教育研修講演「理学療法は身体バランスとどうつきあってきたか」
たかはし まさあき![]() |
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略 歴 | ||||||||||
1947年静岡県は大井川河口の田舎町に生まれる。70年安保紛争はなやかなりし京都で大学生活を送る。批判経営学。ひょんな機会にめぐまれ、ヘルメットを脱いで半年間を米国の片田舎の大学で過ごす。その影響もあって大学卒業後、都立府中リハビリテーション学院に入学し、理学療法士となる。都立大塚病院で臨床の手ほどきを受け、1974年から2年2ヶ月間、東京都の奨学金でアイオワ大学の大学院に学ぶ。奨学金の条件により帰国後は母校で理学療法を教える。1982年創設されたばかりの北海道大学医療技術短期大学部に赴任。以来15年間教鞭を執る。1992年に在外研究員としてミネソタ大学で10ヶ月を過ごし、米国理学療法の変化をつぶさに観察し多くの示唆を得る。1997年昭和大学医療短期大学の設立に際し横浜に移動。2002年に昭和大学保健医療学部への昇格がなされ、学科主任として現在に至る。 |
講演要旨
わが国の法律は理学療法の目的を「主として基本的動作能力の回復を図る」と定めている。基本的動作能力とは姿勢の保持や移動動作が可能であることと解釈されている。すなわち、重力という常に鉛直方向にかかる外力下で、骨と関節で作られた多節リンク機構の身体は、筋という内部に持つ力源を使って重心を高く保ったままその姿勢を保持し、また身体を安全に移動させる能力があるというのである。このときの最重要課題は転倒しないようにいかにバランスを取るかである。およそ40年前にわが国の理学療法士は誕生したが、「身体バランス=転倒しないこと」とは最初から切っても切れない縁が定められていた。 |
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