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口述演題プログラム |
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内部障害 12:00〜13:00 座長:帯広厚生病院 島田 勝規 |
1.当院における外来COPD患者に対する包括的リハビリテーションの取り組み
医療法人渓仁会手稲渓仁会病院リハビリテーション部 森谷茂樹
2.在宅慢性閉塞性肺疾患患者に対する「ながいき呼吸体操」を用いた
宅運動プログラムの有用性
札幌医科大学大学院保健医療学研究科 山中悠紀
3.人工呼吸器管理を経過したギランバレー症候群4症例の検討
医療法人医仁会中村記念病院理学療法科 谷口百恵
4.間歇的及び持続的胸椎モビライゼーション手技が心拍変動におよばす影響
札幌医科大学大学院保健医療学研究科 猪原康晴
5.COPD患者における身体組成についての基礎研究
医療法人社団杏和会おびひろ呼吸器科内科病院 戸津喜典
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生活環境支援 12:00〜13:00 座長:札幌秀友会病院 石岡 裕子 |
6.渦電流式変位センサを利用した無負荷型関節運動入力デバイスの検討
札幌医科大学大学院保健医療学研究科 宮坂智哉
7.滝川市における介護保険住宅改修の苦情内容について
滝川市中央在宅介護支援センター 村井新知
8.在宅脳卒中患者の下肢装具使用状況について
クラーク病院リハビリテーション部 芳賀貴幸
9.施設退所後の若年障害者への訪問リハビリテーションの関わり
〜自己決定の回復と親の介護負担〜
社会福祉法人楡の会訪問看護ステーション 五十嵐大貴
10.回復期リハビリテーション病棟退院時の介護保険サービス利用状況に関する調査
医療法人社団カレスアライアンス日鋼記念病院リハビリテーションセンター 木下 結
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中枢神経 12:00〜13:00 座長:旭川リハビリテーション病院 稲田 亨 |
11.脳卒中急性期におけるQOL 〜SF36を用いて〜
函館脳神経外科病院理学療法科 石田亮介
12.麻痺側上肢機能に固執する通所リハ利用者へのマシントレーニングの
導入と維持期リハについて
介護老人保健施設アートヒルズ愛全病院リハビリテーション部 児玉健宏
13.aprataxin遺伝子変異689insT患者の小脳症状、末梢神経症状に関する報告
北海道済生会西小樽病院 堀本佳誉
14.運動失調症状を持つ患者におけるheel-knee testの再現性と歩行能力との関連性
千歳豊友会病院リハビリテーション科 久保田健太
15.視床出血での体性感覚誘発磁界を用いた麻痺側上肢機能回復予測
北海道千歳リハビリテーション学院理学療法学科 吉田英樹
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骨・関節 930〜10:30 座長:札幌円山整形外科病院 山崎 肇 |
16.上腕骨結節間溝を中心とする肩の痛みが改善した肩麻痺症例について
市立小樽第二病院理学療法部門 古川雅一
17.胸部術後患者の肩甲骨周囲の筋緊張について
医療法人渓仁会手稲渓仁会病院 山崎彰久
18.肩甲骨面の異なる拳上位における外旋が肩甲下筋の伸張に与える影響
〜新鮮遺体肩を用いた研究〜
札幌医科大学大学院保健医療学研究科 村木孝行
19.反復拳上動作が肩甲骨周囲筋に与える筋疲労について
札幌円山整形外科病院リハビリテーション科 佐藤史子
20.肩甲帯の筋活動に関して 〜不安定状態との比較〜
札幌円山整形外科病院リハビリテーション科 山崎 肇
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小児 9:30〜10:30 座長:国立療養所八雲病院 三浦 利彦 |
21.理学療法介入を多く必要とする痙直型脳性麻痺児(GMFCS3)の長期経過
北海道立札幌肢体不自由児総合療育センター 西部寿人
22.Positioning実施時間がwindswept deformityに及ぼす影響
北海道済生会 西小樽病院 高田千春
23.姿勢保持具の導入により呼吸状態が改善された重症心身障害児の1症例
重症心身障害児(者)施設 北海道療育園 川村里美
24.当院NICUにおける呼吸理学療法の検討
〜体位排痰と呼吸介助を中心に行った3症例を通じて〜
医療法人社団カレスアライアンス天使病院リハビリテーション科 古田 仁
25.当院小児科における呼吸理学療法実施状況とそれに関する検討
医療法人徳州会 札幌徳州会病院リハビリテーション科 加藤由香梨
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基礎 10:30〜11:30 座長:北海道大学医学部保健学科 寒川 美奈 |
26.後肢懸垂及び懸垂肢に関節固定を施行したラットヒラメ筋の引っ張り特性
札幌医科大学大学院 保健医療学研究科 高氏 修平
27.ホリゾンタルレッグプレス運動の筋電図学検討 〜立ち上がり・歩行動作との比較〜
旭川リハビリテーション病院リハビリテーション課 塚田鉄平
28.ハンドヘルドダイナモメーターを用いた体幹筋力測定
ー座位・臥位での再現性の比較ー
北海道厚生連 旭川厚生病院理学療法技術部門 大久保慧子
29.ADL動作における体幹筋活動
北海道千歳リハビリテーション学院 平山雅教
30.体幹深部筋強化に対する超音波エコーと筋電図学的検討
北海道千歳リハビリテーション学院 徳富みずき
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教育・管理 10:30〜11:30 座長:旭川三愛病院 七条 克哉 |
31.急性期病院における回復期リハビリテーション病棟の現状
労働者健康福祉機構美唄労災病院 勤労者腰痛・脊損センター 川瀬真史
32.リハビリ部門リスクマネジメントマニュアル作成の試み
北海道勤労者医療協会札幌北区病院リハビリテーション科 飯尾紗綾香
33.個別リハビリテーションの経時変化
介護老人保健施設 あるかさる 相田雄一
34.訪問リハビリテーションに従事しているスタッフの実態調査
時計台病院 近藤 淳
35.医療技術者養成のためのMobile遠隔教育システムの検討とその応用
樹恵会 石田病院 三井雅史
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テーマ演題プログラム |
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バランス(足に関して) 9:30〜10:30 |
1.足底屈筋群エクササイズが重心動揺に及ぼす影響
札幌円山整形外科病院 阿久澤 弘
2.足底刺激が片脚立位に及ぼす影響
札幌円山整形外科病院リハビリテーション科 佐藤 進
3.足趾へのストレッチングが前方へのバランスと足底の
2点識別覚に及ぼす影響について
旭川リハビリテーション病院リハビリテーション課 渡辺暁子
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バランス(反応に関して) 10:30〜11:30 |
4.立位から片脚立位施行時の筋活動:テンポの違いによる筋活動開始への影響
北海道千歳リハビリテーション学院 隅元 庸夫
5.脳卒中片麻痺患者における乗馬シミュレータの効果について
〜動的バランス・歩行能力からの検討〜
旭川リハビリテーション病院リハビリテーション課 山崎貴央
6.転倒予防に関する基礎的検討;下肢反応時間の加齢変化
北海道千歳リハビリテーション学院 伊藤 俊一
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ポスタ−演題プログラム |
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中枢神経 9:30〜10:30 座長:旭川リハビリテーション病院 高橋 浩史 |
1.脳卒中急性期リハに関する調査
手稲渓仁会病院 リハビリテーション部 佐々木亮介
2.当院における脳卒中急性期リハの現状 ープロトコール立案に向けてー
手稲渓仁会病院 リハビリテーション部 秋元健太郎
3.自立歩行に至らなかった要因 ー回復期病棟入棟時予測の検討ー
日鋼記念病院リハビリテーションセンター理学療法科 三政辰徳
4.当院での装具作製状況について 〜回復期リハビリテーション病棟開設後前後の比較〜
クラーク病院リハビリテーション部 橋本晃広
5.外傷性脳損傷急性期の尖足防止用足関節装具
札幌医科大学附属病院リハビリテーション部 澤田篤史
6.在宅脳卒中患者のQOL評価 ーSF-36 を用いて―
函館脳神経外科病院 リハビリテーション科理学療法課 折野 美
7.小脳性運動失調の対する認知課題適用の試み
函館脳神経外科病院 中田俊博
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心疾患 9:30〜10:30 座長:星が浦病院 佐藤 志穂 |
8.当院における心臓血管外科疾患リハビリテーションパスのバリア分析と対策
医療法人孝仁会星が浦病院 鯖戸尚子
9.心臓血管外科術後患者における歩行阻害因子の検討
北海道社会保険病院 リハビリテーション部 諌山佳代
10.当院における急性心筋梗塞の心疾患リハビリテーション
医療法人カレスサッポロ北光記念病院 近藤和夫
11.維持期リハビリテーションの低心機能参加者の運動能力について
北海道循環器病院 理学療法科 秋田孝郎
12.体力年齢の優れた高齢急性心筋梗塞の1例
医療法人 北海道循環器病院 中嶋麻希
13.重症心不全、冠動脈バイパス術後 、植込み型除細動器を用いた症例の
リハビリテーション経験
手稲渓仁会病院リハビリテーション部 佐藤義文
14.ICD植込み患者に対する理学療法の経験
医療法人社団カレスサッポロ 北光記念病院 一戸明日佳
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生活環境支援 9:30〜10:30 座長:帯広協会病院 森 茂樹 |
15.介護者と介護負担感の関係について
医療法人禎心会老人保健施設ら・ぷらーざ リハビリテーション科 藤原 直
16.高齢社会における住宅改善について ー住宅改善に消極的な高齢者の意識ー
介護老人保健施設エバーグリーンハイツ室蘭 蛭間基夫
17.住宅改修支援における理学療法士の役割について
介護老人保健施設エバーグリーンハイツ室蘭 蛭間基夫
18.富良野地域における多目的トイレの構造に関する検討
富良野協会病院 リハビリテーション科 中川まり子
19.慢性期高齢有疾患者に対する柔軟性向上訓練がADLに与える影響
医療法人社団静和会 平和リハビリテーション病院 伊藤 梢
20.老人保健施設において早期在宅復帰が可能となった症例
介護老人保健施設 グラーネ北の沢 鉢呂享平
21.湯けむり倶楽部7年の歩みと展望 〜私を温泉に連れてって〜
禎心会病院リハビリテーション部 芳賀いずみ
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整 形 10:30〜11:30 座長:町立長沼病院 木田 貴英 |
22.棘下筋のストレッチング方法についての検討
〜新鮮遺体肩を用いた定量的分析〜
札幌医科大学大学院保健医療学研究科 村木孝行
23.肩甲上腕関節のモビライゼーションが棘上筋腱に与える影響
〜新鮮遺体肩を用いた検討〜
札幌医科大学大学院保健医療学研究科 村木孝行
24.Colles骨折の短期予後調査
市立函館病院 医局 リハビリセンター 碓井孝治
25.急性腰痛患者における腰背部筋断面積の検討 〜下肢症状の有無による違い〜
我汝会 えにわ病院リハビリテーション課 石田和宏
26.当院における人工膝関節全置換術後の膝屈曲可動域の経時的推移
ー術後早期の重要性ー
函館中央病院 リハビリテーション科 井野拓実
27.人工膝関節全置換術後肺塞栓症を合併した一症例
勤医協中央病院リハビリテーション科 湯野健一
28.高校生ラグビーフットボール選手のスポーツ傷害に対するアンケート調査
札幌円山整形外科病院 リハビリテーション科 仲澤一也
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症例・物理療法 10:30〜11:30 座長:北都保健福祉専門学校 小林 浩 |
57.重症胸部外傷患者に対する呼吸理学療法の経験
札幌医科大学附属病院リハビリテーション部 谷口志穂
58.救急医療現場における陽・陰圧体外式人工呼吸器RTXの使用経験
札幌医科大学附属病院リハビリテーション部 管野敦哉
59.多剤耐性肺結核患者における26年間の運動機能と画像所見の経過について
北海道苫小牧病院リハビリテーション室 河島常裕
60.加速度計を用いた消費エネルギー量の計測
〜車椅子利用者に対する測定の妥当性〜
北海道社会保険介護老人保健施設サンビュー中の島 伊藤晃範
61.ハムストリングスの伸張性に対する深部温熱効果について
札幌医科大学 大学院 保健医療学研究科 高崎博司
62.小豆を材料とした簡易式ホッとパックの経時的温度変化
北海道千歳リハビリテーション学院 白銀 暁
63.楽々お出かけマップのご紹介(学会特別企画)
大西病院 対馬亜由美
*演題63はポスター展示のみ
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転倒予防 |
36.転倒予防教室におけるPTの役割と今後の課題
ー道内80市町村へのアンケート調査より―
北海道千歳リハビリテーション学院理学療法科 村上 亨
37.転倒予防教室終了後のアンケート調査
富良野協会病院 リハビリテーション科 中山良人
38.猿仏村転倒予防教室におけるホームプログラム内容の検討
〜貯筋通帳を活用して〜
医療法人禎心会 老人保健施設ら・ぷらーざ リハビリテーション科
長山 睦
39.「高齢者筋力トレーニング事業」に関わる取り組み 〜第2報〜
介護老人保健施設グラーネ北ノ沢 阿部 史
40.男女高齢者に対し転倒予防のためのスパイラルテーピング処置とその影響
医療法人英生会 野幌病院 リハビリテーション科 大畠純一
41.端坐位での側方傾斜刺激に対する坐位保持の検討
我汝会 えにわ病院 水村 瞬
42.脳卒中片麻痺患者における音刺激後の片脚立位動作反応時間と歩行能力の関連性
千歳豊友会病院リハビリテーション科 福井瑞恵
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脊椎関係 13:00〜14:00 座長:麻生整形外科病院 佐々木祐二 |
43.頚部疾患患者に対する頚部筋力測定法
我汝会 えにわ病院 リハビリテーション科 石田和宏
44.頚部疾患患者における頚部筋力の検討
我汝会 えにわ病院 リハビリテーション科 石田和宏
45.腰椎後方除圧手術後の残存症状に対する超音波療法の効果
〜第2報:RCTによる分析〜
我汝会 えにわ病院 リハビリテーション科 石田和宏
46.脊髄損傷者における歩行について
ー歩行の実用性と酸素効率の関係および退院後の経時的変化ー
労働者健康福祉機構美唄労災病院勤労者腰痛/脊損センター 佐藤貴一
47.ウィルチェアーラグビーチーム結成への取り組み
特殊法人労働者健康福祉機構美唄労災病院 遠山あづさ
48.不全頸髄損傷に複合靭帯損傷を合併した1症例
市立函館病院リハビリセンター 森山 武
49.美唄労災病院の脊髄損傷リハビリテーションの50年
美唄労災病院 腰痛/脊損センターリハビリテーション科 牧野 均
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システム 13:00〜14:00 座長:森山メモリアル病院 東海林拓哉 |
50.当院回復期リハビリテーション病棟の現状 〜転帰に影響を与える因子〜
札幌秀友会病院 リハビリテーション科 石岡裕子
51.退院後早期における脳卒中患者の問題点と外来リハビリテーションの課題
クラーク病院リハビリテーション部 森長俊晃
52.在宅脳卒中患者に対する外来リハビリテーションについて
〜退院後早期に問題を抱えた症例を通じて
クラーク病院 清水麻奈美
53.当院通所リハビリにおける個別リハビリの役
北海道勤労者医療協会 札幌北区病院 リハビリテーション科 吉川真美
54.身体障害者手帳取得者のQOL調査 ー呼吸機能障害を対象としてー
手稲渓仁会病院リハビリテーション部 長谷陽子
55.リハビリテーション科と病棟との情報共有について
〜道南支部におけるアンケート調査から〜
医療法人社団 函館脳神経外科病院 大面寮子
56.理学療法士の理念と達成
札幌学院大学人文学部人間科学科 井上秀美
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小児 13:00〜14:00 座長:旭川療育センター 井上 和広 |
29.外来訓練における家庭訓練指導の実態調査アンケート第一報 〜結果
北海道立旭川肢体不自由児総合療育センター 斎藤由希
30.外来訓練における家庭訓練指導の実態調査アンケート第二報
〜年齢層別、粗大運動能力分類別考察〜
北海道立旭川肢体不自由児総合療育センター 斎藤大地
31.当院における発達障害児の援助
医療法人社団カレス アライアンス 日鋼記念病院リハビリテーションセンター
理学療法科 高橋徳子
32.地域病院における小児療育支援の実践報告
〜痙直型両麻痺児の一症例を通じて〜
富良野協会病院 リハビリテーション科 千葉 恒
33.加齢による機能低下が見られた施設生活者への理学療法
ー対人交流促進が好結果を及ぼした1症例ー
重症心身障害児(者)施設北海道療育園 川村里美
34.急性脳炎発症後の初期理学療法
札幌医科大学 保健医療学部 理学療法学科 小塚直樹
35.重症心身障害児・者における骨密度測定とその傾向
札幌あゆみの園 診療部 生活療法課 岡山 愛
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口述演題抄録 |
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大ホール 口述演題 1(1〜5) 10月30日(土) |
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内部障害 12:00〜13:00 座長:帯広厚生病院 島田 勝規 |
1) 当院における外来COPD患者に対する包括的リハビリテーションの取り組み
1医療法人 渓仁会 手稲渓仁会病院 リハビリテーション部
森谷 茂樹1、駿河 智美1、佐藤 義文1、青山 誠1
【はじめに】COPD患者において、%IBW90%以下の「痩せ」の患者が多く認められ、体重減少と関連した予後不良、呼吸筋障害の対策として近年栄養指導が行われるようになっている。当院において我々は、呼吸器科外来通院中のCOPD患者に対し、栄養指導を含めた包括的呼吸リハビリテーションを行い、有効性について検証した。
【対象・方法】平成15年8月から平成16年2月までに当院呼吸器外来に通院し、栄養指導及び、呼吸理学療法を行ったCOPD患者。開始当初対象は10名であったが、症状の増悪などにより4名が脱落した。対象6名、男性4名、女性2名平均年齢75±5歳。栄養指導は包括的な栄養指導(食生活環境・食事摂取状況・食習慣など)を考慮して行われた。呼吸理学療法は下肢筋力訓練、呼吸法訓練を毎日1回行うように指導し、月1回の受診時に実施状況を確認した。栄養指導開始前後での体重、BMI、%IBW、下肢筋力、上腕・大腿周径、6MD、%VC、ピークフローなどの変化を比較した。T検定を用いて統計処理を行い、有効性について考察した。
【結果】初回指導時から、6ヶ月後には平均の%IBW値が76.7%から79.6%へ改善した。また、下肢筋力およびピークフロー値もそれぞれ(P<0.05)と統計的に有意に改善が認められた。
【考察】最近の研究では、栄養指導単独の有効性は否定的であり、また運動療法のみを施行すると栄養障害の進行をきたすという報告もある。我々は包括的な呼吸リハビリテーションを目標に栄養指導と運動療法を組み合わせて行い、有効性について検証した。一般的な食品バランスにとらわれず、適切な間食や経口栄養剤を利用することにより効率的な栄養摂取が可能となりその結果%IBW値が増加した事が考えられた。また、適切な運動処方、呼吸法指導により徐脂肪体重が増加し、下肢筋力およびピークフロー値が改善したと考えられた。
2) 在宅慢性閉塞性肺疾患患者に対する「ながいき呼吸体操」を用いた
宅運動プログラムの有用性
1札幌医科大学大学院 保健医療学研究科、2札幌医科大学 保健医療学部
山中 悠紀1、石川 朗2、宮坂 智哉1、戸津 喜典1、長谷 陽子1、乾 公美2
【目的】積雪寒冷地における医療、福祉の現状を考慮すると、在宅慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者が専門家の指導を逐次受けず、継続的かつ安全に実施できる運動処方の必要性は高い。そこで我々は運動習慣を促すことを目的として「ながいき呼吸体操」を用いた在宅運動プログラムを考案し、その有効性と実用性を検討した。
【対象】在宅COPD患者27名(年齢:76.2±6.6歳、FEV1.0:1.26±0.57L)で体操群21名、対象群5名である。
【方法】体操群のみに「ながいき呼吸体操」を直接指導後、体操を記録したビデオを配布し冬季6ヶ月間在宅で実施してもらい、体操実施前後で両群の肺機能、6分間歩行距離(6MD)、COPD患者の特異的HRQL(health related QOL)評価表であるCRQよりQOLを測定し、得られたデータを比較することで「ながいき呼吸体操」の有用性を検討した。
【結果】肺機能に体操実施前後で有意差を認めなかった。6MDは対照群で低下(294.8±86.4m→287.6±90.4m)を示したが、体操群では増加(329.3±112.4m→369.1±259.3m)を認めた。CRQは体操群にのみDyspnea、Emotional、Masteryの3項目で有意な改善を認めた(D:20.0±8.8→23.7±8.8、E:34.3±9.5→37.9±6.3、M:20.2±4.8→23.0±3.7)。なお、体操群はほぼ全員が週5回以上の頻度で体操を実施していた。
【結論】三浦らは在宅呼吸リハの実施率について呼吸法、ストレッチ体操、歩行訓練、筋力訓練の順で実施率が高く、呼吸法と筋力訓練では実施率に有意差を認めた報告している。今回、我々は呼吸法と体操を組み合わせた「ながいき呼吸体操」を実施してもらうことでほぼ全員に体操の継続を認めた。また、体操群で運動耐容能の維持と、QOLの有意な改善を認めた。よって、「ながいき呼吸体操」は在宅COPD患者の冬季在宅運動プログラムとして実用性と一定の有効性を持つと考えられる。
3) 人工呼吸器管理を経過したギランバレー症候群4症例の検討
1医療法人医仁会中村記念病院 理学療法科、2医療法人医仁会中村記念病院 脳神経外科、3医療法人医仁会中村記念南病院 リハビリテーション部、4札幌医科大学 保健医療学部 理学療法学科
谷口 百恵1、磯谷 明希1、藤本 好1、中村 博彦2、萩原 良治3、石川 朗4
【はじめに】当院においてH16年1〜6月間にギランバレー症候群にて入院加療を行った4症例において呼吸理学療法を経験した。今回、呼吸管理の経過に着目し報告する。
【症例】(1)39歳、男性。1月2日発症。経過:2病日挿管。4病日呼吸筋麻痺により人工呼吸器管理(FiO20.4 SIMV12回/min TV530ml PEEP4cmH2O)。6病日理学療法(以下PT)開始、呼気介助、体位ドレナージ導入。22病日離脱、翌日抜管するがSpO2低く再挿管O2送気。26〜32病日2度NPPV試みるが咽頭機能障害のため唾液肺へ流入し再挿管。28病日より数日腹臥位管理行う。48病日離脱。75病日気切,136病日閉鎖。現在歩行要介助。(2)77歳、女性。4月24日発症。経過:11病日呼吸筋麻痺により人工呼吸器管理(FiO20.4 SIMV10回/min TV400ml PEEP6cmH2O)。14病日PT開始、体位交換管理行う。25病日離脱、抜管O2送気、28病日O2止め。現在ADLほぼ自立。(3)41歳、女性。4月28日発症。経過:2病日呼吸筋麻痺により人工呼吸器管理(FiO20.6 SIMV15回/min TV500ml)。9病日離脱、抜管O2送気、PT開始、ROMex.を主に実施。10病日O2止め、30〜59病日他院にて肝機能加療、現在近距離歩行自立。(4)58歳、男性。4月30日発症。経過:6病日SpO2低く人工呼吸器管理(FiO20.6 VCV15回/min TV580ml PEEP8cmH2O)。8病日PT開始、呼気介助導入。9〜17病日体外式陽陰圧呼吸器併用。19病日気切。現在も臥床状態。
【考察】ギランバレー症候群は一般的に予後良好とされているが、本研究中の4症例とも多様な経過を辿り、予後不良とされる症例もあった。早期からの呼吸理学療法により2次的障害予防が可能となり、加療中も評価を繰り返しPTに反映する事により呼吸器早期離脱や機能回復の一助になると考える。今後は予後不良因子のチェック等を積極的に行い、予測的な視点からのアプローチも心掛けたい。
4) 間歇的及び持続的胸椎モビライゼーション手技が心拍変動におよぼす影響
1札幌医科大学大学院 保健医療学研究科、2札幌医科大学 保健医療学部
猪原 康晴1、宮本 重範2、青木 光広2
【目的】我々は健常者の中位胸椎に対する持続的ウエッジモビライゼーション手技(以下ウエッジ実験)の影響を心電図R-R間隔の周波数解析装置で測定し、時間経過に伴い38%(8/19名)にLF成分の抑制が起こると報告した。本研究は健常者に対する間歇的徒手モビライゼーション手技(以下徒手実験)とウエッジ実験が心拍変動に及ぼす影響を心電図R-R間隔の周波数解析装置で測定し、比較することを目的とした。
【対象】被験者は20代の健常者8名(男性7、女性1)であった。
【方法】測定項目は心拍数、及び心電図R-R間隔の周波数解析から得た低周波(以下LF)成分、高周波(以下HF成分)であった。被験者は15分安静臥床後、心電図記録を開始した。次に腹臥位となりモビライゼーション手技を施行し、手技終了後仰臥位に戻り約30分間安静臥床を継続した。データは安静臥床後5分間の平均値を基準値とし、時間経過ごとに比で表した。統計処理は一元配置分散分析を行い、その後の検定はFisher's testを用いた。
【結果】心拍数は徒手実験、ウエッジ実験ともに基準値と比較して手技施行中に有意に増加した(P<0.05)。全体としてのLF成分に有意な変化はなかったが、徒手実験では手技施行中にLF成分が抑制される群(3/8名)と手技終了後時間経過に伴い抑制される群(3/8名)に分類でき、ウエッジ実験では時間経過に伴い抑制される群(3/8名)が見られた。HF成分は徒手実験で手技施行中に有意に減少した(P<0.05)。
【結論】両実験で手技施行中に心拍数が増加したのは、胸腔内圧が増加したためと考えられた。LF成分は2群に分類されたことから間歇的モビライゼーション刺激の反応性は2パターン存在する可能性が示唆された。また徒手実験のHF成分が有意に減少したのは、間歇的刺激により肺の伸展受容体から心臓血管中枢への入力が抑制されたためと考えた。
5)COPD患者における身体組成についての基礎研究
1医療法人社団 杏和会 おびひろ呼吸器科内科病院、2札幌医科大学 保健医療学部 大学院、3札幌医科大学 保健医療学部
戸津 喜典1、宮坂 智哉 2、山中 悠紀2、長谷 陽子2、乾 公美3、石川 朗3
【はじめに】慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者は健常人と比較し、安静時の基礎エネルギー代謝が、健常者の1.5-1.7倍程度高いといわれている。そのため、呼吸器疾患の身体所見は痩せの体型を示す傾向が高い。今回、精度が高く、携帯性に優れた多周波インピーダンス法(多周波数BI法)を用い、COPD患者の身体組成を計測した。そして、%IBW、重症度別に分類した身体組成を多施設で測定した。
【方法】対象はCOPD患者36例。GOLDの重症度分類で0度:7例、1度(軽症)7例、2度(中等症)5例、3度(重症)14例、4度(最重症)3例である。使用機器に内蔵されたプログラムより%FAT、FAT、FFM、TBW、BMIを測定した。
【結果】【%IBW別】 %IBW≧100 90%≦%IBW<100% 80%≦%IBW<90% 80%<%IBWGOLD重症度 1.4* 1.8* 2.6* 2.9FAT% 29.2%* 21.9%* 17.3%* 16.4% FFM 45.1* 38.4* 40.0* 33.5BMI 24.0* 20.6* 19.2* 17.0 *%IBW80%未満に対しp0.05
【GOLD重症度別】 0度 1度 2度 3度 4度FAT% 26.9%* 24.3%* 21.3% 23.1%* 12.2% FFM 44.1 43.1 43.6 38.8 37.0BMI 22.5* 22.1* 21.0 21.0 17.4 *4度に対しp<0.05考察)重症化に伴いFAT%、BMIは有意に低下した。一方、筋量を示すFFMに有意差は認めなかったものの、低下傾向を示した。%IBW別に分けた場合は、%IBWの減少に伴いCOPDの重症化を認めた。これより、重症度の高い症例ほど痩せの割合が強まり、体内エネルギーとして必要な脂質の低下が推測された。また、筋量も低下傾向にあることから、活動性やADL、QOLが低下する一因子であることが推測された。
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小ホール 口述演題 2(6〜10) 10月30日(土) |
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生活環境支援 12:00〜13:00 座長:札幌秀友会病院 石岡 裕子 |
6)渦電流式変位センサを利用した無負荷型関節運動入力デバイスの検討
1札幌医科大学大学院 保健医療学研究科 、2札幌医科大学 保健医療学部
宮坂 智哉1、山中 悠紀1、戸津 喜典1、長谷 陽子1、石川 朗2、乾 公美2
【目的】環境制御装置や意思伝達装置などの入力手段に、押しボタンスイッチが広く用いられるが、ボタン押力が低下すると利用が難しくなる。近年、力をほとんど必要とせずに直線距離を測定する渦電流式変位センサが開発された。本研究は、このセンサが現状より小さな押力で動作する入力デバイスとして利用可能か検討することを目的とした。
【対象】対象は手指の自動運動に問題ない健常成人とした。センサはリベックス社製パルスコーダを用いた。センサは直径1.5mm、全長23mmのステンレス棒と内径2mm、外径3mm、全長20mmの真鍮パイプの構成である。パイプに挿入した棒が移動すると発生する渦電流を、棒内のコイルが検出して電圧を発生する。センサはアンプを経由してリレー付きデジタルメータに接続し、電圧値が設定値に達するとリレーが作動し、スイッチ入力が可能となる。
【方法】被験者は手部尺側面を机上に置き、第2指遠位背側にフックを装着した。パイプの端から連結したワイヤーをフックに接続し、ワイヤー及びセンサは手背側から運動方向と平行に設置した。第2指遠位掌側には、押力既知の負荷をストローク5mmで発生する位置に設置した。押力は0.8N、0.1N、0.03N、0.01N、負荷無しとした。被験者は第2指MP関節を屈曲し、既定負荷に達したときのリレー出力を確認した。
【結果】全ての条件においてセンサはリレー出力を発した。このことからスイッチ入力に必要な力は最大で0.01N以内だった。
【結論】重力に対して垂直な方向でセンサを駆動するのに必要な力は、パイプ−パイプ間の接触面に発生する摩擦力のみである。現状で対象者に押しボタンスイッチを処方する場合、押力は0.1N程度であり、センサはその1/10以下の力で駆動することを確認した。このことから、押力低下によって押しボタンスイッチが使用困難な方に対して、利用できる可能性が得られた。
7)滝川市における介護保険住宅改修の苦情内容について
1滝川市中央在宅介護支援センター、2藤女子大学 人間生活学部 人間生活学科
村井 新知1、橋本 伸也2
【はじめに】介護保険制度がスタートし4年が経過した。介護保険の導入により、住宅改修に対する関心が高まり、申請件数も毎年増加している状況にある。こうした住宅改修は施工自体が肯定的に評価されがちであるが、施工で生じた問題の報告は少ない。そこで今回、滝川市における平成15年度介護保険住宅改修の苦情内容を調査検討し報告する。
【方法】平成15年度に滝川市において、介護保険で住宅改修を申請した199件(実人数196名)のうち、在宅介護支援センターの理学療法士が関与した120名について、ケアマネジャーとの同行訪問により適合状況等を確認した。
【結果と考察】訪問により適合状況等を確認した120名の内、苦情や施工不良があったのは17名であった。その内訳は、施工不良等が7件、使い勝手の悪さが3件、手すり等の設置による他の設備への影響が3件、本人の必要性と家族の便宜の不一致が2件、金額が2件、家族の意見と実際の使い勝手の不一致が1件、所要時間が1件、改修部分の制度適応に関する問題が1件で、延べ20件であった。苦情への対応は、施工不良や手すりの位置変更は業者が無償で対処した。金額については相見積もりの実施、所要時間については介護保険の申請からの期間の問題もあり、制度上の課題も含まれていた。保険者(滝川市)への直接の苦情は1件もなく、ケアマネジャーのレベルで苦情を処理していた。施工不良は本人や家族の訴えからのみではなく、今回の適合確認により、はじめて発見されたケースもあり、口頭ではなく実際の訪問と動作確認による適合確認の必要性が認められた。また施工主旨が理解されていれば苦情が避けられたとみられるケースもあり、関係職種の住宅改修に対する知識の向上と家族や関係者を含めた十分な打ち合わせが重要と考えられる。以上の結果をもとに若干の考察を加えて報告する。
8)在宅脳卒中患者の下肢装具使用状況について
1クラーク病院 リハビリテーション部
芳賀 貴幸1、越後 靖子1、橋本 晃広1、山野 香1、冨樫 英則1、水本 善四郎1
【はじめに】脳卒中患者における下肢装具の適切な処方について考察するため、在宅患者を対象に装具の使用状況や装具に対する満足度について調査した。
【対象】退院後1年以上経過し、下肢装具を所有している脳卒中患者のうち、当院に外来通院している42名(男性28名、女性14名、年齢63.8±8.3歳、罹病期間89.1±65.0か月)とした。
【方法】アンケートにより1)入院時作製した装具を継続使用している場合の装具補修状況、2)退院後、装具を再処方されている場合の時期と原因、3)屋内・外における装具の使用状況、4)使用装具に対する満足度(4段階)と装具に対する要望を調査した。
【結果】1)該当者は23名で、そのうち73.9%は装具の補修をうけていた。2)該当者は19名で再処方時期は退院後1年以内15.8%、1年以上26.3%、3年以上26.3%、5年以上31.6%であった。その原因は、破損・老朽化と身体機能の変化が挙げられた。3)屋外での使用率は100%であったが、屋内では装具所有者の28.9%が途中で不使用になっており、その時期は退院直後と1年以上経過してからが多かった。理由として、「なくても歩ける」「機能低下による歩行機会の減少」が挙げられた。屋内使用者の活動別の装着率は、洗面・トイレへの歩行時96.3%、床への移乗時55.6%、階段昇降時37.0%、就寝時7.4%、入浴時3.7%であった。4)満足度は、屋外・屋内それぞれ「満足」が26.2%・25.9%、「やや満足」が61.9%・70.4%、「あまり満足してない」が11.9%・3.7%、「満足してない」とした者はいなかった。装具に対する要望として「もっと簡易な装具」や「足部に可動性のある装具」などが挙げられた。
【考察】本調査で装具に関してなんらかの不満を持っている使用者が多く、屋内に関しては使用していない例もみられた。装具処方時には、身体機能のみならず生活環境やニーズにあった装具を検討していく必要があると考える。
9)施設退所後の若年障害者への訪問リハビリテーションの関わり
〜自己決定の回復と親の介護負担〜
1社会福祉法人 楡の会 訪問看護ステーション パレット
五十嵐 大貴1、山崎 真奈美1、藤田 志保1、田所 達子1
【はじめに】施設入所は家族の介護負担軽減にはつながるが多くの場合、社会制度等の問題から当事者の自己決定の機会が失われ易い。今回、施設を退所した若年障害者への訪問リハビリテーション(以下訪問リハ)の関わりについて自己決定の回復とそれに伴う親の介護負担に着目し考察を加えて報告する。
【利用者情報】24歳男性。疾患は脳性麻痺(重〜中等度痙直型四肢麻痺)。コミュニケーションは日常会話レベルで可能。性格は社交的。移動は屋内車椅子(監視〜軽介助)・屋外車椅子(全介助)、移乗も全介助。その他ADLも全介助。家屋はバリアフリー設計。平成15年10月入所施設を退所し、現在、月2回訪問リハと訪問看護、週2回小規模作業所、不定期な短期入所、その他はヘルパー(外出・身体介護)を利用している。主介護者である母親は持病のため定期的な通院が必要で日常介護において無理はできない状態。
【訪問リハの関わり】退所後すぐに月2回の訪問リハを開始。本人の訴えは「いろんな所へ外出したい」という自己決定に基づく、それに対して母親は「トイレなど立ち上がり介助・車椅子姿勢の頻回な修正が大変」という介護負担に関するものであった。評価でも車椅子姿勢は話す時など反り返り強く長時間の保持は修正なしでは困難。立位では特に下肢の抗重力伸展が不十分で徐々に崩れる。また、その時左上肢の屈曲運動により介助者へのつかまりが不十分となる等が挙げられた。治療は両者の訴えに対して行い、特に外出を担うヘルパーとは情報交換すると共に母親や本人も含めた介助方法や簡易な自主プログラムも指導した。
【結果】週1〜2回の外出が日常化し、本人自らが車椅子姿勢を修正できるようになるなど介護軽減にもつながった。
【考察】在宅は本人にとって「自己決定」ができる場だが、親にとっては介護負担を背負う場でもある。訪問リハはその両者の訴えに対処できる社会資源の一つとして重要であると考える。
10)回復期リハビリテーション病棟退院時の介護保険サービス利用状況に関する調査
1医療法人 社団 カレス アライアンス 日鋼記念病院 リハビリテーションセンター
木下 結1、前田 守1、前田 三和子1、小山内 康夫1、掘 伸全1
【はじめに】少子高齢化に伴い単身老人や老々介護世帯が増加しており、在宅介護の受け皿の整備が重要となっている。このため介護保険サービス(以下サービス)の導入は、QOLを高めるために必要不可欠な制度である。今回、回復期病棟を退院した受療者のサービス利用状況をまとめ、傾向について考察したので報告する。
【対象と方法】平成15年度の当該病棟入院患者は178例で、在宅復帰者は127例71.3%。そのうち、介護保険利用者57例44.8%を対象に、退院後に利用したサービスを疾患別(脳血管疾患・骨折・廃用・その他)、歩行自立度別(自立・介助・車いす)、家族構成別(配偶者・子・配偶者と子・独居)に分類し、後方視的に調査した。
【結果】住宅改修では、トイレの手すり設置が25例(43.8%)で最も多かったが、疾患別・歩行自立度別・家族構成別では傾向は見られなかった。また玄関の改修は14例(24.6%)、うち歩行介助群が11例中5例(45.5%)と多い傾向にあった。福祉用具では、入浴補助具の使用が28例(49.1%)、うち歩行自立群が43例中24例(55.8%)と多かった。通所サービスは33例(57.9%)、うち歩行介助群が11例中9例(81.8%)・同居家族が子供のみの場合に18例中14例(77.8%)と多かった。
【考察】玄関の出入りや入浴に関連したサービスの利用は家族構成や移動能力に左右されるのに対し、トイレの手すり設置は患者条件に関わらず多く実施されていた。このことからも、排泄動作の安全性獲得が在宅復帰に重要と捉えられていることが再確認できた。今後、リハビリスタッフとして受療者にとって有益なサービスを提案するには、他部門との連携やサービスに対する理解を深め、在宅QOLの向上に繋げることが重要である。
【まとめ】在宅復帰には、身体面や家族背景を考慮した適切なサービスの活用が重要である。
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大会議室 口述演題 3(11〜15) 10月30日(土) |
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中枢神経 12:00〜13:00 座長:旭川リハビリテーション病院 稲田 亨 |
11)脳卒中急性期におけるQOL 〜SF36を用いて〜
1函館脳神経外科病院 理学療法課
石田 亮介1、中田 俊博1、折野 美緒1
【目的】脳卒中発症後の生活において生活の質(以下QOL)を充実させることは障害を抱えた患者にとっては重要な課題のひとつである。太田らは脳卒中患者において、退院時に比べ発症後2年時にはQOLが有意に低下すると報告しており、これを『体そこそこ心鬱々』と表現している。しかし、脳卒中発症後早期のQOLについての詳細は不明である。QOLの評価にはSF−36が最も広く使用されている包括的健康関連尺度であり、これは1身体機能、2日常役割機能(身体)、3体の痛み、4全体的健康感、5活力、6社会生活機能、7日常役割機能(精神)、8心の健康、の8項目について36の下位尺度から判定するQOL評価バッテリーである。本研究の目的は脳卒中発症後早期の症例に対してSF−36を用いてQOLを評価し若干の知見を得たので報告することである。
【方法】対象は当院に入院しリハビリテーションを実施した脳卒中症例22例であり、年齢は平均73.3歳であった。方法はSF−36を用いてQOLを評価し、得られた8項目の得点について次の2点について比較検討した。即ち、1.対象群のSF−36の得点と国民標準値との比較、2.ADLの自立度評価であるFIM(運動項目)との関連性である。
【結果】国民標準値に比べ、SF−36の8項目すべてにおいて有意に低値を示した。また、FIM(運動項目)とSF−36の得点の相関は各々ー0.08〜0.36であり相関は認められなかった。
【考察】発症後早期には身体的機能障害の改善に視点が向けられることが多いが、この時期においても体だけではなく心も病んだ状態であることを再認識する必要があると考えられる。また、脳卒中患者においてはADLが自立することは最も重要な課題の一つであるが、ADLが自立することだけでは患者は決して満足しないこと念頭に置くことが必要である。
12)麻痺側上肢機能に固執する通所リハ利用者へのマシントレーニングの導入と維持期リハについて
1介護老人保健施設 アートヒルズ、2愛全病院 リハビリテーション部
児玉 健宏1、平岡 和江1、長尾 めぐみ1、木村 由華1、石橋 晃仁2、土田 隆政2
【はじめに】麻痺側上肢の機能障害に固執するがゆえに個別リハへの意欲の低下をきたした一例にマシントレーニング(以下MT)を導入した結果、上肢機能の向上と活動範囲の拡大がみられた。この事例より、維持期リハのあり方について若干の考察を加える。
【事例】67歳、男性。平成12年6月に右脳梗塞を発症し脳外科に入院。同年12月に自宅に退院、妻と2人暮らしをしている。退院後、当施設通所リハの利用を開始。要介護2であった。左片麻痺はB/Sで上肢III、手指III、下肢Vであり、上肢は廃用手。歩行は屋内自立、屋外では麻痺側下肢のつまずきや易疲労性にて、その範囲は限られていた。ADLはFIM6〜7であった。
【経過】初期の個別リハプログラムは、本人の麻痺側上肢の機能回復への強い期待もあり、上肢の自動介助運動やぺグを用いた機能訓練を中心に、耐久性強化を目的に施設内歩行や階段を自主的に実施した。平成13〜14年に上肢機能は若干の握力向上がみられたが、実用度に変化はなくモチベーションが低下し個別リハを休むことが多くなった。平成15年11月よりMTを開始。週3回、マシン4機種を実施。3ヶ月後には週2回のMTと週1回のバランス訓練に変更した。約8ヶ月が経過しファンクショナルリーチテストや開眼片足立ち時間、最大10m歩行速度に改善がみられ、一人で公共の交通機関の利用も可能となり行動範囲が広がった。麻痺側上肢も補助手として使用が可能となり、固執傾向が減少し、MTを含めた通所リハプログラムに意欲的である。現在は一人で旅行に行く事を目標とし、主体的な屋外活動にも取り組んでいる。
【考察】MTによる麻痺側上肢中枢側等の強化で、補助手に改善し、上肢機能への固執傾向の減少と意欲の向上につながったと考えられる。維持期リハでは、意欲の維持・向上を考慮した実生活での達成感が得られるような工夫が必要と考える。
13)aprataxin遺伝子変異689insT患者の小脳症状、末梢神経症状に関する報告
1北海道済生会 西小樽病院、2札幌医科大学保健医療学部理学療法学科、3札幌医科大学保健医療学部作業療法学科、4札幌医科大学大学院保健医療学研究科
堀本 佳誉1、小塚 直樹2、舘 延忠3、菊池 真4
低アルブミン血症を伴う早発型脊髄小脳変性症(early onset ataxia associated with hypoalbuminemia; EOAHA)とは、Freidreich失調症(Friedreich's ataxia; FRDA)類似疾患とされていたが、分子遺伝学的研究により、責任遺伝子が9番染色体短腕13領域に同定され、この領域がコードするタンパクaprataxinの質的変化が発病に関連すると考えられている。
臨床症状の特徴は、(1)幼小児期に発症し、緩徐進行性、(2)歩行障害・軽度知的発達障害・眼振・協調運動障害・深部腱反射消失・四肢の筋萎縮・深部感覚障害などを呈する、(3)低アルブミン血症・高脂血症を呈する、(4)画像上、小脳は高度に萎縮する、ことが挙げられている。
本邦のEOAHA 患者で最も多いとされるaprataxin遺伝子変異689insTが認められた患者の運動機能の特徴としては、小児期からの小脳失調が認められるが、加齢とともに目立たなくなる。一方、末梢神経障害は加齢とともに進行するとされているが、小児期には小脳失調症状が優位なために、末梢神経障害の発症時期は不明である。
本研究では、成人期のaprataxin遺伝子変異689insTが認められた患者2名(42歳と46歳の姉妹、現在ともに移動手段は車椅子)の小脳症状をInternational Cooperative Ataxia Rating Scale、末梢神経症状をNeuropathy Symptom Score、Neuropathy Disability Score、筋力をMedical Research Council sum-score用い評価した。これらの評価により2名ともに、明らかな小脳症状と、末梢神経症状、末梢に強い筋力低下を認めた。EOAHAの患者の理学療法を行う上で、早期より、小脳症状に対してのみでなく、末梢神経障害を考慮した身体局所の選択的筋力強化、関節変形・拘縮の予防的運動療法などの理学療法を行う必要があると考えられた。
14)運動失調症状を持つ患者におけるheel-knee testの再現性と歩行能力との関連性
1千歳豊友会病院 リハビリテーション科、2北海道千歳リハビリテーション学院 理学療法学科
久保田 健太1、福井 瑞恵1、伊藤 俊一2、隈元 庸夫2
【はじめに】運動失調(以下,失調)検査法として,従来から踵膝試験(以下,HKT)がある.HKTの量的検討指標として,臨床では10回施行時間の計測も行なわれているが定量的評価として認められてはいない.また歩行能力との関係を考慮すると,成書にある股関節外内転動作を含めた検討も必要と考えられる.そこで今回演者らは,失調を持つ患者に対しHKTと我々が考案した,検査肢を元の位置に戻す点を側方点と定め(以下,側方点),膝→踵→側方点の3点間動作試験(以下,改良HKT)を行い遂行時間,エラー数を計測し,失調評価の一助を得ることを目的に評価の再現性,歩行能力との関連性を検討した.
【対象と方法】対象は,迷路性失調を除いた失調を有する患者12名(平均年齢56±14.8歳)とし,麻痺がある場合,下肢Brunnstrom stage 6以外の患者は対象から除外した.
方法は,対象の健患両下肢に関してHKT,改良HKT各々10回の施行時間を計測した.同時に他の検者が,着踵する点(膝,足関節,側方点)から外れた回数を計測した.検討した歩行能力は,10m歩行時間,努力性10m歩行時間,timed up and go testとし,HKT,改良HKTの遂行時間及びエラー数の再現性,遂行時間及びエラー数と歩行能力との相関を求めた.解析には級内相関係数,Speamanの順位相関係数を用い,有意水準は5%とした.
【結果と考察】両テストの遂行時間,エラー数は共に再現性を認めた.歩行能力と遂行時間の検討では,両テスト共に相関を認めなかった.しかし,HKTではエラー数と歩行能力間に相関を認めた.改良HKTでは,側方点からずれた回数と歩行能力間に相関を認めた.以上のことより,失調評価において動作の正確性の検討は歩行能力を反映する可能性が示唆され,HKT評価時のエラー数の測定は有用な評価になると考えられた。
15)視床出血での体性感覚誘発磁界を用いた麻痺側上肢機能回復予測
1北海道千歳リハビリテーション学院 理学療法学科、2東北大学大学院 医学系研究科 障害科学専攻 運動障害学講座 肢体不自由学分野、3広南病院 脳神経外科
吉田 英樹1、近藤 健男2、中里 信和3
【目的】本研究の目的は、視床出血の急性期から体性感覚誘発磁界(SEF)を測定し、急性期SEF所見と発症後3ヵ月での運動麻痺及び感覚障害、麻痺側上肢機能回復との関連性を調査した上で、SEFを用いた麻痺側上肢機能回復予測の可能性を検討することであった。
【対象と方法】対象は、視床出血例9例(男性4人、女性5人、年齢61.4±10.0歳)であった。SEFの測定は、204チャンネル全頭型脳磁計(Neuromag)を用いて麻痺側手関節部正中神経への電気刺激にて行い、視床出血発症後72時間以内(急性期)に実施した。病巣側大脳半球からのSEF皮質成分(潜時20msの第1波:N20m〜潜時100msまでの成分) について信号源推定を行い、その結果から体性感覚野由来の反応を認める群(反応群)と反応を認めない群(無反応群)の2群に分類した。麻痺側上肢評価として、運動麻痺(上田の12グレード)と感覚障害(母指探し試験)、上肢機能(5段階上肢能力テスト)の各種評価は、急性期と発症後3ヵ月の2時点で実施し、前述の2群間での運動麻痺、感覚障害、上肢機能回復を比較した。
【結果と考察】急性期正中神経SEF所見で反応群となった症例(6例)は、無反応群となった症例(3例)よりも発症後3ヵ月での麻痺側上肢の運動麻痺、感覚障害、上肢機能回復が有意に良好であり、特に上肢機能については反応群の1例を除く全例で実用手レベルまで回復した。以上の結果から、視床出血での急性期正中神経SEF所見は、麻痺側上肢機能の予後予測指標となる可能性が示唆されたと考える。片麻痺例の麻痺側上肢機能の決定因子としては、運動麻痺だけでなく感覚障害の程度も重要であるが、視床出血例での正中神経SEFはこの両者を反映すると考えられ、上肢機能の客観的予後予測に寄与すると考える。
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小ホール 口述演題 4(16〜20) 10月31日(日) |
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骨・関節 930〜10:30 座長:札幌円山整形外科病院 山崎 肇 |
16)上腕骨結節間溝を中心とする肩の痛みが改善した片麻痺症例について
1市立小樽第二病院 理学療法部門、2市立小樽第二病院 脳神経外科
古川 雅一1、木村 正樹1、村井 宏2
【はじめに】理学療法開始時より結節間溝(以下IG)を中心とする肩の痛みを訴える片麻痺症例に対し、IGを軽く圧迫しながらROM訓練を実施することで痛みが改善したので報告する。
【症例】症例1:脳梗塞・左片麻痺。肩関節の亜脱臼なし。SIASにて近位・遠位上肢ともに0。上肢筋緊張低下。腱反射は軽度亢進。触覚・位置覚はしびれ感はあるものの識別可能。肩ROM(自動介助、坐位)は屈曲80度、外旋70度でIGを中心に痛み出現。バーゼル指数35点。主訴はベット上安静時、体動時の肩の痛み。
症例2:脳梗塞・左片麻痺。肩の亜脱臼半横指。SIAS近位・遠位上肢ともに1。上肢筋緊張・腱反射軽度亢進。上肢触覚・位置覚正常。肩ROM(自動介助、坐位)は屈曲90度、外旋50度でIG中心の痛み出現。バーゼル指数95点。主訴は、左への寝返りと両手を組んで挙上しようとする際、肩の痛み出現。
【肩へのアプローチ内容】肩関節軽度外転外旋位にし、IGを軽度圧迫しながら屈曲方向へ自動介助運動し痛みが出ない範囲でROMを広げる。
【結果】症例1はIGを圧迫しながら行うと屈曲115度、外旋90度迄改善。翌日より主訴は少しずつ改善。1週後、坐位での可動域制限は消失。しかし、背臥位での肩ROMは屈曲100度で肩前面から上部にかけての痛みが残存した。
症例2はIGを圧迫しながら行うとROM改善。実施した日より痛みなしに寝返りが可能となった。1週後、肩の痛みと可動域制限は消失した。
【考察】2症例ともにIGを中心に痛みがあり、そこを圧迫して動かすとROMが改善した。また、上肢運動障害は重度であった。肩関節の円滑な運動の為には、上腕二頭筋長頭腱のIG内の自由な移動(biceps mechanism)が行われる必要があるが、このメカニズムが円滑にいかなかった為、痛みが生じたと考える。IGを圧迫しながら運動をすることでこの移動を補助したと推測する。
17)胸部術後患者の肩甲骨周囲の筋緊張について
1医療法人 渓仁会 手稲渓仁会病院
山崎 彰久1、佐藤 義文1、義村 保善1、東本 久美子1、長谷 陽子1、青山 誠1
【はじめに】胸部術後患者において術後肩・肩甲骨周囲に疼痛を生じることがしばしば見受けられる。またそのような患者では肩甲骨周囲の筋緊張が亢進しているように感じられる。肩甲骨周囲の筋緊張亢進は肩関節機能障害や肩甲帯周囲の痛みや張りを引き起こしADL制限をきたす要因となりうる。そこで本研究では胸部術後患者の肩甲骨周囲の筋緊張について肩甲骨のアライメント変化を用いて調査した。
【対象と方法】対象は当院にて胸部外科手術を受けた患者3名(全て男性、右肺切除)。方法は肩甲骨周囲の肌を露出し端座位とした。その時骨盤前後傾中間位、脊柱正中位となるようにした。両肩峰角、両棘三角、C7棘突起をランドマークとし、肩峰角・棘三角の水平軸と脊柱との交点(SA点、SS点)を左右それぞれマーキングした。肩峰角とSA点、棘三角とSS点、SA点とC7棘突起、SS点とC7棘突起各間の距離をメジャーにて計測した。術前、術直後、5日目、10日目の計4回実施した。術前の値を1とし以後の測定値をその変化率で表した。統計解析は経過を要因として分散分析(ANOVA)と多重比較検定(Bonferroni)を行った。危険率は5%未満を有意水準とした。
【結果】右(術側)肩峰角・SA点間距離が術前(1)と術直後(0.92±0.035)の比較において有意に短縮(P<0.01)していた。その他においても有意差はなかったものの術後、短縮傾向は認められた。
【考察】右肩峰角・SA点間距離が短縮していることと右SA点C7棘突起間の距離が比較的短縮していることから右肩甲骨は上方回旋していることがうかがえ、右肩甲骨周囲筋特に僧帽筋上部線維の筋緊張亢進の可能性が示唆された。
18)肩甲骨面の異なる挙上位における外旋が肩甲下筋の伸張に与える影響
〜新鮮遺体肩を用いた研究〜
1札幌医科大学大学院 保健医療学研究科、2札幌医科大学 保健医療学部、3札幌医科大学 解剖第二講座
村木 孝行1、青木 光広2、内山 英一3、宮坂 智哉1、鈴木 大輔3、宮本 重範2
【目的】肩甲下筋は変形性肩関節症や凍結肩で随伴して起こる外旋制限の一因とされており、その伸張は外旋制限の治療に重要である。しかし肩甲下筋は多羽状筋で頭尾側に幅広く、各筋線維の最も伸張される肢位が異なる可能性がある。本研究の目的は異なる肩甲骨面挙上位における外旋時に肩甲下筋の上部と下部がそれぞれどの程度伸張されるか、新鮮遺体肩を用いて定量的に検討することである。
【対象】実験標本には肩関節に損傷や変形のない新鮮遺体4肩を用いた。
【方法】実験は標本の肩甲骨をジグに固定し、各挙上位で上腕骨を外旋させて肩甲下筋の最上部線維と最下部線維の伸張量を測定した。肩甲骨面の挙上位は肩甲骨内側縁に対して上腕骨が0°、30°、60°、90°となる4肢位とした。各筋線維の伸張は線維方向に沿い筋の中央部に設置したLEVEX社製パルスコーダーを用いて筋線維の伸張量を直接測定し、測定値は挙上0°回旋中間位からの伸張率として表した。各筋の伸張率は4標本の平均値と標準偏差で表し、さらに各標本で最大伸張率を得た肢位を調査した。
【結果】肩甲下筋上部において伸張率が最も大きかった肢位は0°挙上位外旋(0.2±2.6%)であり、4肩中3肩がこの肢位で最も伸張されていた。4肩中1肩は伸張が全く得られなかった。肩甲下筋下部の平均伸張率は30°挙上位外旋で最も大きく(21.9±16.0%)、4肩中3肩がこの肢位で最も伸張されていた。次いで60°挙上位外旋の平均伸張率が大きく(19.9±17.2%)、4肩中1肩はこの肢位で肩甲下筋下部が最も伸張された。
【結論】肩甲下筋の最上部線維は肩甲骨面挙上0°での外旋で最も伸張され、最下部線維は挙上30°〜60°での外旋で最も伸張されることから、肩甲下筋拘縮による外旋制限は肩甲骨面挙上0°〜60°で生じやすく、またこれらの挙上位における外旋が肩甲下筋の伸張に有効と考えられる。
19)反復挙上動作が肩甲骨周囲筋に与える筋疲労について
1札幌円山整形外科病院 リハビリテーション科、2札幌医科大学 整形外科
佐藤 史子1、山崎 肇1、岡村 健司2
【目的】本研究の目的は、反復挙上動作が肩甲骨周囲筋群に与える影響を筋疲労の観点から明らかにする事である。
【対象と方法】対象は肩関節に既往の無い健常成人13名(男性9名、女性4名)、平均年齢21.2才であった。全例利き手は右側であった。測定には表面筋電計(Noraxon社製Myosystem1200)を使用し、導出筋は前鋸筋(SA)、僧帽筋上部線維(UT)、僧帽筋中部線維(MT)、僧帽筋下部線維(LT)、大胸筋(PM)の5筋とした。また、Isobex2.1を使用し、肩関節屈曲の徒手筋力テスト(MMT)の肢位での最大等尺性収縮力を測定し、得られた値の30%を負荷量とした。初めに負荷を用いて肩関節屈曲90°での等尺性収縮を30秒計測、次に最大屈曲角度までの挙上動作を代償動作、または被検者に疲労の訴えが出現するまで反復させた。その後再度肩関節屈曲90°での等尺性収縮を30秒計測した。測定により得られた積分値は、各筋のMMTの肢位より算出した最大収縮時積分値(100%MMT)を基に%MMTにて表した。等尺性収縮30秒間の中央10秒間の平均積分値、中間周波数(MdPF)、を求め、それぞれ挙上動作前後での比較を行った。統計学的処理にはt検定を用い、有意水準は5%とした。
【結果】平均積分値は5筋全てで増加傾向を示し、特にSA,UT、MTで有意に増加した。MdPFは5筋全てで低下傾向を示し、特にSA、UT、PMで有意に低下した。
【結論】挙上動作の影響を特に大きく受けたのはSA、UTであった。挙上動作に必要とされる肩甲骨の上方回旋を促す筋であるために、特にSAとUTの疲労度が高くなったと考えられる。
20)肩甲帯の筋活動に関して 〜不安定状態との比較〜
1札幌円山整形外科病院 リハビリテーション科、2札幌医科大学 整形外科
山崎 肇1、佐藤 史子1、岡村 健司2
【目的】我々は、上肢挙上時に肩甲帯の安定性が重要であると考え肩甲帯のstabilization ex(Push-up Plus ex)を肩機能回復の目的で行ってきた。また本学会において壁立て伏せや四つ這い位時の肩周囲筋の筋活動変化を報告した。今回更にこれら測定肢位に不安定性要素を加え、肩周囲筋の筋活動の変化を調査検討したので報告する。
【対象と方法】対象は、肩に外傷や手術などの既往歴がない健常成人13名(男9名女4名)で、平均年齢21.2±1.6歳、全例右側が利き手であった。表面筋電計(Noraxon社製MyoSystem1200)を用いて筋活動を計測した。測定肢位は、立位・四つ這い位からのPush-up Plusとし、それら肢位に不安定板(air stabilizer)有りと無しの計4肢位とした。Push-up Plusの肢位を5秒間保持させた。導出筋は、前鋸筋、僧帽筋上・中・下部、大胸筋の5筋とした。各筋に対しMMTの測定肢位における最大随意性等尺性収縮を求め、その値を100%MMTとした。上記測定肢位における筋活動を%MMTとして計算し、筋活動の変化を検討した。
【結果】筋活動の変化は、四つ這い位においては、不安定板を用いた群で、前鋸筋が有意な減少を示し、僧帽筋中部が有意な増加を示した。また、その他の3筋も有意差はないが増加傾向を示した。一方、立位では、同じく不安定板を用いた群で、有意差はないが大胸筋は増加傾向を示し、他4筋は減少傾向を示した。
【結論】今回の結果より、肩に不安定要素を加える事で、前鋸筋の筋活動は減少し、その他の筋群の筋活動が増加した。その影響は立位よりも四つ這い位の方が大きかった。
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大会議室 口述演題 5(21〜25) 10月31日(日) |
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小児 9:30〜10:30 座長:国立療養所八雲病院 三浦 利彦 |
21)理学療法介入を多く必要とする痙直型脳性麻痺児(GMFCS3)の長期経過
1北海道立札幌肢体不自由児総合療育センター、2札幌医科大学保健医療学部理学療法学科
西部 寿人1、古俣 春香1、横井 裕一郎1、小神 博1、水上 八行1、小塚 直樹2
【目的】杖や歩行器などを使用して日常的に歩行する脳性麻痺児・者(以下CP)は、粗大運動機能分類システム(以下GMFCS)のレベル3に分類され、整形外科や理学療法の介入を多く必要とされる。今回は、GMFCS3の年長CPについて、発達歴や療育歴を後方視的調査して介入の時期や長期経過を報告する。
【対象と方法】対象は、当センターに入院経験のある、GMFCS3のCP22例(男8例、女14例)で、平均年齢は19.1±3.0才(13〜31才)だった。方法は、職員への聞き取りにより対象者を選出した後、医師カルテ及び訓練カルテからの診断名・出生歴・発達歴・手術歴・療育経過などを後方視的に調査した。
【結果】診断名は全22名が両麻痺で、合併症はてんかんが5名、精神運動発達遅延が6名(重複を含)であった。出生歴は在胎31.4±3.0ヶ月で、出生時体重は1773±422gであった。発達歴は、頸定が6.6±1.9ヶ月、座位が17.8±4.9ヶ月、つかまり立ちが27.7±10.2ヶ月であり、実用的ではないが12例(8.1±1.9才)が独歩を獲得した。整形外科的手術は19例に施行され、8例は2回の手術を施行された。歩行訓練には、歩行器や杖と金属支柱付き短下肢装具がほぼ全例で使用され、金属支柱付き長下肢装具も13例で使用された。歩行訓練開始時期は4.6±0.7才、実用歩行開始時期(n=19)は7.9±1.4才であり、実用歩行に至るまで3.1±1.6年を要した。長期経過では、日常での歩行補助具歩行が困難になった機能低下群は10例存在し、機能維持群は12例であった。また、機能低下は13〜20才より生じ始めていた。さらに、経過の中で身体に痛みを訴えていた5例の全例、肥満傾向の4例のうち3例(1名は重複)に機能低下が生じていた。
【考察】GMFCS3の症例に対しては、廃用性の機能低下、二次障害の痛みや肥満による機能低下を、予防したり予想した上で対処する事が重要といえる。そのため、運動量や疼痛のチェック、日常移動方法の評価とその見直しも必要と考えられる。
22)Positioning実施時間がWindswept deformityに及ぼす影響
1北海道済生会 西小樽病院、2札幌医科大学保健医療学部理学療法学科
高田 千春1、堀本 佳誉1、田中 理恵2、小塚 直樹2
【諸言】重症心身障害児(者)(以下重症児・者)にみられる非対称変形は進行性であり、摂食機能や呼吸機能、消化器機能に深く関係している。その特徴のひとつであるWindswept deformity(以下WD)は進行予防・改善にPositioningの重要性が指摘されている。しかし、定量的な報告が少ないため、その重要性が確立していないのが現状である。そこで、WDを呈する本施設の入所者に対してPositioningを行い、実施時間が非対称性の改善に及ぼす影響について検討した。
【対象と方法】対象はWDを呈する重症児3名(男性3名、平均年齢42.7歳、大島の分類1、Gross Motor Function Classification Systemによる分類5)とした。WDの定量的評価に、Goldsmithの考案した非対称計測法の中の、左右の下肢・骨盤間角度の差から得られるGoldsmith Indexの計測(以下GI)を行った。Positioningは下肢が倒れている方向へ、できるだけ90°に起こした側臥位とした。実施時間は15分、30分、45分、60分、90分とし、実施前後にGIを計測し、変化値(変化値=実施前−実施後)を求めた。
【結果と考察】GIは正常な程値は0に近くなり、非対称性が大きくなる程値は大きくなる。このため、変化値が大きくなるほど非対称性のより大きな改善が認められたと考えられる。各被験者は全ての実施時間において非対称性の改善が認められた。変化値の平均値は15分で5.42(3.25〜7.50)、30分で8.75(2.75〜12.50)、45分で11.20(4.50〜18.00)、60分で13.42(9.75〜20.25)、90分で12.42(9.00〜17.25)であった。15分から45分間のpositioningにおいては変化値にばらつきがみられたが、3名とも60分以降において10前後の改善が認められた。短時間のpositioningであっても、GIからみた非対称性の改善に対する有効性が認められ、特に60分以上のpositioningが非対称性の改善に対し効果的であると考えられた。
23)姿勢保持具の導入により呼吸状態が改善された重症心身障害児の1症例
1重症心身障害児(者)施設 北海道療育園
川村 里美1、高森 智春1、渥美 広文1、神田 友行1、鈴木 智裕1、梶 義雪1
【はじめに】重症心身障害児が健康で豊かな生活を送るためには,日常生活での姿勢管理が重要であり,当園では各ケースの状態に応じ姿勢保持具の必要性を随時検討し製作を行っている.今回,呼吸状態の悪化,変形の進行,胃食道逆流などの問題を持つ1ケースの日常姿勢改善に向けての取り組みを報告する
【対象】16歳男性 脳性麻痺及び3歳時の窒息による無酸素性脳症 重度痙直型四肢麻痺を呈し緊張性姿勢反射が強く伸展優位で筋緊張亢進,全身の変形・拘縮が著しい.呼吸面では頚椎過前彎,下顎後退および胸郭変形等による混合性呼吸障害が見られる.14歳時,胃食道逆流の症状が悪化し胃ろうを形成している
【経過】腹臥位にて運動療法を実施すると,異常姿勢筋緊張の緩和,排痰の促進など呼吸状態の改善が認められるが,不動傾向が強い土日を経ると状態は悪化した.また,日常多くの時間を過ごす床上背臥位は,最も姿勢反射の影響を受けやすく非対称性の強い不良姿勢となり,上気道通過障害によりシーソー呼吸を呈し,また唾液誤嚥による頻回の咳嗽もみられていた.そこで日常的な不良姿勢および不動化が本症例の状態に悪影響を及ぼしていると予測されたため,適度な対称的屈曲位そして安定した頭部保持が可能な背臥位・腹臥位保持具を作成した
【結果および考察】両保持具にて,全身がリラックスした状態が保たれ表情も豊かとなり,夜間も保持具を導入することにより良眠が得られるようになった.また,シーソー呼吸から胸腹式呼吸への呼吸パターンの改善,咳嗽頻度の低下が認められ,これは頭頸部の安定した正中位保持が可能となり下顎後退が緩和され唾液誤嚥が減少したことや,異常姿勢筋緊張の緩和による努力性呼吸の改善によるものと考えられた.重症児の呼吸障害は知的な活動を制限し運動障害をより重度化させるといわれており,日常姿勢の改善により本症例の健康で豊かな生活の維持に寄与できたと考える.
24)当院NICUにおける呼吸理学療法の検討
〜体位排痰と呼吸介助を中心に行った3症例を通じて〜
1医療法人 社団カレスアライアンス 天使病院 リハビリテーション科、2医療法人 社団カレスアライアンス 天使病院 小児科、3医療法人 社団カレスアライアンス 天使病院 小児外科、4北海道千歳リハビリテーション学院 理学療法学科、5札幌医科大学 保健医療学部 理学療法学科
古田 仁1、高橋 伸浩2、山本 浩史3、高橋 尚明4、桟敷 千春4、石川 朗5
【はじめに】NICUでの呼吸理学療法は未だ報告数が少なく、その安全性や有効性は不明である。今回、当院NICUで3症例に呼吸理学療法を行ったので、安全性と今後の検討課題を報告する。
【対象】当院NICUで呼吸不全を呈した3例。出生週数と体重はそれぞれ、39w・2798g、32w・1,718g、34w・2,530gであった。基礎疾患はそれぞれ、横隔膜ヘルニア、新生児一過性多呼吸、縦隔奇形腫であり、症例1と症例3は術後であった。症例3は人工呼吸管理中であった。理学療法開始はそれぞれ、日令46日、35日、62日であった。施行回数はそれぞれ、9回、6回、56回であった。
【方法】理学療法の内容は、体位排痰と呼吸介助を行った。症例1・3はサクションが必要時行われたが、症例2は行われなかった。SPO2と心拍数をモニターし、理学療法前後の値をt検定を用いて比較検討した。
【結果】SPO2は、理学療法前後で症例1は97.8±1.61%と98.3±1.73%、症例2は97.8±1.47%と98.3±1.63%、症例3は96.5±2.59%と96.8±2.57%であった。心拍数は理学療法前後で、症例1は152.2±3.70回/分と151.6±3.67回/分、症例2は138.8±4.87回/分と139.0±4.51回/分、症例3は148.3±5.96回/分と148.6±5.84回/分であった。SPO2、心拍数共に前後の有意差を認めなかった。症例1・2は、良好な経過を辿った。症例3は、気管軟化症と肺低形成を合併しており、呼吸状態は改善しなかった。
【考察】安全性については、3症例共に理学療法前後にSPO2と心拍数の変動は見られず、体位排痰と呼吸介助が、新生児のSPO2と心拍数に影響を与えないことが示唆された。今後は、呼吸理学療法の適応基準・有効性・効果判定についても、症例数を重ね検討していくことが必要と考えられた。
【結論】今回の3症例からは、体位排痰と呼吸介助が新生児の危険因子となる要素は見つからなかった。
25)当院小児科における呼吸理学療法実施状況とそれに関する検討
1医療法人徳洲会 札幌徳洲会病院 リハビリテーション科
加藤 由香梨1、尾山 陽平1、中田 敦1、原田 洋一1、伊勢 絵里1
【はじめに】当院では外科の要請によりH11年より周術期を中心とした呼吸理学療法(以下:CPT)が導入された.5年が経過した現在CPTは次第に各科に普及した.小児科病棟におけるCPTは昨年より依頼頻度が増し,今後の増加傾向が予測される.当院の小児科病棟における急性期からの取り組みを紹介し,若干の検討を加えたので報告する.
【対象・方法】対象は2003年1月1日から2004年6月31日までに当院小児科においてCPTを施行した患者のうち,追跡可能な症例47名(2.36±2.37歳.男児26名.女児21名)を抽出し年齢,疾患名,入院期間,CPT開始時期,CPT期間について調査した.効果については実施前後における呼吸音等の理学所見,胸部X-p,経皮的酸素飽和度,医師の診療記録において判定した.尚,CPTの内容は直接的な胸部に対するアプローチに加え,リラクセーション,体位変換を20分程度,原則として吸入療法と併せて実施した.
【結果】対象において最小生後25日,最高12歳10ヶ月,最頻年齢は1歳未満であった.診断名では肺炎・気管支炎等の呼吸器感染症が35例,喘息が5例,両者を合併するものが7例,そのうち無気肺を合併したものが呼吸器感染症群と喘息群で各2例であった.入院期間の平均は13.8±4.9日(7-28).CPT開始までの期間の平均は5.7±3.9日(1-20).CPT実施期間は平均5.1±2.2日(2-14)であった.これらの目的は前例において気道クリーニング,換気促進であった.転機としては1例の悪化も認めず,軽快の転機を示した.
【考察】当院においては主に喀痰喀出を目的とした早期のCPTが要求されており,これに対しPTによるリラクセーションや気道クリーニングは有用であると考える.今後,これらを定量的に評価することが必要であると考える.今日に至ってはCPT依頼は増加傾向にあり,母親を中心とした家族指導の重要性が示唆された.今後,年齢や発達段階にあわせたCPT評価・プログラムを確立する必要があると考える.
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小ホール 口述演題 6(26〜30) 10月31日(日) |
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基礎 10:30〜11:30 座長:北海道大学医学部保健学科 寒川 美奈 |
26)後肢懸垂及び懸垂肢に関節固定を施行したラットヒラメ筋の引っ張り特性
1札幌医科大学大学院 保健医療学研究科、2札幌医科大学保健医療学部 理学療法学科
高氏 修平1、青木 光広2、乾 公美2
【目的】発生機序の違いによる萎縮筋の差異を明らかにするため、本研究ではラットへ後肢懸垂法及び関節固定法を用いて2種類の萎縮筋を作製し、関節可動域制限の有無による筋の引っ張り特性を比較、検討した。
【対象】足関節可動域に左右差、個体差のないWistar系雄ラット11週齢を用いた。
【方法】ラットを対照群、後肢懸垂群(以下懸垂群)、後肢懸垂+関節固定群(以下懸垂固定群)の3群に分け、対照群は2週間の自由飼育、懸垂群には後肢懸垂、懸垂固定群には後肢懸垂に加え、足関節を最大底屈位で固定して2週間飼育した。飼育後、それぞれのヒラメ筋を剖出し、デジタルノギスにて最大底屈位及び背屈位での筋長を測定し、脛骨近位端及び踵骨をつけたままヒラメ筋を摘出した。脛骨近位端及び踵骨をそれぞれKirschner鋼線でジグに固定し、最大底屈位まで牽引した。末梢方向に20cm/minの速度で破断まで牽引し、その時の引っ張り張力をジグに取り付けたトランスデューサー(LUB−5KB)で記録した。得られた力−変形量曲線から、張力が生じ始める筋長、破断時筋長、stiffness、破断張力を測定、比較した。
【結果】張力が生じ始める筋長は対照群>懸垂群>懸垂固定群、破断時筋長は対照群>懸垂群・懸垂固定群となり、萎縮筋は対照群に比べて牽引の早い段階で張力が生じ始め、破断も早かった。stiffnessは対照群>懸垂固定群となり、懸垂固定群の筋は加える力に対する変化量が大きい、すなわち伸びやすいという結果になった。破断張力は対照群>懸垂群・懸垂固定群となり、萎縮筋は対照群に比べて弱い力で破断した。
【結論】関節可動域制限を伴った萎縮筋と伴わない萎縮筋では引っ張り特性に差が生じており、萎縮筋に対する理学療法の施行において、それを考慮する必要があると考える。
27)ホリゾンタルレッグプレス運動の筋電図学検討
〜立ちあがり・歩行動作との比較〜
1旭川リハビリテーション病院 リハビリテーション課
塚田 鉄平1、小島 由紀1、高橋 浩史1、佐々木 健史1
【はじめに】近年介護保険制度において要支援、要介護者が増加する中で予防的なリハビリテーションとしてパワーリハビリテーション(以下PR)が注目されている。PRは神経筋協調性の改善を主とし、筋力増強を目的としていない。しかし実際のマシン使用時の筋活動状態を示したものは少ない。本研究では、Compass社製ホリゾンタルレッグプレス(以下HLP)の使用時と立ちあがり・歩行時の筋活動量を比較することで、PRにおける筋活動量の程度と運動療法の適応性について検討したので報告する。
【対象】健常成人20名(男性:10名、女性:10名、平均年齢25.6±8歳)。
【方法】測定動作は(1)歩行(2)立ちあがり(3)HLP(ボルグ指数11:楽である負荷)とした。導出筋は内側広筋(VM)、内側ハムストリングス(Ham)、腓腹筋(Gas)、前脛骨筋(TA)で全て左側とした。表面筋電図はメガ社製ME-3000Pを用い、動作中の筋活動量は積分値を加算平均(3回)したピーク値とした。得られた値を%MVCに換算し、各筋をHLPと歩行・立ち上がりおよびHLPの筋群間で各々比較した。統計にはt検定を用い、有意水準を5%以下とした。
【結果】筋活動量について1)歩行とHLPの比較:Ham・Gas・TAで有意にHLPが低かった。2)立ち上がりとHLPの比較:VM・TAで有意にHLPが低かった。3)HLP筋群間の比較:VMと比較しHam・Gas・TAは有意に低く、4筋全て20%MVC以下であった。
【考察】竹内によるとPRにおける低負荷反復運動は筋・神経系機能を引き出し、ADL自立度や歩行能力に改善を及ぼすとしている。本研究結果よりHLP時の測定値は20%MVC以下で、VM以外はほとんど低い状態であった。更に筋による違いはあるが抗重力的な基本動作よりも低い値であった。従って、セラピストは基本動作と類似した要素を含む動作であってもマシンの特性を十分考慮し、PRのより細かい訓練設定・指導を行う必要性が考えられる。
28)ハンドヘルドダイナモメーターを用いた体幹筋力測定
ー座位・臥位での再現性の比較ー
1JA北海道厚生連 旭川厚生病院 理学療法技術部門、2北海道大学医学部付属病院 リハビリテーション部、3愛全会 愛全病院 リハビリテーション科、4北海道大学 医学部 保健学科
大久保 慧子1、工藤 篤志2、乗地 麻衣子3、武田 直樹4、山中 正紀4
【目的】ハンドヘルドダイナモメーター(HHD)を使用して体幹筋を測定し再現性に言及した報告は少ない。また測定肢位の変化で、測定値や再現性がどう変化するか比較している報告も少ない。そこで今回は座位と臥位の二つの肢位でベルトにHHDを装着し体幹筋力測定を行い、筋力値と再現性について検討した。
【対象】検者は検者A(男性)、検者B(女性)の2名であった。被験者は健常成人21名(男性10名、女性11名)、平均年齢23.8歳であった。
【方法】筋力測定において、HHDはPower Track II TM COMMANDERを用いた。被験者を座位では椅子に、臥位では検査台上にベルトで固定した。 HHDに使用した固定用ベルトは座位では柱に、臥位では検査台に取り付けた。そして、約5秒間の最大努力による体幹の屈曲・伸展・左右側屈運動を2回行わせ、ピーク値を採用した。測定はメイクテストにて行った。級内相関係数(ICC)を用いて、検者間・検者内(検者A)での再現性を検討した。
【結果】体幹筋力値は、検者A、Bで同じ傾向が見られた。すなわち、筋力値は屈曲と伸展では座位よりも臥で小さかった。左右側屈では臥位で大きかった。検者Aの屈曲、検者Bの屈曲・伸展では、有意に臥位で筋力値が小さかった。検者Bの左側屈では、有意に臥位で筋力値が大きかった。検者内ICCは、座位でも臥位でも屈曲・伸展で良好以上であった。左右側屈ではそれに比べやや再現性が低かった。検者間ICCでも同様の傾向であり、座位でも臥位でも屈曲・伸展では非常に良好な再現性が得られたが、左右側屈ではそれに比べやや再現性が低かった。
【結論】ベルト使用したハンドヘルドダイナモメーターを用いた体幹筋力測定において、座位・臥位ともに屈曲・伸展で良好な再現性が得られた。屈曲・伸展において、座位よりも臥位で筋力値が低下した。
29 )ADL動作における体幹筋活動
1北海道千歳リハビリテーション学院、2北星病院 リハビリテーション科
平山 雅教1、伊藤 俊一1、隈元 庸夫1、徳富 みずき1、川島 康洋2、澤田 大輔2
【はじめに】従来から,ADL動作時の体幹筋収縮による体幹・骨盤コントロールは重要とされてきた.しかし,近年では収縮の協調性や収縮速度に関する検討は多いものの,どの程度の筋活動量が必要なのかについての詳細な報告はない. 本報告の目的は,ADL動作時の体幹筋活動量を明らかにし,体幹筋力評価や筋力強化時の目標設定を行う際の一助を得ることである.
【対象と方法】対象は,腰痛症のない健常男性10名(平均年齢24.2±4.1歳)とした.方法は, 1)仰臥位からの起きあがり動作,2)歯磨き,3)椅子からの立ち上がり動作,4)歩行,5)階段昇降,各々の動作を行わせて体幹筋活動を計測した.測定は,左右腹直筋(臍より3cm外側),左右腹斜筋群(臍より15cm外側),左右脊柱起立筋(L1-2の高位で棘突起より6cm外側)をNORAXON 社製(U.S.A.)表面筋電図マイオシステム1400を用いて導出した.なお,筋活動量はMVCで求めた基準放電量で除し,正規化して%MVCとして比較した.解析にはStudent t-検定を用い,有意水準は5%とした.
【結果と考察】この結果,腹直筋,腹斜筋群,脊柱起立筋の各々の%MVCは,1)では39.6,82.4,19.5%,2)では2.0,4.2,14.8%,3)では2.4,6.3,17.1%,4)では5.6,8.8,12.8%,5)では昇り;3.0,6.4,15.2%,降り;3.6,12.3,9.1%であった. 以上の結果は,今回計測したADL動作では,仰臥位からの起きあがり以外では体幹筋の活動量は極めて低く,運動療法で目標とすることが多い強い浅層筋活動は必ずしも必要のないことが示された.従って,今後深層筋活動の検討も必要ではあるが,ADL動作においては体幹浅層筋活動量のみならず収縮の協調性や収縮速度の検討がより重要となると考えられる.
30)体幹深部筋強化に対する超音波エコーと筋電図学的検討
1北海道千歳リハビリテーション学院、2北星病院リハビリテーション科
徳富 みずき1、伊藤 俊一1、隈元 庸夫1、平山 雅教1、遠藤 昭2
【はじめに】近年,腰痛症者に対する体幹深部筋活動による腰部安定化への配慮は,必然のこととする報告が多い.HodgesやRichardsonらは,臥位での検討で腰部安定化が成されると,腹斜筋・腹横筋活動量が増加し,腹直筋活動が減少すると報告している.しかし,腰痛症者に対してこの指導を行う際には“臍を引き込むように”と指示するとの論述のみで,実際の臨床場面では非常に指導し難い.本報告の目的は,より具体的で指導しやすい方法を検討し,腰痛症者の体幹深部筋強化法の一助を得ることである.
【対象と方法】対象は,腰痛症のない健常男性10名(平均年齢26.8±3.4歳)とした. 方法は,全て仰臥位で右下肢運動を行う際の右体幹筋について測定した.運動条件は,1)従来からの右片脚膝立位から右下肢のみ開脚,2)crook lyingで両下肢をタオルで固定しての右下肢開脚,3)1)での左下肢伸展,4)2)での左下肢伸展,とした.測定は,超音波エコーはALOKASSD-2000を用いて,各々の運動条件下での右外腹斜筋,右内腹斜筋,腹横筋の筋幅変化を各5回ずつ計測した.この際,右腹直筋,右腹斜筋群,右多裂筋の筋活動をNORAXON 社製(U.S.A.)表面筋電マイオシステムを用いて導出した.解析には,級内相関係数,Speamanの順位相関係数, t-検定を用い,有意水準は5%とした.
【結果と考察】この結果,1)・2)に比べ3)・4)の条件では外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋幅は有意な筋幅の増大を認めた.またこの際,腹斜筋群・多裂筋の平均筋電量と内腹斜筋・腹横筋の筋幅増加との間に有意な相関を認めた.以上の結果は,今後腰痛症者対象での再検討が課題であるものの,単純な下肢開脚運動でも対側肢伸展を意識させることでより体幹深部筋活動を促すことが可能であり,腰痛症者の深部筋強化指導法として効果的であると考える.
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大会議室 口述演題 7(31〜35) 10月31日(日) |
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教育・管理 10:30〜11:30 座長:旭川三愛病院 七条 克哉 |
31)急性期病院における回復期リハビリテーション病棟の現状
1労働者健康福祉機構 美唄労災病院 勤労者腰痛・脊損センター リハビリテーション科、2労働者健康福祉機構 美唄労災病院 勤労者腰痛・脊損センター 整形外科、3労働者健康福祉機構 美唄労災病院 勤労者腰痛・脊損センター 看護部
川瀬 真史1、山本 昌明1、小渡 充1、楫野 知道2、金田 清志2、豊蔵 敏明3
【目的】当院は急性期医療を中心とした400床の一般病院である。平成15年10月より回復期リハビリテーション病棟(以下回復期リハ病棟)を44床開設し、主として院内整形外科疾患患者を対象としている特徴がある。本研究の目的は,整形外科疾患を中心とした回復期リハ病棟の現状と今後の方向性について検討することである。
【対象および方法】平成15年10月〜平成16年3月に当院回復期リハ病棟にて入棟した回復期リハ対象患者159例(男性82例、女性77例)、平均年齢は61.7(9-94)歳である。検討項目は1)対象疾患、2)回復期リハ病棟入棟以前の治療法、3)回復期リハ病棟での在院日数、4)入棟時および退院時Bathel Index、5)退院先である。
【結果】同時期の整形外科入院患者883例中159例(18.0%)が回復期リハ病棟を経由して退院した。疾患部位別では上肢:12(変性疾患3、外傷9)例、下肢:51(変性疾患20、外傷31)例、脊椎:95(変性疾患82、外傷13)例、廃用症候群:1例であった。回復期リハ病棟入棟以前の治療法は手術治療138例、保存治療21例であった。回復期リハ病棟での平均在院日数は30.9日(1-122)であった.入棟時および退院時Bathel Indexは平均83.3±18.6点から91.2±17.1点に改善した。退院先は自宅148例、他病棟転棟6例、転院4例、施設入所1例であった。
【考察】当院は専従のPT2人、OT1人と最低限の配置であるが、急性期病棟に比べ退院後の日常・社会生活を視野に入れた指導・教育をチームアプローチとして行いうる条件が格段に整った。整形外科疾患を主とする回復リハ病棟でも、総合的にリハ医療を提供できることが判明した。
32)リハビリ部門リスクマネジメントマニュアル作成の試み
1北海道勤労者医療協会 札幌北区病院 リハビリテーション科、2北海道勤労者医療協会 札幌丘珠病院、3北海道勤労者医療協会 苫小牧病院、4北海道勤労者医療協会 老人保健施設柏が丘、5北海道勤労者医療協会 中央病院
飯尾 紗綾香1、岡本 五十雄2、伴 正博3、石塚 研二4、佐藤 礼人5、リハビリ部門技士長 主任一同1
【はじめに】北海道勤医協では6つの病院,1老人保健施設,6つの訪問看護ステーションにリハビリ技士を配置し、各院所・事業所(以下,各院所)の医療安全委員会などに結集し「安心・安全の医療,介護」をめざし一定の成果をあげてきた。しかし,リハビリ部門として情報が共有化されず,共通の指針がないという問題があった。そこで,各院所のインシデント・アクシデントレポート(以下,インシデント報告)の集中化,調査を行いリハビリ部門の共通のリスクマネジメントマニュアル(以下,マニュアル)を作成したので報告する。
【事故内容】2003年4月から2003年6月までの総件数は81件で,転倒・転落が34件で最も多く,次いで接遇トラブルが8件、酸素・点滴の外れが7件であった。他職種による処方ミスや連絡ミスも 6件あり,多かった。その他,過用・誤用,ホットパックによる熱傷,プロコールからの逸脱など様々であった。
【マニュアルの作成指針と構成】インシデント報告の調査からリハビリ部門で遭遇する可能性のある医療事故全体に可能な限り対応できることを目指した。広範囲にわたるため,各院所の医療の特徴に合わせ分担し,リハビリ部門の主任が中心となり作成した。作成にあたっては医師,看護師など他職種とも確認しながら行った。マニュアルの構成は次の通りである。1.総論,2.医療事故防止のための基本的注意事項,3.転倒・転落,4.骨折、軟部組織損傷,5.熱傷,6.痙攣,7.切創・裂傷,8.チューブ管理,9.過用・誤用,10.物理療法,11.誤嚥,12.患者様・利用者様同士のトラブル,13.感染,14.訪問リハ,15.緊急時対応手順。
【おわりに】マニュアルを教育活動に活用し,全リハビリ技士の共通の指針にする取り組みを開始している。さらにより良いものを目指し,マニュアルの改定も行いながら継続的にリスクマネジメントに取り組んでいきたいと考える。
33)個別リハビリテーションの経時変化
1介護老人保健施設 あるかさる 生活支援課
相田 雄一1
【はじめに】平成15年4月の介護報酬改定により、通所リハビリテーション(以下通所リハと略す)にて個別リハビリテーション加算(以下個別リハ加算と略す)が新設され、当法人通所リハにおいても個別リハ加算を開始した。当通所リハは現在通所1日定員60名に対し理学療法士1名、言語聴覚士1名常勤している。今回、介護報酬改定後の当法人通所リハにおける介護度の経時変化について調査する機会を得たので報告する。
【対象と方法】対象者は平成15年5月から平成16年6月末までに当通所リハの登録者248名(男性127名、女性121名、平均年齢75.5歳)、平均介護度2.3、1週間の平均利用回数は1.4回である。調査内容としては個別リハ加算率、退院日より1年以内・1年以降割合、介護度について経時変化を調査した。
【結果】個別リハ加算率は43.5%、介護度別の個別リハ加算割合は、要支援 0.1%、介護度1 39.6%、介護度2 25.9%、介護度3 14.8%、介護度4 9.2%、介護度5 9.2%であった。退院日より1年以内は14.1%、1年以降85.9%であった。介護度の経時変化は平成15年5月より平成16年6月までに再認定調査を行い介護度に変化のあった39件(内個別リハ17件)、全体平均介護度0.08増加(内個別リハ0.29減少)の介護度の変化があった。
【考察】個別リハビリテーションの客観的な効果判定等を目的に、介護報酬改定後の当通所リハにおける個別リハ加算の経時変化について調査した。個別リハの介護度経時変化については平均0.29減少の介護度変化があり、全体平均介護度0.08増加の経時変化に比べ生活機能の改善が図れた。介護度の維持・改善を図るためには、日常生活の活動性を高め個々の生活習慣や生活背景、モチベーションなど評価・分析し、これらを促進する対人関係が必要であると考えた。
34)訪問リハビリテ−ションに従事しているスタッフの実態調査
1時計台病院、2訪問看護ステーション時計台、3時計台病院介護相談センター
近藤 淳1、伊藤 奈生子2、小川 真太郎2、中村 圭吾2、肥田 理恵2、内藤 麻生3
【はじめに】平成12年度から介護保険制度が始まり、年々訪問リハビリテーション(以下訪問リハ)の実施事業所や従事しているスタッフが増加している傾向がある。我々は訪問リハ連絡会(札幌市内を中心に訪問リハに従事しているスタッフの情報交換の場)に参加している。その場での意見交換にて、経験の浅い者が手探りで仕事を行っていること、人員配置の関係でローテーション制のためスタッフが固定しないこと、少数人数の職場のため疑問を十分に検討できないまま日々の多忙な業務に追われているなど、業務そのものに対する悩みの他にも勤務形態に対する悩みなども多く聞かれた。そこで、勤務体系や現場で抱える悩みなどの実態把握を目的に調査した。
【対象と方法】対象は、訪問リハ連絡会に所属しているスタッフおよび第2回全国訪問リハ研究大会に出席したスタッフの名簿から、札幌市または札幌市近郊で訪問リハの実務に携わっている124人(58施設)のPT・OTとした。方法は、郵送によるアンケート調査で実施した。調査項目は、従事者の基本情報(訪問リハ経験年数や勤務形態等)を中心に、業務としてのやりがいや悩み、問題点に関する意識についての項目も加えた。
【結果と考察】回答は40施設・86人(回収率69.4%)であった。訪問リハ経験年数は2年未満が57%を占めた。勤務形態は病院や施設との兼務が48%を占め、ローテーション制が30%であった。訪問業務での意識としては、やりがいを感じるとの回答が98%を占めていた。しかし、同時に業務に対する悩みや問題点も複数提示された。訪問リハ業務は、今後改善されていかなければならない問題点が多々あると思われた。
35)医療技術者養成のためのMobile遠隔教育システムの検討とその応用
1樹恵会 石田病院、2北海道千歳リハビリテーション学院、3高知リハビリテーション学院
三井 雅史1、伊藤 俊一2、信太 雅洋2、武田 真帆1、野口 牧子1、山本 双一3
【はじめに】演者らは,第54回本学会でインターネットを用いた遠隔教育に関する報告を行った.平成15年度は,文部科学省専修学校先進的教育研究開発委託事業として「医療技術者養成のためのMobile遠隔教育システムに関する研究」を行い,さらに携帯末端を用いた卒後遠隔教育システムの有用性を検討した.本システムへ参加する機会を得たので,考察を加えて報告する.
【対象と方法】対象は卒後3年以内のPT男性22名,女性18名,計40名とした.使用機器は,携帯末端としてNTT DoCoMo製FOMAおよびFOMAカードを使用して,Mobile TV会議システムで症例検討会を行った.本システムは,携帯画面上で最大8名まででTV会議を行うシステムである.本研究では,当院および千歳リハ学院と高知市内の病院を結び,症例検討会終了後に1)卒後教育の必要性,2)必要と思われる内容,3) TV会議システムの有効性と問題点,4)今後の発展性について,質問紙法でのアンケート調査を行った.
【結果と考察】この結果,1)97%の対象で,卒後教育は必要と考えていた.2)最も希望の多かった内容は症例検討であり,次いで技術指導,相談の順であったが,55%の者が指導者のレベルが問題としていた.3)携帯を用いたTV会議システムは,簡便に多くのセラピストの意見が聞け,82.5%の対象が有効性を認めた.しかし,その通信速度が64kbps(FOMAカードは最大384kbps)のため,画像が不鮮明,動画の動きがぎこちない,などの問題も挙げられていた.4)今後の発展性として,半数以上で在宅リハへの応用が期待されていた.本システムは,あくまで“通話”のため内容を残せないなどの問題もあり,今後さらなる通信インフラ改善とノウハウの蓄積が必要であるが,その利用は特に新人の卒後教育から将来の在宅支援ツールまで幅広く有用であると考える.
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テーマ演題抄録 |
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大ホール テーマ演題 1(1〜3) 10月31日(日) |
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バランス(足に関して) 9:30〜10:30 |
1)足底屈筋群エクササイズが重心動揺に及ぼす影響
1札幌円山整形外科病院
阿久澤 弘1、佐藤 史子1、佐藤 進1、仲澤 一也1、山川 智範1、山崎 肇1
【目的】足底屈筋群のエクササイズ(以下Ex)により重心動揺が減少し、立位が安定するという結果は多くの研究により示唆されている。しかし、それらの研究におけるExはタオルギャザーなどの閉運動連鎖によるExを用いている。そこで今回は、開運動連鎖によるEx直後の重心動揺を測定し、重心動揺に及ぼす影響を検討した。
【対象・方法】対象は下肢に障害の既往のない健常成人10名(男性6名、女性4名)、平均年齢23.7±2.21歳であった。測定にはアニマ社製重心動揺計(グラビコーダGS−10)を使用し、Ex前に閉眼での利き足片脚立位の重心動揺を、測定時間30秒で3回測定した。次いで足趾屈筋群のExと平地での片脚立位30秒間を3回行うExのいずれを先に行うかランダムに施行し、各Ex後の重心動揺を同様の方法で3回測定した。足趾屈筋群のExは足底を接地させずに3秒間の足趾の把持動作を10回行い、30秒の休憩時間を挟み合計3セット行った。各Ex間には1日以上の間隔を取った。重心動揺は、重心移動距離の総軌跡長を計算し求め、その平均値を算出し各個人のデータとした。統計処理には対応のあるt検定を用い、危険率1%未満を有意とした。
【結果】総軌跡長はEx 前207.2±45.3mm、足趾屈筋群のEx後190.3±38.4mm、平地片脚立位Ex後225.3±68.1mmであり、足趾屈筋群のEx後にのみ有意差が認められた。
【結論】固有受容器へ刺激を加え、姿勢制御反応の促通を目的とするExを行う場合、閉運動連鎖でのExを行うことが多い。しかし、今回の研究では開運動連鎖でのExでも重心動揺が有意に減少した。この結果から開運動連鎖によるExでも固有受容器への刺激が得られ、姿勢制御反応を促通すると考えられる。
2)足底刺激が片脚立位に及ぼす影響
1札幌円山整形外科病院 リハビリテーション科
佐藤 進1、佐藤 史子1、阿久澤 弘1、仲澤 一也1、山川 智範1、山崎 肇1
【目的】我々が臨床上経験する症例の中に、受傷機転が転倒による症例は多い。それら症例の中には、“バランス”能力の低下を来している可能性もある。先行研究において足底刺激はバランスに良好な影響を与える可能性があると報告されている。そこで本研究において、足底刺激が片脚立位の安定性に及ぼす影響を調査することを目的とした。
【対象・方法】健常成人10名(男性6名、女性4名、平均年齢23.7±2.21歳)を対象とした。測定は、閉眼での利き足片脚立位時の重心動揺を計測した。測定にはアニマ社製重心動揺計(グラビコーダGS−10)を使用し、サンプリング周波数60Hz、測定時間30秒とした。方法は、まず最初に平地での片脚立位時の重心動揺を計測。その後、以下の2通りのExercise(以下Ex)を施行。再度、平地での重心動揺を計測し、そのEx効果を比較した。Ex1:平地で片脚立位を30秒3回練習(足底刺激無)。Ex2:NOPPEX(TOGU社製)上で片脚立位を30秒3回の練習(足底刺激有)。統計学的解析は、対応のあるt検定を用い、有意水準1%未満とした。
【結果】総軌跡長平均は、刺激無Ex前243.9±75.5mm、Ex後225.3±79.0mm、刺激有Ex前233.8±63.6mm、Ex後202.9±49.4mmであった。各条件ともにEx前後では、Ex後の方が低い値を示したが、刺激有のみ有意差が認められた。
【考察】本研究において刺激の有無によるEx前後の重心動揺の比較をすると、刺激有Ex後においてのみ重心動揺が有意に減少した。これは足底刺激により、足底部の固有受容器を刺激し活性化された結果、Ex後の有意な変化をもたらしたものと考えられる。種々の要素が関与する“バランス”能力向上のためにNOPPEXのような足底に刺激の与えるようなマット上Exを行うことは、有用な方法ではないかと考えられる。
3)足趾へのストレッチングが前方へのバランスと足底の2点識別覚に及ぼす影響について
1旭川リハビリテーション病院 リハビリテーション課
渡辺 暁子1、鈴木 健太1、中嶋 光秀1、高橋 浩史1、佐々木 健史1
【はじめに】これまでのストレッチング(以下ST)効果としては運動パフォーマンス向上に関する報告が中心であった。一方、ST効果による感覚入力向上により運動療法がより効果的になる可能性も示されている。しかしST施行後の感覚入力に対する影響とバランス能力との関係をみたものは少ない。今回我々は、足関節背屈のみと更に足趾伸展を加えた2種のSTを行い、前方へのリーチバランスと足底の2点識別覚(以下2PD)との関連について比較・検討し若干の知見を得たので報告する。
【対象】健常成人20名(男性9名、女性11名、平均年齢24.3±2.0歳)
【方法】対象を足関節背屈のみのST群(以下足関節群)と足趾伸展と足関節背屈両方のST群(以下足趾群)に分けた。STは測定肢位より他動的最大伸展位で30秒間行った。ST前後に背臥位にて2PD(母趾球・踵)、バランステストとしてFunctional Reach Test(以下FRT)を行った。FRT中の前後・左右の最大重心移動距離を重心動揺計(アニマ社製G-6100)を用いて測定した。比較は(1)各群ST前後で2PD(母趾球・踵)、前後・左右の最大重心移動距離、リーチ幅について、(2)両群間で上記パラメータのST前後の差について行った。統計にはt検定を用い有意水準を5%以下とした。
【結果】(1)足趾群はST後、母趾球2PDは有意に低下し前後・左右方向への最大重心移動距離およびリーチ幅は有意に増加した。足関節群はリーチ幅のみ有意に増加した。(1)両群間の比較では有意差は見られなかった。
【考察】臨床場面において立位での多様なバランスを求める際に足趾を含めた足部全体の柔軟性低下や感覚鈍麻、また過敏性による影響を実感することが多い。本研究結果から足関節のみに比べ足趾を加えたSTは、より感覚入力が促進されバランス能力に影響を及ぼした可能性が考えられる。それ故、足関節および足趾を含めた足部全体に対するアプローチによって、動作時の多様で効率の良いバランス戦略を展開させる可能性が示された。
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大ホール テーマ演題 2(4〜6) 10月31日(日) |
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バランス(反応に関して) 10:30〜11:30 |
4)立位から片脚立位施行時の筋活動 テンポの違いによる筋活動開始への影響
1北海道千歳リハビリテーション学院
隈元 庸夫1、伊藤 俊一1、平山 雅教1、徳富 みずき1
【緒 言】立位から上肢挙上時の姿勢筋の先行活動に関しては,多数報告されている.結果,運動の施行条件によって,筋活動開始の反応時間が異なるとされている.しかし,立位から片脚立位施行など,下肢運動条件の違いを検討した報告は少ない. 今回我々は,特にテンポの違いが筋活動開始の反応時間に及ぼす影響を筋電図学的に検討し、立位からの姿勢変化に伴う筋活動を明らかにすることを目的として報告する.
【対象と方法】対象は,健常成人男性20名とした.施行動作は,立位から音刺激に対して片脚立位を行い,音刺激中,片脚立位保持を持続することとした.筋電測定はノラクソン社製筋電計マイオシステム1400を用いた.導出筋は腹直筋,外腹斜筋,脊柱起立筋,大殿筋,中殿筋,大腿二頭筋,大腿直筋,前脛骨筋,腓腹筋とした.音刺激は,同システム内のメトロノーム機能を用い筋電計と同期した.施行テンポの違いは,メトロノームの設定を1)6bpm,音刺激時間5秒間,2)10bpm,音刺激時間3秒間,3)30bpm,音刺激時間1秒間の3条件とした.筋活動開始の時間定義は,音刺激開始後の基線の2SDを越えた時点とした.この筋活動開始を3条件のテンポの違いで比較検討した.統計処理はKruskal Wallis H test後,post hoc testを行い有意水準は5%未満とした.
【結果と考察】3条件での比較では,3)で最も筋活動開始が早く,遠位筋と比較し近位筋で早期に筋活動開始が見られた.局所筋に対する姿勢筋の先行活動は外乱が自らの行為によって誘発される場合といわれ,今回の様な単純反応時間課題においては,0.3〜0.5秒の一定時間の準備期で反応時間は最小となるとされている.今回準備期が短い,つまり3)において早期の筋活動開始が認められたことより,テンポの早い片脚立位施行時で,近位筋の筋活動開始の反応時間が短縮することが示された.
5)脳卒中片麻痺患者における乗馬シミュレータの効果について
〜動的バランス・歩行能力からの検討〜
1旭川リハビリテーション病院 リハビリテーション課
山崎 貴央1、海野 眞紀夫1、中嶋 光秀1、佐々木 健史1
【はじめに】今日、乗馬療法による身体的効果を再現するフィットネス機器をリハビテーションアプローチの一つとして活用している施設・病院が増加している。諸家らによると、脳卒中片麻痺患者(以下CVA患者)において乗馬シュミレータ(Nais JOBA 松下電工製、以下JOBA)施行後、静的立位バランスが向上するという報告がある。しかし、動的バランス及び歩行能力の変化を検討しているものは少ない。そこで今回我々は、CVA患者におけるJOBAの治療効果についてTimed up and go test(以下TUG)、最大努力10m歩行(以下10MG)から比較・検討したので報告する。
【対象】歩行が監視〜自立レベルのCVA患者15名(男性10名、女性5名。平均年齢66.9±12.0歳。右麻痺9名、左麻痺6名。下肢Br-stage III2名、IV3名、V9名、VI1名。平均罹患期間21.0±41.0ヶ月。)尚、高次脳機能障害のある患者は除外した。
【方法】JOBAを用いた訓練を10分間実施した。姿勢は骨盤中間位を保持するよう指示し、速度は頭部の動揺が最小限で、患者の快適なレベルとした。 JOBA実施前後にTUG所要時間(sec)、10MG所要時間(sec)及び歩数(steps)を各3回計測した。測定値は各3回の平均値とし、実施前後で比較した。統計処理はt検定を用い、有意水準5%未満とした。
【結果】実施後、TUG所要時間は有意に低下し(P<0.05)、10MG所要時間においても有意に低下した(P<0.05)。実施後、10MG歩数に有意差はなかった。
【考察】諸家らによるとJOBAの動揺刺激(前後スライド、前後スイング、左右スライド)に対する頚部や体幹の立ち直り反応により頚部・体幹筋の活動が高まり、静的バランスが向上したと報告されている。本研究結果においても同様に、機器による動揺刺激によって動的バランス及び歩行能力が向上したと考えられる。以上のことからJOBAはCVA患者に対するリハビリテーションアプローチの一助となり得ると考えられる
6)転倒予防に関する基礎的検討;下肢反応時間の加齢変化
1北海道千歳リハビリテーション学院、2郡山健康科学専門学校
伊藤 俊一1、村上 亨1、信太 雅洋1、隈元 庸夫1、藤原 孝之2
【はじめに】近年,高齢者転倒予防は重大な社会問題になっており,筋力強化を中心として多くの報告がされている.しかし,高齢者では何らかの原因で転倒しそうになった際,下肢を踏み出して転倒を防ぐ反応時間が遅れる,balanceが低下し運動時間が遅れるなどの指摘は多いが十分なevidenceには至っていない. 本報告の目的は,高齢者のbalance能力の一環として下肢の反応時間を測定し,先ず高齢者の転倒予防に関する基礎dataを構築することである.
【対象と方法】対象は,20〜90歳の下肢に重篤な障害と聴力障害のない者1190名であった.内訳は,20歳群196名(♂98名,♀98名),30歳群202名(♂110名,♀92名),40歳群182名(♂80名,♀102名),50歳群180名(♂80名,♀100名),60歳群196名(♂92名,♀104名),70歳群128名(♂52名,♀76名),80歳以上群106名(♂36名,♀70名)であった.測定は,道内12ヶ所の病院ネットワークによりPTが行った.
方法は,運動条件を1)自然立位と2)可能な限りの挙上側荷重からの2種類とし,新たに開発したユニメック社製反応時間測定器を用いて,立位姿勢で音刺激により可及的に下肢を挙上し足底が床から離れる時間を測定した.検討は,運動時間を1)・2)の条件間および各群間で比較した.
解析にはUnpaired t-testを用い,有意水準は5%とした.
【結果と考察】この結果,運動条件によらず60歳代から有意な反応時間の遅れを認めた.
高齢者の転倒原因として,各種反応の遅延が指摘され、change-in-support strategyとして問題視されている中,今回行ったような単純な動作での遅延を評価可能であり,今後本結果を虚弱高齢者や有疾患者評価の指標として,PTによる転倒予防対策に寄与していきたいと考える.
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ポスタ−演題抄録 |
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展示室A 会場 ポスター演題 1 (1〜7) 10月31日(日) |
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中枢神経 9:30〜10:30 座長:旭川リハビリテーション病院 高橋 浩史 |
1)脳卒中急性期リハに関する調査
1手稲渓仁会病院 リハビリテーション部
佐々木 亮介1、青山 誠1、森谷 茂樹1、秋元 健太郎1、野地 法子1
【はじめに】脳卒中急性期リハプロトコールや、それに連動したクリティカルパスを導入することは、チームアプローチの促進や在院日数短縮、データの蓄積による急性期リハのEBM確立などに有効と考えられる。そこで本研究では、各施設における脳卒中急性期治療に対する認識やリハ施行状況を調査し、実状と問題点を把握する目的でアンケート調査を行ったので報告する。
【対象と方法】対象は、脳神経外科を標榜している道内医療施設71施設。方法は、郵送によりアンケートを配布し、同封の返信用封筒により回収した。
【結果】アンケート回収率は全施設中49.3%、有効回答率46.5%であった。リハプロトコールの有無は、あり3.0%、導入予定30.3%、なし66.7%であり、クリティカルパスの有無は、あり25.0%、導入予定28.1%、なし46.9%であった。急性期リハにおける重視指標(上位5指標)は、意識レベル81.8%、心疾患の既往75.8%、発症後の日数60.6%、病型51.5%、損傷部位48.5%であった。座位耐久性訓練基準の有無は、あり12.1%、なし87.9%であり、リハ休止・中止基準の有無は、あり21.2%、なし78.8%であった。
【考察】リハプロトコール・クリティカルパスとも導入施設は少なかった。しかし、導入予定を含めるとそれぞれ33.3%、53.1%と高率にみられており、関心は高いと考えられた。重視指標からは、脳の損傷レベルと病態によってリスクを評価し、リハを進めている施設が多いことが示された。しかし、病態の複雑さから画一的な座位基準や休止・中止基準を設定するのが困難なためか、リハ施行基準は医師またはコメディカルが個別に対応していた。これらから、病型・病態にて層別化したプロトコールやクリティカルパスを設定し、それぞれにおけるリハ施行基準を定め、チーム内で統一化されたアプローチを進めることが有用であると推察された。
2)当院における脳卒中急性期リハの現状 -プロトコール立案に向けて-
1手稲渓仁会病院 リハビリテーション部
秋元 健太郎1、青山 誠1、佐々木 亮介1、森谷 茂樹1、野地 法子1
【はじめに】近年、包括支払方式が施行されつつある中、脳卒中においてもクリティカルパス(以下、CP)導入に関心が高まっている。しかしながら当院脳外科病棟においてはCPがあるのは現在、軽症脳血栓症など極少数であり、リハに関してはCPに必要なプロトコールも確立されていないのが現状である。
【目的】当院脳外科入院患者の在院日数、転帰先、リハの現状を調査し、それらを分析することで今後CP標準化に向け、問題点を考察する。
【方法】2003年4月から2004年4月までの脳外科入院患者のカルテより後方調査し、統計処理にはt検定を用いた。
【結果】年間脳外科入院患者は712名で、この内リハ適応患者は398名(55.9%)、男女比228:170、平均年齢69.0±13.1歳、脳梗塞208名(52.3%)、脳出血67名(16.8%)、くも膜下出血28名(7.0%)、その他95名(23.9%)であった。またリハ適応者の平均在院日数は30.5±28.0日であり、リハ開始までの平均日数は4.1±5.5日であった。この内CP適応者31名(7.8%)は平均在院日数15.7±6.0日であった。転帰先別平均在院日数は自宅176名(44.2%)が23.0±21.5日、回復期転院131名(32.9%)は34.4±24.0日、慢性期転院65名(16.3%)は45.9±42.5日であり、自宅退院に対して回復期・慢性期転院各々で有意差が認められた(p<.05、<.001)。また、転帰先別のBarthel indexにおいても上記の結果と同様の傾向にあった(p<.01)。
【考察】リハ開始時期については早期に対応できており、転帰先で分類しても自宅退院であれば在院期間が短く、かつBIも高い。転院では在院期間が長くBIも低かった。しかし、いずれもSDでばらつきが大きかった。原因として急性期治療で病態が不安定の中、リハでの明確な層別化や評価方法の標準化がなされていないため、段階的訓練が各治療者により異なる結果を生んだためかもしれない。今後は評価方法や患者の層別化を行い、outcomeを明確化していく必要がある。
3)自立歩行に至らなかった要因 ー回復期病棟入棟時予測の検討ー
1日鋼記念病院 リハビリテーションセンター 理学療法科、2日鋼記念病院 リハビリテーションセンター 作業療法科
三政 辰徳1、前田 守2、小山内 康夫1、小泉 利光1、及川 哲史1、中鉢 泰生1
【はじめに】当院回復期病棟において入棟時に医師、理学療法士、作業療法士の協議の結果、屋内自立歩行獲得可能と予測した片麻痺患者が、退院時自立歩行獲得に至らなかった要因を検討する。
【対象】平成14年5月から平成16年7月までに入棟時に自立歩行獲得と予測され退院した片麻痺患者74名(脳梗塞47名・脳出血27名、男性38名・女性36名、右片麻痺42名・左片麻痺24名・両片麻痺8名)とした。(なお予測方法は二木らの「脳卒中患者の最終自立予測基準」を参考としている。)入棟中の死亡例、合併症増悪例、再発例は除外とした。平均年齢65.9歳、発症から入棟期間は平均32日、入棟から退院までの期間は平均77日となっている。
【方法】入棟時能力と退院時能力について、診療録より後方視的調査を行った。
【結果】74名中、68例(92%)が自立した。監視が3例(4%)、介助が3例(4%)となった。平均年齢は自立群66.4歳、監視・介助群は59.5歳であった。入棟から退院までの期間は平均自立群で71日、監視・介助群は146日となっている。なお入棟時には74名中、全ての患者がベッド上生活自立(起居動作)を獲得していた。監視・介助群の傾向として、重度の失行、左側無視などの高次脳機能障害を有す例が大部分を占めた。
【考察】二木らの述べている通り、大部分が自立歩行を獲得した。監視・介助群が自立歩行獲得に至らなかった要因として高次脳機能障害が挙げられた。原によると高次脳機能障害が重度であると、予想以上に機能予後に支障をきたすと指摘している。予後予測をより正確にするには、入棟時安易に自立歩行獲得可能と判断せず、高次脳機能障害のレベルを経時的に評価した上で歩行の予後を見極め、今後のリハ目標を設定する必要性を感じた。
【まとめ】歩行の予後予測は高次脳機能障害を考慮し、他のスタッフと経時的な協議が必要である。
4)当院での装具作製状況について
〜回復期リハビリテーション病棟開設前後の比較〜
1クラーク病院 リハビリテーション部
橋本 晃広1、越後 靖子1、芳賀 貴幸1、山野 香1、冨樫 英則1、水本 善四郎1
【はじめに】当院では2003年11月より回復期リハビリテーション病棟(以下回復期リハ病棟)を開設している。今回、回復期リハ病棟開設前後の脳血管障害患者(以下CVA患者)の装具作製状況を調査し検討した。
【対象】2002年1月から2002年12月までに一般病棟に入院し装具を作製したCVA患者32名(以下一般群)、2003年6月から2004年5月までに入院し回復期リハ病棟へ転棟、装具を作製したCVA患者33名(以下回復期群)であった。その内訳は各々一般群で男性12名、女性20名、平均年齢56.4±11.8歳、回復期群で男性22名、女性11名、平均年齢64.9±8.8歳であった。
【方法】理学療法記録から以下の項目を2群間で比較した。1)装具作製の割合。2)入院時から装具作製までの期間(マン・ホイットニ検定)。3) 在院日数(t検定)。4) 作製装具の種類。
【結果】1)装具作製の割合は一般群28%、回復期群22%であった。2)装具作製までの期間は一般群105±69日、回復期群81±40日と有意差は認めなかった(P<0.09)。3)在院日数は一般群217±123日、回復期群154±51日と有意差を認めた(P<0.01)。4)作製装具の種類は一般群・回復期群でプラスチックAFO(以下PAFO)72%・34%、オルトップAFO 19%・24%、継手付きPAFO 0%・15%、金属支柱付きAFO 9%・12%、金属支柱付きKAFO 0%・15%であった。
【考察】これまで、CVA患者の装具はPAFOが主体であったが、回復期群では継手付きPAFO、金属支柱付き装具へと変化している。今回、有意差は認めなかったが一般群よりも早期に装具を作製している傾向がみられ、調整可能な装具を早期から治療用として使用している傾向がみられた。これは、回復期リハ病棟の在院日数短縮にも関係していると考える。
5)外傷性脳損傷急性期の尖足防止用足関節装具
1札幌医科大学附属病院 リハビリテーション部、2有限会社 野坂義肢製作所
澤田 篤史1、江刺家 修1、横串 算敏1、野坂 利也2
【はじめに】外傷性脳損傷の急性期には一過性に除脳硬直や除皮質硬直が出現することがある。この時期は過度の筋緊張亢進と外傷後の体位制限から、徒手での足関節矯正や良肢位保持が困難である。また静的足関節装具では足関節の経時的変化に対応した角度調節が困難である。このため、理学療法効果が十分に得られず、急性期以降に尖足となり、歩行獲得の障害となる。今回、外傷性脳損傷急性期の尖足防止目的で、タウメル継手を用いた足関節装具を試作したので報告する。
【方法】足関節に70度(底屈50度〜背屈20度)の可動性を持つタウメル継手を用い、AFOを試作した。足関節他動背屈角度よりプラス5度を目安に患者の筋緊張に合わせて装具の背屈角度を設定し、30分間装具装着、2時間除去のサイクルで日中のみ装具を使用した。1週間ごとに患者の足関節可動域を測定し、装具の背屈角度に適宜変更を加えた。
【結果】症例1:10歳男性。脳挫傷、多発骨折、上行結腸穿孔。第24病日(JCS30)より37日間使用し、足関節背屈可動域(L/R)が-5度/-5度→20度/5度まで改善した。
症例2:19歳男性。脳挫傷、多発骨折、肺挫傷。第22病日(JCS30)より16日間使用し、足関節背屈可動域(L/R)が-5度/0度→10度/10度まで改善した。
【考察】外傷性脳損傷急性期の尖足予防が歩行獲得のためには重要となるが、関節可動域運動や良肢位保持、静的装具の使用といった従来の方法では尖足予防が困難である。着脱が容易で背屈角度を調節できる足関節装具は、看護師の協力が得やすく、体位や経時的な足関節の角度変化によらず良肢位を保持できる。また、外傷性脳損傷の急性期治療において、この装具は徒手での足関節矯正が困難な程、過度に筋緊張が亢進した患者に対する理学療法の一助となり得ると思われる。今後、症例数を増やすとともに背屈角度や使用方法の設定、コスト、装具製作時間、リスク管理などの点で検討していきたい。
6)在宅脳卒中患者のQOL評価 −SF-36を用いて−
1函館脳神経外科病院 リハビリテーション科 理学療法課
折野 美緒1、石田 亮介1、中田 俊博1、望月 藍1、荒 万佐大1
【目的】在宅脳卒中患者が増加する今日、その人らしい生活を送る為に、生活の質(QOL)の向上を図ることが重要である。SF-36は世界で最も広く使われている包括的健康関連QOL(HRQOL)評価法の1つである。ADLが第三者の観察者を介して測定されるのに対して、この評価法は患者の健康度やこれに起因する日常生活機能の制限の程度を患者の視点で評価できる特徴がある。今回、在宅脳卒中患者に対し入院時と退院後のQOLの変化について検討した。
【対象】言語理解可能な右片麻痺症例。56歳、女性。
【方法】入院時(発症後3ヶ月)と退院後(発症後6ヶ月)の2回、SF-36を用いてQOLを評価した。SF-36は、身体機能(PF)、日常役割機能・身体(RP)、日常役割機能・精神(RE)、心の健康(MH)、体の痛み(BP)、全体的健康感(GH)、活力(VT)、社会生活機能(SF)、の8下位尺度から成り、それぞれが100点満点に換算可能である。また、FIMは入院時で99/126点、退院後で113/126点であった。
【結果】入院時・退院後でのスコアは共に年齢別国民標準値に比べ低値であった。さらに退院後は入院時に比べPF、BP、VT、MHは高値を、GH、SF、MHは低値を示しており、その他は変化なかった。
【考察】SF、MHなどの精神的健康面においては入院時よりも退院後の方が低値を示した。その原因として、入院中は麻痺の回復が著明に見られる時期であり、他患者との交流の機会が多く、家に帰りたいという目標が明確であったのに対し、退院後は麻痺の回復が固定してきているのに加え、外出の機会・場所がなく家に閉じこもり傾向にあり、他者との交流や楽しみがないことが影響していると考えられる。在宅脳卒中患者に対して、身体的健康だけでなく、精神的健康にも目を向けてQOLの把握することが重要であると考えられる。
7)小脳性運動失調に対する認知課題適用の試み
1函館脳神経外科病院
中田 俊博1、石田 亮介1、三上 直剛1
【はじめに】従来より小脳は、運動の実行にのみ関わるとされていた。しかし、近年の神経生理学的研究では、認知的側面にも関わっていることが報告されている。理学療法においても、それらの知見に基づいた治療が重要である。今回、小脳梗塞により運動失調を呈する症例に対して、認知課題を適用することで日常生活動作の変化・改善が認められたので報告する。
【症例】65歳 男性。平成15年11月19日発症。MRIにて右小脳に梗塞巣を認めた。11月25日より理学療法を開始した。治療開始時では、体幹・四肢の失調症状、軽度感覚障害を認め、両手足の位置関係がまったくわからず、座位保持は、柵などの補助がなければ不可能であった。本人にとって、坐位イメージはなく、「坐っている感じがしない」「体がふわふわする」と話されていた。
【問題点の解釈】失調を筋出力制御が上手く行えない状態と捉え、本症例においては、運動を想起する際に、運動の方向・距離・時間的制御など認知的側面が問題を引き起こしていると考えた。
【経過】理学療法開始時、坐位にて数種類の線を識別する課題、左右9マスの位置関係を識別する課題、スポンジの硬さを識別する課題を行った。その結果3週間後に坐位にて支持基底面内での重心移動が制御可能となった。その後、立位での課題へ移行し、不安定板を用いた重さの識別、左右9マスの位置関係の識別課題、スポンジの硬さの識別課題を行い、5週目に立位保持、8週目には屋内T字杖歩行が可能となった。
【考察】近年の脳科学の知見から、筋出力制御機構として小脳が認知的学習プロセスに関与していることが報告されている。今回認知課題を適用したことで、身体イメージや知覚情報の統合という認知的側面の改変が認められ、日常生活動作の改善が見られた。従って、小脳性失調に対する認知課題の適用は有効であると思われる。
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展示室B 会場 ポスター演題 2(8〜14) 10月31日(日) |
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心疾患 9:30〜10:30 座長:星が浦病院 佐藤 志穂 |
8)当院における心臓血管外科疾患リハビリテーションパスのバリア分析と対策
1医療法人孝仁会 星が浦病院
鯖戸 尚子1、佐藤 志穂1、相馬 美由紀1
【目的】当院では2003年12月に心臓血管外科を開設し、開胸・開腹術後症例がリハビリテーションの対象となった。当初より運動基準(リハビリテーションパス)を医師と共同で作成し、スタッフのアプローチに統一を図ってきた。しかし一方、バリアが発生する例もあり、その内容を後方視調査により分析・検討しパスの標準化を進めた。
【対象】2004年5月から2004年7月の間に、当院心臓血管外科にて開胸・開腹術(僧帽弁置換術・形成術、胸部・腹部大動脈置換術、冠動脈バイパス術)を施行した17例(平均年齢68.0歳、性別:男性)を担当した6名の理学療法士からのアンケートを対象とした。
【方法】術前指導を含む術後6日間のパス上でのバリアについて、発生時期・発生原因・年齢・術前後合併症・術式を調査し比較検討を行なった。
【結果】17例中9例にバリアが発生していた。発生時期は、ベッド上・周辺動作期1群と、病室内歩行期2群に分かれた。発生原因は、1群でドレナージや24時間持続点滴による行動制限、2群では長引く胸苦・創部痛による運動拒否が挙げられた。年齢はバリア発生群で平均73.0歳、非発生群で平均63.0歳であった。術前合併症には高血圧、術後合併症には心不全等の急性増悪が挙げられた。術式では、僧帽弁置換術3例にバリアがあった。
【結論】当該診療科が開設されて以来、いくつかの改変と運動処方の工夫を行なってきた。今回の調査では、一定期間を設定して症例側・担当者側の双方の視点で問題点を検出し、運動処方の適当性を確認し、要因からバリア発生例を1群(ドレナージ・点滴による安静)と2群(基礎体力低下・疼痛残存による停滞)に分けた。今後はパスに以下の内容を加えることとする。1)医師説明によりドレナージ留置に対する運動不安の軽減を図る。2)基礎体力低下に対しては、受け入れ可能な活動を複数指導する。3)疼痛持続例には適宜鎮痛を行なう。
9)心臓血管外科術後患者における歩行阻害因子の検討
1北海道社会保険病院 リハビリテーション部、2北海道社会保険病院 心臓血管外科、3北海道社会保険病院 6南病
諫山 佳代1、藤田 博之1、館 博明1、松浦 弘司2、瀧澤 明3
【はじめに】近年、心臓血管外科領域でも早期離床が進められ、早期退院が可能となってきている。一方では各種の要因によりADLの回復が遅れる症例も臨床上よく経験する。今回、リハビリテーション進行の遅れの要因について検討をした。
【対 象】対象は、2002年5月から2004年5月までに心臓血管外科手術後にリハビリテーション依頼のあった48例(男性35例、女性13例)平均年齢68.9±10.6であった。内訳は冠動脈バイパス術(CABG)26例、off pumpバイパス術(OPCAB)11例、弁置換または形成術6例、胸部大動脈人工血管置換術(GR)4例、その他1例であった。
【方 法】当院では術後5日目には棟内歩行となるプログラムを使用している。今回は手術後7日以内に病棟内歩行自立した場合を順調群、8日間以上要した場合を遅延群と定義した。診療録より年齢、性別、術後の左室駆出率、体外循環時間、大動脈遮断時間などを後方視的に調査し、順調群と遅延群とに分けて比較検討した。解析はt検定およびMann-WhitneyのU検定を用い、危険率5%を有意水準とした。
【結 果】順調群は48例中24例(50%)遅延群も24例(50%)であった。遅延理由は脳血管障害後遺症9例(38%)、心不全6例(25%)、不整脈3例(13%)、不良血圧反応2例(8%)、骨関節疾患2例(8%)、その他2例(8%)であった。そのなかで術後人工呼吸管理が5日以上続いたものは5例であった。脳血管障害は術前からのものが5例、術後に併発したものは4例であった。遅延群では年齢(p<0.01)、左室駆出率(p<0.05)、体外循環時間(p<0.01)、大動脈遮断時間(p<0.05)などで有意差が見られた。遅延群では手術侵襲、合併症がリハビリテーション進行へ影響していると考えられた。
10)当院における急性心筋梗塞のリハビリテーション
1医療法人カレスサッポロ 北光記念病院
近藤 和夫1、一戸 明日佳1、山溝 静子1、石井 郁子1、佐藤 勝彦1
【はじめに】当院では平成15年6月新規にリハビリテーション部門を設立し、同時に心疾患リハビリテーション施設基準を取得し1年が経過した。今回1年間の経過のなかで、退院後6ヵ月間定期的にフォローしえた患者についてまとめたので考察を含めて報告する。
【対象】対象は平成15年6月〜平成16年1月当院に救急搬送された急性心筋梗塞(AMI)患者で、急性期リハビリテーションを施行した55名のうち、その後二次予防を目的とした当院の外来リハビリテーションプログラムに沿って6ヶ月を経過した患者24名である。
【方法】脂質代謝異常や喫煙などの冠危険因子の評価や運動習慣、心血管イベントの有無などの日常生活の確認、さらに呼気ガス分析を用いた運動耐容能やQOLの評価を定期的に行い、6ヶ月間における経過を検討した。
【結果】総コレステロール値は、入院時と比較して202.8±39.0mg/dlから165.3±29.5 mg/dlに低下した。発症前喫煙者17名のうち13名が禁煙に成功した。心・血管イベントとしては3名にステント内再狭窄を認めた。運動耐容能の指標となるATは13.8±2.0ml/kg/minから15.2±3.7ml/kg/minに増加した。
【考察】合併症のないいわゆるローリスクのAMI患者にはデコンディショニングなどの問題はほとんどなく、病識に乏しいまま退院するケースもある。退院後、定期的に冠危険因子の確認や日常生活を把握することは二次予防の観点から非常に重要であり、当院でも未だシステム的に不完全ではあるが運動療法だけではないチーム医療としての包括的な心疾患リハビリテーションを今後も継続していく。
11)維持期リハビリテーションの低心機能参加者の運動能力について
1北海道循環器病院 理学療法科、2北海道循環器病院 心臓血管外科、3北海道大学体育指導センター
秋田 孝郎1、中嶋 麻希1、永谷 牧子1、村岡 卓哉1、大堀 克己2、川初 清典3
【はじめに】虚血性心疾患に対する運動療法効果としてはQOLおよび生命予後の改善が挙げられる。QOLの要素として最も重要なのは、日常生活の活動レベルである。今回、低心機能症例に対する運動療法効果として、日常生活の活動レベルを規定する運動耐容能に着目し、1年以上継続して心リハに参加した低心機能症例について運動耐容能とQOLを検討した。
【対象】心筋梗塞により当院に入院し、その後現在も当院にて心リハに継続参加している症例のうち左室造影にて左室駆出率(以下EF)が40%以下の症例6名。(年齢68.7±9.5歳、男性6名、EF:32.7±6.7%)を対象とした。
【方法】外来通院で運動療法を行った。運動プログラムは1クール2時間で実施。運動強度は運動負荷試験結果の嫌気性代謝閾値に設定した。頻度は週に2〜3回。運動療法実施期間は最短1年、最長10年、平均5.3年であった。参加者の心リハ開始後1年間のa)運動耐容能の変化b)CCS(Canadian Cardiovascular Society)の狭心症重症度分類の変化を検討した。
【結果】a)運動耐容能の変化については、最大酸素摂取量は開始時5.0±1.6METSが5.5±0.9METSへ、嫌気性代謝閾値は開始時2.5±0.6METSが3.6±0.6METSへと改善した。b)CCS分類は運動療法開始前後で1度→1度が1例、2度→1度が4例、2度→2度が1例であった。ほとんどの症例が開始時と比較し、改善傾向が見られた。
【考察】52歳の症例は現役社会人である。休日には温泉やパークゴルフを楽しんでいる。また、3例は今年実施された当院の心リハ野外レクリエーションプログラムに参加し、登山や野外散策に参加している。そのうち1例は前年度の心リハスキープログラムを1シーズン全て参加した。今後は適切な指標をもとに、低心機能者に対する運動療法の効果を検討したい。
12)体力年齢の優れた高齢急性心筋梗塞症の1例
1医療法人 北海道循環器病院
中嶋 麻希1、秋田 孝郎1、永谷 牧子1、村岡 卓哉1、大堀 克己1
【はじめに】近年、高齢者の急性心筋梗塞症(以下AMI)に対する心臓リハビリテーション(以下心リハ)は早期再灌流療法の進歩により、早期退院の傾向にある。この度、高齢AMIの急性期心リハに携わる機会を得たのでここに報告する。
【症例紹介】78歳男性、BMI:21.8(入院時)→20.6(退院時)、職業:元公務員、趣味:登山、冠危険因子:現在禁煙中(30年前までは40〜50本/日)。
【経過】午前8時20分、登山中に胸痛出現し午前10時に救急車にて当院搬送。心電図上V1〜V4にてST上昇。左前下行枝(#6-#7)閉塞により経皮的冠動脈形成術施行しSTENT留置、午前11時30分再灌流成功しCCU入室。Peak CK:3866IU/l、Peak CK-MB:437.7 IU/l、CTR:45%。第2病日:EF:36.4%、CTR:45%。第3病日:一般病棟へ。心電図モニター監視下で急性期心リハ開始。再灌流後の合併症なく循環動態安定しているため、3週間プログラムから2週間プログラムに変更、実施。ADLも問題なく経過。第9病日よりリハ室にて自転車エルゴメーター開始する。負荷は第9病日30w(3METS)×10min→第22病日65w(5METS)×10minへと漸増、第13病日よりエアロビクスダンス(10min)追加し、退院前日(第22病日)まで毎日実施。退院時:EF:59.7%、CTR:42%。退院時の心肺運動負荷試験ではPeak VO2:27ml/min/kg(7.7METs)、AT VO2:15ml/min/kg(4.3METs)を確認。退院後もβ遮断薬・抗血栓剤・抗高脂血症剤服用。
【考察】本症例は、78歳と高齢でPeak CK値も高値であり、通常ならば3週間プログラムの適応であった。しかし、再灌流後の心不全などの合併症が無く循環動態が安定していたこと、そして本症例の社会的背景より、心機能・体力年齢が高いことが予測された為2週間プログラムに変更し実施した。実施期間中は心電図モニター監視の下、安全に毎日継続して心リハを展開することが出来た。このことから、Peak CK値や年齢よりも体力年齢がプログラム適応の指標となることが示唆された。
13)重症心不全、冠動脈バイパス術後、植込み型除細動器を用いた症例の
リハビリテーション経験
1手稲渓仁会病院 リハビリテーション部
佐藤 義文1、長谷 陽子1、義村 保善1、東本 久美子1、山崎 彰久1
【症例紹介】40歳男性。断続的な胸痛/呼吸苦を主訴に他院より紹介入院。左室駆出率(以下EF)22%、3枝病変の診断で経皮冠動脈形成術後血圧低下、呼吸苦著明にて、緊急冠動脈バイパス術施行。術後5日、ICU退室、理学療法(以下PT)開始も術後8日、突然心停止しICU管理へ。術後10日、植込み型除細動器(以下ICD)留置。術後12日、無気肺出現しPT再開となるも夜間より重症不整脈再燃。左室瘤に起因する期外収縮(以下、VPC)の診断で術後15日、左室瘤切除術施行される。
【経過】術後17日、PT再開。肺野痰貯留も吸引刺激でVPC頻発、体位変換困難。吸入併用し、排痰手技実施。術後19日、大腿動脈バルーンパンピング抜去。胸壁刺激で単発VPC誘発、体位ドレナージ強化。術後24日、EF30.8%、人工呼吸離脱、腹圧介助/喀痰法指導し喀痰向上。粗大筋MMTは2〜3レベルに回復も両腓骨神経領域の筋低緊張で尖足傾向。術後31日、EF32.9%、一般病棟転出、循環動態注意しつつ可及的に坐位練習追加。術後35日、全介助立位開始も起立性低血圧著明、車椅子坐位時間の延長を図る。術後48日より起立性低血圧に対し、両下肢弾性包帯圧迫下にて立位練習再開。腓骨神経麻痺はMMTで右:0→2、左:0。経皮低周波刺激はICD干渉の恐れあり未実施。術後53日、病棟自主トレメニュー作成し看護師へ指導。術後60日、足踏み練習追加。術後70日、両側AFO作成、歩行負荷試験開始。術後74日、医師立会いのもと、PT室へ。リスク管理指標作成し、機能/能力向上目的に可及的にPT継続した。
【考察】本症例では呼吸/身体機能の著明な低下を認め可及的にPT実施したが、循環動態把握(血圧測定/心電図等)の重要性を再認識した。合併症に対して都度対応したものの、腓骨神経麻痺は予防出来た可能性もあり反省点と考える。全身機能/能力を適宜評価する視野と予後予測が必要であったと考える。本症例に際し、医師/コメディカルとのチームアプローチが必要不可欠であった。
14)ICD植込み患者に対する理学療法の経験
1医療法人社団カレスサッポロ 北光記念病院
一戸 明日佳1、近藤 和夫1
【はじめに】植込み型除細動器(ICD)とは心室頻拍、心室細動といった致死性不整脈の発作時に突然死を回避するものである。当院では年間53件(昨年実績)のICD植込み件数があり、今回ICDを植込んだ患者(以下、ICD患者)に対して理学療法(PT)を行った経験を症例を交えて報告する。
【PTの適応】平成15年6月より現在までICD患者の理学療法処方件数は11件である。PTの目的は主に廃用性の筋力低下や歩行困難であるが、脳卒中後遺症などの運動障害に対してや、監視下で運動療法を行うことで、日常生活に対する不安を取り除くことを目的とする場合も多い。
【PTを行う上での留意点】(1)物療などの医療機器に対する注意(2)植込み側の上肢可動域制限など(3)基礎疾患に対する管理(4)ICD作動時の対応
【症例紹介】ケース1:51歳男性、心サルコイドーシスによる完全房室ブロック、心室頻拍にてICD植込み。頻回なICD作動が原因で、活動性が低下したことによる廃用性の体力低下改善と身体活動に対する不安を取り除くことを目的として監視型運動療法を行った。ICD作動の不安から身体活動量を増加させることが困難であったが、徐々に屋外歩行など行い、植込みから約10ヵ月後自宅退院された。ケース2:58歳男性、肥大型閉塞性心筋症、心室頻拍によりICD植込み。既往歴としてポリオによる不全対麻痺があり移動は両松葉杖を使用している。不整脈による失神やICD作動時の衝撃による転倒、外傷を予防するために、立位から床に坐る動作および立ち上がり動作の獲得を行った。
【考察】ICD患者へのPTの介入は、基礎疾患や廃用性変化への対応のみならず、ICDの特性や患者背景を理解し、作動の不安に対する精神的サポート、作動時の対応の指導などを通し、ADLの拡大やQOLの向上を図る必要があると考える。
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展示室C 会場 ポスター演題 3(15〜21) 10月31日(日) |
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生活環境支援 9:30〜10:30 座長:帯広協会病院 森 茂樹 |
15)介護者と介護負担感の関係について
1医療法人禎心会 老人保健施設 ら・ぷらーさ リハビリテーション科
藤原 直1
【はじめに】介護負担感は在宅生活の阻害因子、および介護指導のポイントとして有効な指標である。介護負担感の大小は介護者側の性別や年齢などの質によるものが大きい。今回Zarit介護負担尺度を用いて性別や年齢が介護負担に与える影響について調査したので報告する。
【対象と方法】対象は在宅サービスを利用している被介護者と主介護者のそれぞれ80名で、被介護者は男性39名、女性41名(平均年齢73.6±10.0歳)。介護者は男性19名、女性61名(平均年齢60.1±13.0歳)であった。また週当たりのサービス利用時間の平均は12.1±17.2時間であった。方法は主介護者に対して日本語版Zarit介護負担尺度を用いて調査した。調査結果は介護者の年齢、性別、続柄と被介護者の年齢、性別、要介護度とに分け、介護負担感とそれぞれの関係、さらには週当たりのサービス利用時間との関係についても検討を行った。
【結果】 Zarit介護負担尺度の全体の平均27.0±17.2点であった。性別において介護者は女性の方が得点が高く(P<0.01)、被介護者は男性の方が高かった(P<0.05)。続柄、要介護度では各群間での有意差は認められなかった。年齢との関係においては介護者間で相関が認められ(r=-0.22,P<0.05)、介護者の年齢が低くければ得点が高い結果となったが、被介護者の年齢には認められなかった。週当たりのサービス利用時間と得点との間にも相関が認められ(r=0.26、P<0.05)、得点が高いほどサービスを多用している傾向にあった。
【考察】今回年齢や性別、週当たりのサービス利用時間が介護負担に影響を与えていることが示唆された。特に年齢の低い女性に介護負担が高い傾向にあった。これは介護者の家庭内役割との両立とに関係している可能性が考えられる。今後はさらに介護者の生活状況や健康状況に対しても分析する必要がある。
16)高齢社会における住宅改善について −住宅改善に消極的な高齢者の意識−
1介護老人保健施設 エバーグリーンハイツ室蘭、2福島大学地域創造支援センター
蛭間 基夫1、鈴木 浩2
【目的】高齢者の心身やADLの状態に適合した住宅改善の実施は、継続的な在宅生活維持のための福祉・介護支援のひとつである。しかし、住宅改善の支援を進める場合に高齢者の協力を得られない場合や拒否的言動が現れる場合がある。本報告ではアンケート調査を通して、このような高齢者の住宅改善に対する意識の背景について明らかにすることを目的としている。
【調査方法】福島市で在宅生活を営んでいる高齢者536人を住基台帳より無作為抽出の後、調査を行った。期間は2002年8月中旬から約1.5ヶ月で、有効回答数は362人(67.5%)となった。
【結果】(1)住宅改善の実施状況は既に何らかの整備を「行っている」者は18.0%、住宅改善を「将来行いたい」者は30.7%、これまで住宅改善を「考えたことはない」者は48.1%であった。(2)住宅改善実施による高齢者の在宅生活の利便性の変化について三者とも「便利になる」とする割合が高かった。「考えたことはない」者は「どちらともいえない」とする割合が他二者より高かった。(3)現在の住宅での居住の継続性について三者とも「住み続けたい」とする割合が高かった。「考えたことはない」者では「わからない」とする割合が他二者より高かった。(4)要介護状態になった場合に在宅生活を継続する方法として「行っている」者は「ホームヘルパー利用」、「将来行いたい」者は「住宅改造実施」、「考えたことはない」者は「何も必要ない」の割合が各々最も高かった。
【考察】これまで住宅改善を「考えたことはない」とする高齢者では、他二者と比較して住宅改善に対する意識形成が不十分であることが示唆された。また、同時にこのような高齢者では将来の住まい方や生活像についての意識形成や検討も不十分となっている。ただし、各高齢者に対応した具体的支援方法については今後の検討課題となった。
17)住宅改修支援における理学療法士の役割について
1介護老人保健施設 エバーグリーンハイツ室蘭 、2福島大学地域創造支援センター
蛭間 基夫1、鈴木 浩2
【目的】介護保険制度では住宅改修支援が導入された。本報告では支援の調整役を求められる介護支援専門員にアンケート調査を実施し、PTの住宅改修支援における役割について考察することを目的としている。
【調査方法】福島市で実際にケアプランを作成している介護支援専門員97人を対象としてアンケートを実施した。期間は2002年8月中旬から約2ヶ月で、有効回答数は66人(68.0%)となった。
【結果】(1)介護支援専門員として住宅改修支援の経験者は56人であった。(2)これまでの支援で建築技術者と連携した経験のある者は53人で、その連携に課題・問題を感じた者は44人であった。課題の具体的内容は「建築技術者の介護保険制度に対する知識不足」(35人)、「工事施工の独断的進行」(23人)、「見積の妥当性判断が困難」(21人)、「建築技術者の住宅改修に対する知識不足」(20人)が上位となった。(3)同様にPTやOTと連携経験のある者は51人で、連携に課題を感じた者は15人であった。その具体的内容は「連携先の選定が困難」(7人)、「PTやOTが家庭訪問に不参加」(5人) が上位となった。(4)住宅改修支援における調整役として望ましい専門職と考えられるのは「福祉住環境コーディネーター」(41人)、「PT」(39人)、「OT」(31人)が上位となった。(5)住宅改修支援を進める上で介護支援専門員に求められる知識や情報は「工事内容の妥当性判断の知識」(44人)、「ADLに関する知識」(43人)が上位となった。
【考察】住宅改修支援には医療、福祉、建築といった様々な専門職の連携が必要になる。現制度では介護支援専門員はこの調整役としての役割を果たすこととなる。調査結果から介護支援専門員は工事の施工・実施の前段階となる改造・工事内容の検討・計画段階で課題を有していることが示唆された。この段階では検討・計画の基礎となる高齢者の心身機能やADLの状態の分析や把握が重要であり、この部分においてPTが担うべき役割を有している。
18)富良野地域における多目的トイレの構造に関する検討
1富良野協会病院 リハビリテーション科
中川 まり子1、前田 健太郎1、中山 良人1、千葉 恒1、鈴木 真貴1、松井 浩二1
【はじめに】近年、ハートビル法の制定により、身体障害者等が利用できる多目的トイレが設置されてきている。障害の有無に関わらず様々な人が富良野地域を訪れることから、これに対するニーズは高まっている。そこで今回は富良野地域における多目的トイレの構造を調査したので報告する。
【対象及び方法】多目的トイレは富良野地域1市3町1村にある53ヶ所とし、その構造(トイレ全体の幅・奥行き、有効幅員、手すり高さ、便座高さ)をメジャーにて実測した。また、ペーパーホルダー等15項目の備品設置状況も調査した。検討方法としては高橋の提唱している値等を参考に基準値(幅・奥行き2000mm以上、有効幅員800mm以上、手すり高さ665〜735mm、便座高さ400〜450mm)を設定し、実測値と比較した。
【結果】全ての項目で基準を満たしている施設は6ヶ所(11.3%)であった。一方それぞれの項目で基準内であるのは、幅と奥行き両方は8ヶ所(15.1%)であった。有効幅員は46ヶ所(86.8%)、便座高さは35ヶ所(66.0%)が基準を満たしていた。L字手すり高さは設置施設45ヶ所中36ヶ所が、可動式手すりは同37ヶ所中27ヶ所が基準内であった。
【考察】車椅子で利用するには有効幅員が広いことは良い点と言える。しかし広さの面で方向転換を行うスペースの他に便器等を置くスペースも必要である。先行研究でも狭くて車椅子の回転が難しい等の意見も出ており、富良野地域では車椅子で円滑に使えるトイレは少ないと考えられる。手すりの高さ・便座高さは多くの施設で基準の範囲内であったが、先行研究では特に手すりが高すぎて(低すぎて)使いにくいという意見も多く、多目的トイレの構造の基準作りや設計を利用者と理学療法士・作業療法士、設計士等が協力して行うべきと考える。今後は今回聞けなかった利用者の意見を反映させ、検討を重ねていきたい。
19)慢性期高齢有疾患者に対する柔軟性向上訓練がADLに与える影響
1医療法人社団 静和会 平和リハビリテーション病院、2北海道千歳リハビリテーション学院
伊藤 梢1、柏木 学1、松岡 陽二1、伊藤 俊一2
【はじめに】高齢者や脳卒中片麻痺患者において,ADLに影響を与える因子は数多く報告されている.本邦での研究では,年齢,Brunnstrom stage,下肢筋力,深部感覚,歩行能力などの機能がADL評価と相関するとしている.しかし,体幹柔軟性とADLの関連について検討した報告はない. 本報告の目的は,慢性期高齢有疾患者に対する体幹柔軟性の向上がADLに与える影響を検討し,効果的運動療法実施のための一助を得ることである.
【対象と方法】対象は,高齢有疾患者20名(平均年齢78.8±10.8歳)とした.内訳は,脳卒中後遺症15名,神経学的脱落所見のない腰痛症者5名であった.発症からの期間は,平均12.2±4.9ヶ月(7〜19ヶ月)であった.方法は,全例にPost Isometric Relaxation(以下,PIR)ex.による長座位での体幹筋relaxationを施行し,前後のFinger Floor Distance(以下,FFD),Functional Reach Test(以下,FRT),最大10m歩行時間,FIMの歩行項目(以下,歩行FIM),およびADL変化を検討した.さらに,第1回測定日より3日以降に再測定を行い,評価の再現性と効果の持続性を検討した.解析には,級内相関係数,Speamanの順位相関係数,t-検定を用い,有意水準は5%とした.
【結果と考察】PIR ex. の施行時間は,全例で1回1分以内であった.ex.後は,FFD,FRTともに有意な改善を認め,再測定の結果では3日以降でも有意な相関を認めた.ADLの変化項目としては,靴の着脱時間の有意な短縮を認めた. 以上の結果は,たとえ慢性で高齢の有疾患者であっても,体幹の柔軟性を向上させることがADL改善に影響する可能性が示され,運動療法を行う際には体幹柔軟性への配慮も必要と考えられた.
20)老人保健施設において早期在宅復帰が可能となった症例
1介護老人保健施設 グラーネ北の沢、2北海道循環器病院
鉢呂 享平1、秋田 孝郎1、阿部 史1、小家 英幸1、手戸 一郎1、村岡 卓哉2
【はじめに】本来老人保健施設とは病院と自宅を結ぶリハビリテーション(以下リハ)を目的とした施設であるが、実情として在宅復帰が困難なケースも多く、2002年度厚生労働省の調べでは在所期間は1年以上2年未満が最も多く、退所先が自宅であるケースは半数に満たない。今回は大腿骨頸部骨折を契機に在宅困難となり、当施設に入所したが4か月という比較的短期間で在宅復帰が可能となった症例を担当したので報告する。
【症例紹介】80歳女性 後縦靱帯骨化症により四肢不全麻痺を呈し、平成14年9月より当施設デイケアにて機能訓練実施。平成15年11月30日屋内で転倒し骨折、人工骨頭挿入術施行。平成16年1月30日より当施設に入所しリハ開始。
【入所時問題点】下肢筋力低下(MMT3レベル)、立位保持困難、立位時膝疼痛、在宅復帰困難(玄関先の階段・家屋内の移動・家族の受け入れ)施設内の移動は車椅子、移乗は要介助。
【方法】個別訓練として下肢筋力トレーニング、立位バランス訓練、歩行訓練、階段昇降を週3回行い、さらに自己実施プログラムとして歩行器歩行、ブリッジ、SLRなどを体調に合わせ行ってもらった。また自宅訪問を行い玄関先の階段の昇降に対する指導、手すりの検討、車椅子スペースの確保など行い環境を整えた。家族に対し十分な説明を行い不安を解消した。
【結果】下肢筋力の向上(MMT3〜4レベル)、立位バランスの改善、疼痛の消失。家族介助による杖歩行・階段昇降の獲得。家屋内での主な移動手段は車椅子で、移乗動作は自立。
【考察】この症例が比較的短期間で退所できたのは、機能訓練と同時にMSWと連絡を取り積極的な訪問など行い、多角的に問題点を見つめ各々が歩み寄る形を取った事により、在宅復帰が可能となったと考える。今回の経験は特に新人理学療法士が軽視しがちな家族指導・家屋内状況の把握・他部門との連携の重要さを改めて確認することが出来た。
21) 湯けむり倶楽部 7年の歩みと展望 〜私を温泉に連れてって〜
1禎心会病院 リハビリテーション部
芳賀 いずみ1、根布谷 厚志1、三輪 昌子1、横山 亜紀子1、松本 尚子1、澤田 三津子1
【はじめに】当院ではレクリエーション活動の一環として、平成9年より外来リハビリ通院患者を対象に温泉を楽しむ『湯けむり倶楽部』を行っている。誕生の背景には同性の介護者不在の方が多かったこと等があった。開始より7年が経過する中で、これまで利用していた施設での継続が困難になり、また対象者の要望も変化していると考えられたため、開始当初と平成15年に行ったアンケートを比較し今後の方向性を検討した。
【対象と方法】外来リハビリ通院患者を対象に、アンケート紙法と直接面接法の併用でアンケートを実施した。平成9年のアンケートでは61名(男性39名、女性22名、平均年齢74.4歳)を対象に、1.現在の入浴形態 2.温泉入浴の希望 3.湯けむり倶楽部への要望(季節、場所、費用、移動手段等)について実施した。15年には湯けむり倶楽部に参加したことのない64名(男性39名、女性25名、平均年齢63.6歳)に、同様の内容で実施した。また、参加したことのある15名(男性8名、女性7名、平均年齢64.9歳)を対象とし、4.参加後の温泉利用状況についても実施した。
【結果】1.平成9年では自宅入浴とデイケアの併用が10%であったが15年では20%であった。2.平成9年、15年とも約75%の方が温泉入浴を希望していたが、うち40〜50%の方が利用していなかった。理由は移動手段や人手がないこと、情報不足等であった。3.平成9年、15年とも、対象者の要望に沿った形で実施されていた。4.参加後温泉を利用した方は67%に上った。
【まとめと考察】温泉入浴の希望は依然として高く、湯けむり倶楽部が温泉入浴へのきっかけ作りに貢献していると考えられ、今後も継続が必要である。そのため、送迎付きで利用し易い温泉施設の調査を実施しているところであり、今後も情報収集に努めたい。
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展示室A 会場 ポスター演題 4 (22〜28) 10月31日(日) |
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整 形 10:30〜11:30 座長:町立長沼病院 木田 貴英 |
22) 棘下筋のストレッチング方法についての検討
〜新鮮遺体肩を用いた定量的分析〜
1札幌医科大学大学院 保健医療学研究科、2札幌医科大学 保健医療学部、3札幌医科大学 解剖第二講座
村木 孝行1、青木 光広2、内山 英一3、宮坂 智哉1、鈴木 大輔3、宮本 重範2
【目的】棘下筋の拘縮は肩関節障害の原因となるため、ストレッチングにより柔軟性を改善し、障害の予防・治療を行う必要がある。諸家により棘下筋のストレッチング方法が紹介されているが、これらのストレッチング肢位はさまざまで統一されていない。本研究の目的は棘下筋を有効に伸張できる肩関節肢位を、新鮮遺体肩を用いて定量的に検討することである。
【対象】実験標本には肩関節に損傷や変形のない新鮮遺体10肩(平均死亡年齢80.3歳)を用いた。
方法】実験は肩甲骨標本をジグに固定し、肩関節を他動的に動かして行った。測定は生体における肩甲骨面挙上(以下挙上)0°、30°、90°位での内旋、水平内転、結帯動作肢位(伸展・内旋)を想定した5肢位で行った。これらの肢位における各筋の伸張率は、線維方向に沿い筋の中央部に設置したLEVEX社製パルスコーダーを用いて筋線維の伸張量を直接測定した。測定値は挙上0°回旋中間位からの伸張率で表し、各筋の伸張率は10標本の平均値と標準偏差で表した。
【結果】棘下筋中部線維の平均伸び率は1)伸展・内旋(16.8±12.0%)、2)挙上0°位内旋(14.3±9.2%)、3)挙上30°位内旋(9.9±8.8%)、4)挙上90°位内旋(0.6±12.5%)、5)水平内転(-4.5±12.8%)の順で大きかった。棘下筋下部線維では1)挙上30°位内旋(18.5±11.7%)、2)伸展・内旋(18.5±8.7%)、3)挙上90°位内旋(16.5±14.6%)、4)挙上0°位内旋(14.5±10.8%)、5)水平内転(0.5±13.7%)の順で大きかった。
【結論】棘下筋中部線維は挙上0−30度の範囲の内旋で大きく伸張し、棘下筋下部線維はあらゆる挙上角度の内旋で伸張した。中部線維と下部線維を同時に伸張する場合は、伸張率の高い結帯動作肢位を用いるのが望ましい。
23) 肩甲上腕関節のモビライゼーションが棘上筋腱に与える影響
〜新鮮遺体肩を用いた検討〜
1札幌医科大学大学院 保健医療学研究科、2札幌医科大学 保健医療学部、3札幌医科大学 解剖第二講座
村木 孝行1、青木 光広2、内山 英一3、宮坂 智哉1、鈴木 大輔3、宮本 重範2
【目的】臨床において肩甲上腕関節の可動域制限に対し関節モビライゼーションが用いられることが多い。しかし関節モビライゼーションが肩関節で障害の起きやすい棘上筋腱をどの程度伸張するのか調べた報告はない。本研究の目的は新鮮遺体肩を用い、肩甲上腕関節モビライゼーション時の棘上筋腱の伸び率を測定し、棘上筋腱における関節モビライゼーションの効果を検証することである。
【対象】実験標本には肩関節に損傷や変形のない新鮮遺体8肩(平均死亡年齢78.9歳)を用いた。
【方法】実験は胸郭から離断した上肢標本の肩甲骨をジグに固定した状態で行った。測定では牽引、前方・後方・下方滑りの4手技をKaltenbornの定義したgrade3で行い、これらとの比較として下垂位内旋、伸展内転を行った。この時の棘上筋腱の伸びは腱の停止部より1cm近位で腱の中央部に設置したLEVEX社製パルスコーダーを用いて棘上筋腱の伸びを直接測定し、測定値は開始肢位(挙上0°、回旋中間位)からの伸び率(正の値は伸張、負の値は短縮を表す)で表した。また、各手技における棘上筋腱の伸び率は8標本の平均値と最大/最小値で表し、Bonferroniの多重比較検定を用いて各手技間の比較を行った。
【結果】各手技における平均伸び率を順に表すと伸展・内転(1.1%:-4.9〜7.6)、下方滑り(0.8%:-5.4〜4.5)、牽引(0.1%:-7.4〜4.1)、後方滑り(-0.7%:-6.1〜2.3)、前方滑り(-1.5%:-10.0〜3.8)、内旋(-4.0%:-7.8〜0.3)であった。モビライゼーションの4手技は伸展・内転と有意差がなかった。また下方滑りと牽引は内旋より伸び率が有意に大きかった。
【結論】上肢下垂位における肩甲上腕関節のモビライゼーション、特に下方滑りと牽引は回旋中間位より棘上筋腱に伸張を与える可能性がある。
24)Colles骨折の短期予後調査
1市立函館病院 医局 リハビリセンター、2市立函館病院 医局 整形外科
碓井 孝治1、川村 昌嗣1、森山 武1、齋藤 香織1、山下 康次1、中島 菊雄2
【目的】Colles骨折は当院外来理学療法の主要疾患の一つであり、効果判定を行なうにあたっては、可動域、握力のみならず日常生活動作(以下、ADL)の評価も重要である。今回我々は、ADLを含めたColles骨折の短期予後について若干の知見を得たので報告する。
【対象】2002年1月から2003年12月までに当院にて理学療法を施行した患者18例中、約2か月間のフォローが可能であった10例を対象とした。男性2例、女性8例、年齢は59.8±13.2歳であった。利き手は全例右で、受傷側は左右とも各5例(全例片側)であった。骨折型は、Frykman分類で1型1手、2型1手、3型4手、4型3手、8型1手であり、治療法は保存療法7例、経皮的pinning3例であった。
【方法】評価項目は初回と最終時の(1)前腕回内外、(2)手関節掌背屈、(3)手関節橈尺屈の各合計可動域、(4)手指尖が手掌につくまで屈曲可能か否か、(5)握力の健側比、(6)ADLであった。なお、ADL評価は予め設定した20項目について、各項目点(0点:不可〜3点:良好)と総得点(0点〜60点)を算出した。さらに、年齢を65歳以上と未満の2群、受傷側を利き手と非利き手の2群に分類し比較分析した。
【結果】全体の平均は初回→最終の順に(1)133.0±19.6°→160.5±19.8°、(2)61.5±7.5°→101.5±12.0°、(3)30.0±11.8°→54.5±12.1°、(5)16.4±16.4%→53.3±20.5%、(6)総得点31.8±12.2点→51.4±12.8点であった。(4)可、不可の順に3例、7例→7例、3例であった。年齢の影響は初回のADL項目の起き上がり、立ち上がり、洗濯の項目で有意差があった。受傷側の影響は初回ADLの7項目及び総得点で、非利き手群で高値であった。
【結論】可動域や握力の変化は従来の報告と同様であり、特に握力の回復が遅かった。初回に高齢群では手をついての起き上がり、立ち上がりに不便を感じ、非利き手群では利き手を用いた動作制限がないためADLは良好であったが、最終時には有意差がなかった。
25) 急性腰痛患者における腰背部筋断面積の検討
〜下肢症状の有無による違い〜
1我汝会 えにわ病院 リハビリテーション科、2我汝会 えにわ病院 整形外科
石田 和宏1、佐藤 栄修2
【目的】腰背部筋群の神経支配は、多裂筋が腰神経背側枝の内側枝、腰最長筋が背側枝の中間枝、腰腸肋筋が背側枝の外側枝である。つまり、腰部疾患による腰神経障害が腰背部筋群に運動性麻痺をもたらす可能性がある。Hidesらは、急性腰痛患者において多裂筋が著明に萎縮していたと報告しているが、腰神経の障害と腰背筋の筋萎縮の関連性について検討した報告は少ない。今回、我々は当院の急性腰痛患者を対象に、外来カルテ及びMRI横断像を用いて、下肢症状と腰背部筋断面積の関連性をretrospectiveに調査したので報告する。
【対象と方法】対象は、2001年8月〜2002年7月までの1年間に、腰痛、下肢痛を主訴として発症後1ヶ月以内に当院整形外科外来を受診した患者1033例中、当院にてMRI診断を実施した80例(男性28例、女性52例)とした。方法は、第3〜4腰椎、第4〜5腰椎椎間板レベルの横断像を用い、画像解析ソフトImage J 1.29xを使用し、多裂筋、脊柱起立筋(最長筋、腸肋筋)の筋断面積を計測した。また、外来カルテより、発症から受診までの期間、下肢症状の有無など調査した。調査結果より、男女別にA)下肢症状有り、B)下肢症状無しの2群に分類し、両群間の筋断面積に関してMann-Whitney U-testを使用し比較検討した。
【結果と考察】男性の4/5レベルで、多裂筋ではA群で有意に低下し、脊柱起立筋ではA群で有意に大きかった(p<0.05)。女性では、両群間で有意差は認められなかった。解剖上、多裂筋の各線維は単根性に、脊柱起立筋はL1〜L4までの線維が多根性に支配されている。今回の結果より、多裂筋の低下は、男性においてL4神経根の障害が存在していた症例が4割強と多かったことが原因であると考える。また、脊柱起立筋は疼痛による過緊張、又は代償的な過活動により大きかったと示唆される。
26)当院における人工膝関節全置換術後の膝屈曲可動域の経時的推移
ー術後早期の重要性ー
1函館中央病院 リハビリテーション科
井野 拓実1、吉田 俊教1、高橋 茂樹1、竹内 光1、松田 泰樹1、田嶋 美紀1
key words 人工膝関節全置換術・可動域の経時的推移・プラトー
【はじめに】人工膝関節置換術(以下TKA)の目的は除痛と支持性の獲得である。しかし日本の生活様式を鑑みると膝屈曲可動域(以下ROM)の獲得はそれらと並んでニーズが高い。当院では120°を目標に術後リハビリを施行している。今回、当院にてTKAを施行した症例のROMの経過が、術後早期から4週目までどのような推移をたどるか検討したので報告する。
【対象】当院にて2003年度、変形性膝関節症によりPS型TKA (NexGen LPS FLEX−Mobile bearing)を施行し無作為に抽出された42例42膝(女性38名、男性4名、年齢72.6±6.3)を対象とした。なお、可動域訓練は術後3〜4日ドレーン抜去後より、原則1日2時間のCPMのみである。
【方法】本研究は、過去のカルテにおける可動域の計測結果を調査した後方視的コホート研究である。ROMは術後3〜4日目から退院までの毎日、CPM後に自動可動域を通常の角度計にて計測した。「退院時のROM」と「計測開始日のROM」の差を「改善角度の総和」とみなし、退院まで各週、総和の何%の改善率であったかを示した。
【結果】各週のROMの平均は、計測開始日81.3±16.1°、2週目102.2±14.3°、3週目112.2±14.0°、4週目116.5±9.8°、改善角度の総和の平均は57.7°であった。各週における改善率は術後1週目40%、2週目35%、3週目17%、4週目7%であった。
【考察】TKA術後のROMは術後早期により大きく改善しており、3〜4週で概ねプラトーに達する。これは、術創部が術後約2週間で癒着し組織的に安定すると言う通念に準ずる結果と考えられる。上記は、術後可及的早期に膝の可動域を改善することの重要性を示すものであり、さらに、早期にある程度の獲得可動域を予測する指標としても活用できるのではないかと考えられる。
27)人工膝関節全置換術後肺塞栓症を合併した一症例
1勤医協中央病院 リハビリテーション科、2勤医協中央病院 整形外科
湯野 健一1、辻 王成1
【はじめに】深部静脈血栓症(以下DVT)および肺塞栓症(以下PTE)は、放置すれば致死的結果を招く重篤な術後合併症の1つである。DVTやPTE予防に理学療法は効果的といわれているが、合併した症例の報告は少ない。今回人工膝関節全置換術(以下TKA)後PTEを合併した症例を担当する機会を得たので報告する。
【症例紹介】76歳、女性。148cm65kg、BMI25.2。S62年から両膝OAの診断で外来フォローされていた。今回TKA目的に03.8.26入院となる。入院前ADLは独歩自立、夫との2人暮らし。
【経過とPT所見】03.8.27術前PT実施。膝ROM(右/左):0−120/0−100°足関節の自動運動指導。03.8.28左TKAセメント固定術施行。術中左膝可動域:0−125°03.8.29術後理学療法開始。ドレーン抜去。全荷重許可。03.9.1リハ室での理学療法となり、平行棒内歩行練習開始。左膝ROM:0−80° 右肺動脈下部に5mm程度の血栓あり、肺CTによりPTEの診断。自覚症なし へパリン線溶療法開始→のちにワーファリンの内服による抗凝固療法へ。03.9.2検査のためPT1日休み。03.9.13階段昇降練習開始。片手すりで荷重痛なく可。左膝ROM:0−110°03.9.18急性腰痛発症。起き上がりがやっとで歩行練習は休止。03.10.3腰痛は徐々に回復、屋内歩行自立し自宅退院。左膝ROM:0−115°
【結果および考察】PTE合併後も中断することなく理学療法を継続することができた。その根拠としては下肢静脈エコー、MRVの結果からDVTは否定的で、PTE再発の可能性は少ないと考えられたことが挙げられる。またPT中止によりDVT再発の恐れ、廃用性変化およびROM改善不良の可能性があることから、安静にしている方がリスクと考えた。本症例は術後5週での退院を果たすことができ、PTE合併および急性腰痛も大きなバリアンスとなることはなかった。今後は本症例を参考に、術前より足関節自動運動を徹底し、主治医と連絡を密にとって理学療法を展開していきたい。
1札幌円山整形外科病院 リハビリテーション科
仲澤 一也1、花田 健彦1、谷口 敏子1、山川 智範1、太田 麗花1、山崎 肇1
【目的】ラグビーフットボール(以下ラグビー)は球技でありながら、他の選手とのコンタクトプレーを伴うスポーツ種目である。一方、スポーツ傷害を予防するためには、そのスポーツにおいて傷害発生の傾向や特性を知ることが重要となる。しかし、国内におけるラグビーの傷害調査報告は少ない。今回、高校生を対象とした傷害発生に対するアンケート調査を行い、予防に対する若干の知見を得たので報告する。
【対象および方法】対象は札幌市内のラグビー部に所属している高校生であり、平成16年6月から7月に郵送によるアンケート調査を行い、十分な回答の得られた63名のデータを分析した。調査項目は一般項目(学年・年齢・身長・体重・経験年数・ポジション)、過去1年間でのケガの有無、部位、受傷機転などである。
【結果】傷害の発生率は63名中36名で57.1%であり、36名で52件の傷害が発生していた(1人平均1.4±0.8件)。部位別傷害発生率は足首30.8%、手指17.3%、臀/大腿部17.3%、肩11.5%、膝9.6%、下腿部5.8%、頚部1.9%、肘1.9%であった。また、受傷時のプレー別の発生率はコンタクトプレーが67.3%(タックル48.1%、モール/ラック3.8%、スクラム1.9%、ラインアウト1.9%、その他11.5%)、非コンタクトプレーが32.7%(ランニング13.5%、パス1.9%、その他17.3%)であった。練習中の受傷が57.7%であり試合中が42.3%であった。
【考察】今回の調査から、コンタクトプレー時、特にタックル時の受傷率が高く、部位は足関節の受傷率が高いという結果が得られた。同一部位に対する再受傷も散見された事から、事前の予防のみならず再発防止も重要であると考える。今後は調査対象を地域、年齢ともに拡大し、ラグビー競技における傷害発生傾向とその対策をより具体的に考える必要がある。
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展示室C会場 ポスター演題 9 (29〜35) 10月31日(日) |
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小児 13:00〜14:00 座長:旭川療育センター 井上 和広 |
29)外来訓練における家庭訓練指導の実態調査アンケート第一報 〜結果
1北海道立旭川肢体不自由児総合療育センター
齋藤 由希1、齋藤 大地1、内田 雅之1、井上 和広1、高木 亜紀1、佐々木 敬1
【目的】外来訓練での家庭訓練指導の保護者の受け取り方や家庭での実施状況の調査
【対象と方法】北海道立旭川肢体不自由児総合療育センターに平成16年5月19日からの42日間に、2回以上理学療法(以下、外来訓練とする)を受診している児の保護者へアンケート調査を行った。質問は主に選択方式で、1.子供を囲む周りの家庭状況 2.家庭訓練状況とその指導について 3.外来訓練についての意見や要望等である。
【結果】アンケートの協力を得られた保護者は100名で、回収率は95%であった。子供の年齢は乳幼児期が61%、学童期が13%、思春期、青年期が各々9%であった。質問1について;兄弟がいる児が61%。児と多く過ごしているのは母親で92%であった。外来訓練参加は主に母親であったが、23%に父親の参加もあった。質問2について;外来訓練の目的は、訓練士による訓練が91%、関わり方などの訓練指導が45%であった。家庭訓練指導をされていたのは96%で、家庭訓練として児に関わっている時間は30分未満が54%、1時間未満が31%であった。家庭での実践内容については92%の解答があり、実践できた内容として関節可動域訓練やストレッチ、装具の使用が多かった。実践が困難であった内容として筋力トレーニングや呼吸訓練が多かった。指導されても実践困難な理由として、子供が嫌がった、時間がなかった等が多かった。77%が家庭訓練の成果を実感しており、95%が家庭訓練の必要性を感じていた。質問3について;74%が月に1回の外来訓練を受けており、外来訓練には満足しているという意見も多いが、回数的な不満の声が多く聞かれた。
【まとめ】今回の調査結果から、外来訓練指導が家庭でどのように行われているのかを確認することができ、保護者の外来訓練に対する意見が多く得られた。今後の外来訓練を進めて行くにあたり一つの指標となった。
30)外来訓練における家庭訓練指導の実態調査アンケート第二報
〜年齢層別、粗大運動能力分類別考察〜
1北海道立旭川肢体不自由児総合療育センター
齋藤 大地1、齋藤 由希1、内田 雅之1、井上 和広1、高木 亜紀1、金井 欣秀1
【はじめに】近年、身体障害児の治療介入において家庭での訓練は重要視されている。北海道立旭川肢体不自由児総合療育センター(以下、当センター)においても、北海道の広域性、患者数の増加の影響で、家庭訓練の必要度は高まっている。当センター理学療法(以下、外来訓練とする)を受診している児の保護者へアンケート調査を行い、家庭訓練指導に望まれているものを考察した。
【対象と方法】平成16年5月19日からの42日間に、2回以上外来訓練を利用している児の保護者へアンケート調査を行った。質問は主に選択方式で、1.子供を囲む周りの家庭状況 2.家庭訓練状況とその指導について 3.外来訓練についての意見や要望等である。これを基に年齢層別、Gross Motor Function Classification System(粗大運動能力分類システム以下GMFCS)による障害度別に家庭訓練実態を分類した。
【結果】アンケートの協力を得られた保護者は100名で、回収率は95%であった。子供の年齢は乳幼児期が61%、学童期が13%、思春期、青年期が各々9%であった。外来訓練の目的は、訓練士による訓練が91%、関わり方などの訓練指導が45%であった。高年齢になるに従い、また障害度の高いグループで、家庭訓練よりも訓練士によるサービスを求める傾向にあった。家庭訓練時間については、時間は30分未満が54%、1時間未満が31%であったが、年齢層の高いグループほど、家庭訓練は短時間になる傾向があった。全体の95%が家庭訓練の必要性を感じていて、このことはどの年齢層、GMFCSでも一様であったが、家庭訓練の成果に実感が得られないのは、年齢、障害度ともに高いグループに多かった。
【まとめ】今回の調査結果から、サービス利用者が求める家庭訓練指導がどのようなものか考察することができ、今後の外来訓練を進めて行くにあたり一つの指標となった。
31)当院における発達障害児の援助
1医療法人社団 カレス アライアンス 日鋼記念病院 リハビリテーションセンター 理学療法科
高橋 徳子1、村井 貴子1、池田 保1、可知 久枝1、藤村 朋子1、小山内 康夫1
【はじめに】当院では、H4年から発達障害児のリハを実施し、NICUから介入し外来リハを継続している。早期療育が定着し、対象児の年長化に伴い親の介護負担や社会生活の不安など新たな問題に直面した。地域の発達障害児と関わる当院の役割と今後の課題について検討した。
【対象】H15年度外来リハを実施した就学児15例とその母親。平均年齢は、就学児9.26歳、疾患は脳性麻痺9例、急性脳症4例、他2例。そのうち、10例は重症心身障害児である。
【方法】対象児のADL調査と母親アンケートを実施した。ADLは子供のための機能的自立度評価法(以下WeeFIM)を用い、母親から聴取し採点した。アンケートは、1.親の負担感 2.負担に感じるADL動作 3.リハへの期待 4.今年度の目標 5.今後の不安で、複数回答可とした。
【結果】WeeFIMは126点満点中、平均39.4点。アンケート結果は、1.身体的負担あり12例、精神的負担あり9例 2.入浴10例、食事・外出9例、更衣8例 3.機能向上6例、リハ継続や現状維持4例、ADL指導2例 4.目標が明確な母親は2例 5.学校生活6例、今後の介助量増大4例、卒業後の進路3例であった。
【考察】対象児の6割は重症心身障害児で、ADL自立度は全般的に低く、身体的成長に伴う親の介護負担は大きい。昨年よりADL訓練を実施し、親の多くは機能向上を望むが、ADLの向上や介護負担軽減に結びつく意見もあった。しかし、機能訓練に依存する意見も少なくなく、目標設定が不明確な結果からもADLアプローチの不十分さを実感した。専門機関の機能訓練を参考に外来リハを実施してきたが、親の不安からも明らかなように地域病院の役割は地域や家庭生活を基盤とした援助が必要であることを再認識した。よって、ADL評価に加え生活目標を明確にしたADL訓練や通園施設・教育機関とのネットワークづくりを試行している。また、訪問による動作・介護指導や自宅環境調査が行えるシステム作りも当院の課題である。
32)地域病院における小児療育支援の実践報告
〜痙直型両麻痺児の一症例を通して〜
1富良野協会病院 リハビリテーション科、2北海道立旭川肢体不自由児総合療育センター
千葉 恒1、斉藤 英敏1、斉藤 大地2
【はじめに】近年、障害児に対する療育体系は整備されてきているが、地域病院での小児療育支援に関する報告は少ない。今回、痙直型両麻痺児の一症例を通して、小児疾患を主な対象としない地域病院における小児療育支援の実践を紹介し、地域病院の役割・問題点について若干の考察を加え報告する。
【症例紹介】4才、男児、脳性麻痺(痙直型両麻痺)。GMFCSレベル4、SMTCP19点。粗大運動機能はずり這いレベル。今年4月より保育園入園。
【支援内容】今回、保育園での生活に関する相談や指導、地域内関係機関の連携システムの確立を中心に、保育園入園へ向けてのカンファレンス(当面の方針、机上姿勢の確認、トイレ姿勢・環境調整、装具装着指導など)、保育園訪問(生活場面の確認・指導)、療育センターとの連携(書面にて椅子の適合性、トイレの介助法、食事場面などについて助言あり)、ケースカンファレンス(関係機関の統一した方針設定および現状報告、今後の対応など)などの支援活動を行った。
【考察】支援活動を通して地域内関係機関の連携システムが確立してきた。その経過の中で、実際に保育園を訪問する機会を得、保育士が直面している諸問題への対応、環境整備、トイレ介助や装具装着指導など専門分野としての関わりをもつことができた。今後さらなるチームアプローチが必要不可欠になると思われる。その一方で、保育園訪問やカンファレンスへの参加など外勤業務の増加に伴うスケジュール管理の煩雑化、限られたスタッフでの対応、小児療育支援に必要な専門知識や技術の不十分さなどの問題点も残されている。今後の検討課題にしていきたい。
【まとめ】小児疾患を主な対象としない地域病院でも、関係機関との連携を図り、医療分野としての専門的なサービスを提供し「チーム全体の底上げ」に関わることで、障害児が地域で生活をしていく一助としての役割を果たせるのではないだろうか。
33)加齢による機能低下が見られた施設生活者への理学療法
−対人交流促進が好結果を及ぼした一症例−
1重症心身障害児(者)施設 北海道療育園
川村 里美1、高森 智春1、梶 義雪1
【はじめに】当園は重症心身障害児(者)施設で長期入所者が多く,人生における生活の場の役割も果たしている.その中で,加齢による機能低下など二次的障害が問題となってきており,身体機能の維持及び改善を目標にPT処方される例も多い.そこで今回,対人交流を目標に設定し歩行訓練を実施した結果,歩行距離の延長・歩容の改善がみられた一症例を経験したのでここに報告する
【対象】 51歳 女性 脳炎後遺症による痙性四肢麻痺・MR.人懐こく,世話好きな性格.全身的に筋緊張亢進しており体幹回旋可動域低下,足関節背屈制限が認められる.立位は尖足位となり不安定で要支持.歩行は前方両手介助にて可能だが,不安感が強く介助者にしがみつく傾向がある.日常実用移動手段は四つばいが主で,立位・歩行を必要とする場面は洋式トイレ利用時等に限局される.加齢とともに転倒しやすくなり,本人も歩きたがらず歩行能力の低下を招いていた
【経過】H13より週2〜3回PT開始.歩行の動機付けとして,本人の希望をくみ,好きな職員に会いに行くことを目標に設定.当初,歩容の不安定性もあり歩行に対する不安感が強かったが,経過とともにPTとのラポート形成が進んだことも影響し,歩行能力改善が認められた
【結果】1.連続歩行距離が当初の30mから200mまで延長した 2.立脚期に足底接地が可能となり安定性が向上した 3.片手介助歩行が可能となり介助量が減少した 4.歩行に対する不安感が減少し,むしろ歩くことを楽しみにするようになり,訓練への期待感が強くなった
【考察】加齢・廃用による機能低下が見られる症例であったが,継続した関わりにより歩行能力改善は可能であることが示唆された.また,本人の希望を積極的に取り入れることにより,訓練場面が日常生活での楽しみになり得たと思われ,そして,対人交流は人としての幸福感・生きがいに大きく影響しているといわれており,本症例のQOLの向上にもつながるのではないかと考える。
34)急性脳炎発症後の初期理学療法
1札幌医科大学 保健医療学部 理学療法学科、2札幌医科大学 附属病院 リハビリテーション部、3札幌医科大学 保健医療学部 作業療法学科、4札幌医科大学 大学院 保健医療学研究科
小塚 直樹1、澤田 篤史2、舘 延忠3、菊池 真4、堀本 佳誉4、横串 算敏2
【はじめに】小児が罹患する脳炎の原因は様々であり、経過中に若年脳細胞の可塑性に従って脳そのものが回復したとしても、知能低下や運動麻痺、てんかんなどの症状を遺すことがある。今回3例の急性脳炎患者の発症後で、比較的早期からの理学療法を経験したので、その経過と考察を報告する。
【症例紹介】症例1.女児、2歳3ヶ月時発症、第36病日より45日間30回介入、開始時運動発達は4-5ヶ月、終了時運動発達は5-8ヶ月、精神運動発達遅滞が遺り、退院後は療育専門施設へ転院。症例2.女児、2歳2ヶ月時発症、第22病日より62日間37回介入、開始時運動発達は1-4ヶ月、終了時運動発達は11-24ヶ月、軽度精神遅滞が遺り、退院後当科で経過観察。症例3.男児、2歳11ヶ月、第30病日より27日間18回介入、精神遅滞と多動が遺り、退院後は療育専門施設で経過観察。
【考察】この時期の理学療法の展開に関して、幾つかの提言を示したい。言うまでもなく、可能な限り早期から理学療法を開始することは重要である。これら症例の急性期に共通することは、経過が著しく変化することである。この変化の主たる原因は、脳炎発症直後の脳浮腫に伴う全身状態の低下と複数の症状の混在、その後の脳浮腫軽減とともに新たに出現する神経症状である。従ってこの期間を通して、様々な症状を見極め、適切に評価し、全身状態の改善と共に、治療計画を柔軟かつ慎重に変更する判断が重要となる。また画像所見から得られる情報を基に、精神発達と運動発達の予後を予測した上で計画される理学療法がこれら患児の二次障害を最低限に止めるという点においても重要であると考える。回復速度や回復程度には個体差があり、長期にわたる治療や経過観察も重要となる
35)重症心身障害児・者における骨密度測定とその傾向
1札幌あゆみの園 診療部 生活療法課、2札幌医科大学 保健医療学部
岡山 愛1、佐々木 智教1、館農 幸恵1、小塚 直樹2
【はじめに】当園入所利用の重症心身障害児・者(以下、重症児・者)では、例年数件の骨折が認められ、骨の脆弱性がその一因であると予測される。そこで今回、入所利用者の骨組織の状態を簡便に評価するため、骨密度を測定し検討したので報告する。
【対象・方法】当園入所の重症児・者168名中、体調不良・拒絶などの理由により測定不可能であった5名を除く163名(平均年齢34.0±13.2歳、男性94名・女性69名、大島の分類1〜12・17、超重症児・者19名)に対し、超音波踵骨測定装置(A-1000 EXPRESS、GE Lunar社製)を用いて骨密度(スティフネス指数で表示;以下、指数)を測定した。
【結果】指数は全体で平均43.0±15.7だった。男性平均45.4±15.0(34.1±14.3歳)、女性平均39.7±16.2(33.9±11.8歳)で、男女間での有意差は認められなかった。移動能力と指数との関係は、移動能力が低いほど指数が低い傾向が認められた。超重症児・者では、平均27.2±10.2(24.8±17.4歳)で、他の重症児・者と比較して指数が低かった。また、年齢と指数との関係(移動能力別)は、年齢が高いほど指数が低い傾向が認められた。骨折既往の有無と指数との関係は、認められなかった。
【考察】重症児・者における指数は、先行研究の健常男性平均88.0±16.2、女性平均88.3±13.5と比較すると全体的に低く、歩行可能な動く重症児・者でも低値を示した。今回の結果では、各年代とも同年代の健常平均と比較すると40〜70%程度であり、年齢に関わらず骨の脆弱性が認められた。しかし、骨折既往の有無と指数との関係は認められなかった。これは今回は踵骨のみの測定であったため、部位により骨組織の状態に差があることも考えられた。今後は、骨密度以外の骨折発生要因についても検討する必要があると考えられた。
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展示室C 会場 ポスター演題 6(36〜42) 10月31日(日) |
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転倒予防 |
36)転倒予防教室におけるPTの役割と今後の課題
−道内80市町村へのアンケート調査より−
1北海道千歳リハビリテーション学院 理学療法学科、2平和リハビリテーション病院 リハビリテーション科
村上 亨1、伊藤 俊一1、柏木 学2
【はじめに】近年、転倒予防を目的とした介護予防事業が全国で展開されており、道内でも取り組まれている。最近では理学療法士(以下、PT)が各市町村からの委託を受けて介入するケースも見受けられる一方で、健康運動指導士をはじめ他職種が参加するケースも増えてきている。そこで、今回我々は道内で転倒予防事業を行っている132市町村へのアンケート調査行い、PTの役割と今後の課題について検討したので報告する。
【対象と方法】平成16年2月、前年度において転倒予防事業を実施した道内の市町村保健センター132施設の担当職員に対して、郵送方式によるアンケート調査を実施した。アンケート内容は、1.スタッフの構成について、2.教室での役割分担(身体機能検査、プログラム作成、運動指導)、3.PTの必要性とPTに対する要望等とした。
【結果と考察】回収率は、60.6%(80/132地域)であった。1. スタッフ構成は、保健師とPTが最も多く、次いで保健師のみ、保健師とPTと健康運動指導士、保健師と作業療法士の順であった。2. 役割分担は、身体機能検査は保健師のみが最も多く、次いでPTのみ、保健師とPT、保健師と健康運動指導士の順であった。プログラム作成はPTが最も多く、次いで健康運動指導士、保健師の順であった。運動指導は健康運動指導士が最も多く、次いで保健師、PTの順であった。3. PTの必要性については、66%で必要との結果であった。作業療法士は49%であった。現状では委託による参入がほとんどで、効果を充実させるためにもPTの常勤化が必要との意見も挙げられていた。また、PTに期待する役割として、身体機能評価、プログラム作成の要望が多かった。
今回の結果から、転倒予防教室でのPTの役割は身体機能面の評価やプログラム作成という点で、ニーズが高いことが明らかとなった。今後はPTの専門性を予防分野でも生かすためには、介護予防事業への参加の模索とデータの集積が必要と考える。
37)転倒予防教室終了後のアンケート調査
1富良野協会病院 リハビリテーション科、2北海道千歳リハビリテーション学院
中山 良人1、前田 健太郎1、村上 亨2、伊藤 俊一2
【はじめに】近年の高齢化社会に伴い多くの市町村で「転倒予防教室(以下、教室)」が実施されている。しかし、教室終了後の運動継続や転倒状況についての調査は十分になされていない。今回、我々は平成15年度教室終了後3ヶ月経過時点の状況を調査し、今後の教室運営のあり方について検討したので報告する。
【対象と方法】平成15年度の教室終了者18名(平均年齢74.5±7.5)に対して郵送方式によるアンケート調査を実施した。内容は、教室終了後の転倒状況および運動状況とした。
【結果】回収率は、95%(18/19名)であった。教室終了後の転倒経験者は、5名(28%)であった。教室終了後に運動を継続していた者は9名(50%)であり、継続できない理由として運動効果は理解しているが一人では怠けてしまうという意見が多かった。転倒状況は、敷居でのつまずき、暗い場所で階段を踏み外しての転倒などであった。また、教室終了後OB会が自主的に発足しており、月1回交流していた。しかし、参加者は6〜7名程度であり、OB会への参加意思はあるが外出を控えている者が多く、転倒経験者のこの会へは参加は皆無であった。
【考察】以上の結果、転倒者は想像以上であり、転倒原因として身体的要因だけでなく環境的要因も影響していると考えられた。一般的教室では、身体的機能面へのアプローチが主体となるが、環境への配慮もより強調して教育していく必要があると思われた。また、運動継続者は半数にとどまり、転倒危険要因の高い高齢者では一人で運動を継続する事が難しく、たとえ運動に対する関心が高く効果を実感していても、運動継続の難しさが改めて示唆された。
今後、OB会への介入が重要であり、保健師と連携を図り、より多くの人が参加できる環境づくりが大切と考える。また、さらに身体機能面の経時変化も含め検討を重ねていきたい。
38)猿払村転倒予防教室におけるホームプログラム内容の検討
〜貯筋通帳を活用して〜
1医療法人禎心会 老人保健施設 ら・ぷらーさ リハビリテーション科
長山 睦1
【はじめに】猿払村では介護予防事業として転倒予防教室が平成11年4月より開催されている。今回猿払村で行なっている転倒予防教室の紹介とホームプログラムの一貫として導入した「貯筋通帳」についてアンケート調査を行ったので報告する。
【教室および貯筋通帳の紹介】教室の頻度は月2回(年24回)であり当事業所の理学療法士が月1回(年12回)を担当している。教室の参加人数は33名(男性14名、女性19名)、平均年齢は74.9歳±4.4歳である。利用人数は平均17.6人、平均参加回数は年5.9回であった。教室の内容は、機能訓練・レクリエーション・個別相談である。「貯筋通帳」は運動の継続を目的とし実施回数を記載する手帳であり、ホームプログラムとして平成15年度より導入した。内容は腹筋・腕立て伏せ・スクワット・歩行の4種目であり、歩行は万歩計を用いて行った。
【対象・方法】対象は教室参加者でアンケート調査が可能であった20名であり、方法は教室に関するアンケート用紙を作成し調査した。アンケートの内容は教室の開催内容、貯筋通帳についてであり貯筋通帳については実施状況と継続困難だった種目・今後の継続についてである。
【結果】貯筋通帳の実施状況は内容全て継続可能12%、一部だけ継続可能64%であった。そのうち歩行のみを継続していた人は大多数であった。継続困難だった種目は継続自体が困難40%、種目の継続困難は腹筋30%、腕立て伏せ30%であった。また継続の有無は続けてほしい80%、どちらともいえない20%であった。
【まとめ】教室で貯筋通帳の導入を行いアンケート調査を行った。その結果歩行は継続が可能であり生活に密着した運動の導入・指導が重要であると考えられた。またその他の種目については継続が困難であったため今後の課題として指導内容の検討が必要であると考えられた。
39)「高齢者筋力トレーニング事業」に関わる取り組み 〜第2報〜
1介護老人保健施設グラーネ北ノ沢、2北海道循環器病院、3北海道体育指導センター
阿部 史1、根木 亨1、村岡 卓哉2、大堀 克己2、手戸 一郎1、川初 清典3
【はじめに】「パワーリハビリテーション(以下パワーリハ)」等のアプローチが介護サービスの一環として広まり,今回我々は新たな手法を試み,その継続効果について検討したので報告する.
【対象】通所リハ参加者32名(男性21名,女性11名,平均年齢76.0±7.3歳).介護度別に要支援:2名,要介護1:21名,要介護2:7名,要介護3:2名,各疾患障害別では脳血管疾患:20名,内部障害疾患:8名,整形外科疾患:4名である.
【訓練方法】トレーニングには最低1kgから最高15kgまでの範囲に設定できるドイツ・コオペラ社製「ボディースパイダー」を使用,Leg press,Knee extension/flexion,Torso extension/flexion,Rowing,Chest press,Hip abduction/adductionの計9種目を実施した.回数は1種目10回を1セットとし, 1〜3セットの範囲で自覚的運動強度が「楽だ」から「ややきつい」の範囲で個々に合わせ実施した.頻度は,通所利用状況により異なるが2.2±0.6回/週である.
【効果判定】基礎体力評価として握力,開眼片足立ち,ファンクショナルリーチ,座位体前屈,落下棒テスト,Timed up & go,6分間歩行テスト(6MD),QOL評価としてEuroQOLをトレーニング導入前と導入後1,3,6カ月目に実施,結果の前後差をT-testを用い比較し,危険率5%未満(両側)を有意とした.
【結果】導入前と比し,開眼片足立ち,ファンクショナルリーチ,落下棒テスト,Timed up & go,6MDにおいて1〜3ヶ月で有意な差を示し,これら以外の項目においても改善傾向が見られ,その効果は維持された.
【考察】効果判定において基礎体力はパワーリハ同様の効果が出ており、継続により機能維持が可能であると考える.しかしEuroQOLに変化はなく今後の取り組みについて課題を残す結果となった.
40) 男女高齢者に対し転倒予防のためのスパイラルテーピング処置とその影響
1医療法人 英生会 野幌病院 リハビリテーション科、2札幌医科大学 医学部 第1生理学講座・大学院医学研究細胞機能情報学
大畠 純一1、大畠 誠1、三浦 悟1、野呂 三之1、野呂 英行1、當瀬 規嗣2
【緒言】高齢者(65歳)症例に男性5症例、女性12症例に転倒予防のスパイラルテープを使用した。高齢者の転倒予防に対するテーピングの報告は少ない。貼付前と貼付後の影響を重心動揺計で開眼時、閉眼時に分け、静的立位バランスを30秒間基本肢位にて総軌跡長を測定し評価をしたので報告する。
【対象と方法】男性高齢者5症例と女性高齢者12症例の計17症例である。高齢者男性5症例平均年齢76.6歳、身長160.4cm、平均体重66.6kg、女性高齢者12症例の平均年齢73.41歳、平均身長150.91cm、平均体重55.76kg、男女とも全て腰痛疾患であった。テープはスパラルテープのローリングテープ3mm幅のものを使用した。巻く方法は大畠法で右手指第1指と左手指第5指を選定し、爪先端部から爪根部まで真横に螺旋状に巻いた。その後に重心動揺計(アニマ株式会社GRAVICORDER GS-31)を使用した。立位バランスは基本肢位で30秒間、静的立位をとらせ、十分休んでから測定をした。
【結果と考察】男性高齢転倒者と男性高齢非転倒者のテーピングを貼付前と貼付後の開眼時、閉眼時を重心動揺計で測定、高齢転倒者では改善された。高齢非転倒者は改善されなかった。女性高齢転倒者と非転倒者では両者とも改善された。スパイラルテーピングは皮膚の上に貼付することは皮膚感覚(注射痛・切り傷)・深部感覚(筋・腱・関節)が関与しているが、姿勢保持効果はどうであろうか。今回効果はでているが症例数は少ない。今後症例数を増やして研究課題として行きたい。
41)端坐位での側方傾斜刺激に対する坐位保持の検討
1我汝会 えにわ病院、2北海道大学医学部保健学科
水村 瞬1、高橋 光彦2
【目的】坐位での側方傾斜角度変化に伴う、体幹筋の活動変化、頸部及び体幹傾斜角度,体幹が水平位を保持できなくなる角度について測定し、傾斜角度に対する姿勢反応動態を明らかにすること。
【対象】被験者は健康な男子大学生9名,平均年齢22.1±1.9歳,平均身長173.1±2.4cm,平均体重59.8±4.7kgである.
【方法】被験者に傾斜上で、上肢は胸の前に組ませ,下肢は股関節内外転中間位,骨盤は中間位になるように端座位なり、傾斜角度は0°から5°間隔で7つの肢位(30°まで)で実施し,ランダムにそれぞれの角度で10秒間坐位保持を行った. 体幹と頸部の角度を測定するためにランドマークを左右の肩峰,外眼角点より1cm外側に貼付し,デジタルカメラを用いて坐位保持姿勢を静止画で撮影した.それらの静止画をパーソナルコンピュータに取り込み,画像ソフトにてランドマークの座標を読み取り,ランドマーク二点から三角関数を用いて頸部,体幹の傾斜角度を解析した.なお頸部,体幹傾斜角度は床面を基準とした.筋電計を用い,側方傾斜刺激による左右各々の脊柱起立筋の筋電活動を測定した.表面電極の電極間距離は3cmとして,電極の貼付位置はL4〜5とTh11〜12とした.座面傾斜角度が0°の時のIEMGを100%として,それぞれのIEMGを%で表記した
【結果】座面傾斜角度が増加するにつれて,傾斜角度と逆の腰部の%IEMGが増加し,左右ともに極めて強い相関があった。頸部,体幹傾斜角度は座面傾斜角度が20°付近から角度が増加する傾向があり,立ち直りがみられなくなかった.頸部,体幹傾斜角度で右傾斜,左傾斜では比較では有意差はみられなかったが,右傾斜で頸部傾斜角度,左傾斜で体幹傾斜角度が増加する傾向が見られた.
42)脳卒中片麻痺患者における音刺激後の片脚立位動作反応時間と歩行能力の関連性
1千歳豊友会病院 リハビリテーション科、2北海道千歳リハビリテーション学院 理学療法学科
福井 瑞恵1、久保田 健太1、伊藤 俊一2、隈元 庸夫2
【はじめに】脳卒中片麻痺患者,(以下CVA患者)の歩行能力に与える因子として,下肢筋力,バランス能力など姿勢安定性要因との関連性は数多く報告されている.しかし,動作速度と歩行能力に関する検討は散見される程度である.そこで今回演者らは,立位で非麻痺側下肢を挙上する動作を音刺激から動作終了までにかかった時間(以下,動作反応時間)を計測し,歩行能力の関係を明らかにして,動作速度と歩行能力の関連性を検討した.
【対象と方法】対象は,片脚挙上動作が一瞬でも可能なCVA患者40名(平均年齢66.3±11.9歳)とした.
計測は,ユニメック社製の反応速度計を使用し,歩隔は肩幅とし,(1)非麻痺側下肢自覚的最大荷重立位(2)麻痺側下肢自覚的最大荷重立位の2条件のスタート肢位から,音刺激後に可及的に非麻痺側下肢を挙上する片脚挙上動作を,各々5回実施させた.歩行能力は,10m歩行時間,努力性10m歩行時間,timed up and go test,FIMの歩行項目(以下,歩行FIM)を求めた.初期測定日より24時間以後に動作反応時間の再測定を行い,動作反応速度の再現性を検討した.また,(1)及び(2)各々の動作反応時間と歩行能力との相関および歩行FIM別の動作反応時間の比較検討を行なった.統計学的解析には級内相関係数,Speamanの順位相関係数,多重比較検定を用い,有意水準は5%とした.
【結果と考察】動作反応時間の計測は,条件(1)で高い再現性を認めた.また条件(1)の動作反応時間と各歩行能力間に相関を認めた(p<0.01).歩行FIM別動作反応時間の比較では,条件(1)において歩行FIM 5-7間,6-7間に有意な差が認められた.
以上の結果,CVA患者の歩行能力には動作反応時間との関連性が示唆され,さらに左右の重心移動動作を含んだ動作反応時間が,より歩行能力と関連性があると考えられた.
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展示室A 会場 ポスター演題 7(43〜49) 10月31日(日) |
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脊椎関係 13:00〜14:00 座長:麻生整形外科病院 佐々木祐二 |
43)頚部疾患患者に対する頚部筋力測定法
1我汝会 えにわ病院 リハビリテーション科、2我汝会 えにわ病院 整形外科
石田 和宏1、佐々木 敏晴1、村上 哲1、佐藤 栄修2
【目的】頚部疾患患者に対する頚部筋の筋力強化は、臨床にて頻繁に行われている。しかし、頚部疾患患者に実施可能な統一した頚部筋力の測定方法がないのが現状である。その原因として、1)測定機器、測定肢位、固定方法などの測定方法が十分に検討・統一されていない、2)年代別健常値が存在しない(特に高齢者)、3)十分な症例数での検討が行われていないことが考えられる。本報告の目的は、1.我々が考案した等尺性頚部筋力測定法に関する検者内・検査間信頼性の検討、2.年代別健常データの作成である。
【対象と方法】対象は、頚部疾患の既往が無い40〜70歳代の健常者101名とした。測定機器はPower Track 2 TM COMMANDERとした。測定肢位は、代償運動を出来る限り防ぐため、GT-350(OG技研社製)を用いた足底離床、股関節90°屈曲位椅子座位とし、大腿部・骨盤・胸郭をベルトにて固定した。センサーパッドの位置は、屈曲筋力測定では額、伸展筋力測定では外後頭隆起部とした。測定時の頚椎位置は、屈曲伸展中間位とした。測定は、数回の練習後、等尺性頚部屈曲筋力、伸展筋力測定を各々3回ずつ行い、その最大値を測定値とした。分析内容は、a)健常者による検者内・検者間信頼性の検討、b)年代別健常データの算出とした。
【結果と考察】本測定法は、検者内信頼性がICC:0.99、検者間信頼性が屈曲でICC:0.98、伸展でICC:0.97と何れも高値であり、臨床現場での使用において有効であると思われた。今後、さらにデータ数を増やしていきたいと考える。
44)頚部疾患患者における頚部筋力の検討
1我汝会 えにわ病院 リハビリテーション科、2我汝会 えにわ病院 整形外科
石田 和宏1、佐々木 敏晴1、村上 哲1、佐藤 栄修2
【目的】頚部疾患患者に対する頚部筋の筋力強化は、臨床にて頻繁に行われている。しかし、頚部の屈曲・伸展筋力がどの程度低下しているのか、あるいはその筋力特性(伸展/屈曲比)などに関する報告は少ない。本報告の目的は、我々が考案した等尺性頚部筋力測定法にて外来頚椎疾患患者の頚部屈曲・伸展筋力を測定し、さらに先行研究にて作成した性別・年代別健常データと比較検討し、頚部疾患患者に対する筋力強化の一助を得ることである。
【対象と方法】対象は、H15年10月〜H16年6月に当院の外来を受診し、保存療法にて運動療法が開始となった40〜70歳代の頚椎疾患患者114例(以下、患者群:男性42例、女性72例)とした。測定方法は、我々が考案した等尺性頚部筋力測定法とした。測定は、数回の練習後、等尺性頚部屈曲筋力、伸展筋力測定を各々3回ずつ行い、その最大値を測定値とした。健常値は、我々が作成した101名の性別・年代別健常データを使用した。分析内容は、健常群・患者群間における屈曲・伸展筋力、伸展/屈曲比の比較検討とした。統計学的検討は、Mann-Whitney U検定を使用した。
【結果と考察】今回の結果より、頚部疾患患者では、頚部伸展筋力低下が著明であった(p<0.01)。伸展筋力の低下は、頚部伸展筋群が抗重力筋であるため、廃用性、疼痛・反射抑制の影響が大きく関与したものと示唆される。今後、我々が考案した測定法にて、症例数をさらに増やし、頚部疾患患者の筋力低下の特性およびその原因を追求したいと考える。
45)腰椎後方除圧手術後の残存症状に対する超音波療法の効果
〜第2報:RCTによる分析〜
1我汝会 えにわ病院 リハビリテーション科、2我汝会 えにわ病院 整形外科
石田 和宏1、村上 哲1、岩佐 志歩1、大地 亜紀子1、持田 諭宏1、佐藤 栄修2
【目的】今回我々は、腰椎後方除圧手術により大半の症状は回復したが、手術後に一部残存した症状に対する超音波療法(以下、UT)が有効かを無作為化比較試験にて検討した。
【対象と方法】対象は、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症の術後、疼痛やしびれなどの知覚障害性の残存症状があった21例とした。術式はLove変法、内側椎間関節切除術(以下、MF)であった。 対象者を無作為に治療群10例とプラセボ群11例とに分けた。治療群には、抜糸後より1日2回、入院期間を通してUTを行った。治療時の体位は側臥位とした。使用機器は、酒井医療株式会社製S-SONIC SUS-100とした。照射方法は、周波数0.8MHz、出力1.0W/cm2、20%間歇的照射、固定法(導子を障害部位に固定する方法)にて5分間とした。治療部位は、障害レベルの神経根周囲とした。また、プラセボ群は、超音波の照射のみ行わず、その他は治療群と全く同様に行った。治療実施前後に、残存症状の部位・程度をpain drawing・VAS(Visual Analog Scale)にて検査し、両群間での比較検討を行った。
【結果および考察】治療群・プラセボ群間において、性別、年齢、術式、障害レベル、治療開始日、治療日数、治療回数、術後入院期間、治療開始時の残存症状部位・程度において有意差は得られなかった。治療実施前後の改善率(100−退院時VAS/治療開始時VAS×100)は、治療群で有意に高い値が得られた。また、治療直後に効果が認められた症例は、治療群で9例に対し、プラセボ群では僅か3例であった。今回の結果より、非侵襲的で簡易な超音波療法は、腰椎後方除圧手術後の残存症状に対し有効な治療法であると考えられる。
46)脊髄損傷者における歩行について
−歩行の実用性と酸素効率の関係および退院後の経時的変化−
1労働者健康福祉機構 美唄労災病院 勤労者腰痛/脊損センター
佐藤 貴一1
【目的】本研究の目的は、脊髄損傷者における歩行の実用性と酸素効率の関係および退院後の経時的変化を評価することである。
【対象】歩行可能な四肢および対麻痺者32例を対象とした。脊髄損傷の程度は全例Frankel CまたはDであった。更に15例を退院1年後に再評価した。
【方法】平時歩行の速度と酸素摂取量を測定し酸素効率を算出した。歩行の実用性について、非実用歩行群、屋内歩行群、屋外歩行群の3群に分類し比較した。Aschworth Scale により下肢痙縮の強さを定量した。再評価時には日常生活における歩行頻度について問診により調査した。再評価例に対し退院後のリハビリテーション介入を実施しなかった。
【結果】非実用歩行群の酸素効率は平均0.72[ml/Kg/m]、屋内歩行群は0.37[ml/Kg/m]、屋外歩行群は0.23[ml/Kg/m]であり、各群間に有意差があった。再評価例中7例は酸素効率が改善(-0.13[ml/Kg/m])し、8例は悪化(+0.12[ml/Kg/m])した。酸素効率が改善した例では下肢痙縮は比較的弱く(平均Aschworth Scale 1.1)、外出などで退院後の歩行頻度が多い傾向がある一方、酸素効率が悪化した例では下肢痙縮は比較的強く(平均Aschworth Scale 1.8)、退院後の歩行頻度が少ない傾向があった。
【考察】酸素効率は歩行の実用性を反映した。歩行可能な脊髄損傷者において、リハビリテーション介入のない場合、退院後1年間の歩行パフォーマンスの変化は、下肢痙縮の程度と退院後の歩行頻度に影響される可能性がある。
47)ウィルチェアーラグビーチーム結成への取り組み
1特殊法人 労働者健康福祉機構 美唄労災病院、2岩見沢市立総合病院
遠山 あづさ1、佐藤 貴一1、大村 木綿2
【はじめに】ウィルチェアーラグビーとは、頚髄損傷者(四肢麻痺者)のために1977年カナダで考案されたスポーツである。バスケットボールコート上で公式バレーボールを使用し、1チーム4名で競技する。あらゆる方向へのボールパスや車いすによるタックルが許され、相手ゴールを狙う過激なコンタクトスポーツである。誕生から約20年の間に世界的に展開され、2000年シドニーパラリンピックで正式競技に加わった。日本では1996年アトランタパラリンピック後に普及活動が始まり、現在8チームが日本ウィルチェアーラグビー連盟に登録している。昨年より我々は道内初のチーム結成とその活動に携わってきた。今回、頚髄損傷者のスポーツ参加に対する我々の取り組みを紹介する。
【これまでの取り組み】ウィルチェアーラグビーがどんなスポーツなのか、また残存機能ベルがどの程度で可能なのかは一般に知られていない。そこで、当院を退院した頚髄損傷者らとその知人により選手募集がなされた。現在、北見、旭川、滝川、美唄、夕張、札幌在住の8名が集まり活動している。更に、入院中の若年頚髄損傷者らに対しても、入院中からスポーツ紹介を積極的に行っている。入院者の場合、車いす操作が自立してから実際のプレイを経験させ、チーム練習に参加させている。
【今後の展開・目標】頚髄損傷者で、スポーツ活動を望む者に対してウィルチェアーラグビーを紹介することは、「外」に出るきっかけを与え、社会参加の一助となる。我々のねらいは道内における頚髄損傷者のスポーツ参加を促進することである。また、様々な取り組みを通して、理学療法が頚髄損傷者のスポーツ参加に対してどのように役立つかを明らかにすることが今後の重要な課題である。
48)不全頚髄損傷に複合靭帯損傷を合併した1症例
1市立函館病院リハビリセンター
森山 武1、川村 昌嗣1、碓井 孝治1、齋藤 香織1、山下 康次1
【はじめに】交通外傷による脊髄損傷では多発外傷を呈することが多く、不全頚髄損傷の回復過程では症例により様々な経過を辿る。今回、頚髄損傷に複合靭帯損傷を合併した症例を担当する機会を得たので報告する。
【症例】18歳、女性
【疾患名】第6頚椎破裂骨折、頚髄損傷(C6)、右上腕骨頸部骨折、右肘頭骨折、左膝関節複合靭帯損傷(前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯損傷)
【病歴および経過】2000年6月10日後部座席乗車中、4m程の沢に転落受傷。近医搬送後、当院へ紹介入院。入床時、筋力はMMTにて上腕二頭筋右3左4、手関節背屈2、以下筋収縮なし。感覚はTh2まで正常、Th3〜8まで触・痛覚鈍麻。Th8以下脱失。肛門周囲S4-5領域触覚あり。ASIA motor 11点、sensory light touch 48点、pin prick 48点。6月12日頚椎前方固定術施行。理学療法処方となる。6月26日右上腕骨頸部骨折、肘頭骨折に対して観血的骨接合術施行。6月27日右大腿四頭筋収縮認められる。その後筋力および感覚の回復を認め、8月22日より膝関節硬性装具装着下介助での立位練習開始。歩行練習は平行棒内より開始し、段階的に交互式歩行器、ロフストランド杖歩行練習に移行した。2001年8月3日転院。転院時、片側ロフストランド杖歩行自立。ASIA motor 53点、sensory light touch 100点、pin prick 100点。2002年2月4日、左膝関節複合靭帯損傷に対する手術目的にて再入院。2002年2月8日後十字靭帯再建術施行。術後2週間伸展位固定。ROMexは術後3週目より開始。荷重は3週目より部分荷重開始し2週で全荷重とした。5月21日より膝関節装具除去。術前歩行能力まで回復し2002年7月5日自宅退院。退院時左膝関節屈曲135°、左大腿四頭筋4。【まとめ】本症例は急性期には両下肢完全麻痺を呈し経過とともに筋力、感覚の回復を認め、1年半後に靭帯再建術施行となった。術後においても歩行機能の維持が可能であった。
49)美唄労災病院の脊髄損傷リハビリテーションの50年
1美唄労災病院 腰痛/脊損センター リハビリテーション科
牧野 均1、川瀬 真史1、林 徹哉1、金子 實2
【目的】美唄労災病院は,周辺産炭地における勤労者医療の中核病院として1955年に開設された.脊髄損傷(以下脊損)医療は主軸のひとつであり,現在は勤労者腰痛脊損センターに受け継がれている.2004年3月現在,当院にて治療した脊損患者は1462例に達したが,2001年以降,当院における急性期脊損例は増加の一途を辿っている.本研究の目的は脊損医療の歴史的変遷を調査し,当院における脊損医療の特性と将来像を検討することである.
【方法】1955年から2004年3月まで当院における脊損患者1462例を対象とした.歴史的な相違を検証するため,1955年開設時から周辺炭鉱が閉山となる1970年までの15年間(炭鉱時代群)と,当院が新体制となった2001年度から2003年度までの3年間(センター群)を比較検討した.
【結果】炭鉱時代群(1955年から15年間):脊損総退院数は,184例であった.内訳は,労災保険が167例(90.8%),労災保険外が17例であった.また,胸・腰髄損傷は137例(74.5%)で,頚髄損傷は47例であった.センター群(2001年より3年間):脊損総退院数は,128例であった.内訳は,労災保険が32例(25%),労災保険外が96例であった.また,胸・腰髄損傷は45例(35.2%)で,頚髄損傷は83例であった.
【考察】炭鉱閉山に伴う炭鉱事故減少で脊損にける労災保険率が低下したものの,交通事故を中心に頸髄損傷が増加した.旧体制下では年間約30例の退院治療を遂行してきたが,2001年以降,当院がセンター化に伴い急増し,昨年度は急性期脊損例が年間70例に達した.総合せきそんセンターに次ぐ急性期脊損患者数であり,国内における脊損医療の中核をなす.しかし,症例数に対して病床数が少ないこと,施設の老朽化が著しくことなど検討課題も多い.
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展示室B会場 ポスター演題 8(50〜56) 10月31日(日) |
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システム 13:00〜14:00 座長:森山メモリアル病院 東海林拓哉 |
50)当院回復期リハビリテーション病棟の現状 −転帰に影響を与える因子−
1札幌秀友会病院 リハビリテーション科
石岡 裕子1、杉原 俊一1、春名 弘一1、飯間 祐子1、渡辺 倫子1、増田 知子1
【目的】当院が平成15年7月より回復期リハビリテーション(以下リハと略す)病棟60床を開設し1年が経過した。この間我々は在宅復帰を目標に日常生活動作の自立度向上を目指し、病棟での治療を実行してきた。また目標や方針の決定、その見直しをするために、定期的にカンファレンスを行っている。今回は当院の回復期リハ病棟の現状を把握することを目的に転帰に影響を与える因子について調査し報告する。
【対象と方法】当院リハ科データベースより平成15年7月〜16年6月までの1年間に回復期リハ病棟に入退院した188例のうち、リハ依頼のあった初回発症の一側半球損傷の脳血管障害患者76例を後方視的に調査した。性別の内訳は男性43例、女性33例、疾患別では脳梗塞55例、脳出血21例で平均年齢は68.6歳であった。調査項目は同居家族人数、転帰先、入院時の精神機能・高次脳機能障害の有無、ADLの評価については機能的自立度評価法(以下FIMと略す)の運動項目を用い評価した。
【結果と考察】平均在院日数は64.8±40.7日であった。転帰は在宅復帰が59例(77.6%)、療養目的での転院もしくは入所が12例(15.8%)、治療目的の一般病院転院が5例(6.6%)だった。転帰別の在院日数は在宅復帰群で61.2±36.9日、療養目的の転院群で84.4±58.7日だった。自宅復帰と非自宅復帰各々対象群の退院時FIMの平均の比較では各項目に有意差を認め、中でもその上位項目としては排尿管理、歩行、トイレ動作、更衣・下半身であった。回復期病棟のカンファレンスで在宅復帰にむけての条件として排泄関連動作にまつわるものが多い傾向を感じていたが、結果はそれを反映するものになった。排泄関連動作はその介護内容からも介護保険などの公的なサービス導入が難しいこともあり、今後はこの結果を踏まえ病棟でのADL訓練に反映させていく必要があると考える。
51)退院後早期における脳卒中患者の問題点と外来リハビリテーションの課題
1クラーク病院 リハビリテーション部
森長 俊晃1、越後 靖子1、清水 麻奈美1、山野 香1、冨樫 英則1、水本 善四郎1
【はじめに】当院では脳卒中患者に対して外来リハビリテーション(以下外来リハ)を実施しているが、多くの患者から退院後の身体機能低下、環境への適応に対する不安などの訴えが聞かれる。そこで今回退院後の身体機能、精神機能の変化から退院後早期に患者が抱える問題点と外来リハの今後の課題を検討した。
【対象】当院を平成15年5月から平成16年6月までに退院し外来へ移行した脳卒中患者19名(男性16名、女性3名、平均年齢61±10.23歳)を対象とした。
【方法】1)身体機能はTimed up and go test(以下TUG)を退院時と退院1ヶ月後で比較した(wilcoxon signed-ranks test)。2)感情評価をProfile of Mood States(以下POMS:緊張‐不安、抑うつ‐落ち込み、怒り‐敵意、活気、疲労、混乱)、3)QOL評価はSF36(身体機能、日常生活機能、身体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能、心の健康)を初回外来時に実施し、それぞれ報告されている健常人のデータと比較した(t-検定)。
【結果】1)TUGは退院時29.01±12.17秒、1ヵ月後27.01±13.51秒と有意に改善を認めた(p<0.01)。2)POMSでは抑うつ‐落ち込みの項目で健常人よりも有意に高い傾向が認められた(p<0.01)。3)SF36では全体的健康感、活力以外の6項目で健常人よりも有意に低下が認められた(p<0.01)。
【考察】退院後早期の段階では身体機能の改善がみられる反面、精神面においては脳卒中患者の特性である抑うつの傾向が有意に高く、QOLにおいても健常人よりも低値を示していた。退院後早期の患者は新しい環境への適応にストレスを感じる事が多いと言われている。今回の結果から外来リハにおいても適切な指導方法と明確な治療方針を立て、身体機能の変化のみに囚われず心理的、社会的背景や行動特性の変化も考慮した対応が必要と考える。
52)在宅脳卒中患者に対する外来リハビリテーションについて
〜退院後早期に問題を抱えた症例を通して
1クラーク病院
清水 麻奈美1、越後 靖子1、森長 俊晃1、山野 香1、冨樫 英則1、水本 善四郎1
【はじめに】当院では脳卒中患者に対して、回復期から在宅まで一貫したリハビリテーション(以下リハ)を展開している。特に屋内移動が自立している患者に対しては積極的に外来リハを行っている。今回は、退院後早期に身体機能面へアプローチして、精神面や介護面に対しても効果をあげた2症例について報告する。
【症例1】77歳女性、脳梗塞、右片麻痺、娘夫婦と3人暮らし。通院頻度は2週に1回。退院時の屋内移動はプラスチックAFOとT字杖で歩行自立、屋外は車椅子を使用していた。問題点としては入院中に外泊経験がなく、退院後無理をして動きすぎたために腰痛が悪化し、初回外来時、歩行不可能で介護量が増加していた事があげられた。外来リハで腰痛に対しアプローチを行った結果、約1ヶ月後に屋内・外の歩行が可能になった。初回より1ヵ月後でPOMS(感情プロフィール検査)は「抑うつ・落ち込み」などが軽減、Zalit介護負担尺度では38点が27点と軽減し、3ヶ月程で生活が落ち着いた。
【症例2】72歳女性、脳出血、右片麻痺。2世帯住宅で夫と2人暮らし。通院頻度は週に1回。退院時の屋内移動はT字杖歩行自立、屋外は要監視であった。問題点としては身体能力は高いが入院中に家事等を含む応用動作へと繋がっていないため、慣れないことへの不安が強く、家族が過保護になってしまっていた事があげられた。外来リハで応用動作も行い、患者の能力を家族に示していった。身体面ではTimed Up Go Testで初回、1ヵ月後、3ヵ月後でそれぞれ、23秒、19秒、18秒と歩行速度が速くなり、Zalit介護負担尺度も12点、9点、3点と軽減した。
【考察】退院後早期に身体機能面へのアプローチをすることで、患者が本来有している能力を引き出す事ができ、精神面や介護面にも良い影響を与えることができた。退院後早期の在宅生活に慣れない時期に、外来リハで患者や家族に関わることは有効かつ必要であると考える。
53)当院通所リハビリにおける個別リハビリの役割
1北海道勤労者医療協会 札幌北区病院 リハビリテーション科、2北海道勤労者医療協会 札幌丘珠病院、3北海道勤労者医療協会 中央病院
吉川 真美1、岡本 五十雄2、佐藤 礼人3、飯尾 紗綾香1、通所リハビリ科 スタッフ一同1
【はじめに】当院通所リハビリは2002年11月に開設され、2003年5月より個別リハビリ(以下、個別リハ)を1日7人枠で開始した。今回、個別リハの効果・役割を個別リハ終了・継続者の傾向から検討した。
【対象・方法】対象は2003年5月から1年間の個別リハ利用者53名である。内訳は、男性26名、女性27名、平均年齢は78.0±9.8歳である。主疾患名は脳血管系疾患23名、整形疾患24名、呼吸器疾患2名、心疾患2名、ギランバレー症候群1名、脊髄小脳変性症1名である。介護度は、要介護1が23名、要介護2が17名、要介護3が8名、要介護4が5名である。方法は、1)効果判定として初回、開始から3ヶ月、6ヶ月後の10m全力歩行スピードを測定し比較した。統計学的分析にはt検定を用いた。危険率5%以下を有意差ありとした。2)終了理由と継続理由について調査した。
【結果】1)10m全力歩行スピードは、3ヶ月後(対象者数34名)、6ヶ月後(対象者数23名)共に向上傾向が認められた。2)1年間の終了者は22名で、理由は入院16名、目標達成5名、サービス変更1名である。継続者は31名で、維持15名、未達成8名、終了予定6名、サービス変更2名である。
【考察】本研究から、歩行スピードは個別リハ開始時から比較して3ヶ月、6ヶ月とも向上傾向が認められた。個別リハの効果は確認することはできたが、終了時期には大きくは影響していない。終了理由は入院が最も多く、目標達成する者は予定者も含めて9名と少なかった。セラピストの技術に加え、個々にあわせた計画を関連するサービス側で集団的にアプローチすることが重要である。継続理由としては維持目的が15名と多く、自主的に維持することが困難である例が多い。しかし、個別の対象者は回復見込みのある者とされており、現場の実態には則していない部分がある
54)身体障害者手帳取得者のQOL調査 −呼吸機能障害を対象として−
1手稲渓仁会病院 リハビリテーション部、2札幌医科大学 大学院 保健医療学研究科、3札幌医科大学 保健医療学部
長谷 陽子1、戸津 喜典2、山中 悠紀2、宮坂 智哉2、石川 朗3、青山 誠1
【はじめに】身体障害者福祉法制定以降、医療技術の進歩や対象疾患の多様化により呼吸機能障害者の実態は大きく様変わりし、認定基準の変更が求められている。そこで今回、身体障害者手帳を取得している呼吸機能障害者のQOLの現状を把握することを目的とした。【対象・方法】当院呼吸器科通院中で状態の安定している身体障害者手帳取得者7名を対象(平均年齢72.7±5.4才男性3名女性4名)とした。対象疾患は、COPD・気管支喘息等の慢性呼吸不全を呈するものであった。身体障害者手帳等級の内訳は、1級4名、3級3名であった。在宅酸素使用者は、7名中4名であった。QOL評価にMOS Short Form36(;SF-36v2)を用い、身体機能(;PF)、日常役割機能(身体)(;RP)、身体の痛み(;BP)、全体的健康感(;GH)、活力(;VT)、社会生活機能(;SF)、日常役割機能(精神)(;RE)、心の健康(;MH)の8項目の下位尺度、及び身体的健康度(;PCS)、精神的健康度(;MCS)からなるサマリースコアを換算し、国民標準値(;国標)の50点と比較した。
【結果】性別・年代別平均値は、70代男性のRE以外全ての下位尺度で国標より低値であった。また、全ての年代・性別での平均値は国標よりPCSは低かった。等級別では、1級は3級に比べPF・RP・PCSで低く、3級は1級に比べGH・SFで低かった。
【結論】身体障害者手帳取得者のSF-36は国民標準値より全ての下位尺度で低い傾向を示し、身体的健康度は低下している傾向にあった。
55)リハビリテーション科と病棟との情報共有について
〜道南支部におけるアンケート調査から〜
1医療法人社団 函館脳神経外科病院
大面 寮子1、石田 亮介1、中田 俊博1
【はじめに】リハビリテーションチーム内での情報共有は、問題点を明確化し統一された目標を効率よく達成するためには重要である。しかし、施設によってチーム内での情報共有手段は様々であり、統一された方法は確立されていないのが現状である。今回我々は、道南支部の施設を対象に、リハビリテーション科と病棟との情報共有について調査を行ったので報告する。
【方法】道南支部に属する46施設を対象としてアンケート調査を実施した。調査項目は、1.病棟との連絡方法、2.連絡カード等書式類の使用状況、3.カンファレンスの実施状況、4.リハビリスタッフの情報共有に関しての満足度(VAS)、である。アンケート回収率は39.1%であった。
【結果】1.病棟との連絡方法は、口頭が11施設、連絡カード等書式類によるものが11施設、カンファレンス11施設であり、電子カルテ、病棟申し送りが1件ずつであった。また単一の連絡方法ではなく併用している施設が13施設であった。2.連絡カードの使用状況は、内容が病態・訓練内容に関することが多く、頻度はほとんどの施設が必要に応じて使用していた。3.カンファレンスの実施状況は、参加者は主治医、看護師、ソーシャルワーカー、リハビリスタッフであり、時間は1症例2〜3分程度が多かった。4.リハビリスタッフの満足度は平均48.6点であった。
【考察】今回の結果より、施設によっての連絡方法に違いがみられたが、ほとんどの施設において、口頭・連絡カード・カンファレンスの併用が多かった。これは、どの連絡方法においても問題点があり、併用することで補っていると考えられる。しかし、満足度の結果より現状の連絡方法に対し、問題点が残されていることも伺える。
56)理学療法士の理念と達成感
1札幌学院大学 人文学部 人間科学科
井上 秀美1
【目的】リハビリテーション(以下、リハ)は、医療、保健、福祉の連携が必要と言われ、理学療法士(以下、PT)は医療費抑制や福祉及び介護サービスの急激な変化の中で業務量に追われている。そして、業務多忙に耐える職業的よりどころは何かと考えた時に、福祉分野には、福祉サービスの基本理念(社会福祉法)、児童福祉の理念(児童福祉法)、基本的理念(老人福祉法)等と理念があり、保健分野も基本理念(地域保健法、老人保健法)がある。しかし、PT分野には理念がない。だが、PT職の起源であるリハには理念がある。リハ理念は、全人間的回復であり、思考的視点にICF(IDH)があり、手段としてチームアプローチとされる。ではPTは理念を意識して思考や手段を取り入れているか。理念は業務達成感に影響があるかと考え調査を行った。
【対象】平成15年度日本PT協会名簿から、系統的抽出法にて道内PT会員200名を抽出した。
【方法】郵送による無記名の質問紙法。質問紙は、理念の有無・業務展開へのICF(IDH)視点等々とバーンアウト尺度(以下、BS)から構成した。
【結果】回答者、114名(回収率57%)。分析は、BS不十分を除いた111名。男性82名、女性29名。平均年齢31.3才(23才から61才)。何がしかの理念有り回答84名・無し回答21名・その他6名。全体のBS平均値は、達成因子2.66、消耗因子2.18。理念有り群は、達成因子2.74、消耗因子2.16。理念無し群は、達成因子2.47、消耗因子2.27。思考視点にICFを取り入れは、理念有り群62%、無し群47%。職場にリハ専門医関与は、理念有り群37%、理念無し群29%。院外職種との連携有りは、理念有り群81%、理念無し群は52%。
【考察】回収率が低く道内PTへの反映はできないが、回答者群傾向として、理念の有無は業務の達成感と低い連関があると考える
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展示室B会場 ポスター演題 5(57〜63) 10月31日(日) |
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症例・物理療法 10:30〜11:30 座長:北都保健福祉専門学校 小林 浩 |
57)重症胸部外傷患者に対する呼吸理学療法の経験
1札幌医科大学附属病院 リハビリテーション部、2札幌医科大学附属病院 高度救命救急センター
谷口 志穂1、管野 敦哉1、石川 朗1、横串 算敏1、森 和久2、松尾 邦功2
【はじめに】当院は高度救命救急センターに指定されており、理学療法分野においても救急救命治療を要する患者に携わることが多い。今回重症胸部外傷を受傷した2症例に呼吸理学療法を行なった経験を報告する。
【症例1】50歳女性、覚醒剤中毒。H16年3月27日地下鉄に飛び込み、多発肋骨骨折・肺挫傷を含む多発外傷を受傷した。搬入直後より荷重側肺障害を合併し腹臥位positioningを実施した。第12病日より酸素化改善・排痰促通を目的にpositioningとbagging・吸入と併せて呼気介助を実施した。第18病日より端座位練習を開始したが、人工呼吸器管理長期化が予測されたため第28病日に転院した。
【症例2】35歳男性、統合失調症。H16年6月1日車に飛び込み多発肋骨骨折・血気胸・骨盤骨折を含む多発外傷を受傷した。第2病日より荷重側肺障害に対し半日間の腹臥位管理を行なった。第22病日感染性膿瘍から敗血症となり、重度の荷重側肺障害のため挿管、人工呼吸器管理となった。第33病日に抜管したが、第39病日換気不全のためNIV開始し、第42病日再挿管し4日間の腹臥位管理とbagging・吸入と併せて呼気介助を実施した。排痰促通、酸素化改善傾向にて第46病日に抜管し、NIVを再開、第54病日room airとなる。以降、離床へ向け運動療法主体に実施中である。
【考察】2症例ともhyperinflationとpositioningの併用による排痰促通などの呼吸理学療法が有効であり、肺障害の軽減化につながったと考える。また症例2のNIVの使用に関しては、精神的に不安定であったが導入も比較的良好であり、気管切開を回避できたことは感染の予防に寄与したといえる。
【結語】重度な胸部外傷に対してのhyperinflation、 positioningと呼気介助の併用による排痰促通と、救急医療現場でのNIVの有用性が示唆された。今後はこれらの治療手段の適応と効果について更なる検討を深めたい。
58)救急医療現場における陽・陰圧体外式人工呼吸器RTXの使用経験
1札幌医科大学附属病院 リハビリテーション部、2札幌医科大学附属病院高度救命救急センター、3札幌医科大学保健医療学部理学療法学科
管野 敦哉1、横串 算敏1、谷口 志穂1、澤田 篤史1、成松 英智2、石川 朗3
【はじめに】RTXは非侵襲的であり、呼気の介助が可能であることが特徴の人工呼吸器である。この呼吸器は急性期から慢性期、在宅での呼吸管理に使用することが可能とされている。当院では高度救命救急センターの他、神経筋疾患の排痰介助などに使用されている。今回、当院高度救命センターに搬入された3名の患者に対し、使用する機会を得たので報告する。
【症例1】30歳、女性。外傷性くも膜下出血、肺挫傷。平成16年4月13日、バイク転倒にて受傷。CTで両背側下葉に無気肺が認められ、気管内挿管された。第3病日、無気肺が改善し抜管するも上気道の閉塞によりSpO2の低下が見られ、RTXを使用する。
【症例2】50歳,男性。気道熱傷、一酸化炭素中毒。平成16年4月20日、火災現場で発見され、当院搬入される。直ちに高圧酸素療法施行し、気管内挿管される。第4病日、抜管されるも酸素化不良、排痰困難のためRTXを使用する。
【症例3】22歳、女性。溺水、肺炎。統合失調症にて他院に入院中。平成16年6月1日、外泊中に川に飛び込み受傷。E病院から当院救命センターに搬入される。酸素投与で経過観察されていたが、CT上両背側に無気肺、肺炎が認められ、RTXを使用する。
【転機】症例1は30分間の装着後、PaO2が68.7mmHgから98.0mmHgに改善し、その後も再挿管されることなく第9病日に転院した。症例2は30分間を2回装着した後、すす混じりの痰が多量に排出され、PaO2が76.7mmHgから158.2mmHgに改善し、第9病日に独歩で退院した。症例3は約1時間の装着後、PaO2が88.5mmHgから133.5mmHgに改善し、人工呼吸管理も行なわれず第9病日に転院した。
【考察】今回の3症例は疾患も病態も異なっていたが、救急医療現場で問題となることが多い抜管後の気道閉塞や低酸素血症、排痰困難などに対し良好な結果が得られたと考える。しかし、この呼吸器の適応や使用基準などは明確化されていないため、今後症例数を増やし、検討していく必要がある。
59)多剤耐性肺結核患者における26年間の運動機能と画像所見の経過について
1北海道立苫小牧病院 リハビリテーション室、2北海道立苫小牧病院 呼吸器内科、3札幌医科大学大学院 保健医療学研究科、4札幌医科大学 保健医療学部 理学療法学科
河島 常裕1、常松 和則2、山中 悠紀3、石川 朗4
【はじめに】陳旧性肺結核は酸素化不全に加え高炭酸ガス血症を伴うことが多く、呼吸理学療法の対象疾患としては、COPDに次いで多い症例である。しかし、その病態や運動機能についての報告はきわめて少ない。 今回、陳旧性肺結核における理学療法について検討し、指針を得る目的にて、多剤耐性肺結核患者の26年間における運動機能や画像所見などについて後方視的に調査したので報告する。
【対象】77歳、女性。多剤耐性肺結核にて昭和53年、51歳にて当院入院。投薬治療を継続的に実施。平成16年4月、永眠。経過 昭和46年、発症。S市内の結核療養所にて入院治療も緩解せず、昭和53年、当院に転院となった。転院時動作時の息切れは見られたが、活動的に行動しADLは自立。胸部X線所見として気管変位はみられたが、胸郭変形は認められなかった。各種薬剤による治療が実施されたが、反応が見られず、継続入院となる。平成元年から看護師による歩行を主とした運動療法が開始されるが、徐々に意欲低下と排痰困難が生じ、転倒も見られ始めた。胸部X線所見は、気管変位の進行、胸郭変形と石灰化が見られ始めた。平成12年から理学療法士による呼吸理学療法が開始されたが、体力低下が徐々に進行し、日中も臥床傾向となり、ADLは食事を除き介助を必要とした。胸部X線所見は、著明な気管変位と胸郭変形がみられた。平成16年3月頃より次第に全身状態が悪化し、4月に永眠された。
【考察】本症例は、長期にわたり入院加療されていたが、加齢とともに運動機能は徐々に低下し、2年ほど前から急激なADL低下がみられた。また、胸郭の変形も終末期が近づくにつれ急速に進行した。したがって、陳旧性肺結核患者に対する理学療法は、運動機能が維持されていた時期から積極的に運動療法などを施行することが必要であり、加えて、胸郭変形に対するアプローチも、早期より検討することが重要と思われた。
60)加速度計を用いた消費エネルギー量の計測
〜車椅子利用者に対する測定の妥当性〜
1北海道社会保険介護老人保健施設サンビュー中の島
伊藤 晃範1、稲村 久美子1、佐々木 悟1、越後 弘子1、高井 重紀1
【はじめに】身体活動量の計測機器として、近年比較的安価で簡便に使用可能な加速度計が開発されているが、車椅子利用者に対する使用可否については検証されていない。本研究では、加速度センサーを搭載したViM(腕時計型、マイクロストーン社製)およびライフコーダー(腰部装着型、スズケン社製)による消費エネルギー量の計測が、歩行活動のみではなく、車椅子を主体とした活動に対しても可能かどうかを検証した。
【対象・方法】対象は健常成人14名(男性5名・女性9名、平均年齢31.6±9.0歳、平均体重61.6±14.4kg)。方法は、加速度計(ViM・ライフコーダー)および呼気ガス分析装置(OXYLOG2)を同時に装着した状態で、3分間の安静後、9分間の車椅子駆動および歩行を各1回ずつ実施。9分間の運動負荷プロトコールは、20m間隔で設置した目標物の周りを8の字に車椅子駆動および歩行をし、速度は2.4km/h、3.2km/h、3.6km/hの各3分ずつとする多段階負荷とした。速度を一定に保つため、10m毎に設定したマーカーを一定時間ごとに通過するようにし、車椅子駆動に関しては、メトロノームを使用し、駆動回数を60回/分と規定した。統計学的分析は、呼気ガス分析装置および加速度計(ViM・ライフコーダー)から計測された9分間の車椅子駆動と歩行による消費エネルギー量および歩数を、ピアソンの積率相関係数、Student’s-T-test、等分散検定F-testを用い比較検討した。
【結果・考察】ViMは、歩行に関しても車椅子駆動に関しても消費エネルギー量の計測に妥当性がみられたが、歩行時の歩数に関しては信頼性が低い結果であった。ライフコーダーに関しては、歩行時における消費エネルギー量や歩数の計測に妥当性がみられたが、車椅子駆動による消費エネルギー量の計測は困難であった。車椅子を主体に生活している高齢者や障害者に対して身体活動量を計測する時、ViMは有用であると考えられる。
61)ハムストリングスの伸張性に対する深部温熱効果について
1札幌医科大学 大学院 保健医療学研究科、2札幌医科大学 保健医療学部 、3札幌清田整形外科病院、4愛全病院
高崎 博司1、武田 秀勝2、青木 光広2、高木 貴史3、近藤 和恵4、宮本 重範2
【目的】深部温熱がハムストリングスのストレッチ効果増大にどの程度寄与するのかをマイクロ波を用い検討する。さらに、ストレッチ効果の持続時間について検討する。
【方法】被験者はハムストリングス・膝に障害既往が無く、健康な20代前半の男性5名とした。同被験者に対しストレッチのみを行う場合と、マイクロ波をストレッチに併用する場合の2群間比較をおこなった。実験は各被験者の各群2回、1週間以上間隔をあけて実験を行った。測定肢位は背臥位で右の膝窩角をゴニオメーターを用い測定した。安静時膝窩角を測定後、「心地よく」感じる程度の持続的ストレッチを大腿二頭筋、半腱・半膜様筋に対し30秒、各1回行った。ストレッチはIDストレッチングの方法に従うものとした。ストレッチ直後、膝窩角を測定し、以後5分、10、20、30、40分後に再測定した。ストレッチ後の膝窩角が初期値の±1°に回復したところで測定終了とした。マイクロ波を併用する場合は、安静時の膝窩角を測定後、腹臥位でミナト医科学株式会社製のマイクロタイザーMT-250Nを使い70Wで20分照射した。照射距離は10〜15cmで、坐骨結節から膝関節中央付近まで照射される距離とした。
【結果】全被験者において、膝窩角は40分以内にほぼ初期の値に回復した。ストレッチのみの場合安静時膝窩角平均は138.2°、ストレッチ直後の膝窩角平均は142.9°で、その差は4.7°であった。マイクロ波照射後ストレッチを行った場合の安静時膝窩角平均は132.8°、ストレッチ直後の膝窩角平均は142.5°で、その差は9.7°であった。統計処理は対応のあるt検定を用い、有意水準を5%以下にした。
【考察】マイクロ波の併用によりハムストリングスの伸張性が約2倍になることが分かった。更に、ハムストリングスの伸張性は深部温熱の有無に関わらず、安静にしていると40分で元に戻ることが分かった。ハムストリングスの伸張性を高めるには深部温熱が効果的であると思われる。
62)小豆を材料とした簡易式ホットパックの経時的温度変化
1北海道千歳リハビリテーション学院
白銀 暁1、村上 亨1、隈元 庸夫1
【はじめに】我が国の臨床場面において,ホットパックは特に使用頻度が高い温熱療法である.しかしながら,現在臨床で用いられているホットパックは装置が大型であり,在宅など施設外では使用しにくいものが多い.電子レンジで加熱するものも存在するが,これらは比較的高価である.このため,安価で身近な素材である小豆等を材料としたホットパックが近年注目を集めている.本実験では,小豆を材料としたホットパックを使用するための指標を得ることを目的とし,小豆重量と電子レンジ加熱時間を変化させて経時的な温度変化を計測した.
【方法】市販の小豆(北海道産)を綿袋に入れ,3種類(重量250g,500g,1,000g)の簡易式ホットパックを制作し,家庭用電子レンジ(出力500W)で加熱した.加熱時間は1分,2分,3分,5分とした.サーミスタ(Mother Tool社製DMA001C,確度±1.0℃)を使用し,ホットパック内部温度を加熱1分後から30分後まで1分毎に記録した.
【結果】すべての小豆重量において,加熱時間に比例して内部温度が上昇した.最高温度は133℃であった.最高温度から20分経過時までの温度低下率は,小豆重量250gで平均32%,500gで25%,1,000gで10%であった.
【おわりに】結果から,小豆は数分の加熱で容易に危険な温度まで上昇するが,小豆重量の増加に伴って内部温度変化が緩やかになることがわかった.熱水加熱ホットパックのような,長時間の熱放出を得るためには1,000g以上の小豆を使用することが望ましく,500Wでは1〜1.5分間程度の加熱が適当と考えられた.また,本実験で制作した簡易式ホットパックの材料費は,小豆1,000gのものでも2,000円以下であった.これは他の市販品に比べて安価であり,また小豆は身近な自然素材でもあるため,在宅場面でも導入しやすいと思われた.