内科(代謝・免疫・消化器・血液)
診療科について
当内科は消化器、血液腫瘍、糖尿病内分泌、リウマチ膠原病と多岐にわたる内科領域をカバーし、それぞれ専門領域の診療を担当しています。この分野の道東道北の最後の砦としての役割を果たします。消化器内科(消化管・胆膵、肝臓グループ)、血液・腫瘍内科(血液・移植グループ)、糖尿病・内分泌内科、リウマチ・膠原病内科を各専門チームが担当し外来診療、入院診療を行なっています。当科の診療目標は、(1)高度先端医療の遂行による患者さんへの貢献と(2)地域基幹病院の拡充をはかり地域医療への更なる貢献に集約され、教室および研修協力病院を挙げて、一般的な内科学の知識を基盤とした関連領域の診断から治療までトータルな技量を持った内科医を養成することに力を入れております。
スタッフ紹介

科長
奥村 利勝オクムラ トシカツ
消化器内科 副科長
藤谷 幹浩フジヤ ミキヒロ
消化器内科 副科長
麻生 和信アソウ カズノブ
血液腫瘍内科 副科長
進藤 基博シンドウ モトヒロ
糖尿病・内分泌内科 副科長
滝山 由美タキヤマ ユミ
リウマチ・膠原病内科 科長
牧野 雄一マキノ ユウイチ
リウマチ・膠原病内科 副科長
岡本 健作オカモト ケンサク
病棟医長
橘内 博哉キツナイ ヒロヤ
病棟医長
高橋 慶太郎タカハシ ケイタロウ
外来医長
岡本 健作オカモト ケンサク
外来医長
河端 秀賢カワバタ ヒデマサ
外来診療担当医表
当診療科の「外来診療担当医表 」は下記リンクよりご確認ください。
主な診察内容の紹介
消化器内科
当科は消化管・胆膵・肝臓の3グループに分かれ、良性・悪性疾患、救急疾患を含め、すべての消化器疾患に対して高い専門性を有して診療を行っております。当科における特色のある診療への取り組みについて紹介致します。
診療内容
(1)消化管疾患
- 機能性消化管疾患(機能性ディスペプシア・過敏性腸症候群など)の診断治療
他院で治療に難渋している症例もご紹介頂き、改めて精密な診断を行い隠れている他の疾患はないか検討するとともに、薬物療法のみではなく、全人的な診療にあたっています。 - 食道アカラシアに対する内視鏡治療
当科は経口内視鏡的筋層切開術(POEM)の施行が可能な道北で唯一の施設であり、多数の患者さんが紹介され、治療を受けています。 - 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病・ベーチェット病など)の診断治療
各種内視鏡検査(上下部消化管内視鏡検査・カプセル内視鏡・小腸内視鏡)やMRIなどを用いた精密な診断に加え、多種多様な生物学的製剤や免疫抑制剤を用いた専門性の高い治療を行っており、道北・道東地域から多数の症例のご紹介を頂き、連携しながら診療にあたっています。治験にも積極的に参加しており、加えて腸内細菌由来活性物質を用いた新規治療開発を当科主導で行っています。 - 消化管悪性腫瘍(食道癌・胃癌・十二指腸癌・大腸癌)に対する内視鏡治療・化学療法
早期癌に対しては最新の内視鏡機器や技術を取り入れ、精密な診断の下に内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)といった内視鏡治療を積極的に行っております。食道・胃・大腸に加え、技術的に困難とされる十二指腸の病変に対しても、消化管外科と連携しながら積極的に内視鏡切除を行い、患者さんへの負担の少ない治療を心掛けております。手術が困難な遠隔転移を有する進行癌に対しては化学療法(抗がん剤)を行います。多剤併用化学療法に加え、近年進歩が著しい免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬を用いた治療にも積極的に取り組んでおります。がん遺伝子パネル検査による治療法のご提案にも積極的に取り組んでおります。
(2)胆膵疾患
- 膵胆道腫瘍(膵癌・膵管内乳頭粘液性腫瘍・胆管癌・胆嚢癌・乳頭部癌など)の診断と治療
各種画像検査や内視鏡検査を駆使した膵胆道癌の精密診断を行っています。内視鏡的胆管・膵管ステント留置によるドレナージ、乳頭部腫瘍に対する内視鏡的乳頭切除術、超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA)による組織診断を行っています。術後再建腸管に対しダブルバルーン内視鏡を用いた処置を行い、経乳頭的処置が困難な症例に対してはEUS-FNAの技術を応用した超音波内視鏡下胆道・膵管ドレナージや、仮性嚢胞・術後膿瘍・壊死組織に対する経消化管的治療(EUS-TD)、経皮経肝的処置なども積極的に行っております。他院において治療困難な症例(良性疾患含む)や術後合併症対応の紹介も受けております。 - 膵胆道癌(膵癌・胆管癌・胆嚢癌)に対する化学療法・早期診断
これらの癌に対する化学療法(抗がん剤)を行っています。近年では、従来行われてきた多剤併用化学療法だけでなく、新たに標準治療になっている免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬を用いた新しい治療も行っています。また、がん遺伝子診療部と連携し遺伝子パネル検査を用いた治療法の検索と検査結果に基づいた最適な治療のご提案も行っています。さらに、当科では血液や膵液中の微量ながん遺伝子の検出技術を研究開発し、難治癌である膵癌や胆道癌の早期診断への応用を目指した取り組みを進めています。
(3)肝臓疾患
- ウイルス性肝炎(B型・C型肝炎など)、非アルコール性脂肪性肝炎の診断と治療
ウイルス性肝炎に対しては、経口抗ウイルス薬やインターフェロンを用いた治療を行っています。近年増加している非アルコール性脂肪性肝炎に対しては、超音波やMRIなどを用いた精密診断を元に、生活指導や薬物治療を含めた内科治療に取り組んでおります。 - 肝硬変、門脈圧亢進症の集学的治療
肝硬変や門脈圧亢進症を背景とした食道胃静脈瘤や肝性脳症などは、超音波内視鏡と3DCTを用いた血行動態診断を行い、治療方針を決定しております。当科では内視鏡的静脈瘤硬化療法(EIS)やバルーン閉塞下逆行性静脈瘤塞栓術(B-RTO)の他、薬物治療など集学的治療を行っております。 - 肝細胞癌の精密病態診断と集学的治療
肝細胞癌に対して、各種画像検査を用いた早期発見・早期診断に取り組んでおり、特に造影超音波検査による精密病態診断を積極的に行っております。これにより、超音波ガイド下でのラジオ波焼灼療法や血管造影下でのカテーテル治療、および外科的治療といった集学的治療の精度向上を図っております。また、進行肝細胞癌には免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬の組み合わせによる複合免疫療法の導入により、治療成績が向上しております。
血液・腫瘍内科
当科における特色のある診療への取り組みについて紹介致します。
診療内容
貧血(鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、赤芽球癆、悪性貧血、自己免疫性溶血性貧血など)、血液腫瘍(急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、成人T細胞性白血病/リンパ腫、原発性マクログロブリン血症、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、慢性骨髄増殖性疾患など)に対する化学療法・骨髄移植・末梢血幹細胞移植・さい帯血移植、出血傾向(発性血小板減少性紫斑病、血友病、フォンビルブランド病など)、HIV感染症などの疾患の診療に当たっています。
慢性骨髄性白血病(CML)
CMLは、中・高年者に発症する慢性的に白血球が増加する病気です。病初期には無症状で、次第に全身倦怠感・微熱・体重減少や肝脾腫が出現します。検査値の特徴は、幼若顆粒球や好酸球、好塩基球の増加を伴った白血球の増加(通常は10000/ul以上)や血小板増加、LD・尿酸値高値などです。最近では検診などで白血球増加から偶然に発見されるケースも増えています。CMLの確定診断は骨髄検査により病気の本態であるフィラデルフィア染色体の証明が必要です。長年CMLは、骨髄移植以外完治しない不治の病とされてきましたが、2002年4月よりイマチニブという内服のチロシンキナーゼ阻害薬が日本でも認可となりました。その後、ニロチニブやダサチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ、アシミニブが使用可能となり、これまでの抗がん剤を用いた治療方法と比べ、治療成績は飛躍的に改善されました。
近年、チロシンキナーゼ阻害薬で分子遺伝学的完全寛解に到達したCMLの患者さんを対象に、治療の中断を試みる臨床試験が行われ、チロシンキナーゼ阻害薬を中止できる患者さんもいらっしゃるようになりました。
多発性骨髄腫(MM)
MMは、骨髄内の形質細胞が腫瘍化して増殖することにより多彩な症状を引き起こす50~70歳台に多い病気です。よく見られる症状として、骨痛(腰・背中・肋骨)や倦怠感・めまい・頭痛・むくみなどです。病気が進行すると、病的骨折や高カルシウム血症による意識障害も見られます。検査値の異常としては、正球性貧血・総蛋白高値・腎機能異常・血清/尿M蛋白陽性などで、X線写真にて多数の骨溶解病変が見られることがあります。診断は、M蛋白陽性と骨髄検査での異常形質細胞の証明によりなされます。
MMは、確実に完治を来す標準的治療法が確立されておらず、年齢や進行度に応じて治療方針を決定します。当科では、比較的若年者(65歳以下)の患者さんに対して自家末梢血幹細胞移植を行っているほか、ボルテゾミブ、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、カルフィルゾミブ、エロツズマブ、イキサゾミブ、ダラツムマブ、イサツキシマブなどの分子標的薬も積極的に取り入れ、MM患者さんの治療成績向上に努めています。さらに疾患の特徴から、院内他科(整形外科・リハビリテーション科・放射線科・循環器内科・腎臓内科・緩和ケア科・歯科口腔外科など)とも協力し、多職種連携のうえ、総合的な診療を行っております。
糖尿病・内分泌内科
当科における特色のある診療への取り組みについて紹介致します。
下記代謝内分泌疾患全般の診断治療を行なっています。
糖尿病(1型、2型)糖尿病合併症 妊娠糖尿病 低血糖症 脂質異常症(高コレステロール血症、高中性脂肪血症)高尿酸血症 (痛風) 甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病、甲状腺腫瘍)下垂体疾患(下垂体腫瘍、下垂体炎)副腎疾患(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫、副腎不全、副腎腫瘍)副甲状腺疾患(原発性副甲状腺亢進症、副甲状腺腫瘍など)
リウマチ・膠原病内科
当科における特色のある診療への取り組みについて紹介致します。
関節リウマチ(RA)
関節リウマチ(RA)は遺伝的素因とさまざまな環境要因の組み合わせにより自己免疫応答が惹起され、関節滑膜において炎症が発生し、慢性化した炎症によって関節の軟骨・骨が破壊される疾患です。症状は、朝のこわばり、手・足の指や膝・肘などの全身のさまざまな関節の痛みや腫れといった多発性関節炎が多いですが、間質性肺炎や血管炎などの関節以外の臓器合併症を呈する場合もあります。日本では患者数は約80万人と推定されており、男女比は1:3〜1:4と女性に多い疾患です。以前は治療の選択肢が少なく、疾患のコントロールが難しく、関節変形の進行や、日常生活動作(ADL)の障害が問題になることがたびたびありましたが、日本では2003年から生物学的製剤(Biologics, バイオ製剤)が使用できるようになり、病気のコントロールが格段に改善し、RA治療のパラダイムシフトが生じたと言われるようになりました。抗環状シトルリン化ペプチド抗体(抗CCP抗体)や関節超音波検査、関節MRIなど関節リウマチの診断方法の進歩もありました。また、早期に関節リウマチを診断して適切に治療する治療推奨やガイドラインも作成され、関節リウマチの基本薬とされるメトトレキサート(MTX)を中心とした治療戦略が確立されてきました。MTXによる治療で効果不十分な場合やMTXによる治療が副作用などのために使用できない場合にバイオ製剤を使用し疾患活動性を制御する治療戦略が取られています。また、日本では2013年から生物学的製剤と同程度の強力な炎症抑制作用・骨破壊抑制作用を有し、経口投与が可能なヤーヌスキナーゼ(JAK)阻害薬という新しい薬が使用できるようになり、RAの治療はさらに進化を続けています。一方で、高齢化社会におけるRA発症年齢の高齢化の問題や、合併症を多く有する患者さんの増加が問題になっています。高齢や合併症を有する場合には治療選択に制約が生じることが多く、リスクを考慮した治療が必要になります。当科ではそのような患者さんの治療も行っており、疾患の特性から、呼吸器内科、消化器内科、血液内科などの関連科と連携した総合的な診療も行っています。
その他の膠原病および類縁疾患
全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、結節性多発動脈炎、混合性結合組織病、抗リン脂質抗体症候群、シェーグレン症候群、ANCA関連血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)、巨細胞性動脈炎、高安動脈炎、ベーチェット病、成人スティル病等についても多くの診療実績があります。近年、膠原病および類縁疾患の治療は、新規の免疫抑制剤・生物学的製剤の登場、適応追加などに伴い新たな局面を迎えています。また、深刻な臓器合併症、感染症など有害事象への対応が著しい進化を遂げています。治療の高度化に対応し、よりよい疾患予後を実現させる専門診療に取り組んでいます。
外来のご案内
消化器内科:2階21番
糖尿病・内分泌内科/リウマチ・膠原病内科/血液・腫瘍内科:2階23番

入院のご案内
糖尿病・内分泌内科/リウマチ・膠原病内科/消化器内科:7階東
消化器内科:6階西(消化器センター)
血液・腫瘍内科:5階西
