○旭川医科大学病院における医薬品等の臨床研究に関する取扱規程
平成16年4月1日
旭医大達第96号
(趣旨)
第1条 この規程は,旭川医科大学受託研究取扱規程(平成16年旭医大達第52号)第12条の規定に基づき,旭川医科大学病院(以下「本院」という。)において,外部からの依頼を受けて業務として行う医薬品等の臨床研究(以下「治験」という。)に関する取扱いについて,必要な事項を定める。
2 本院における治験の実施に関する取扱いについては,医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)(以下「薬機法」という。),医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号),医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成17年厚生労働省令第36号)及び再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成26年厚生労働省令第89号)及び関連通知(以下これらを「関連法律等」という。)に定めるもののほか,この規程の定めるところによる。
(目的)
第2条 この規程は,前条の治験が,倫理的な配慮のもとに科学的及び医学的に実施されるため必要な事項を定めることを目的とする。
(定義)
第3条 この規程において,用いる用語の意義は,次の各号に定めるもののほか,関連法律等に定めるところによる。
(1) 治験 薬機法(昭和35年法律第145号)第14条第3項(同条第9項及び同法第19条の2第5項において準用する場合を含む。),第23条の2の5第3項(同条第11項及び第23条の2の17第5項において準用する場合を含む。)又は第23条の25第3項(同条第9項及び第23条の37第5項において準用する場合を含む。)の規定により,医薬品等の製造販売承認(承認事項の一部変更承認を含む。)を申請するに際し提出すべき資料のうち,臨床試験(健常人を被験者とするものを含む。)の成績に関する資料の収集を目的とする試験,旭川医科大学病院薬事委員会及び旭川医科大学病院材料部委員会において採用された製造販売後の医薬品等及び本院において使用される医療機器で,医薬品等製造業者がすでに製造販売承認された製造販売後の医薬品等の品質,有効性及び安全性の評価・分析をするための製造販売後臨床試験並びに医薬品のうち,人に由来する試料(血液,尿便,唾液等)を検体として疾病の診断に使用されることを目的とするもので,人の身体に直接に使用されることのないもの(病原性の菌を特定する培地,抗菌性物質を含有する細菌感受性試験培地及びディスクを含む。以下「体外診断用医薬品」という。)により行われる臨床研究
(2) 治験薬等 治験の対象とされる薬物(医薬品,化学的物質,生物学的物質又はそれらを含有する製剤)及びそれと比較する目的で治験に用いられている薬物(医薬品,化学的物質,生物学的物質又はそれらを含有する製剤,プラセボを含む。),治験の対象とされる機械器具等(機械器具,歯科材料,医療用品及び衛生用品)及びそれと比較する目的で治験に用いられる医療機器又は機械器具等,治験の対象とされる再生医療等製品及び治験の対象とされる体外診断用医薬品
(医薬品等臨床研究審査委員会)
第4条 本院に,治験に関し倫理的及び科学的観点からその妥当性,有用性,安全性等について総合的に審査を行うため,旭川医科大学病院医薬品等臨床研究審査委員会(以下「治験審査委員会」という。)を置く。
2 治験審査委員会に関し,必要な事項は,別に定める。
(治験の申込み)
第5条 治験を依頼しようとする者(以下「治験依頼者」という。)は,治験を依頼しようとする診療科及び中央診療施設等(以下「診療科等」という。)の長に,別に定める治験申込書(以下「申込書」という。)に実施計画を記載した資料等を添えて提出するものとする。
3 治験に要する経費は,別に定める算定要領によるものとする。
(受入れの決定等)
第6条 病院長は,前条第2項の申請書の提出があったときは,治験審査委員会の意見を聴取した上で,受入れの諾否について決定するものとする。
2 前項において,病院長は他機関の長が設置する治験審査委員会(以下「外部治験審査委員会」という。)の意見を治験審査委員会の意見とみなすことができる。なお,治験審査委員会が事前に了承した外部治験審査委員会に限るものとする。
3 契約責任者(学長)は,病院長が第1項の規定により受入れの承認を決定したときは,治験依頼者と契約を締結し,その旨を当該診療科等の長を経て,治験責任医師に通知するものとする。
4 病院長は,前条第2項の申請書の提出があった治験と同一の治験について,他の医療機関より審査の依頼があった場合,治験審査委員会に意見を求めることができる。
(治験責任医師等の資格要件)
第7条 本院における治験に携わる治験責任医師及び治験分担医師(以下「治験責任医師等」という。)並びに治験協力者の資格要件は,次のとおりとする。
(1) 治験責任医師となりうる者は,旭川医科大学(以下「本学」という。)の教授,准教授,講師及び5年以上の臨床経験を有する助教とし,治験を適正に実施しうるものであること。
(2) 治験分担医師となりうる者は,前号に規定するもののほか,本学の助教及び医員その他病院長が特に認めたものとする。
(3) 治験協力者となりうる者は,本学の薬剤師,看護師,診療放射線技師,臨床検査技師,臨床工学技士その他の医療関係者及び病院長が業務を委託した治験施設支援機関に所属し,かつ,臨床研究支援業務に従事するものとする。
2 治験責任医師は,当該治験に係る治験分担医師又は治験協力者が存する場合には,その分担する業務の一覧表を作成し,申請書に添付して病院長に提出しなければならない。
(治験責任医師等の責務)
第8条 治験責任医師等は,治験薬等の適正な使用方法を被験者に説明し,かつ,必要に応じ,被験者が治験薬等を適正に使用しているかどうかを確認しなければならない。
2 治験責任医師等は,被験者が他の医師により治療を受けている場合には,被験者の同意の下に,被験者が治験に参加する旨を当該他の医師に通知しなければならない。
3 治験責任医師等は,被験者に有害事象が生じ,治療が必要であると認めるときは,その旨を被験者に通知しなければならない。
4 治験責任医師等は,治験依頼者から治験の中止又は中断の通知を受けたときは,被験者に速やかにその旨を通知するとともに,適切な医療の提供その他必要な措置を講じなければならない。
(決定通知前の治験参加等の禁止)
第9条 治験責任医師は,治験審査委員会が治験の実施を承認し,これに基づく病院長の指示,決定が文書により通知があるまでは被験者を治験に参加させてはならない。
2 治験責任医師は,被験者に対する緊急の危険を回避するためなど医療上やむを得ない場合,又は変更が事務的事項に関するものである場合を除き,病院長からの承認の通知を得る前に治験実施計画書からの逸脱又は,変更を開始してはならない。
(被験者の選定)
第10条 治験責任医師等は,次の各号に掲げるところにより,被験者となるべき者を選定しなければならない。
(1) 倫理的及び科学的観点から,治験の目的に応じ,健康状態,症状,年齢,同意の能力等を十分に考慮すること。
(2) 同意の能力を欠く者にあっては,被験者とすることがやむを得ない場合を除き選定しないこと。
(3) 治験に参加しないことにより不当な不利益を受けるおそれがある者を選定する場合にあっては,当該者の同意が自発的に行われるよう十分な配慮を行うこと。
(被験者の同意)
第11条 治験責任医師等は,被験者となるべき者を治験に参加させるときは,あらかじめ当該治験の内容その他の治験に関する事項について,治験審査委員会で承認を得た説明文書を交付して適切な説明を行い,文書により同意を得なければならない。
2 被験者となるべき者が同意の能力を欠くこと等により同意を得ることが困難であるときは,前項の規定にかかわらず代諾者となるべき者の同意を得ることにより,当該被験者となるべき者を治験に参加させることができる。
3 治験責任医師等は,説明文書の内容その他治験に関する事項について,被験者となるべき者(代諾者となるべき者の同意を得る場合にあっては,当該者。)に質問をする機会を与え,かつ,当該質問に十分に答えなければならない。
7 治験責任医師等は,治験責任医師等及び被験者となるべき者(代諾者の同意を得ようとする場合にあっては代諾者となるべき者。)が記名捺印し,又は署名した同意文書の写しを被験者(代諾者の同意を得た場合にあっては当該者。)に交付しなければならない。
(救命的治験)
第12条 治験責任医師等は,緊急状況下における救命的治験においては,次の各号のすべてに該当する場合に限り,被験者となるべき者及び代諾者となるべき者の同意を得ずに当該被験者となるべき者を治験に参加させることができる。
(1) 被験者となるべき者に緊急かつ明白な生命の危険が生じていること。
(2) 現在における治療方法では十分な効果が期待できないこと。
(3) 被験薬及び被験機器の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあると認められること。
(4) 予測される被験者に対する不利益が必要な最小限のものであること。
(5) 代諾者となるべき者と直ちに連絡を取ることができないこと。
2 治験責任医師等は,前項に規定する場合には,速やかに被験者又は代諾者となるべき者に対して当該治験に関する事項について適切な説明を行い,治験の継続及びその他の事項について文書により同意を得なければならない。また,治験責任医師は,説明した経過とその結果を治験審査委員会に報告しなければならない。
(有害事象等報告)
第13条 治験責任医師は,治験の実施中に重篤な有害事象等の発生を認めたときは,直ちに当該診療科等の長を経て重篤な有害事象に関する報告書をもって病院長に報告するとともに,治験依頼者に通知しなければならない。
2 病院長は,前項の報告書を受理したときは,治験審査委員会に意見を聴くなど,当該治験責任医師に対し適切な指示を与える等の必要な措置を講ずるものとする。
2 病院長は,前項の中止又は中断の報告書を受理したとき又は治験依頼者からの重篤で予測できない副作用等の通知により当該治験の中止又は中断が適当と認めたときは,別に定める様式により,その旨を治験依頼者及び治験審査委員会に通知するものとする。
3 病院長は,治験依頼者から治験の中止又は中断の通知を受けたときは,別に定める様式により,その旨を治験審査委員会及び当該診療科等の長を経て治験責任医師に通知するものとする。
(治験の重大な変更等)
第15条 治験責任医師又は治験依頼者は,次に掲げる治験に関する重大な変更等については,速やかに文書をもって病院長に報告しなければならない。
(1) 被験者に対する緊急の危険を回避するなど医療上やむを得ない事情のために行った治験実施計画書からの逸脱又は変更
(2) 被験者に対する危険を増大させるか又は治験の実施に重大な影響を及ぼす治験に関するあらゆる変更
(3) 被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある新たな情報
(4) 治験期間中,審査の対象となる文書が追加,更新又は改訂された場合
2 病院長は,前項の報告書を受理したときは,直ちに治験審査委員会に報告するものとする。
(実施状況の報告)
第16条 治験責任医師は,治験の実施状況の概要を年に1回,又は治験審査委員会の求めに応じて,当該診療科等の長を経て病院長に文書により報告しなければならない。
2 病院長は,前項に定める申請書が提出されたときは,当該治験を継続して行うことの適否について,治験審査委員会の意見を聴くものとする。
3 病院長は,次の各号に掲げる報告等を受けたときは,当該治験を継続して行うことの適否について,治験審査委員会の意見を聴くものとする。
(1) 治験依頼者から重篤で予測できない副作用等についての通知
(2) 治験責任医師から重篤な有害事象についての通知
(3) 治験責任医師から治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認められる情報を入手し,説明文書を改訂した旨の報告
(4) その他病院長が必要と認めたとき。
(治験の終了報告)
第18条 治験責任医師は,治験を終了したときは,別に定める様式により,終了報告書を作成し,実施結果の概要を添えて,当該診療科等の長を経て病院長に提出しなければならない。
2 病院長は,前項の報告書を受理したときは,治験審査委員会及び治験依頼者に別に定める様式により通知するものとする。
(治験薬等の管理)
第19条 病院長は,本院に治験依頼者から提供を受けた治験薬等を管理・保管させるため治験薬等管理者を置き,旭川医科大学病院臨床研究支援センター規程(平成27年旭医大達第9号)第12条第1項に定める試験薬等管理者をもって充てる。
2 治験薬等管理者は,第11条の同意書を確認する前に治験薬等の払出しをしてはならない。
3 治験薬等管理者は,治験薬等の受払いを記録し,適正な管理を行うものとする。
4 治験薬等管理者は,治験依頼者より提供された治験薬等に関する情報を管理し,治験責任医師等に適切な指導を行うものとする。
(記録等の保存)
第20条 治験に関する次の各号に掲げる記録等の保存期間は,別に定めのあるもののほか,関連法律等に定める期間とする。
(1) 治験の承認申請関係書類
(2) 治験の契約に関する関係種類
(3) 治験審査委員会の審議及び調査結果に関する報告書等
(4) 被験者の同意書及び同意説明書
(5) 有害事象等に関する報告書等
(6) 被験者の診療に関する記録
(7) 治験薬等の管理及び受払等に関する記録
(記録の閲覧)
第21条 病院長は,治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに治験審査委員会による調査が実施される際には,モニター,監査担当者又は治験審査委員会の求めに応じ,治験に関する記録を閲覧に供するものとする。
2 前項の記録のうち,前条第1項第6号の閲覧に関する手続きは,旭川医科大学病院診療記録等閲覧及び貸出細則によるものとする。
(秘密保持)
第22条 治験責任医師等及び治験審査委員会委員その他治験に関する業務に携わる者は,当該治験に関する秘密を保持しなければならない。
(治験事務局)
第23条 治験に係る業務に関する事務は,臨床研究支援センターが行うものとする。
(準用)
第24条 関連法律等に規定された製造販売後調査等のうち「使用成績調査」及び「特定使用成績調査」等については,この規程に準じて取扱うものとする。
2 自ら治験を実施しようとする者が行う治験については,この規程に準じて取扱うものとする。
(雑則)
第25条 この規程に定めるもののほか,治験に関し必要な事項は,病院長が別に定める。
附則
この規程は,平成16年4月1日から施行する。
附則(平成16年7月28日旭医大達第192号)
この規程は,平成16年7月28日から施行する。
附則(平成17年4月1日旭医大達第42号)
この規程は,平成17年4月1日から施行する。
附則(平成17年9月14日旭医大達第54号)
この規程は,平成17年9月14日から施行する。
附則(平成17年10月12日旭医大達第59号)
この規程は,平成17年11月1日から施行する。
附則(平成19年4月1日旭医大達第17号)
この規程は,平成19年4月1日から施行する。
附則(平成27年1月14日旭医大達第13号)
この規程は,平成27年1月14日から施行する。
附則(平成30年1月10日旭医大達第3号)
この規程は,平成30年1月10日から施行する。
附則(平成30年6月13日旭医大達第35号)
この規程は,平成30年6月13日から施行する。
附則(令和2年4月8日旭医大達第48号)
この規程は,令和2年4月8日から施行する。
附則(令和3年9月3日旭医大達第146号)
この規程は,令和3年9月3日から施行し,令和3年4月1日から適用する。
附則(令和6年6月12日旭医大達第74号)
この規程は,令和6年6月12日から施行する。