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女性医師の勤務環境に関する講習会

参加報告

2007年12月9日(日)

 平成19年12月9日(日)に札幌グランドホテルにて、『女性医師の勤務環境に関する講習会〜女性医師を職場で活かすために〜』が開催されました。北海道医師会常任理事 藤井 美穂先生司会のもと、参加者60名が集い、2時間にわたり、講演・意見交換会が行われました。

      講習会の内容および参加した堀先生の感想

 日本医師会男女共同参画委員会委員長 保坂シゲリ先生のご講演は、女性医師活動率が30歳40歳代に低下していることをふまえ、この低下を極力減らすための勤務支援が必要であることを述べられました。
 労働基準法に定められた産前産後休業や育児・介護休業法などの法に関する説明と仕事と、家庭と両立させやすい環境整備に対する各種助成金についての説明がありました。各種助成金制度など勉強になることが多く、非常にためになりました。
 清野佳紀先生は子育て支援に力を入れている病院として有名な大阪厚生年金病院の院長先生です。
 女性職員が働きやすい病院づくりをすることはすべての職員にとって働きやすい病院へと繋がり、病院の経営にも貢献すると述べられていました。
子育て中の女性医師を積極的に雇用(出産後3年間は正社員のまま勤務時間の短縮可能。報酬は勤務時間に比例させるが、賞与や保険は維持)し、男性医師の負担が増えないように夜間は外部の当直を増やしているとのことです。
子育て支援制度を整えたとしてもその制度を利用するのはごく一部ですが、支援制度の整った職場で働く安心感で職員のモチベーションもあがり好循環ができていることがわかりました。
 講演では、以前TVで放映された病院取材のVTRも一部見せてくださいました。子育て中で限られた時間内勤務であるものの全力で仕事を続けている女性医師のことを、上司の男性医師が“彼女はチームのために頑張っていますから僕たちもサポートします。”と言ったコメントに胸が熱くなりました。


意見交換内容

講 師 日本医師会男女共同参画委員会 委員長 保坂 シゲリ 先生
     大阪厚生年金病院 院長 清野 佳紀 先生

質問者 山本 明美 先生(旭川医科大学復職・子育て・介護支援センター 副センター長)

山本: 大阪厚生年金病院のように大都市圏では女性医師が働き続けられる環境の整備は可能であり、道内では札幌や旭川などの都市部に女性医師が集中していくことで、逆にへき地に関しては男性医師が勤務しなければならないなどのしわ寄せが来るのではないか。この問題についてどのように解決したらよいか教えて頂きたい。 

清野: この問題について通常の平等な雇用条件では解決方法するのは難しいと考える。へき地勤務に関しては、給与を上げて無理強いしても 誰も行かない。行きたい人に手を挙げてもらうことが大切である。
兵庫県では神戸のような都市部では医師が充足しているが、日本海側では北海道のように医師不足である。兵庫県の取り組みとしては、比較的医師の集めやすい阪神間の公立病院に余裕をもって 医師を採用し、医師不足の日本海側に期限を決めて派遣することなどが考えられている。
同様に大阪厚生年金病院でも登別厚生年金病院などの系列病院へ派遣できるように余分に医師を雇っている。 実際に本年4月から当院から登別に自分の意志で転勤した医師もいるが、その医師は女性医師であった。北海道でも道庁が主導して医師を余分に採用して派遣するべきであると考える。