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「ストレスチェック制度導入のための実務研修」
                   に参加しました

 

2016年1月14日

  平成27年12月1日から従業員数50人以上の事業場にてストレスチェック制度が義務化されました。二輪草センターでは2年前から職場のストレスについてアンケートを行い、9割以上の職員にストレスがありその中でも人間関係によるものが最も多いことがわかりました。2回にわたって講師を招き人間関係のトラブルの対処法についてイブニングセミナーを開催しましたがそのような経緯もあり、今回1月14日東京で開催されたストレスチェック制度についての実務研修に参加してきました。一般社団法人日本精神科産業医協会共同代表理事の渡辺洋一郎氏からストレスチェック制度導入のポイントと運用の実際についての講演がありました。
 ストレスチェック制度は「有効に機能すれば労働者の健康向上、企業の業績向上などをもたらす、労働者、職場両者にとって大きなメリットのある制度である。一方、さまざまな課題や問題点を含んだ制度であり、安易な取り入れは従業員の不信感の増強、労使トラブルの増加、人間関係の悪化、組織の混乱、無意味な支出の増加をもたらし、労働者、職場両者にとって大きな不利益をもたらす制度である」とのことでした。ストレスチェック制度の原理として事後措置をはかるためには事業者が本人を特定する必要があり、個人結果の開示が必要です。労働者が自身のストレス検査結果を事業者に知られると不利な取り扱いをうける危惧があり、個人結果を開示できません。これらの相反する二つの原理を満たすのは非常に複雑な方法ですが、具体的な運用法についての解説がありました。今後の課題として@労働者が正直に回答できるような枠組みや、高ストレスと判定された労働者が医師の面接を受けやすい枠組みを作ることによる労働者、事業者両者にメリットの有る目標の設定と周知、A個人情報管理の徹底、B面接指導体制の質の向上、C労働者、事業者の両者にとって有用な事後処置、D面接指導を希望しない高ストレス者、面接指導を実施した高ストレス者のフォロー、E組織分析結果を有用に活用し職場環境の改善につなげることが挙げられました。最後にストレスチェック制度の導入を成功させるためにはまずその目的を明確にし、目的を達成させるという覚悟と準備をもって全社でのぞむこと、また、最も重要な職場環境とは人間関係、コミュニケ-ションであると認識することとお話しがありました。
 二輪草センターではこれまでセミナーを通して人間関係のストレスを軽減する対処法を提案してきましたが、これからも何らかの形で職場環境の改善の助けになるよう努めて参りたいと思います。

 報告者:二輪草センター助教 菅野 恭子(皮膚科学講座)