「第56回日本医学教育学会大会」
参加報告
2024年8月9日
発表タイトル:
「ワークライフバランス授業における学生の意識変化の検討」
発表内容:
私は2024年8月9日に第56回日本医学教育学会大会に参加し、2012年から二輪草センターで実施しているワークライフバランス授業に関する取り組みについて、ポスター発表を行いました。発表のタイトルは「ワークライフバランス授業における学生の意識変化の検討」で、授業前後および、2012年と2022年に実施したアンケート結果を比較検討しました。
調査概要:
この調査では、授業の前後での学生の意識変化を測るためのアンケートを実施しました。特に、2012年と2022年に行われたアンケート結果を比較し、時代ごとの変化を分析しました。
主な結果:
• 男子学生の意識変化: 2012年と比較して、2022年では男子学生の育児休暇取得への意欲が高まっており、授業後に育児に専念したいと考える学生の数が増加しました。また、授業の前後においても育児休暇を希望する男子学生の割合が増えました。特筆すべきは、2012年のポストアンケートよりも2022年のプレアンケートの方が育児休暇取得を希望する学生が多い点です。
• 女子学生の意識変化: 一方で、女子学生に関しては、育児休暇を取りたいという割合に大きな変化は見られませんでしたが、2022年の結果では、育児を重視する女子学生が減少し、仕事を重視する割合が増加しました。
• キャリアプランニング: 男女共にキャリアプランニングに関する質問では、授業前後でキャリア形成や将来の勤務先選びにパートナーの意向を考慮する学生の数が増加しました。これにより、授業を通して将来を具体的に考える機会が増え、相手の立場に立って考えることができるようになったと考えられます。
考察:
今回の調査結果から、授業を通じて学生が将来について具体的に考えることで、当事者意識が生まれ、より現実的なライフプランを形成することができていることが示唆されました。また、先輩医師の体験談を聞くことで、ワークライフバランスの実現が可能であるという意識変化も確認されました。
三年生という、自分の将来についてまだ具体的に考えていない時期に介入し、卒業後の生活をシミュレーションすることは、より早い段階から自身の進路選択やワークライフバランスについて考えるきっかけとなり、持続可能なライフスタイルを見出すために重要であると考えられます。
さらに、この10年間で育児に対する意識や希望するライフスタイルの変化が見られており、今後はこれらの違いを認識した上でのサポートが求められると考えられます。
結論:
本発表を通じて、学生の意識変化やキャリアプランニングに対する授業の効果が確認されました。今後も、これらの結果を踏まえて、ワークライフバランスに関する教育の充実を図る必要があると考えています。
二輪草副センター長 菅野 恭子
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