旭川医科大学 50周年記念サイト

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Cross Talk開学50周年
記念対談

旭川医科大学の
「過去×現在×未来」

昭和48年(1973年)に道北・道東の地域医療に貢献すべく設立された本学。
現学長と理事に、これまでの歩みと次の50年を見据えて語っていただきます。

国立大学法人 旭川医科大学 学長 西川 祐司 NISHIKAWA Yuji
旭川医科大学医学部卒。秋田大学大学院医学系研究科病理病態医学講座准教授を経て2009年から旭川医科大学病理学講座(腫瘍病理分野)教授。2022年4月に旭川医科大学学長就任。
旭川医科大学 地域医療担当 理事 佐古 和廣 SAKO Kazuhiro
北海道大学医学部卒。旭川医科大学脳神経外科講師などを経て、名寄市立総合病院長、16年から4年間、名寄市立大学長などを歴任。2022年4月に旭川医科大学理事就任。北海道の地域医療構想アドバイザーなども務める。

Chapter 01まずは改めて50年の歩みについて教えてください。

西川

昭和40年代に道北・道東の医師不足解消や医療水準の向上を目指すために医科大学を設置しようという機運が高まり、1973(昭和48)年に新設の国立医科大学として旭川医科大学が創設されました。スタートしたのが11月でしたので、第1期生は3月までに1年生のカリキュラムの多くを消化する必要があり、大変忙しい学生生活だったと聞いています。私は1978(昭和53)年に6期生として入学しましたので、私たちが入学して初めて全学年が揃ったわけです。生まれて間もない大学であり、これから良い大学を作り上げようという意欲が大学全体に満ちていて、学生たちはお互いに高め合い、先生たちも非常に熱心だったと記憶しています。

1976(昭和51)年には医学部附属病院が開院し、1979(昭和54)年には大学院医学研究科、1996(平成8)年には医学部看護学科が設置されました。本学は2023(令和5)年11月5日に開学50周年を迎えますが、道北・道東の医療を支えるという私たちのミッションの重要性を改めて確認し、学生教育、医師及び看護職者の養成、医科大学としての研究活動など、新生旭川医科大学が歩むべき道を、今一度考え直す転換点であるとも認識しています。

佐古

当時、脳神経外科学講座の開設がほかの科より少し遅れたため、私が旭川医科大学に赴任したのは1978(昭和53)年で、西川学長が入学された年と同じ年です。その頃はスタッフの皆さんが若かったこともあり、みんなで旭川医科大学を作っていくという熱気にあふれていました。当時は卒業生の8、9割が旭川医科大学に残り、それぞれの医局に入局しました。しかし、道内の中核病院はすでに北海道大学や札幌医科大学の関連病院であり、それぞれの大学の医師がスタッフとして働いていましたので、旭川医科大学は関連病院を開拓することから始めなくてはいけませんでした。今では想像もつきませんが、大学側から診療科の開設をお願いに行きました。その苦労がやがて実を結び、北海道の特に道北・道東で本学の卒業生が活躍し、地域医療に大きく貢献しています。

Chapter 0250年の歴史を振り返って率直な感想をお聞かせください。

西川

私自身は1984(昭和59)年に旭川医科大学を卒業した後、大学院での研究、助手勤務を経て、アメリカに研究留学し、その後秋田大学で病理学の研究や教育を続けていました。旭川を離れていた16年間は常に母校のことが気になっていたのですが、もう旭川に帰ることはないだろうと思っていました。しかし、さまざまな偶然が重なって2009(平成21)年に本学に戻ってきました。そして50周年を迎える節目に学長に就任しましたので、もう一度原点に回帰して、さらに良い大学を目指していきたいと思っています。

佐古

私は旭川医科大学に赴任して以来、45年以上本学に関わってきました。ずいぶん長い時間が経ったことに感慨を覚えています。20年程度は助手・講師として本学に勤めておりましたが、その間は診療や研究など自分のことだけで精一杯で大学の将来とか地域医療の今後を考えるという余裕もありませんでした。その後、大学から外に出て、医師の派遣を受ける立場として大学を見るようになり、医師の養成、地域医療において旭川医科大学の果たしている役割の大きさを実感いたしました。

Chapter 03地域を支えてきたこれまでの取り組みや想いをお聞かせください。

西川

地域医療を支えることが旭川医科大学にとって最も重要なミッションです。そのため地域医療に従事する卒業生をいかにして増やすかということに力を入れてきました。具体的には、全国に先駆けて2008(平成20)年から地域枠入試を開始し、将来地域医療を支えていくことを念頭に置いて入学する学生を募集しました。また、入学後早期、すなわち1,2年生の時期に地域医療の現場を見学させたり体験するカリキュラムを編成し、地域医療の重要性を早くから学生が理解できるようにしています。

佐古

道北・道東の地域医療を担うたくさんの医師を旭川医科大学は養成してきました。特に医師の少ない地域での地域枠医師の活躍は北海道の地域医療を支えています。また、中核医療機関の病院長などに本学の卒業生も増えてきていますが、そういう意味でも地域医療の発展に成果を上げてきたと言えると思います。また、道の保健福祉部や保健所長など、行政を担っている方々にも旭川医科大学出身者が多く、臨床の現場だけではなく医療行政に携わる人材を育成してきたことも評価されると思います。

Chapter 04これからの50年を見据えたビジョンをお聞かせいただけますか。

西川

私は子どもの頃から研究者に憧れており、中学生の頃に父親の顕微鏡で雪の結晶の撮影などもしていましたので、顕微鏡で組織を観察することの多い病理学の道に進んだのも自然の成り行きだったように思います。大学院では脳の循環障害の研究を、その後は肝疾患の病態の研究などを行ってきました。現在、大学での研究力の低下は本学だけでなく日本全体の問題となっています。研究活動は大学の根幹であると考えており、今後、本学では個性豊かな基礎研究をしっかり追求できる研究環境を整えていきたいと思っています。基礎講座、臨床講座でどのような研究が行われ、それぞれが何を目指しているのか、情報共有しながら講座間の共同研究も推奨していきます。現在、複数のチームが免疫、腫瘍、脈管などのテーマで研究を積極的に進めていますので、関連のあるチームをクラスター化して協力し合えば、よりレベルの高い研究を進めていけるのではないかと考えています。

佐古

私はこれからの旭川医科大学には、基礎研究は勿論ですが臨床研究にも力を入れていただきたいと願っています。わが国の基礎研究は世界の中でもトップクラスですが、橋渡し研究や臨床研究の評価は低いのが現状です。札幌のような大都市は転勤者も多く、人の移動が激しいですが、道北・道東エリアは人の移動が少ない分、患者さんや対象者を長期的に観察できる大きなメリットがあります。関連医療機関の協力も得ながら、医師主導型臨床研究や新薬の臨床試験を積極的に推進し、日本のトップをめざして欲しいと思います。

おふたりとも貴重なお話を
ありがとうございました!

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