,管理区域に立ち入る者に対して放射線測定器を用い,次に定めるところにより個人被ばく線量を測定しなければならない。ただし,放射線測定器を用いて測定することが著しく困難な場合は,計算によって算出することができる。

(1) 放射線の量の測定は,外部被ばく線量について行うこと。

(2) 測定は,胸部(女子にあっては腹部)について1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量について行うこと。

(3) 前号のほか頭部及び頸部から成る部分,胸部及び上腕部から成る部分,腹部及び大腿部から成る部分のうち,外部被ばくが最大となるおそれのある部分が,胸部及び上腕部から成る部分(前号において腹部について測定することとされる女子にあっては腹部及び大腿部から成る部分)以外の部分である場合は当該部分についても測定を行うこと。

(4) 人体部位のうち外部被ばくが最大となるおそれのある部位が頭部,頸部,胸部,上腕部,腹部及び大腿部以外である場合は,前2号のほか当該部位についても測定すること。

(5) 測定は,管理区域に立ち入る者について,管理区域に立ち入っている間継続して行うこと。ただし,管理区域に一時的に立ち入る者であってエックス線業務従事者でない者にあっては,その者の管理区域における外部被ばくによる線量が,厚生労働大臣が定める線量を超えるおそれのないときはこの限りでない。

(6) 前号の測定結果から実効線量及び等価線量を算定し,別に定めるところにより記録すること。

(7) 前号の実効線量及び等価線量の算定については,4月1日,7月1日,10月1日及び1月1日を始期とする各3月間並びに4月1日を始期とする1年間及び女子(妊娠の可能性のない者を除く。)にあっては毎月1日を始期とする1月間について,当該期間毎に集計し記録すること。

(8) 前号による集計の結果,4月1日を始期とする1年間についての実効線量が20mSvを超えた場合は,当該1年間以降は,当該1年間を含む厚生労働大臣が定める期間の累積実効線量を当該期間について毎年度集計し,別に定めるところにより記録すること。

(9) 前3号の記録は,学長が30年間保存しなければならない。ただし,当該記録の対象者がエックス線業務従事者でなくなった場合又は当該記録を5年間記録した後においてこれを厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときは,この限りでない。

(教育及び訓練)

第13 学長は,エックス線による放射線障害の発生を防止するために,エックス線業務従事者に対し,この要項の周知等を図るほか必要な教育及び訓練を実施しなければならない。

2 前項の規定による教育及び訓練は,次に定めるところによる。

(1) 実施時期は,エックス線業務従事者として登録する前又は初めて管理区域に立ち入る前とする。

(2) 実施項目及び時間数は,次のとおりとする。

ア 放射線の人体に与える影響 30分以上

イ エックス線発生装置等の安全取扱い 1時間以上

ウ エックス線による障害の防止に関する法令 30分以上

3 前項の規定にかかわらず,同項第2号に掲げる実施項目の全部又は一部に関し十分な知識及び技能を有していると認められる者に対しては次に掲げる省略基準に基づき,及び旭川医科大学放射線障害予防規程第33条に定める教育及び訓練を受講している者に対しては,当該教育訓練の受講をもって前項第2号ア及びウの教育及び訓練を省略することができる。

ア エックス線作業主任者免許を有する者

イ 診療放射線技師免許を有する者

ウ 第1種放射線取扱主任者免状を有する者

エ 他の事業所等での受講歴が確認できる者

(健康診断)

第14 学長は,エックス線業務従事者に対し,次に定めるところにより健康診断を実施しなければならない。

2 健康診断は,問診に加え検査又は検診によるものとし,それぞれ次に掲げる事項とする。

(1) 問診は,放射線の被ばく歴の有無及びその状況

(2) 検査又は検診は,次に掲げる部位又は項目

ア 末しょう血液中の血色素量又はヘマトクリット値,赤血球数,白血球数及び白血球百分率

イ 皮膚

ウ 眼

2 健康診断の実施時期は次のとおりとする。

(1) エックス線業務従事者として登録する前又は初めて管理区域に立ち入る前

(2) 管理区域に立ち入った後にあっては6月を超えない期間ごと。ただし,前年度の4月1日を始期とする1年間の実効線量が5mSvを超えず,かつ,当該年度の4月1日を始期とする1年間の実効線量が5mSvを超えるおそれのない場合は,前項に規定する検査若しくは検診又はその両方を省略することができるものとし,健康管理医が必要と認めた場合のみ前項に規定する検査等を実施するものとする。

4 学長は,前項の規定にかかわらず,エックス線業務従事者が実効線量限度又は等価線量限度を超えて放射線に被ばくし,又は被ばくしたおそれのある場合は,遅滞なくその者の健康診断を行わなければならない。

5 学長は,電離則第57条第1項に定める電離放射線健康診断個人票により健康診断の結果を記録し,及び所轄の労働基準監督署長に健康診断の結果を報告しなければならない。

6 前項に規定する健康診断の結果の記録は,学長が30年間保存する。ただし,当該記録を5年間記録した後においてこれを厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときは,この限りでない。

(健康診断の結果)

第15 エックス線作業主任者は,第14に規定する健康診断の結果に基づき放射線障害を受けた者又は受けたおそれのある者を発見したときは,その障害の程度に応じて次のように区分し,学長及び部局長に報告しなければならない。

(1) 要注意 管理区域への立入り時間を短縮する必要のある者

(2) 要制限 取扱業務を制限する必要のある者

(3) 要療養 療養を必要とする者

(警報装置等)

第16 エックス線作業主任者は,エックス線装置に電力が供給されている場合には,その旨を関係者に周知させる措置を講じなければならない。

2 前項の措置は,波高値による定格管電圧が150キロボルト以下のエックス線装置を使用するときを除き,自動警報装置によらなければならない。

(災害時の措置)

第17 地震,火災その他の災害(以下「災害」という。)による緊急の事態を発見した者は,直ちに被害の拡大防止に努めるとともに,別に定める緊急連絡体制により通報しなければならない。

2 部局長は,前項の通報を受けたときは,直ちにエックス線装置を点検し,災害による被害の状況及び講じた応急措置を,速やかに学長に報告しなければならない。

(事故時の措置)

第18 エックス線装置の取扱いに関し,次に掲げる事態が発生した場合は,発見者は,直ちに被害の拡大防止に努めるとともに,別に定める緊急連絡体制により通報しなければならない。

(1) 電離則第3条の2第1項の線量限度を超え,又は超えるおそれがあるとき。

(2) エックス線業務従事者について実効線量限度及び等価線量限度を超え,又は超えるおそれのある被ばくがあったとき。

2 部局長は前項の連絡を受けた場合は,直ちに必要な措置を講じ,警察その他関係機関に通報するとともに,被害の状況及び講じた応急措置を速やかに学長に報告しなければならない。

(異常時の報告)

第19 学長は,第18第2項に規定する報告を受けた場合は,遅滞なく,その旨を所轄の労働基準監督署長に届け出なければならない。また,併せて関係機関に報告し,必要に応じて遅滞なく,警察署に届け出なければならない。

(遵守事項)

第20 エックス線装置による放射線障害の予防に関しては,本要項に定めるもののほか,関係法令の定めるところによる。

(庶務)

第21 エックス線障害予防等に関する庶務は,総務課において処理する。

(その他)

第22 この要項に定めるもののほか,エックス線障害予防等に関し必要な事項は,委員会の議を経て,学長が別に定める。

この要項は,令和2年12月10日から実施し,令和2年12月3日から適用する。

旭川医科大学エックス線障害予防要項

令和2年12月10日 学長裁定

(令和2年12月10日施行)

体系情報
第9章 安全・衛生
沿革情報
令和2年12月10日 学長裁定