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長崎大学公開シンポジウム

参加報告

2008年10月25日

 平成20年10月25日、長崎大学医学部の良順会館で開催された「公開シンポジウム in長崎 女性医療人のワークフォース活用に向けて。ワーク・ライフバランスのあり方と両立支援を考える」にシンポジストとして参加し、二輪草センターの活動内容について発表してきました。このシンポジウムは長崎大学医学部の女性医師麻酔科復帰支援機構の主催によるもので、当日のシンポジストのほとんどが麻酔科医でした。麻酔科領域では女性医療人の働く環境の整備が進んでいることがわかり、大変勉強になりました。
 しかし、なぜ主催者から皮膚科医である私のもとに講演依頼がきたのかが不思議に思われたのでおたずねしたところ、演者を選ぶにあたって全国の医療人サポート活動をしている施設をインターネットなどで検索され、二輪草センターの活動が眼に止まったとのことでした。私の発表とその後の総合討論での発言も身に余るお褒めをいただきました。この1年、さまざまな活動を展開し、またその進捗状況や成果を日々、ホームページ上で更新してきたのが注目されたと分かり、知らないところで私たちの仕事が認められていたことに大きな喜びを感じました。
 さて、今回のシンポジウムに参加して得られた収穫のうちいくつかを紹介します。まず、国立病院機構大阪医療センターの渋谷博美先生の講演では医師、検査技師の週40時間変則勤務制が導入されていることを知りました。これはたとえば当直明けの日は勤務しないようにしたり、子どもの学校行事の予定にあわせて5時間勤務の日を入れたり、子どもが塾などに通っており帰りが遅くても良い日は12時間勤務にするなど、職場内で勤務時間を調整するものです。この制度は独身の医師にも当直明けの平日の日中を休日として過ごせるため大変好評とのことです。当直明けに通常勤務を続けることは医療安全の観点からみて極めて危険な状態ですから、本学においても早急に導入をはかるべきと思いました。
 またNPO法人女性医師のキャリア形成・維持・向上をめざす会の瀧野敏子先生のお話で、気になったのは、ある病院が働きやすい病院評価の認証を獲得した年から医業収益が増加したが、影でそれまで独身で働いていた40代の女性医師が退職した事実があったということです。子どもをもつ女性医師だけが優遇されているような制度ととられるのは良いことではありません。私たちの二輪草センターの活動は本学の職員全員に喜んでいただけるものであるように配慮してまいりたいと思いました。
 横浜市立大学病院麻酔科の後藤隆久先生のお話でも職員間の不公平感が生じないようにという配慮がなされていました。報酬だけからいうとアルバイトだけのほうが有利なケースが多いのでそれは避けてもらい、大学での勤務と平行しておこなってもらうようにしているとのことです。
 長崎大学麻酔科の澄川耕二先生は15年間のブランクの後、復帰支援プロジェクトを利用して麻酔科医として復帰された女性を紹介されていました。彼女の復帰を支えた周囲の方々の包容力の大きさを感じました。また、和歌山県立医大麻酔科の畑埜義雄先生はコーチングの手法を用いて復帰支援をしておられました。会の後、後輩に悩みを相談されたらまず傾聴することが大切ですとおっしゃられ、私も大いに感じるところがあり、今後の二輪草センターの活動にも生かしていこうと思いました。

 

二輪草センター 副センター長  山本 明美