旭川医大移植チーム

医療関係者の皆さま

日本における腎移植の現状

日本には、末期腎不全で透析を受けている患者さんが約35万人います。2019年に腎移植を受けた人は2,057名でした。その内、1,827名は生体腎移植で、230名が献腎移植を受けられています。2019年末の時点で、献腎移植の希望登録者は12,505人です。

 

●腎移植の成績

日本における腎移植の成績は、生体腎移植で5年生着率が95%、15年生着率が74%程度で、生存率は腎移植後15年で87%です。(20012009調査結果)

 腎移植は一度受ければ一生OKというわけではありません。2000年以降の腎移植成績は新しい免疫抑制剤の登場により大きく向上し、透析への再導入率は5年で約1割ほどです。

●腎移植を受けることで…

腎移植を行うことによる影響は多岐にわたります。腎移植にも他の治療法と同じようにメリットとデメリットがあります。

■腎移植のメリット

①透析合併症の進行を遅らせることにより、生命予後の延長や、動脈硬化/心血管疾患のリスクを軽減できる可能性がある。
②透析療法に伴う時間的/精神的/社会的制限がなくなる。
③食事・生活制限の緩和が見込める。
④女性では妊娠・出産の可能性がある。

■腎移植のデメリット

①腎移植の手術が必要。(生体腎移植の場合はドナーも手術が必要。)
②手術による合併症が生じる可能性がある。
③免疫抑制剤を内服し続ける必要があり、副作用が発現する可能性がある。
④感染症のリスクに注意が必要となる。
⑤自己管理の徹底が必要となる。
⑥移植した腎臓が永久に機能することを保証できない。

旭川医大病院での腎臓内科、糖尿病内科、循環器内科のかかわり方

当院においてドナー候補の術前ですが、腎機能がやや劣る場合は、腎臓内科で多くは短期間入院で精査させていただいております。もしドナーとなりえても、術後は年に数回、腎臓内科でフォローアップを継続させていただいております。

また腎臓内科医はレシピエントの術後6か月~1年で、主科となります(移植外科は2~3か月に1度の受診に移行します)。レシピエント候補の心機能などに問題があれば、麻酔科、循環器内科と相談して心臓カテーテル検査などを行います。術前心臓の手術をして移植した方もおられます。

ドナー候補にも心臓カテーテル検査を行ったことはありますが侵襲性のある検査は特にドナーの場合、十分な説明が必要と考えています。レシピエント候補が糖尿病腎不全の場合、早期に当院の糖尿病内科にも参加してもらい、カンファレンスにも参加してもらっています。

また原疾患が1型糖尿病の場合、膵臓移植についても考えなければなりませんので糖尿病内科の参加はとても重要と考えています。

移植についての「お問い合わせ」

旭川医科大学 移植医工学治療開発講座まで
下記の「メール」または「お電話」にてお願いします。